英、サイバー部隊と宇宙司令部創設 アジアに空母派遣も

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66452670Q0A121C2FF8000/

『【ロンドン=中島裕介】英国のジョンソン首相は19日、国家サイバー部隊や宇宙司令部の新設などの防衛強化策を発表した。中国へのけん制を念頭に最新鋭空母のクイーン・エリザベスをアジア地域に派遣する方針も表明した。今後4年間に冷戦終結以来で最大となる165億ポンド(約2兆3000億円)を防衛予算に追加投資し、急変する安全保障環境に対応する。

ジョンソン英首相は「国際情勢は、より危険で激しい競争になっている」と話す=AP
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英政府は今回の強化策により「欧州最大の防衛費支出国で北大西洋条約機構(NATO)加盟国で2位の地位を確固たるものにする」と訴えている。米大統領にバイデン氏が就任しても、米政権は欧州各国に防衛費の増額を求めるとみられる。英メディアはこの強化策には「貴重な同盟国である決意を示し、米国との関係を強化する狙いもある」と分析している。

新設する国家サイバー部隊は、国防省と機密情報を扱う英秘密情報部(MI6)や政府通信本部(GCHQ)などの人材で構成する。他国からの英国民や企業へのサイバー攻撃を防ぐほか、敵国やテロ組織への攻撃活動も担う。

宇宙司令部では2022年に英北部スコットランドからロケットや偵察を念頭に置いた衛星を打ち上げる。安全保障上の脅威が宇宙からの通信やサイバー空間上に急速に広がっている現状に備える狙いだ。

ジョンソン首相は19日のオンラインでの演説で「2021年に空母クイーン・エリザベスが英国や同盟国の部隊を率いながら、地中海、インド洋、東アジアを野心的に展開する予定だ」とも明らかにした。

アジア太平洋地域への空母派遣はこれまでも国防相などが言及してきたが、首相が改めて表明した。香港問題などで関係が冷え込んでいる中国をけん制する狙いがあるとみられる。

派遣の詳細は不明だが、英紙タイムズは今年7月に「英軍が護衛艦などを伴うクイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群の拠点を極東に置く計画を立てた」と報じている。日米などとの共同演習も視野に入りそうだ。英国は中国が海洋進出を進める南シナ海に艦船を航行させる「航行の自由作戦」を支持している。クイーン・エリザベスの派遣計画次第では英中間の緊張が高まる可能性もある。

英政府は今回の防衛強化策を、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済浮揚策とも位置づける。防衛産業の活性化により、年間1万人の雇用を創出できるとしている。』