敗軍の将を語る…。

石破茂は、終わったのか
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201112/k10012706571000.html?utm_int=news_contents_tokushu_001

徳川家康 「人の一生は重荷を背負て遠き道をゆくがごとし、いそぐべからず。不自由を常とおもえば不足なし。こころの望みおこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。堪忍は無事長久の墓、いかりは敵とおもへ。勝事ばかり知りて、まくることを知らざれば害其身にいたる。おのれを責て人を背むるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり」

「天下は一人の天下に非ず。天下は天下の天下なり」

『関東平野をつくったのは徳川家康で、河川に手をつけて洪水から救った。家康は抜群のフィールドワーカーで鷹狩と称して関東を歩き、肥沃な関東平野を生み出した。

「あたを報するに恩を以てする」。家康はこの古語を愛用した。武田は八王子千人同心に、毛利は浦賀の水軍に使った。家康は敵を活かす懐の深い人だった。そういう人がどこまでも大きくなる。』

『「およそ人は一生の内三段の変化がある。十七八歳の頃は、交わる友に依って悪しくなる。三十歳頃には物ごとに慢心生じ、老朽の物を軽侮する心が出る。四十歳になると物に退屈し述懐の心が出て悪しくなる。この三段に変わらぬ人をよき人とはいうのだ」。こういう家康は、自らを律することのできた人であった。

過ぎたるは及ばざるがごとし、ではなく、「及ばざるは過ぎたるよりまされり」とは面白い。6歳から織田、今川の人質生活を送った苦労人家康の言葉には、それぞれ深い知恵と遠慮が込められている。』

https://note.com/hisatune/n/nf83adeed095a

『自民党総裁選挙で敗れた元幹事長の石破茂が、みずから率いてきた派閥(水月会)の会長を辞任した。
総裁選挙に挑戦すること4回。そして総理を目指し続けてきた男が、なぜ突然、身を引く決断をしたのか。
石破は終わったのか。
(黒川明紘)

突然の辞任表明

「石破、派閥の会長、辞めるってよ」
10月22日の午前、ある関係者から私に衝撃的な情報が寄せられた。

急いで議員会館の石破の事務所に駆けつけると、いきなり中から本人が姿を現した。私を自室に招き入れた石破は、椅子に腰をかけるなり、ふだん通りの口調で語った。

「総裁選挙の責任をとって、派閥の会長を辞める。臨時国会の前にけじめをつけないといけないと思っていた」
今思えば、あえてそういう雰囲気を見せていたのかもしれないが、その時の石破の表情に葛藤は感じらず、落ち着いた様子で重大な決断を語ってくれた。

その後、昼に開かれた石破派の臨時総会で、石破は派閥の会長を辞任する意向を明らかにした。
急な呼びかけだったため、派閥に所属する19人のメンバーが全員集まることができず、出席したのは15人ほどだった。

「総裁選挙の責任をとることが、とるべき道だと考えた」
石破の意向は、その場で了承された。

辞任決意させたのは「議員票」と「仲間の声」

「特に議員票がね。思ったより少なかった。それに尽きますな」
辞任から2週間後、その理由を確かめたいと思い、再び訪ねてきた私に石破がそう明かした。
石破が挑んだ過去の総裁選挙では、高い知名度を生かした地方票が強みだった。
しかし今回は党員投票が見送られ、各都道府県連の代表による地方票は、菅の半数にも届かなかった。
さらに国会議員票では菅の10%にも及ばず、総得票で3位に沈んだ。

石破は、想像以上の菅の強さにショックを受けたという。
「農業を継ぐことに疑問を持ち、ゼロから始めた人情あふれる、パンケーキ好きな令和おじさんというイメージが一瞬にして作られた。国民の世論ってこんなに変わるんだって思った」

