アフリカ自由貿易圏、12億人市場始動 供給網に課題

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『【カイロ=久門武史】アフリカ全体を共通市場にするアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)が2021年1月、運用を始める。関税撤廃を掲げ、人口12億人超の巨大市場で貿易促進を目指す。フル活用には供給網の充実が欠かせず、物流インフラの不足などの課題を乗り越える必要がある。

「大陸の統合における画期的な出来事だ」。12月初め、来年1月1日の運用開始を決めたアフリカ連合(AU)の会議で議長国、南アフリカのラマポーザ大統領は強調した。今年7月に始める予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で遅れていた。

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AUの55カ国・地域のうちエリトリアを除く54カ国・地域が署名し、3分の2が批准を終えた。物品貿易で5年以内に品目ベースで9割を関税ゼロにする目標を掲げる。各国が関税率の表をつくり交渉する必要があり、作業は遅れ気味だ。

アフリカ大陸全体が参加すると、国内総生産(GDP)の総額は2兆5千億ドル(約259兆円)との推計がある。国連によると、人口は50年に計25億人に倍増するという成長市場だ。

独フォルクスワーゲン(VW)は8月、ガーナで自動車組み立て工場を稼働させた。「サハラ砂漠以南が一段と重要になる」と判断しての投資だ。中国も秋波を送る。11月、「中国アフリカ協力フォーラム」設立20年を記念する式典で、王毅(ワン・イー)外相は「AfCFTAを歓迎し、事務局に資金支援する」と表明した。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の9月の調査によると、進出日系企業の4割がAfCFTAの利用を検討している。ジェトロの佐藤丈治・中東アフリカ課長は「コロナ禍でも各国で企業誘致競争が起き、多国籍企業大手は既に動いている」と指摘する。

AfCFTA参加国は域内貿易の活性化に期待をかけるが、現状ではアフリカ経済は域外への依存が強い。鉱物資源や農産物を原材料として輸出し、欧米や中国から付加価値の高い製品を輸入する国がなお多いからだ。

輸出額に占める域内向けの比率は2割に満たず、欧州の6割台、アジアの5割台に比べ低調だ。隣国より欧州の旧宗主国との結びつきが強い歴史的な事情もある。

国境をまたぐ道路や港湾の整備の遅れはなお物流の足かせだ。製造業に不可欠の電力の安定供給も課題だ。紛争や治安問題を抱える国もある。国によって経済の発展段階のばらつきが大きく、分業の仕組みをつくりサプライチェーン(供給網)を充実させるには時間がかかる。

エジプトのアムル・ナッサール前通商産業相は「アフリカの工業化にはインフラ整備が急務で、人材教育が欠かせない」と日本経済新聞に指摘した。裏を返せば発展の余地は大きい。世界銀行は特に製造業で域内貿易が活発になると予測し、35年までにアフリカ域内の輸出は81%、域外へは19%増えるとみている。

大陸の中では既に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や南部アフリカ開発共同体(SADC)といった地域ごとの協力が進む。それぞれ関税撤廃に取り組んでおり、AfCFTAで新たにメリットが生じるのは既存の枠組みをまたぐ貿易になる。

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