東証大引け 3日ぶり反落、過熱感で売り 都内感染者最多で一段安

『18日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反落し、前日比286円48銭(1.10%)安の2万5728円14銭で終えた。足元の上げ足の速さから高値警戒感が強まり、利益確定売りが優勢だった。午後に東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数が最多を更新したと伝わると、一段と売りが広がり下げ幅は一時350円を超えた。

前日に心理的な節目の2万6000円を約29年半ぶりに回復したほか、11月に入ってから前日までの上げ幅が3000円を超えていたことから、短期的な過熱感を意識した売りが朝方から優勢だった。17日公表の米小売売上高が市場予想に届かず、米経済対策の息切れが意識されたのも重荷だった。

14時台には「東京都で18日、新型コロナウイルスの感染者が新たに493人確認された」と伝わった。1日あたりの新規感染者数としては過去最多で、外出自粛などの動きが広がり経済活動が抑制されるとの見方から一段安となった。都のコロナ対策を巡っては足元の感染状況を受け、警戒レベルの引き上げや事業者を対象に営業時間の短縮要請を検討するとも伝わっている。

JPX日経インデックス400は3営業日ぶりに反落。終値は前日比126.93ポイント(0.81%)安の1万5587.58だった。東証株価指数(TOPIX)も3営業日ぶりに反落し、14.01ポイント(0.81%)安の1720.65で終えた。

東証1部の売買代金は概算で2兆3157億円。売買高は11億8706万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1445と、全体の6割を超えた。値上がりは646、変わらずは85銘柄だった。

ホンダや三菱自、住友電やDOWAなどが大幅安となったほか、ANAHDやJR西日本が売られた。郵船や商船三井も軟調。第一生命HDや三菱UFJも安い。一方、国際石開帝石が逆行高。NECや富士通も買われた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕』

トランプに劣らぬバイデンの「不都合な真実」

トランプに劣らぬバイデンの「不都合な真実」
【緊急現地ルポ!】
山田敏弘 (国際ジャーナリスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21369

『米大統領選が11月3日に行われてから、事前の予想通り、ドナルド・トランプ大統領が不正選挙だとゴネ続けている。結局のところ、一部の人たちの主張とは裏腹に、選挙結果に影響を及ぼすような不正は見つかっておらず、選挙結果が覆ることはなさそうだ。

 1月20日に第46代米国大統領として就任するのはジョー・バイデンということになる。バイデンはトランプのように強烈なキャラクターではないために、米国が少し落ち着いた雰囲気になったと感じるのは間違いないだろう。逆に言えば、バイデンはちょっと凡庸なリーダーのように見えるかもしれない。もっともそれが今、混乱極まるアメリカで今、国民がリーダーに求めていることだということである。

 筆者は今回の大統領選ではワシントンに入って取材を行なっていた。ある知人の元連邦職員は選挙後に「トランプでなければ誰でもいいから民主党のバイデンに入れた。バイデンも過去を振り返るとまあいろいろあるけど、しょうがない」と語っていた。

 実はトランプと比較されることで折り目正しいリーダーに見えるバイデンはその政治家人生を振り返るとクリーンなイメージとは異なる側面もある。そう、「いろいろ」あったのである。

 そこで、バイデンのこれまでのキャリアに見る「不都合な真実」にスポットライトを当て、その人物像に迫ってみたい。

ホワイトハウス近くのマクファーソン公園で選挙時翌日にバイデンの講演をパブリックビューイング(筆者撮影、以下同)

いつの間にか忘れられたウクライナ疑惑

 まず初めに、いつのまにか忘れられつつある、今回の選挙戦でバイデンに浮上した「疑惑」について言及しておきたい。息子ハンターによる、ウクライナと中国にまつわる話である。