さらに辞任の決断を後押ししたのが、派閥の仲間の声だった。

石破は総裁選挙の後、18人の所属議員一人一人と個別に会談し、今後の対応や派閥のあり方などについて意見を交わした。

全員から意見を聞き終えるには、およそ2週間を要した。

意見交換ではどんな声が多かったのか。石破に尋ねた。
「『体制を見直そう。このままいっても展望は開けない』というのは、みんな共通していた。特に、当選回数が上の人たちは経験も豊かだし、より厳しい意見が多かった」
実は、石破の盟友からも厳しい声が届いていた。
盟友は「グレートリセットを」と
石破の盟友である元農林水産大臣の山本有二は、総裁選挙では石破の選挙対策本部長を務めた。その山本が語気を強める。

「厳しい言葉だけど、私から言わせれば『グレートリセット』なんですよ。その心は石破に対する愛情であり、尊敬。これを受け止めないと、石破に次はない」
石破が総裁選挙で前政権からの転換として掲げた「グレートリセット」というキーワードを今回の辞任に当てはめた。
山本は総裁選挙を振り返り、その内幕を明かした。
「両院議員総会で決めるとなった時に、石破は絶対に選挙に出ちゃならんと。必ず負けて、その負け戦もひどいものとなり、石破という輝かしいイメージが変わる。変わったときには必ず政治生命に関わり、次の総裁選挙には出られませんよ。それでもいいですかと何度も聞いた」

山本は今でも悔しさをにじませる。
「私は総裁選挙の結果が予想できたが、石破は予想できなかった。山本有二という参謀がいたが、石破はその参謀の言うことを聞けなかった。選対本部長になったが、参謀の本部長ではなく、負け戦をマネージメントする本部長でしかなかった」

石破も、愛読書である猪瀬直樹の著作を引き合いに、山本から直言されたことをはっきりと覚えている。
「山本さんが総裁選挙が終わった後にかなり興奮して、『昭和16年夏の敗戦ってあんたいつも言っているじゃないか、負け戦しちゃいけないと言っていて、いったい何なんだこれは』とかなり激高していた」

山本は、こう残念がる。
「安倍さんがまさか辞めるとは思わなかった。来年9月の選挙であれば、確実に石破総理の誕生が見られた。時の運というものに石破は見放されていると思う」

「反菅政権」の立場は取りづらい?
安倍政権が長期化し、「安倍一強」とも称される政治状況が続く中、自民党内で対抗軸として、政権に異を唱えてきたのは石破だけだったと言ってもいい。「反安倍政権」の受け皿であることが石破の存在意義でもあった。しかし、安倍の突然の総理辞任で事情が変わった。

石破は安倍と菅とでは、相手が違うという。
「やはり安倍さんにしてみれば、常に私の存在ってのが目障りだったんだろうと思うね。でも、菅さんにはそういうものがあるとは思えないからね。『安倍政権を継承する』と言っても、別人格だから全く同じようにやるわけはない。だから距離感は当然違うでしょ」

菅は、かつて石破が幹事長を務めていた際、幹事長代行を務めていた。それだけに「反菅政権」の立ち位置はとりづらいのではないかという見方もあった。
山本は、安倍から菅へと政権が代わったことで派閥内の雰囲気も変わったという。
「やっぱり安倍あっての石破だったんだよ。簡単にいうと、『大鵬と柏戸』、『巨人と阪神』ですよ。でもこの戦いが長すぎた、石破にとっては。時代に合ってなかった。これからも合わないんじゃないかという危機感ですよね」

こうした事情の変化にあって、石破の脳裏にあったのは派閥議員の処遇だ。
安倍政権のもとで、石破派は「非主流」であったがゆえに、去年の内閣改造では1人も入閣しない結果となるなど、人事面では冷遇されていると見られたこともあった。このままではみずからを支えてきた仲間が活躍の場を得られない状況が続くことになりはしないか。
派内には、次の衆議院選挙で立候補をする選挙区が決まっていない議員がいるという事情もある。

