「何でも年内に」急ぐ首相 実行力誇示狙う…官僚は残業続きで悲鳴

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『菅義偉首相が、携帯電話料金の引き下げやデジタル庁創設をはじめとする肝いりの「スガ案件」について年内と期限を区切り、一定の結果を出すよう各省庁にハッパを掛けている。「国民のために働く内閣」をうたい、施策の実行力とスピード感を世論にアピールする狙いだが、霞が関からは疲弊の悲鳴も漏れる。

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 2050年までの脱炭素化目標、日本学術会議の在り方見直し、不妊治療の保険適用、75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げ。これらは、首相が方向性や計画の取りまとめの期限を年内と設定した宿題だ。「具体的で身近なものから進めるのが首相の手法だ」と政府高官。首相はそれぞれの施策の担当閣僚を官邸にたびたび呼び出し、進捗(しんちょく)の具合を細かく報告させているという。

 なぜ急ぐのか。一時期は、首相が年内に実績を重ね国民に示し納得してもらった上で、年明け早期に衆院解散・総選挙に打って出るための環境整備、との臆測も飛び交った。政府、与党が来年の通常国会召集を1月18日と決めたことで、その線は遠のいたとみられているが、既に形が表れた施策もいくつかある。

 首相が9月の総裁選で公約に掲げた携帯料金の引き下げでは、民間の競争を促す行動計画を就任約1カ月後に公表。これを受け、NTTドコモが容量20ギガバイトで月2980円(税別)の新料金プラン導入を発表するなど、携帯大手3社は相次いで割安プランを打ち上げた。農林水産物や食品の輸出拡大でも、実行戦略が11月30日の関係閣僚会議で正式決定している。

 霞が関の官僚の負担感は重い。政府関係者によると、年末と指示された施策を抱える省庁や部署では長時間残業が続く。内閣府の中堅幹部は「期限を切られたプレッシャーは大きい」。加えて、21年度政府予算案の編成作業も大詰めを迎えつつある。

 首相はアクセルを緩めるつもりはなさそうだ。今月4日には、自民党の甘利明税制調査会長にこう告げた。「これまでは政府の『骨太方針』などに書き込んでも実行されないものが多かった。政策として掲げたものは実行することに極めて重点を置いてきたし、やっていくつもりだ」

(前田倫之)』