 簡単に説明すると、バイデンが副大統領だった知名度などを利用し、アルコール依存症などの問題を抱えてきた息子ハンターが、ウクライナと中国の企業からお金を受け取っていたとされる。ウクライナのケースでは、ハンターが、ウクライナで汚職事件の捜査対象になったガス企業の取締役を務めていたことで、バイデンが検察に働きかけをしたとの疑惑があり、それに絡んでバイデンが同企業幹部と会談したというスキャンダルが大統領選直前に取り沙汰された。

 バイデン側は当時のスケジュールにないとして完全否定。ハンターのプライベートな電子メールのやりとりがあやしい出元から出てくるなど、話の信憑性にも疑問符がつけられたこともあって、この話はあっけなく収束したのである。

 中国のケースでは、中国国有企業の支援を受けた企業の取締役を務めていて、そこからのカネがバイデンにも流れたと指摘された。証拠は出てなかったため、結局大した話にはならなかったが、ハンターは大統領選前にその企業の取締役を辞めている。

 息子のハンターは、個人的にもアルコールや薬物依存の問題を抱えており、足元をすくわれかねない動きも少なくなかったために、バイデンを貶めるための格好の標的とされてきた。「バイデンとハンターがビジネスがらみの話をお互いにしない」というのはこれまでもあちこちで報じられてきた事実であったからか。今回の疑惑もバイデンとのつながりは薄く、選挙戦を崩壊させることはなかった。

バイデンは「失言マシーン」!?

 今回の選挙では、こうした疑惑以外にも、トランプがバイデンについて「攻撃」を繰り返したことがある。バイデンの失言である。終盤の遊説では、トランプは必ずバイデン叩きのビデオを会場のビッグスクリーンで流していた。

 例えば、バイデンは、大統領選を「上院議員選」と言い間違えたり、トランプの名前を「ジョージ」と間違えたり、州の名前を間違っていたり、コロナで20万人死亡と言うところを2億人と言い間違えたりしている。そうした姿を切り取り、集めた動画をトランプは得意げに披露した。

 もっとも、バイデンの過去を振り返っても、実はバイデンの失言癖は有名だった。バイデン自身も2017年の自叙伝で自分は「失言マシーン」であると自虐的に書いている。有名な話では、2008年には「オバマは、言葉が明瞭で輝いていて、クリーンで、見た目もいい初めての黒人だ」と失言。2020年3月には、「バイデンに入れないなんて黒人じゃない」とも語って謝罪している。

 また2008年に、聴衆にいる車椅子の州議会議員に対して、「顔が見えないから立ってくれ」と話して失笑を買っている。2006年には、自分の地元デラウェア州ではファストフード店やコンビニは「インドなまりの英語ばっかりだ」と述べている。こうした発言は枚挙にいとまがない。

 バイデンがこうした発言をしていることを、意外に感じる人もいるかもしれない。だがバイデンの政治家としてのキャリアを振り返っても、お世辞にもバイデンは「心清らか」な政治家ではなかった。何も失言が多いのはトランプばかりではない。

ワシントンの至る所に設置されたバイデンとハリス支持のポスター

経歴の嘘も連発

 バイデンの政治家としてのキャリアは47年になる。1942年にペンシルベニア州の中流層の家庭に生まれたバイデンは、デラウェア大学からシラキュース大学の法科大学院を卒業。「私は(東海岸の伝統的私立エリート校グループである)アイビーリーグの出身ではない」と庶民派であることをアピールしている。

 成績はいまいちだったが、卒業後は弁護士として働く。その後、郡議会議員になってから連邦上院議員に初当選。72年の当選から就任までの期間に、事故で妻と娘を失い、以降は生き残った2人の息子を育てた。77年には現在の妻であるジルと再婚し、娘をもうけている。

 上院議員として、これまで3度、大統領選に挑戦してきた。今回は3度目の正直で当選したことになる。2度目は予備選で飛ぶ鳥を落とす勢いだったバラク・オバマ前大統領に敗れ、代わりに副大統領候補となり、オバマ政権に入った。