石破ははっきりは語らなかったが、辞任を決断した理由の1つに仲間の処遇への配慮があったことをにじませた。
「口先で申し訳ないというのは嫌だ」
石破は派閥の臨時総会での辞任を表明するにあたって、みずから事前に文案を作成した。
演説や講演では資料を用意することがない石破にとって、極めて異例のことだ。

「家内と前の晩ずっと話していたのは、どういう表現にするか。推敲に推敲を重ねて、午前3時くらいまでやった。その前も2日間は寝られなかったね。どういう表現なら、なるべく多くの人が得心するか。私に期待をかけてくれてた人たちの多くが得心する言い方とはなんだと、悩みましたね」
派閥の会長を辞任するという選択について、石破は当時の心情を明かした。
「口先で申し訳ないというのは嫌だ。議員を辞めるという選択も、私が水月会(石破派)を抜けるという選択も、水月会を解散するという選択もない。そうするとこれしかない」

山本も石破の選択を評価している。
「石破茂という素晴らしい男をドブに捨てたくはない。素晴らしい存在のままで、どういう片づけをするか。石破さん本人が名誉ある撤退、水月会の会長を辞めるという1つの結論だ」

石破派が「草刈り場」に?

石破の後任は、山本とともに派閥を支えてきた、元環境大臣の鴨下一郎を中心に調整が進められることになったが、3週間がたっても後任が決まっていない。

こうした石破派の混乱ぶりに、党内の各派閥は熱い視線を送る。
前政務調査会長の岸田文雄は、記者団に「派閥のメンバーとして迎え入れたい人材が大勢いる」と公言し、石破派内の情報収集を進める考えを示した。

実際、所属議員らには、石破辞任の直後から会食に誘う電話が相次ぐなど、ほかの派閥からも石破派の議員を取り込もうと接触を図る動きが出始めている。
このままでは、「石破派が“草刈り場”になりかねない」と、派閥の存続そのものを危ぶむ声も上がっている。

どうなる“石破総理プロジェクト”

石破派は、2015年9月の設立から石破が会長を務め、「石破茂を総理大臣にするためのプロジェクトチーム」と称されるように、ポスト安倍として石破をかつぐことが共通目標だった。
石破は、派閥の臨時総会で「私が辞めても19人で一致結束してほしい」と強調したが、派閥の存続をめぐり声が上がるのは無理もない。

石破派は、これからどうなるのか。

山本は、石破のためにも派閥は無くした方が望ましいと言う。
「やっぱり一旦リセットですよ。もしこのまま石破派を続けることになった場合、仲間に不満がたまったまま時間を費やしていく。そうするとどっかで爆発します。そういうガバナンスのきかない組織でずるずるいくよりはリセットしないといけない。石破プロジェクトあっての石破派だ。それがない以上、石破派の存在もなくなる、という論理だ」

一方、派閥の存続を訴える声もある。
党内の若手のホープと目される元法務大臣の山下貴司もその1人だ。
「今までの延長線上でやるということはできない。でも、みんな政治家として魅力あるし、政策能力も高い。政策集団として立ち上げたわけだから、連携をとってお互いやっていきたいというのはある。政策の仕事人が、言いたいことをきちんと言う集団ってのは、これからの自民党に要るんじゃないかと思いますね」

石破本人は、派閥の存続に強い願望を持ち、みずからもとどまる考えを示している。
ただ、派閥の混乱ぶりは、自身の辞任が招いただけに複雑な心境をのぞかせた。
「そんな簡単には収まるか。自民党の歴史だってみんなそうだよ。竹下派にしても、かつての三塚派や中曽根派だってそうだ。うちだけ1週間で収まりました、なんてあるわけないだろ。派閥といっても、結局は人間の集まりだからね」
「死んでません、まだ生きています」
とはいえ、石破派が「石破を総理にするためのプロジェクトチーム」であるならば、派閥の存続は、その所期の目的が残っているかどうかにかかっている。
つまり、石破はもう総裁選挙に挑戦することはないのか、という点だ。
石破の派閥会長辞任は、自民党内のほかの派閥でもさまざまな憶測を呼んだ。
「会長を辞めたということは、もう総理・総裁の座はあきらめたということだろう」
「石破茂はもう終わった」
そんな声があちこちから聞こえてきた。

