日米欧の中古車、アフリカの環境汚染の一因に

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『先進国が輸出した中古車が、新興国で環境問題を引き起こしている。国連環境計画(UNEP)によると、日本は欧州連合(EU)に次ぐ中古車輸出大国だ。新車に比べて割安な中古車は庶民の足となる一方、温暖化ガス排出を増やす要因ともなりかねない。先進国から流れ出た中古車が新興国で生むひずみに、UNEPは警鐘を鳴らしている。

「対象146カ国中、3分の2では中古車の輸入について『弱い』、もしくは『非常に弱い』規制…

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先進国が輸出した中古車が、新興国で環境問題を引き起こしている。国連環境計画(UNEP)によると、日本は欧州連合(EU)に次ぐ中古車輸出大国だ。新車に比べて割安な中古車は庶民の足となる一方、温暖化ガス排出を増やす要因ともなりかねない。先進国から流れ出た中古車が新興国で生むひずみに、UNEPは警鐘を鳴らしている。

・UNEPは10月、中古車の国際的な流れについて分析した調査でこう危機感を示した。

・同調査によると、中古車の三大輸出拠点はEU(54%)、日本(27%)、米国(18%)だ。これらの地域から流れた中古車はアフリカ(40%)や東欧(24%)、アジア太平洋(15%)などの新興国へと向かう。

・自動車は気候変動の原因となる温暖化ガスの主要排出源の1つだ。温暖化ガスをめぐっては削減を急ぐ先進国と経済成長を優先したい新興国との対立が問題になってきた。

・米シンクタンク、世界資源研究所(WRI)が運営する「クライメート・ウオッチ」によると、経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国の温暖化ガス排出量は2000年代半ばの約15ギガ(ギガは10億)トンをピークに徐々に減少し、最新の16年には13.96ギガトンまで減った。欧州委員会は1月、50年に温暖化ガスの排出を実質ゼロとするための120兆円の投資計画を発表。日本も30年代半ばに国内でガソリンエンジンのみで動く車の新車販売をなくす目標を掲げる見通しだ。

・一方、経済発展や人口増が続く新興国では排出が膨らむ。G77(発展途上国77カ国)では、16年の排出量が90年の約2倍の30ギガトンに増加した。

・UNEPは先進国から流れ込む中古車の多くが「基本的な環境対策の要件に欠け、大気汚染や温暖化ガスの増加の原因となっている」と指摘する。たとえば主要な輸出国の1つであるオランダからアフリカに輸出された中古車では、8割以上が排ガス規制「ユーロ4」を下回る基準にしか対応していなかったとの調査もある。

・中古車輸出大国である日本の主な輸出先はアジアやアフリカだ。日本中古車輸出業協同組合(東京・品川)によると、19年に日本から海外に輸出した約130万台の中古車のうち、39%がアジア、25%がアフリカ向けだった。

・足元では「ガリバー」を展開する中古車販売最大手IDOMなどがアフリカ市場開拓を急ぐ。1月に始動した気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」では、先進国だけでなく、新興国にも温暖化ガスの排出削減を求める。中古車は新車に比べて割安で庶民の足となりやすい一方、環境負荷が大きいことも多く、適切な対策を講じなければ国際社会の批判を招きかねない。

・規制を強める新興国も増えてきた。ケニアでは輸入する中古車に「年齢制限」を設けている。最大8年落ちまでとし、環境対策が不十分な古い車の流入を防ぐ狙いだ。UNEPによれば、15年落ちまでとしているウガンダなどに比べ、ケニアの二酸化炭素排出量は25%以上低いという。

・インド洋の島国モーリシャスは3年落ちまでと、より厳しい規制を設けている。さらに二酸化炭素排出量に応じた課税の枠組みを設けるなどして、気候対策に積極的に取り組む姿勢を打ち出す。

・UNEPは「2050年までに乗用車の数は少なくとも現在の2倍になる」と予想する。大半は新興国の需要拡大によるものだ。車が急増する未来が近づく中、気候変動を抑えるためには世界で調和のとれた対策をとる必要がある。輸出側である先進国にも責任を分かち合う姿勢が求められそうだ。

(バンコク=岸本まりみ)