 実は87年に初めて大統領選に出馬した際のバイデンは、惨憺たるものだった。当時から失言は変わらず、遊説中に質問した有権者に「私は君よりもIQはかなり高い」とキレた姿も残っている。また、法科大学院時代は成績優秀だったと話していたが、それが嘘だったことがばらされた。さらに公民権運動で活動家たちと一緒に数多くの行進に参加したと主張していたが、それも嘘で参加したことはなかった。極めつきは、スピーチを行った際の内容が、国外の政治家などから完全に盗用したものだったことが指摘され、「過ちだった」と詫び、選挙から撤退した。

 その後は2008年の2度目の大統領選挑戦まで、上院議員として、上院司法委員会や外交委員会で活躍した。

「嘘ばっか言ってんじゃない!」「だまれ!」

 バイデンの人柄については、トランプと比べて大人な政治家のイメージがある。実はキレやすい側面もある。2019年12月、アイオワ州の遊説先で聴衆からバイデンの息子がウクライナで汚職をしたという疑惑について質問され、感情的に「あなたはひどい嘘つきだ」と声を荒げ、さらに「あんたには投票しない」と言われたことで「あんたは私に投票するには年寄りすぎるよ」と語った。2020年3月にデトロイトの自動車工場を訪問したバイデンは、従業員から「憲法修正第2条(銃器を保有や所持する権利の根拠とされる憲法)の権利を積極的に阻止しようとしているではないか」と非難され、「嘘ばっか言ってんじゃない!」「だまれ!」とキレた。

 もう一つ、バイデンの過去で特筆すべきは、セクハラ疑惑だ。2019年4月には、「MeToo運動」が話題になっていたこともあり、元スタッフから、27年前にセクハラされたと告発された。それ以外にも何人か、不快な感じでハグやキスをされたなどと名乗り出たが、大ごとににはならなかった。

 バイデンは、他人との距離感が近いことがあったことを認め、「常によい人間関係を築こうとしていたからだ」と潔く認めている。その上でこう述べた。「私は、個人のスペースの境界線はリセットする。わかった。わかった。みんなが指摘していることはよくわかった。さらに心に留めて、私の責任として距離感は守る」

ワシントン大統領選当日の午後_奥に見えるのがホワイトハウス

対中関係よりも懸念の外交実績

 バイデンは中国とも積極的に交流を行なっていたことから、トランプは遊説でも、バイデンが中国に近すぎると批判した。バイデンが、胡錦濤国家主席の隣で「中国の台頭はいいことだ」と話したり、「中国が繁栄するのは米国の国益にもかなう」と語っているビデオを紹介した。事実、その点を突かれたバイデンは、中国は「敵ではなく競争相手である」と語っている。これまでも、バイデンは中国には融和的だったのは確かである。

 だがそれはアメリカ自体が中国を今のように敵視していなかったことが背景にある。バイデンが上院議員としてのキャリアをスタートさせたのは、1972年にリチャード・ニクソン大統領が中国を電撃訪問して国交を正常化した翌年の73年のこと。それから米国は中国を経済的に解放させながら、常に上から目線で、中国は自分たちでコントロールすることができるという認識で付き合ってきた。

 それが間違いだと気が付いたのは、2015年のこと。習近平政権が、「中国製造2025」をぶち上げて、世界の工場から世界を率いるようなイノベーションを起こせる国になると主張したときだった。5GやAIの分野などで2025年には世界を率いる存在になるべく国家を挙げて動き、中国共産党革命100周年になる2049年の世界制覇に向けて大きく踏み出すとの姿勢を明らかにした。当時、オバマ政権で副大統領だったバイデンもその流れは明確に把握しているはずだ。だからこそ、バイデン政権になっても中国に対してソフトになることはないと関係者らは強く語っているし、中国側もバイデンを与し易いとは見ていない。

 要するに、バイデンがそれまで中国とお気楽に付き合っていたとしても罪はないと言える。今回の選挙戦線では、ロシアは脅威だが中国は競争相手と言ってみたり、「習近平の辞書に民主主義という言葉はまったくない。悪党だ」と語っている。中国にソフトに行くことはないだろう。