実のところは、どうなのか。
盟友である山本は、大きな挫折から再起した安倍を念頭に石破への期待を語った。
「おれは実力者だってずっと思い続けても意味がない。『終わった』って言われないと、浮き上がれない。『終わった』っていう声が95%になった時に再生できるんですよ。そうじゃないと、『石破さん、あんた苦労したね』って誰も言ってくれないよ。一番に『諦めない』。二番に『グレートリセットで地の底にみずから落ちていく』。三に『時を待つ』」

一方の山下は、石破の政治家としての進化に期待を寄せている。
「引き続き言うべきことははっきり言う政治家であってほしい。そして、一皮むけたな、“新石破”になったなと思われるようになってもらいたい。若い連中と胸襟を開いて話して、若手の思いをしっかり受け止めて、『石破さんってやっぱりいいね』って思ってもらえるように、やってほしいですよね。1度目に辞任した時の安倍さんもそうだけど、これで終わったと思われることは、政治家にとって本当に厳しい。でも、石破茂という政治家は、必ず乗り越えてくれると思います」

当の本人は今後の総裁選挙への対応をどう考えているのか。
石破は一呼吸置いたものの、これまでと変わらず「またその質問か」という様子で、淡々と答えた。
「『なりたい、なりたい』というものでもないが、本当に国が必要とする時が来るかもしれないし、来ないかもしれない。もし仮に、何十分の一の確率か知らないけど、それが来たときに、(総裁選の立候補に必要な推薦人)20人をやっとかき集めて、『出るだけ出ました』では済まないってことだ。だから体制を立て直す、体制を見直すってそういうことじゃないのか」

そして最後に「石破茂は死んだのか」という質問をぶつけた。
石破は、こう答えた。

「死んでいません。まだ生きています」

(文中敬称略)』

日経平均大引け 8日続伸、171円高 金融緩和継続への期待

https://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LTSEC1_S0A111C2000000/

『12日の東京株式市場で日経平均株価は8日続伸し、前日比171円28銭(0.68%)高の2万5520円88銭と、年初来高値を連日で更新した。世界的に大規模な金融緩和策が続くとの見方を背景に日本株には買いが集まった。特別清算指数(SQ)算出前のオプションの最終売買日とあって、海外の短期筋などの買い戻しが相場を押し上げた面もあったようだ。日経平均が8日続伸するのは2019年9月以来。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕』

造船・重機の業績は最悪期から脱出、大手5社が見据える今後は?

https://newswitch.jp/p/24598

『造船・重機大手5社の2020年4―9月期連結決算が10日出そろい、3社が新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業の持ち直しを受け、21年3月期連結業績予想を修正した。IHIは資源・エネルギー・環境と社会基盤・海洋の両分野で収益を確保し、通期で営業黒字を見込む。住友重機械工業は量産系事業の回復を踏まえて上方修正した。感染再拡大による業績下振れ懸念が残るが、最悪期を脱出しつつある。

各社はコロナ禍で4―6月期に業績が落ち込んだものの、悪化に歯止めがかかってきている。IHIは未定だった業績予想を10日公表し、販売管理費の低減などを進め、民間向け航空エンジンの減益に対応する方針を示した。4―9月期は営業赤字だったが通期では黒字化を目指す。

量産品の需要が想定以上に回復しているのも、業績を下支えしている。例えば中国の建設機械市場が好転しており、住重は売上高と営業、経常、当期の各利益を上方修正した。

川崎重工業の山本克也副社長は「中国の建機向け油圧機器の販売が想定を上回っている」と説明する。同社も営業損益の赤字幅が8月時点から100億円縮小し、200億円の赤字に修正した。

三菱重工業の小沢寿人取締役執行役員も「(物流機器などの)中量産品事業は市況の回復が見られる」と分析する。ただ感染拡大のリスクが高まっており、厳しい経営環境が当面続く見込みだ。』

