中国、2021年8.2%成長予測 現地エコノミスト本社調査

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『【香港=木原雄士】日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、2021年の中国の国内総生産(GDP)の増加率(経済成長率)の予測平均値は実質で8.2%となった。10年ぶりの高い伸びを見込む。景気回復の裾野が広がるものの、企業のデフォルト(債務不履行)が下振れリスクとなる。

中国は新型コロナウイルスが広がった1~3月、前年同期比でマイナス成長に転落したものの、他国に…

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・10~12月の成長率予測は5.9%で7~9月の4.9%から加速する見込み。20年通年は2.1%と主要国で唯一プラスになると予想する。

・21年成長率の見通しの幅は6.5~9.5%。エコノミスト35人中26人が8%以上を予想した。9%を予想した野村国際の陸挺氏は「土台となる20年の数値が低く、パンデミック(世界的大流行)からの景気回復が続く」と指摘。8.4%としたバークレイズの常健氏は「堅調な輸出や生産、製造業の投資、サービス・消費の回復」を理由に挙げた。

・政策主導の色合いは薄れる。ジュリアス・ベアのソフィー・アルタマット氏は「成長のけん引役が公的投資から消費や民間投資にシフトする」と予想する。ユーラーヘルメスの黄黎洋氏も「失業率の低下や所得の伸びによって21年には消費やサービスの分野にも回復が広がる」とした。

・ING銀行のアイリス・パン氏は「海外への渡航制限が続く場合、中国の消費者は中国本土でお金を使う」と消費の回復に期待する。もっとも「世界経済の回復には時間がかかるうえ、新型コロナで悪化した中国の雇用も完全には回復していない」(光大新鴻基の陳政生氏)という慎重な見方もある。

・みずほ銀行の細川美穂⼦氏は「ワクチンの普及や新型コロナからの回復には不確定要因が多く、米国のバイデン次期政権の対中政策も未知数だ」と指摘する。「感染流行が繰り返し起きて経済回復に一定の障害となる」(三菱UFJ銀行の范小晨氏)との見方もある。

・エコノミストに複数の選択肢を示し、下振れリスクを聞いたところ、企業の債務問題が最も多かった。中国では足元で、国有半導体大手、紫光集団などの社債デフォルトが相次いでいる。東亜銀行の鄧世安氏は「借り入れが難しくなった企業は人員を減らしたり市場から撤退したりする可能性がある。労働市場の悪化は、消費の伸びと経済成長の鈍化につながる」と指摘する。

・ムーディーズ・アナリティクスのシャオチュン・シュ氏は「政府が国有企業を救済するという考え方は通用しない。中国の資産価格の包括的な再評価につながりかねない」と警鐘を鳴らす。オックスフォード・エコノミクスの胡東安氏も「不動産開発会社は本土外のオフショア市場で多額の資金を調達しており、外国人投資家による社債売却のリスクにさらされる」との見方を示す。

・債務問題を巡っては、実態が不透明な地方政府系の投資会社「融資平台」への波及を懸念する声も出ている。ソシエテ・ジェネラルの林凱祺氏は「これまで融資平台がデフォルトする例はなかったが、最近の国有企業のケースを考えると排除できない」と指摘。招商証券の謝亜軒氏は「コロナ流行によって融資平台の収入に下押し圧力がかかっている」とみる。

バイデン政権でも米中対立は継続
・中国エコノミスト調査では2021年1月のバイデン米政権発足後も米中の対立は続くとの見方が大勢を占めた。

・工銀国際の程実氏は「バイデン次期政権は伝統的な同盟国との関係修復に焦点を当て、気候変動やウイルス対策で多国間の合意を探るだろう。米中の経済・貿易の摩擦が和らぎ、中国経済の回復につながる」との楽観的な見解を示す。

米国のバイデン次期大統領㊧は気候変動などで中国との協力を探るとの見方が多い(2013年)=ロイター

・アライアンス・バーンスタインの紀沫氏は新たな米中関係を「予測可能性が向上し、敵ではなく競争相手になる」とみる。みずほ銀行の細川美穂子氏は「高関税と報復の悪循環は回避する。気候変動や環境、人権などで交渉の余地が生まれる」との見立てだ。

・ABNアムロのアリエン・ファンダイクハウゼン氏は「関税戦争が復活する可能性は低い。米中問題はより構造的になり、金融市場にショックを与えるような性質ではなくなる」と予想する。

・一方で「世界が多極化する傾向は変わらず、中国と米国はあらゆる面で競争する」(モルガン・スタンレーの邢自強氏)との見方は根強い。大和証券の頼志文氏は「デカップリング(分断)の根底にある要素が変わる可能性は低い。米中関係は後戻りできない道に向かっている」と強調する。

・京東数字科技の沈建光氏は「バイデン次期政権は国内問題にエネルギーを費やし、中国への圧力は短期的に和らぐ可能性がある」としつつ「米中関係は協力と競争が併存する。バイデン次期政権はコロナ対策や、気候変動、反テロ、核兵器などで中国と協力を模索するが、価値観や安全保障の分野ではより多くの対立を抱えるようになる」と指摘する。

・三井住友DSアセットマネジメントの佐野鉄司氏は「バイデン次期政権は他国の政府と連合して中国包囲網を固めてくるだろう。中国とオーストラリアの対立はさらに激化しそうだ」と予想する。「米中の技術の分断はグローバリゼーションを後退させ、世界経済に痛みをもたらす」(アクサ・インベストメント・マネージャーズの姚遠氏)との見方もある。

調査の方法 日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が12月に中国経済を専門とするエコノミストを対象に書面で実施し、35人から回答を得た。

(英語社名のアルファベット順、敬称略)
ABNアムロ(アリエン・ファンダイクハウゼン)、アライアンス・バーンスタイン(紀沫)、アクサ・インベストメント・マネージャーズ(姚遠)、バンク・オブ・アメリカ(喬虹)、東亜銀行(鄧世安)、バークレイズ(常健)、BNPパリバ(陳興動)、シティグループ(劉利剛)、招商証券(謝亜軒)、クレディ・スイス(王一)、大和証券(頼志文)、DBS(梁兆基)、ユーラーヘルメス(黄黎洋)、光大新鴻基(陳政生)、フィッチ・レーティングス(ブライアン・コールトン)、恒生銀行(薛俊昇)、HSBC(屈宏斌)、工銀国際(程実)、ING銀行(アイリス・パン)、京東数字科技(沈建光)、ジェフリーズ(李坤龍)、JPモルガン(朱海斌)、ジュリアス・ベア(ソフィー・アルタマット)、凱基証券(陳浩)、みずほ銀行(細川美穂子)、ムーディーズ・アナリティクス(シャオチュン・シュ)、モルガン・スタンレー(邢自強)、三菱UFJ銀行(范小晨)、野村国際(陸挺)、オックスフォード・エコノミクス(胡東安)、S&Pグローバル(ショーン・ローチ)、ソシエテ・ジェネラル(林凱祺)、スタンダードチャータード銀行(丁爽)、三井住友DSアセットマネジメント(佐野鉄司)、UBS(汪濤)