 それよりも気になるのは、ジョージ・W・ブッシュ時代からバラク・オバマ時代にも国防長官を務めたロバート・ゲーツは、「過去40年の間にバイデンが行った外交的な決定はすべて間違っていた」と述べていることだ。

 例えば、米国的には成功とされる1991年のイラク戦争に反対。米同時多発テロ後の2002年のイラク戦争への武力行使に賛成し(今は反対したと主張している)、泥沼化したイラクで2007年の「サージ(戦闘部隊の増派)」にも反対したが、その作戦がイラクの泥沼を終わらせたと言われている。2011年には国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディンの殺害作戦に反対したという。

 こうした懸念があるものの、外交については側近などの影響もあるし、時代も変わっていくことから、これからの決断に注目したい。

 1月20日に大統領に就任してから、おそらくバイデンの過去に見られる、失言や短気な「特徴」はちょこちょこ表面化する可能性はある。今回、バイデンに投票したというワシントン近郊メリーランド州で選挙ボランティアをしていたアルバ・キャストロは筆者にこんなことを言っていた。「失言などがバイデン大統領の足を引っ張らないといいのだけど」

(文中一部敬称略)』

【点描・永田町】石破氏の領袖辞任と“ポスト菅”

【点描・永田町】石破氏の領袖辞任と“ポスト菅”
2020年11月15日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020111200807&g=pol

『石破茂元幹事長が石破派(水月会)会長を辞任したことが、自民党内に複雑な波紋を広げている。石破氏は「自民党総裁選での惨敗の責任を取る」と説明したが、同党内では「自らが立ち上げた派閥なので、会長辞任は石破派の解散を意味する」(閣僚経験者)との見方が多く、早速他派閥から石破派所属議員に対する勧誘工作が始まっており、“ポスト菅”レースへの影響も注目を浴びる。
自民・石破派、会長選び難航 草刈り場の懸念

 石破氏が突然、派閥会長辞任を宣言したのは、10月22日の石破派臨時総会。石破氏は9月の党総裁選で68票に終わり、377票の菅義偉首相には遠く及ばず、89票の岸田文雄前政調会長にも差をつけられての最下位となった。特に、安倍晋三前首相との一騎打ちとなった前回18年の総裁選で獲得した73票の国会議員票が、今回は26票に激減。自民党内での議員支持の少なさが、石破氏の党内的孤立を際立たせた。今回の会長(領袖)辞任は「(石破派の)みんながつらい思いをしてきたことに対して、言葉だけでは足りない」との切実な思いからで、「何度も反すうし、懊悩した」と苦しい心境も吐露した。

 石破氏は当選11回で、ポスト安倍候補では最長の議員キャリア。総裁選出馬も今回が4度目で、周辺では「これが最後の戦い」との声も出ていた。常に正論を吐き、安倍氏や麻生太郎副総理兼財務相が首相在任中に失政批判の高まりで窮地に陥った際、「党のために退陣すべきだ」と直言したこともある。ただ、安倍、麻生両氏は周囲に「あれは絶対に忘れない」と漏らしたとされ、党内には「それが今回総裁選での“石破つぶし”につながった」(自民幹部)との見方も多い。

 安倍氏の無投票再選となった2015年9月の総裁選直後に、20人の議員で旗揚げした石破派だが、各種世論調査でのポスト安倍人気投票で他候補を圧倒し続けていたにもかかわらず勢力は拡大せず、今回総裁選でも必要な推薦人20人にも届かない19人に留まっていた。総裁選惨敗を受け、石破氏は所属議員と今後の派閥運営について意見交換してきたが、「いつまでも反主流派では、議員としての活動が制限される」(派幹部)などの不満も少なくなかったとされる。