ソニー強し!電機大手8社の上期で唯一の増益。

ソニー強し!電機大手8社の上期で唯一の増益。日立とパナソニックも減益幅縮小
https://newswitch.jp/p/24612

『電機大手8社の2020年4―9月期連結決算は7社が営業減益だった。唯一増益を確保したソニーの稼ぐ力が際立つものの、日立製作所など4社も4―6月期と比べて減益幅が縮小した。徹底したコスト削減や中国市場の回復などを取り込み、足元の業績は底堅い。ただ、欧米を中心に新型コロナウイルス感染が再拡大しており、各社2年連続の“厳冬”の可能性に身構える。

東芝が11日発表した4―9月期連結決算(米国会計基準)は営業利益が前年同期比94・0%減の31億円だった。新型コロナ影響が利益を702億円押し下げ、半導体製造装置の設置遅れやハードディスク駆動装置(HDD)、車載半導体などの不振が主な内訳だ。

一方で、構造改革中心の収益力強化の成果として、コロナ影響などを除いた4―9月期の「コア営業利益」は同37・0%増の811億円に改善した。経費削減などの緊急対策も講じ、162億円の増益効果があった。

東芝は21年3月期の売上高予想を8月公表比900億円減の3兆900億円に下方修正した。営業利益予想は据え置いた。

独り勝ちのソニーはコロナ禍の巣ごもり需要からゲームやテレビ販売が好調だった。特に7―9月期のゲーム事業は前年同期比61・4%増の1049億円の営業利益を稼ぎだし、米中貿易摩擦でイメージセンサー事業が厳しい中で業績を支える屋台骨となった。

日立製作所はニューノーマル(新常態)対応需要の旺盛なITや、中国の昇降機販売が当初想定以上に伸びた。パナソニックも7―9月期に車載事業の営業損益が黒字転換し、全体の減益幅縮小に貢献した。一方で、欧米での新型コロナの感染再拡大に加えて、自動車市場の回復が鈍く、各社の下期業績の足を引っ張りそうだ。』

米大統領選を考えよう トランプ氏の犬笛戦術に注目

(249)米大統領選を考えよう トランプ氏の犬笛戦術に注目
「支持者はわかる」表現で話す
2020/10/19付
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65134140W0A011C2TCL000/

トランプ大統領が使っている
3つのテクニック
ベンのトピックス
ベン
2019/02/26
ベン (TABI LABO)
https://tabi-labo.com/290620/ben023

政治家が使う秘密の「犬笛」  隠れた人種差別メッセージとは
https://www.bbc.com/japanese/video-47025445

普通のアメリカ白人がトランプの”差別の犬笛”に反応してしまう理由
https://news.biglobe.ne.jp/international/0622/spl_200622_4803154186.html

『自ら露骨に人種差別を口にすることはなくとも、その言動は明らかに「差別をする人々」に対する政治的アピールで満ちあふれている……。そんなトランプ大統領の”犬笛”の魔力を、『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが徹底解説!

■トランプが連発する「法と秩序」の意味
米ミネソタ州で白人の警察官に暴行された黒人男性ジョージ・フロイドさんの死を受け、全米に広がった抗議デモ。一部の暴徒化した人々による破壊・略奪行為に関して、トランプ大統領は「Law&Order(ロー・アンド・オーダー/法と秩序)」を重視すると何度も強調し、1807年制定の「反乱法」を発動して、連邦軍の投入を含めたあらゆる手段で暴動を鎮圧すると語りました。

さらに、デモの背後には反ファシズム組織「アンティファ」が暗躍していると示唆し、アンティファをテロ組織に指定するとの発言もありました。

トランプはやみくもに「法と秩序」や「アンティファ」を連呼しているわけではありません。日本で暮らす人にはなかなか理解しづらい話ですが、これらの言葉はそれ自体が白人至上主義者はもちろん、保守層や中間層と呼ばれる「普通のアメリカ白人」に対しても、差別感情を呼び起こす強力な”犬笛”となるのです。

