中国EU投資協定、年内合意へ交渉大詰め

中国EU投資協定、年内合意へ交渉大詰め
EUに慎重論も、米はけん制
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2300W0T21C20A2000000

『【ブリュッセル=竹内康雄、北京=川手伊織】中国と欧州連合(EU)が年内合意をめざす投資協定の交渉が大詰めを迎えている。中国側は外資の受け入れ条件などで譲歩したが、EU加盟国の中からは中国の人権問題などで慎重論も出ている。米国も両者の接近を警戒しており、EUは難しい調整を迫られそうだ。

中国とEUの両者にとって、相手との貿易総額は2番目に大きい。投資協定が成立すれば双方の経済関係の強化につながる。…』

・EUのドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)は18日、米メディアに「(交渉が)前進すれば、年内に結論を得られる」と語り、中国外務省の汪文斌副報道局長も「交渉はすでに最終段階に入った」と認めている。

・両者の交渉では、12月になってから中国側の交渉姿勢が軟化したという。欧州メディアによると、金融や製造業で中国進出企業の合弁条件を緩和するなど中国側が譲歩した。中国の姿勢が変化したことで年内合意の可能性が高まった。

・しかし、ポーランドのラウ外相は22日、「早まった合意よりもバランスのとれた合意がよい」と慎重姿勢を示した。ポーランド以外でも、強権的な行動が目立つ中国との関係強化に慎重な加盟国もある。

・EUはこれまで中国を人権問題や欧州へのサイバー攻撃などで批判してきた。最近では、中国の香港国家安全維持法の制定や少数民族であるウイグル族への弾圧などを受け、警戒感が強まっている。

・バイデン次期米政権も両者の接近を警戒する。サリバン次期大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日、ツイッターに「(次期政権は)中国の経済慣行に関する共通の懸念について、欧州のパートナーとの早期協議を歓迎するだろう」と投稿した。EU側に拙速な合意をけん制した形だ。

・バイデン次期米大統領は、トランプ政権下の貿易摩擦で悪化した米欧関係を修復し、足並みをそろえて知的財産権の保護や補助金の削減を中国に迫る方針だ。政権移行期の空白を突き、欧州と中国が接近すれば、欧州と共同で対中包囲網を築き上げるバイデン氏の計画は最初からつまずく。

・一方で、米国に覇権争いを挑む中国は、大規模な貿易・投資協定を通じて、独自の経済圏づくりを急ぐ。11月に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に署名し、習近平(シー・ジンピン)国家主席は環太平洋経済連携協定(TPP)への加入を「積極的に考える」と表明した。

・中国がEUとの交渉で譲歩する姿勢をみせた背景には、早期に成果を示す狙いがありそうだ。TPPへの参加は、国有企業改革や自国産の製品を優先する政府調達の見直しなどクリアすべき課題が多い。中国が関心を示す日中韓自由貿易協定(FTA)も、日本側は「RCEPの発効が優先」と関心は低い。

・欧州域内では新型コロナウイルスの感染拡大で経済が打撃を受けている。中国との投資協定は域内で最大の経済大国であるドイツが推進している。

・EUと中国との投資協定交渉は、中国で働く労働者の保護などで議論が続きそうだ。EUは中国との交渉と並行し、加盟国間の意見の集約と米国との利害調整という難しい課題をクリアする必要がありそうだ。