米国務長官、西岸のユダヤ人入植地を初訪問 ゴラン高原も

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66443300Z11C20A1FF2000/

『【ワシントン=中村亮、カイロ=久門武史】ポンペオ米国務長官は19日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を訪れた。歴代の国務長官で初めて。トランプ政権は入植活動を認める方針に転じており、政策を既成事実化する思惑が透ける。大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領の中東政策を縛る恐れがある。

ポンペオ米国務長官(左)とイスラエルのネタニヤフ首相(中)(18日、エルサレム)=AP
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欧州、中東歴訪中のポンペオ氏は18日にイスラエルに入り、19日にネタニヤフ首相と会談後、西岸の入植地のワイン醸造所を訪ねた。同国メディアが伝えた。イスラエルによる占領地での入植活動について、国連など国際社会は「国際法違反」と非難してきた。国務長官の訪問は米国がお墨付きを与えるに等しい。

ポンペオ氏は昨年11月、イスラエルによる入植活動は「国際法に違反しない」と述べ、事実上容認する考えを示した。1978年に「違法」と判断したカーター政権の見解を覆した。

ポンペオ氏は19日、イスラエルが占領するゴラン高原も訪問した。トランプ大統領が昨年3月、ゴラン高原にイスラエルの主権を認めたことについて「単に現実を認めるものだ」と指摘した。ゴラン高原はイスラエルが1967年の第3次中東戦争でシリアから占領し、81年に併合を宣言した。国際社会は認めていない。

トランプ政権はエルサレムをイスラエルの首都と認定するなど、露骨にネタニヤフ政権の肩を持つ政策を重ねてきた。

トランプ政権は中東政策を矢継ぎ早に打ち出している。米財務省は18日、イラン最高指導者のハメネイ師を支援したとされる同国の財団を制裁対象に指定した。イランに対する「最大の圧力戦略」に基づく。17日にはアフガニスタンやイラクの駐留米軍を2021年1月15日までに削減すると発表した。トランプ氏の任期は同20日に切れる。

バイデン氏はイスラエルに肩入れしたトランプ政権の中東政策を修正する構えだ。イスラエルに対し、パレスチナとの2国家共存の原則を揺るがす政策を慎むよう訴えてきた。トランプ政権が離脱したイラン核合意の復帰に意欲を示し、同国との対話を探る。

バイデン氏は一方で、急激な政策転換には慎重な姿勢も見せる。大統領選中には、トランプ政権が在イスラエル米大使館をエルサレムに移転したことについて「私はテルアビブに戻さない」と追認した。移転はトランプ氏の支持者が強く支持しており、方針転換は米社会の分断を広げかねないからだ。

17日には、イスラエルのネタニヤフ首相と電話し、中東情勢について協議した。バイデン氏は「イスラエルの安全保障やユダヤ人による民主国家としての将来をしっかりと支える」との考えを伝え、米・イスラエル関係の強化を訴えた。』