トランプが言動の端々、あるいは行間ににじみ出させている”ニュアンス”を要約してみましょう。

〈今回の警官は確かにやりすぎたかもしれない。差別的でもあった。ただ、彼らの身になって考えてほしい。警官は治安を悪化させている不良黒人たちといつも対峙(たいじ)している。いつどこで撃たれるかわからない恐怖のなかで、皆が暮らす社会を守るため日々戦っている。

今、暴徒化しているヤツらを見ろ。誰が暴れている? それは不良黒人であり、あおっているのは極左のアンティファだ。じゃあ、誰が市民を守っている? 法であり、秩序であり、そして警官だ。その警察を、たったひとりの過ちのために、一斉に叩くことは正義か? そんなことで「法と秩序」は保たれるのか——?〉

思い出されるのは1988年、当時副大統領のジョージ・H・W・ブッシュ(共和党)とマサチューセッツ州知事のマイケル・デュカキス(民主党)が争った米大統領選挙。当初、優位に立っていたのはデュカキスでしたが、ブッシュ陣営は白人層の差別感情を呼び覚ますような起死回生のネガティブキャンペーンで立場を逆転させました

デュカキスが知事を務めていたマサチューセッツ州に、殺人罪で終身刑に服していたウィリー・ホートンという黒人男性がいました。彼はリベラルな同州の仮釈放制度に基づき一時的に自由の身となった際、別の州で強姦(ごうかん)を犯してしまったのですが、ブッシュ陣営はこの事件に着目し、「再犯は知事であるデュカキスのせいだ」というテレビCMを大量に投下。

同州の仮釈放制度はデュカキスが作ったものでもなく、冷静に考えれば無理筋としかいえないネガキャンですが、これがズバリ的中したのです。

リベラル勢は人権や差別撤廃をうたうが、結局ヤツらは黒人の犯罪者を甘やかして「法と秩序」を乱しているだけだ。そんな人間にこの国を任せていいのか——。そんなキャンペーンが功を奏した背景には、白人層に根深く残る、黒人に対する「怖い」という感情がありました。

■トランプにとってデモは渡りに船?
アメリカは人種差別が深刻な社会だとよくいわれます。事実として、黒人やヒスパニックは貧困の割合も高い。ただ、88年当時と比べれば、今は個人レベルで黒人やヒスパニック、アジア系などに対し露骨な差別心を持っている白人は格段に減ったはずです。

それでも、白人層のうち決して少なくない人々(とりわけ高齢層)は、やはりどこかで「黒人やヒスパニックは怖い」という肌感覚を持っている(実際に黒人やヒスパニックの荒くれ者を見ることも多いでしょうし、昔はもっと多かったでしょう)。

差別は悪いと理屈ではわかっていても、「自分の周囲には黒人でもいい人が多いけど、そうじゃない場所ではあまり関わりたくない……」というのが、「普通のアメリカ白人」の無意識の本音だと思います。

そのため、今回のように暴徒化、略奪行為……となると、理性を超えた部分で「やっぱり怖いじゃないか」となってしまう。トランプはそれをわかっていて、さまざまな形で犬笛を吹いているわけです。

そのひとつの例が、5月29日の「略奪が始まれば発砲が始まる」という挑発的なツイートです。実はこの文言は、1967年12月にフロリダ州マイアミ市警の警察幹部が、黒人コミュニティを取り締まるために用いた脅しのフレーズであり、非常に差別的なニュアンスを含んでいます。

当然、こうした発言をリベラル系メディアは批判しますが、分断をあおることを目的とするトランプはそれも含めて”劇場化”しています。

言い方は悪いですが、そもそもトランプは今回の暴行死からデモ拡大に至る一連の出来事を「渡りに船」と考えている可能性すらあります。

新型コロナ対応に失敗して多くの犠牲者を出し、経済も劇的に悪化。なんとか中国に責任をなすりつけようと、武漢の研究所からウイルスが流出したとの説を主張してみても、証拠不十分でそれほど広がらない。