◇「孤立の果ての撤退宣言」との声も

 石破氏は会長辞任に当たり、石破派事務総長の鴨下一郎元環境相に後任会長を打診したが鴨下氏は固辞し、他の有力議員も“及び腰”だったことで、後任選びは難航。辞任後初となるはずだった10月29日の派閥例会も「何も決まらないままでは開けない」(幹部)と、中止を余儀なくされた。石破氏に次ぐ当選10回の山本有二元農林水産相も派閥の会長代行退任を表明し、「もはや派閥の体をなさず、存続も危ぶまれる状態」(幹部)になりつつある。このため、早くも竹下、岸田両派が、それぞれ親交のある議員の“引き抜き”工作に着手したとされる。

 首相の総裁としての任期が切れる来年9月には、再び総裁選が実施される。領袖を辞めた石破氏は「これから先もその立場を与えていただけるとありがたい」と出馬に含みを残すが、「推薦人も確保できない」との厳しい声も相次ぐ。今回、石破氏と「2位争い」を展開した岸田氏も石破氏の辞任に当惑を隠さず、「菅政権が着実に実績を挙げていけば、石破氏の会長辞任で無投票再選論が強まる」(岸田派幹部)との見方も出る。今回総裁選で石破氏が好んで揮毫したのは「鷙鳥不群」(しちょうは群れず)。「猛禽類の鷲や鷹は群れない」という意味だが、石破氏の党内の立場も象徴している。それだけに、自民党内では石破氏の会長辞任を「孤立の果ての総裁選撤退宣言」(長老)と受け取る向きも少なくない【政治ジャーナリスト・泉 宏/「地方行政」11月9日号より】。』

正男氏息子CIAと同行か 反北朝鮮団体リーダー証言

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66348020X11C20A1910M00/

『【ソウル=共同】米誌ニューヨーカーは17日までに、北朝鮮の金正恩体制打倒を訴える団体「自由朝鮮」が、2017年の金正男氏殺害事件後に息子のハンソル氏らを台湾からオランダに逃がそうとした際、米中央情報局(CIA)職員を名乗る男性2人が身柄を引き取っていったとする団体リーダーの証言を報じた。ハンソル氏の現在の所在地は不明としている。

団体リーダーのアドリアン・ホン・チャン氏が、韓国系米国人作家スキ・キム氏とのインタビューで明らかにし、同誌が寄稿文を掲載した。この団体は、事件後にハンソル氏らを安全な場所に移したと表明していた。

同誌によると、リーダーは13年にハンソル氏とパリで初めて面会。事件直後にハンソル氏から、当時住んでいたマカオから母と妹と一緒に脱出させてほしいとの要請があったという。』

EU復興基金成立遅れ 「法の支配」条件、東欧反発

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66319810X11C20A1FF8000/

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の首脳が7月に合意した復興基金案の成立が遅れている。基金からの資金分配について、権力の乱用を法で縛る「法の支配」の順守を条件とすることにハンガリーとポーランドが反対しているためだ。新型コロナウイルスによる打撃を和らげる基金が2021年から稼働できなければ、欧州の景気回復に影を落とす。

ハンガリーのオルバン首相はEUの復興基金案に反対する(10月のEU首脳会議)=ロイター

「拒否権を発動した」。ハンガリー政府報道官は16日、ツイッターに21年からのEU中期予算案と復興基金案に反対したと投稿した。AP通信によると、同国のオルバン首相はEU議長国ドイツのメルケル首相とミシェルEU大統領らに宛てた書簡で「全体で合意するまで(特定の)何かに合意することはない」と、法の支配の問題が解決されない限り、両案に同意しない考えを伝えた。

EU首脳は7月、7500億ユーロ(約94兆円)規模の復興基金案で合意した。復興基金は21年から7年間のEU中期予算の一部として、新型コロナウイルスの被害の大きい地域に資金を供給するために設けられる。新型コロナで傷ついた経済の回復を後押しする。

7月の首脳の合意文書には「法の支配の尊重を重視する」と明記したが、資金分配とどうひも付けるかは定めていなかった。合意案をもとに欧州議会とEU閣僚理事会が折衝を重ね、11月10日に合意に達した。

