ロシア欧州向けガス管の建設再開 米制裁の「ノルドストリーム2」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR11BP90R11C20A2000000

『【モスクワ=石川陽平】米国の制裁で中断していたロシアの欧州向け天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の敷設作業が11日、1年ぶりに再開した。事業会社のノルドストリーム2AGが日本経済新聞に対して確認した。米ロ対立の渦中にあった基幹パイプラインが2021年の早い段階で完工する可能性が出てきた。

ノルドストリーム2はバルト海海底を通ってロシア北西部からドイツに至る全長1230㌔㍍のガスパイプライン。輸送能力は年550億立方㍍で、敷設作業は90%以上が終わっていた。ノルドストリーム2AGは、ロシア政府系の天然ガス会社ガスプロムの子会社で、建設事業にはドイツをはじめ多くの欧州企業も参加する。

ノルドストリーム2は20年半ばの稼働を目指していたが、米政府が19年12月、敷設作業に関与する企業関係者を対象にした制裁を決定した。これを受けて、スイスのオールシーズ社が作業を停止すると、事業の行方が不透明になった。

ノルドストリーム2AGによると、敷設作業はドイツの排他的経済水域(EEZ)にある2.6㌔㍍の区間で、水深は30㍍に満たない。「取得済みのすべての許可内容を順守している」と指摘した。今後のオフショアでの敷設作業については、適時発表するとしている。

米トランプ政権は新たなガスパイプラインの稼働で同盟関係にある欧州のロシア依存が深まり、欧州の「エネルギー安全保障」が脅かされると主張する。米国にはノルドストリーム2の完工を阻み、米国が生産する液化天然ガス(LNG)の欧州諸国への輸出を増やしたいとの思惑もあるとみられている。

ロシア政府やドイツの経済界は米政府による制裁に強く反発したが、8月にロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂疑惑が起きると、欧州とロシアの関係も急速に悪化し、事業の先行きがさらに危ぶまれた。米国はノルドストリーム2の追加制裁にも踏み切り、完工を阻止する構えだが、ガスプロムは外国企業の協力を得ずに自力で敷設作業を続けることにした。』