このままでは11月の大統領選に勝てない公算も大きかったところに、人種差別反対のデモが起き、しかも暴徒化してくれた。そこでトランプは水を得た魚のように「法と秩序」「アンティファ」「略奪が始まれば発砲が始まる」といったフレーズを意図的に連発している……。

トランプが「分断の先にしか自身の再選はない」と自覚しているのは明らか。分断された後の社会の心配などする気はないのでしょう。大統領が率先して”憎しみのボタン”を押し続けるという異常な状況は、残念ながらしばらく続くのかもしれません。

●モーリー・ロバートソン(Morley Robertson)
国際ジャーナリスト。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(関テレ)、『水曜日のニュース・ロバートソン』(BSスカパー!)『Morley Robertson Show』(Block.FM)などレギュラー出演多数。2年半に及ぶ本連載を大幅加筆・再構成した書籍『挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け』(集英社)が好評発売中!』

米民主党に不協和音、穏健派と左派、責任押し付け合い

米民主党に不協和音、穏健派と左派、責任押し付け合い
バイデン氏、政権運営難しく
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66082220R11C20A1FF8000/

『2020/11/11 17:00
【ワシントン=中村亮】米民主党内に不協和音が広がっている。米連邦議会下院選で、民主党は過半数の維持を確定させたが、議席数を大幅に伸ばす圧勝シナリオは不発に終わり、議席減の可能性が浮上している。穏健派は、過激な政策を訴える左派の責任を追及。左派は反論している。路線対立が再燃すれば、大統領選での当選が確実となったバイデン前副大統領の政権運営が難しくなる要因となりそうだ。

民主党内では議席を減らした場合にペロシ氏の再任は望ましくないとの見方も浮上する(6日、記者会見する同氏)=AP
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米メディアによると、民主党は、全435議席が改選となった下院で218議席を固め、過半数の維持を確定させた。ただ選挙前にあった現有議席の232議席から5~15議席を上積みできるとの楽観論は消え、一転して議席減の可能性が出ている。共和党は201議席を得て、残る16議席をめぐり集計が続いている。

ペロシ下院議長は6日の記者会見で「いくつかの闘いに負けたが、戦争には勝った」と語った。党内の一部からは、議席を減らした場合には2021年1月招集の新しい議会での「ペロシ氏の下院議長再任は望ましくない」との見方が浮上しているとされる。

党内では穏健派と左派の結束が乱れ、党勢不振の原因をめぐる責任の押し付け合いが激しくなっている。

米メディアによると、穏健派のアビゲイル・スパンバーガー下院議員は、左派が国民皆保険制度などを訴えた結果、「共和党が『民主党は社会主義勢力』とのレッテル貼りをする隙を与えた」と左派を批判。「誰も社会主義について語るべきではない」と主張した。下院選では、民主党が南部フロリダ州マイアミ周辺の2議席を共和党に奪われる見通しだ。同地域はベネズエラやキューバ移民が多く、社会主義に対する抵抗感が強い。

民主党指導部のジェームズ・クライバーン院内幹事は「国民皆保険制度などを提唱すれば、21年1月に予定する南部ジョージア州の連邦上院選の決選投票で勝利できない」と主張しているという。ペロシ氏も左派の台頭を警戒している。

左派はこうした責任論を否定している。アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員はCNNテレビのインタビューで「民主党は社会主義批判をかわすためのデジタル戦略が時代遅れだ」と選挙戦略の不備を指摘。「国民皆保険制度やグリーン・ニューディール政策を支持した候補者は軒並み当選した」と穏健派の批判に反論した。

議会選で左派は相次ぎ議席を獲得した。東部ニューヨーク州16区では、6月の民主党予備選でベテランを破ったジャマール・ボウマン氏が初当選を果たす見通し。左派で若者に絶大な人気を誇る中西部ミネソタ州のイルハン・オマル氏や同ミシガン州のラシダ・トレイブ氏も順当に再選を確実にした。

