トランプ氏、交代前に対中規制を連発 ドローン大手禁輸

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN191150Z11C20A2000000

『【ワシントン=鳳山太成、ニューヨーク=宮本岳則】トランプ米政権が政権交代を目前に、中国への強硬措置を相次いで実行に移している。人権侵害や南シナ海問題を理由に半導体やドローン(小型無人機)など大手企業に一斉に制裁を科した。バイデン次期政権に中国への厳しい姿勢を続けるよう迫る狙いがある。

【関連記事】
米、ドローン最大手の中国DJIに禁輸 人権侵害関与で
「中国の腐敗した脅迫的な振る舞いは、米国の安全保障と同盟国の主権を損なっている」。ロス米商務長官は18日、強い言葉で中国を批判した。

商務省は同日付で半導体受託生産の中国最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)やドローン世界最大手のDJIなど約60の中国企業や中国人に対する米国製品の輸出を事実上禁じた。

米国技術の軍事転用、少数民族の弾圧、権威主義国家の支援、南シナ海の軍事拠点化、企業秘密の窃取――。それぞれの制裁理由には、トランプ政権が4年間でやり玉に挙げてきた中国の問題点がずらりと並ぶ。対中規制の継続案件をまとめて片付けた格好だ。

トランプ大統領は選挙の敗北を認めていないが、任期終了までに成果を残そうとしているのは明らかだ。同氏は11月、商務省で輸出規制を担う部門に幹部ポストを新設。熱心なトランプ支持者で知られる通商弁護士を任命し、残る2カ月での政策実行を託した。

政権交代前の矢継ぎ早の制裁発動はバイデン政権に対中強硬策を続けるよう促す狙いが透ける。商務省高官は18日「バイデン次期政権は、我々が取った措置が安全保障の観点から重要であることを必ず理解してくれるだろう」と述べ、対中制裁の継続を求めた。

バイデン氏も中国に弱腰の姿勢を見せられない環境が着々と出来上がっている。18日には米国に上場する中国企業の監視を強化する「外国企業説明責任法」がトランプ氏の署名で成立した。米当局による会計監査の検査を受け入れなければ上場廃止となる。

法案は民主党のバンホーレン上院議員と共和党のケネディ上院議員が超党派で提出した。共和党が多数派の上院が5月、民主党主導の下院が12月2日にそれぞれ全会一致で可決した。

「米国人が中国企業からカネをかすめ取られるのを防ぐ法律が成立した」とバンホーレン氏は歓迎する。相次ぐ中国企業の会計不祥事で党派を問わず強硬論が広がる。

議会と並行して政府も動いており、政権交代でも潮流は変わりそうにない。上場規制を担当する米証券取引委員会(SEC)は具体的なルール作りに着手した。トランプ氏は11月、中国人民解放軍の関連企業リストに入った企業の株式について、米投資家に購入を禁じる大統領令に署名した。

ただ急ピッチで中国企業の締め出しが進むことに投資家からは戸惑いの声も聞こえる。主要な公的年金が所属する米機関投資家評議会(CII)は11日、米財務省の外国資産管理局にレターを出し、実際に売買が禁じられる企業や証券の詳細な情報を出すよう求めた。

カリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)のクリストファー・エイルマン最高投資責任者は「民主党政権になっても状況は変わらない」として、米中対立の長期化が運用におよぼすリスクを精査している。』