ファーウェイ、窮余のリストラ

ファーウェイ、窮余のリストラ 低価格スマホ売却
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66348070X11C20A1FFJ000/

『【広州=川上尚志】中国の華為技術(ファーウェイ)が低価格スマートフォン事業を手放す。年間出荷台数は約7千万台で、同社のスマホの3割程度に当たる。米政府による規制強化で売却を余儀なくされた格好だ。売り先はファーウェイの地元政府の傘下企業が主体で、部品調達や製品販売といった事業構造を維持する狙いがありそうだ。

米規制を回避、事業「温存」か
「共に手を携え、新たな栄光の道を歩もう」

深圳市の政府系新聞「深圳特区報」は17日付朝刊に、こんな全面広告を掲載した。名を連ねたのは深圳市政府傘下の投資会社や、ファーウェイの低価格スマホブランド「HONOR(オナー)」を扱うスマホ販売店など30社。既に新会社を設立しており、ファーウェイからオナー事業を取得すると宣言した。

同日午前にはファーウェイも事業売却を発表した。「(米規制で)大きな圧力を受けており、販売店やサプライヤーのため売却を決めた」としている。金額は公表していない。買い手の新会社の資本金は1億元。この98.6%を市政府傘下の投資会社1社が出す。事実上、政府支援のもとオナー事業の存続を目指す。

オナーは「ファーウェイ」ブランドを補完するために2013年に立ち上げた低価格ブランドだ。ネット販売を中心に若者の支持を広げた。出荷台数は中国のOPPOやvivoに続く世界7位に相当する。

販売先は大部分が中国内のため消費者の忌避感はほとんどない。生産は基本的に外部に委託していることから、ファーウェイから独立しても事業は継続できる見通しだ。中国・天風国際証券のアナリストは「これで米規制の影響は受けなくなるだろう」と指摘。日本のサプライヤー幹部も「部品需要の回復が見込める」と歓迎する。

業界内では「米規制が緩和されたらオナーを買い戻すこともファーウェイは検討するのではないか」との見方もある。

米国は9月15日、自国の技術を使った半導体をファーウェイに供給することを事実上、禁止する措置を発効させた。ファーウェイは部品在庫がなくなるとスマホの生産ができなくなる。生産調整は既に始まっており、7~9月期の世界シェアは急落した。

米調査会社カナリスの賈沫アナリストは「オナーの独立が遅れれば遅れるほど状況は悪くなる」と、ファーウェイが事業売却を急いだ可能性を指摘する。大統領選後の米国の混乱も決断を後押ししたとみている。

技術開発の資金を確保
ファーウェイはオナーの売却で事業規模は小さくなるが、資金を確保できるメリットがある。売却額は非公表だが、ロイター通信は1000億元(約1兆6千億円)規模になる可能性があると報じていた。半導体の内製化などに関わる技術開発に充当できる。

ハードからソフトへのシフトも進める。代表例が独自の基本ソフト(OS)「鴻蒙(ホンモン)」の利用拡大だ。テレビなどに搭載実績があり、21年から自社スマホでも搭載機種を出す計画だ。中国のスマホ大手などにも採用を呼びかけている。今回売却する「オナー」ブランドにも採用を呼びかける可能性がある。

ただ、こういった対応策をとっても高級機中心の「ファーウェイ」ブランドの落ち込みは補うのは難しい。

米国が締め付けを厳しくする可能性もある。トランプ政権は安全保障上の懸念があるとして段階的に規制を強化してきた。バイデン政権に移行した場合も米中のハイテク覇権争いは簡単には止まらないとの見方が多い。独立するオナーに規制の網が広がれば、売却の意味がなくなりかねない。

ファーウェイは半導体を十分確保できておらず、部品在庫は来春に切れるとの指摘もある。米中政府の駆け引きをにらみながら存続の道を探る展開が当面、続きそうだ。』

中国・紫光が債務不履行 半導体国産化に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66325840X11C20A1FFJ000/