今回の合意には法の支配の順守と資金分配を関連付ける仕組みが明記された。法の支配などEUルールを守らない場合、EU独自の「特定多数決」で資金拠出などを停止できる。特定多数決は「加盟国の55%以上」かつ「域内人口の65%以上」が賛成する必要がある。

これらの合意内容にハンガリーとポーランドは強く反発した。ポーランドのジョブロ法相は16日の記者会見で「ポーランドの主権を大きく制限する内容だ」と批判した。EUは16日の大使級会合での基金案と予算案の合意を目指していたが、両国が反対して結論を持ち越した。

EUにとって法の支配は人権や民主主義などと同様に基本的な価値観の一つ。だがEU本部や西側の欧州諸国はハンガリーとポーランドで法の支配が後退していると懸念を強めている。政権がメディア支配を強めたり、司法制度の独立性を脅かしたりする動きがある。

復興基金はコロナの被害が大きい南欧を中心に経済立て直しを支援する。スペインは基金からの資金を前提に経済対策を練っており、同国のカルビニョ経済相は「数日内に解決されることを望む」と焦りを募らせる。21年から基金が稼働できなければ欧州の景気回復が遅れるリスクが高まる。

EU各国の欧州問題担当相は17日、テレビ会議で打開策を探る。EU首脳も19日にテレビ会議を開くが、現時点での議題は新型コロナ対策。情勢次第で復興基金問題も討議する可能性がある。

復興基金を巡っては欧州の結束が揺らぐ事態が目立つ。7月の首脳間の合意の際はオランダなど北部欧州を中心とする「倹約国」グループと、コロナの被害が大きいイタリアなどの南欧が規模や使い道で対立した。法の支配の議論では対立軸が東欧と西欧に移った。

東欧諸国もEUの中期予算からインフラ整備などの恩恵を受けるため、最終的には矛を収めるとの見方はある。だが今回は政権の理念に関わる問題でもあり、議論が長引く可能性がある。最終的に議長国のメルケル氏が仲介に乗り出すとの観測も出ている。EU高官は16日、記者団に合意を見いだせなければ「深刻な政治危機になる」と嘆いた。

自動車、今後はソフトで稼ぐ VWが投資倍増の3.3兆円

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66355210X11C20A1TJ2000/

『世界最大手の自動車メーカー独フォルクスワーゲン(VW)が車のソフトウエアの分野に5年で270億ユーロ(約3兆3千億円)を投資する。デジタル化で先行する米電気自動車(EV)大手テスラへの対抗で、従来計画の2倍にする。背景には自動車業界が売り切りのビジネスから、ソフトで自動運転機能などを追加して収入を得る稼ぎ方に移る構造変化がある。

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「テスラを倒す」ための投資

「この計画はテスラを倒すためのものだ」。VWのヘルベルト・ディース社長は16日、2021~25年の投資計画説明会で強調した。約2時間の説明会でディース氏ら幹部は、テスラという言葉を20回以上も発した。ライバルの名指しを控える企業も多い中、異例だ。

VWはEVに年平均60億ユーロを超える巨額投資を実施。EV専用車台を使う「ID」シリーズの出足は良く、コスト面でテスラに対抗できるとの自信をのぞかせる。一方で車のデジタル化についてディース氏は「テスラは2週間ごとにクルマをアップデートするなど顧客に新しい体験を提供している。VWはそれができていない」と認める。

テスラは19年春以降に出荷した全ての新車に完全自動運転に対応可能なコンピューター「FSD」を搭載しているとしている。現在は運転手の監視のもとで高速道路を自動走行する機能などに限るが、ソフトの更新により市街地での自動運転にも対応できるという。

従来、車は販売店や整備工場で部品の交換や追加をしてきた。テスラなどは「オーバー・ジ・エア(OTA)」と呼ぶネット経由で車のソフトを更新する技術を使う。19年9月には「モデル3」などの発売済みの自社車両に無人運転で車を呼び寄せる機能を追加した。

