油価の復調と環境規制(NY特急便)

油価の復調と環境規制(NY特急便)
米州総局 中山修志
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3003M0Q0A231C2000000

『29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は68ドル安と反落した。年末の薄商いで個別銘柄の値動きは限られた。半導体大手のインテルが投資ファンドのサード・ポイントから経営改善を求める書簡を受け取ったと伝わり、前日終値比で5%高となった。

2度の墜落事故で運航が停止していた小型機「737MAX」の運航を29日にアメリカン航空が再開したことが好感され、製造元のボーイングは一時3%高と買われた。11月に米連…

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・11月に米連邦航空局(FAA)が同機の運航再開を承認し、およそ1年9カ月ぶりに米国の空に復帰することとなった。すでにブラジルとメキシコの航空会社が運航を再開しており、米国ではユナイテッド航空やサウスウエスト航空も2021年前半に再開するという。

・ボーイングが2017年に投入した737MAXは、旧型機「737NG」に比べて燃費性能を14%向上したというのが売り文句だった。高効率の新型エンジンに対応するために採用した機体制御システムの不備が事故を招く結果となったが、航空会社にとっては支出の3割近くを占める燃料費を節約できる利点が大きかった。

・新型コロナウイルスの感染拡大に伴って低迷していた原油相場は復調傾向にある。4月に史上初のマイナス値を付けた米先物指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は29日に1バレル48ドルまで戻し、シェール企業の採算ラインとされる50ドル台に近づいている。ジェット燃料に用いるケロシンも上昇基調だ。

・燃費性能の向上は温暖化ガスの排出削減にもつながる。米環境保護局(EPA)は28日、旅客機と大型のビジネスジェット機に二酸化炭素(CO2)排出量などの環境基準を設ける方針を示した。国際民間航空機関(ICAO)が定める環境基準に準拠し、航空会社への環境規制も強化する見通しだ。

・投資家からもESG(環境・社会・企業統治)の圧力が強まる中、低燃費の機材の需要が高まる。ボーイングのデビッド・カルホーン最高経営責任者(CEO)は「新生の737MAXが今後の小型機市場をリードする」と主力機の復活に期待を寄せる。

・一方、油価回復が追い風になるはずの石油企業は上値が重い展開が続く。エクソンモービルの29日の株価終値は前日比1%安の41.27ドルと年初を4割以上下回っている。バイデン政権の発足を間近に控えて、12月に温暖化ガスの排出削減目標を公表したが、同業大手に比べても環境対策が遅れているとの批判は根強い。トゥルースト・セキュリティーズのニール・ディングマン氏は「収益拡大の余地が限られており、静観せざるをえない」と指摘する。

・1月にバイデン政権が発足すれば、米国にも欧州並みの厳しい環境規制が導入されることになるだろう。地球温暖化に懐疑的だったトランプ政権の規制緩和に甘えていた企業は、当面は環境対策に追われることになりそうだ。

(ニューヨーク=中山修志)