ロシアの「勢力圏」後退 モルドバで親欧米派大統領

ロシアの「勢力圏」後退 モルドバで親欧米派大統領
米次期政権も攻勢へ トルコ・中国も浸透
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『【モスクワ=石川陽平】旧ソ連地域でロシアの勢力圏の後退が鮮明になってきた。15日のモルドバ大統領選で、親欧米派候補が現職の親ロ派への勝利を確実にした。アゼルバイジャンの紛争ではトルコの影響力拡大を許し、ベラルーシでは欧米が支持する反政権デモが続く。来年1月に発足する予定のバイデン米政権による「民主化外交」の攻勢も避けられない。

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旧ソ連西部のモルドバで15日、大統領選の決選投票があり、親欧米派のマイア・サンドゥ前首相が親ロ派のイーゴリ・ドドン現大統領に得票率で15ポイントの差をつけた。サンドゥ氏は16日未明、首都キシニョフで支持者に向けて勝利宣言をした。

サンドゥ氏は「欧州連合(EU)への接近」を掲げ、欧州からの経済支援取り付けを国民に約束していた。選挙運動では現地の米大使と連携していたとも報じられ、モルドバは今後、親欧米にかじを切る。

ロシアは1991年のソ連崩壊以降も旧ソ連地域を「裏庭」とみなし、政治や経済、文化的に強い影響下に置こうとしてきた。特に2000年に就任したプーチン大統領は「大国の復活」に向け勢力圏の維持と回復に取り組んだが、旧ソ連地域への浸透をめざす欧米などに押され、退潮に歯止めがかからない。

連合国家をつくるベラルーシでは8月、ルカシェンコ氏が6選を決めた大統領選をきっかけに、反政権の抗議運動が広がっている。反体制派幹部らは相次ぎ欧州諸国や親欧米の隣国に脱出し、欧米の支持で抗議運動を続けている。政変を阻みたいロシアは武力介入もちらつかせる。

アゼルバイジャンで再燃したアルメニアとのナゴルノカラバフ紛争は9日、ロシアの仲介で停戦に合意し、トルコが支援したアゼルバイジャンが事実上、勝利した。トルコは共同での停戦監視の要求もロシアに受け入れさせ、黒海とカスピ海の間のカフカス地域で影響力を広げた。

カフカス地域は帝政ロシアの支配下に入り、ソ連領となった。ソ連崩壊後もロシアが影響力を行使したが、今回の紛争で退潮が決定的となった。さらに「トルコが(民族的に近い)旧ソ連・中央アジアでも勢力バランスを有利に変化させる」(ロシア紙ベドモスチ)可能性が高まった。

ロシア勢力圏の後退は、04年にウクライナで親欧米派が親ロ派政権を倒した「オレンジ革命」で顕著になった。同国ではロシアの支援でいったんは親ロ派が政権に戻ったが、14年の政変で再び親欧米派が政権を奪取した。ジョージア(旧グルジア)でも04年、欧米の支援を受けたサーカシビリ政権が誕生した。

一方、中央アジア5カ国ではトルコが経済協力をてこに影響力を強め、中国も広域経済圏構想「一帯一路」で勢力を伸ばす。10月の議会選を機に政変が起きたキルギスは、対外債務の4割以上が中国向けで、政権を支えたロシアの影響力が低下していた。

プーチン大統領は11月10日、欧米によるベラルーシへの「内政干渉」を批判し、キルギスやモルドバでも「同じことが確かに起きている」と警戒をあらわにした。ただ、ロシアの地政学的後退の背景には、同国の経済力の低下と各国の欧米志向の高まりがある。

ロシアの13~19年の経済成長率は年平均で1%に届かず、周辺国に十分な援助はできない。地域統合へ「ユーラシア大国」になる方針を掲げるが、旧ソ連地域各国の国民は、強権的なロシアより、民主主義体制に魅力を感じている。

ロシアにとって新たな難題は、民主党のバイデン氏が次期大統領の座を確実にしたことだ。バイデン氏はロシアを「重大な脅威」と位置づけ、対ロ関係の改善も探ったトランプ政権を非難してきた。オバマ前政権時には副大統領として旧ソ連の民主化支援に関与しており、就任後は外交攻勢に転じるとの見方が多い。

米次期政権の外交幹部のポストも対ロ強硬派が占めそうだ。バイデン氏に近いスーザン・ライス元国連大使は「主要な敵対国」と呼ぶロシアの封じ込めを唱える。国家安全保障担当大統領補佐官にも名前が挙がるトニー・ブリンケン元米国務副長官は9月末、次期政権はウクライナやジョージアへの支援を大幅に増やすと発言した。』

中央アジア(1)—-キルギス、カザフスタン、ウズベキスタン(前半)の旅
   キルギス(アク・ベシ遺跡、プラナの塔、イシク・クル湖、ビシケク)、カザフスタン(アルマティ、タラス川古戦場)、
   ウズベキスタン前半(タシケント、ヒヴァ)、トルクメニスタンへ
http://www.nishida-s.com/main/categ2/51-central-asia-1/index.htm