テスラは米国で販売する全車種で「オートパイロット」と呼ぶ運転支援機能のオプション料金を従来の8千ドルから1万ドルに引き上げた。テスラはこの機能による収益の内訳を明らかにしていないが、米国では27%の購入者がオプションを選択しているとの推計もある。仮に購入者の4人に1人が選択していた場合、20年7~9月期の自動車部門の売上高の4%をソフトで稼いだ計算になる。

機能拡充に伴い今後もオプション料金を引き上げる方針。いずれはサブスクリプション(継続課金)型のサービスとして提供する考えを示している。米モルガン・スタンレーはテスラの完全自動運転機能の月額料金は100ドルを超すケースもあると予想し、10年後に同機能が生み出す粗利益は全体の30.4%を占めると予測する。

■「アルテミス」プロジェクトでEVに独自OS

こうした変化の波がVWをデジタル化への投資に走らせるが、その先陣となるのが、傘下の高級車ブランド独アウディで進めるプロジェクト「アルテミス」だ。

ギリシャ神話の「狩猟の女神」の名前の通り、目的は「テスラ・ハンター」となる旗艦EVの開発。関係者によると、このEVは独自開発の基本ソフト(OS)を搭載し、常にネットにつながって顧客との接点や自動運転機能を最新に保つという。24年に最上級車として発売し、グループの独ポルシェや英ベントレーでも展開する。

グループ横断のソフト開発組織をVW乗用車ブランドからアウディに移管した。現在10%のソフト内製率を60%に引き上げる狙いだ。これまではエンジンなどの走行性能や内外装の高級感で争ってきたが「ソフトが最大の差別化要因になる」(VW幹部)とみている。

ただ、ディース氏はハードからソフトの会社への転換について「スムーズな移行ができるか。ノーだ」とも認める。最近でも全面改良した「ゴルフ」の新型車の量産がソフトの不具合で遅れたほか、EV「ID.3」では当初予定していたネット経由での機能更新を見送らざるを得なかった。

■人材確保が課題に

人材確保も課題だ。ソフト会社の買収などで人材をかき集めるほか、本拠地のウォルフスブルクにフランスのプログラミング学校「エコール42」を誘致するという奇手も繰り出す。VWは資金提供し、優先的に卒業生を採用する考えだ。

「ソフトウエアで収益を上げるなど学べる点が多々ある」とトヨタ自動車の豊田章男社長もテスラを認める。一方で「リアルな世界では電動化フルラインアップをそろえる我々の方が選ばれるのではないか」と語り、ソフト最重視へとカジを切っているとも言えない。

テスラが自動車業界に投じたEV化とデジタル化という2つの大波。その流れを認めつつどこまで本気で追いつこうとするのか。トヨタ以上の覚悟を見せるVWだが、従業員60万人を超える巨艦だけにそのスピード感が重要となりそうだ。

■S&P500採用時で最大の時価総額
 テスラは株価が年初来で5倍近くに伸び、勢いが続いている。16日には米国の代表銘柄で構成されるS&P500種株価指数に新規採用すると、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが発表した。16日終値ベースの時価総額は3868億ドル(約40兆4千億円)に上り、米メディアによるとS&P500に追加される銘柄としては過去最大規模となる。
 採用が決まったことから、上場投資信託(ETF)など株価指数に連動するパッシブ運用の資金が流れ込むとの期待が一段と高まった。16日の米国市場の時間外取引でテスラ株は急騰した。
 テスラが時価総額でトヨタ自動車を上回り、業界最大となったのが7月。販売台数ではトヨタとVWはそれぞれテスラの20倍ほどだが、時価総額は2社合計でもかなわない。トヨタ自動車の豊田章男社長も「株式市場での評価は完全に負けている」としている。
(フランクフルト=深尾幸生、シリコンバレー=白石武志)』