これまで穏健派と左派は大統領選での「打倒トランプ」を優先し、対立を避けてきた。穏健派のバイデン氏もオカシオコルテス氏らとの政策協議に応じ、左派に目配りする姿勢を示した。バイデン氏が当選を確実にして共通の目標をほぼ達成したことで、これまで封印してきた穏健派と左派の路線対立に再燃の兆しがある。

一方、米メディアによると、上院選では共和党が100議席のうち非改選を含めて49議席、民主党が48議席を固めた。決着がついていないアラスカ州では共和党現職がリードしている。残る2議席はジョージア州で21年1月に行う決選投票で勝敗が決まる。

共和党は政府高官人事や政策決定に影響力を維持できる上院の過半数を死守するためジョージア州で少なくとも1議席を確保したい考えだ。民主党は同州の2議席を取れば獲得議席を50議席に伸ばせる。上院の採決で50対50になった場合には上院議長を務める副大統領の一票で賛否が決まる。ハリス上院議員が次期副大統領に就く見通しで、この場合、民主党は50議席でも過半数とほぼ同等の影響力を行使できる。』

「縛られた大統領」歓迎する市場 バイデン政権誕生へ

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL09HV2_Z01C20A1000000/

 ※ ヒデー話しだが、ある意味冷徹な「読み」なんで、紹介しておく…。

 ※ 日米の株高の背景には、こういう機関投資家筋の「読み」も、影響しているのかもしれんな…。

『S&P500種株価指数の先週1週間の上昇率は7.3%。大統領選があった週の上昇率としては過去10回の選挙で断トツだ。過去10回の平均は0.4%だった。さすがに買われすぎともいえ、短期的には今後、上値が重くなる可能性がある。それでも投資家の間では楽観論が広がっている。

背景にあるのが、バイデン大統領は独自政策をほとんど実現できないとの読みだ。上院の過半数を共和党が握れば、増税案は議会を通らない。反トラスト法に基づく巨大ハイテク企業への規制や、公的医療保険の拡充もほぼ不可能だ。後者が実現すれば薬価が下がり、米株市場で大きな比重を占めるヘルスケア株の逆風になるところだった。』

『何らかの法案成立を目指すなら上院・共和党に妥協し、中道寄りに修正するしかなく、急進左派が掲げる社会主義的な政策は諦めざるをえない。新政権が独自の判断ですぐにできることは「大統領令を発して中国への制裁関税を解除するぐらいでは」と皮肉る声も市場にはある。

もちろん、株買いの追い風となる大規模な追加経済対策や2兆ドルの環境インフラ投資もなくなる。ブルーウエーブなら2兆ドルを超えるとみられていた追加経済対策は半分の1兆ドル規模にとどまるだろう。モルガン・スタンレーのアンドリュー・シーツ氏は「経済がより悪化しない限り、政府の財政支援が期待できなくなる」と予想する。』

『だが、それすら投資家は気に留める様子はない。景気に暗雲が広がれば米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の拡大など追加緩和に踏み切り、むしろグロース株には好都合とみているからだ。経済が危機的な状況にまで落ち込めば別だが、米株の主役であるハイテクやヘルスケアはそもそも景気悪化が業績や株価の逆風となりにくい。

S&P500種構成銘柄のうち、ハイテク株の時価総額上位20社の直近四半期(主に7~9月期)の純利益は前年同期比で30%増えた。残りの構成銘柄が17%減なのとは対照的だ。縛られた大統領の下で投資環境も変わらないなら、ハイテク株から資金が流出する理由はない。新型コロナワクチンが普及し、新規感染者数が目に見えて減るまではこの構図は揺らがないだろう。

ただ、冒頭で触れたように上院の決選投票は要注目だ。可能性は低いとみられているが、民主党が連勝すれば一転してブルーウェーブが実現する。ジョージア州では1992年と2008年にも決選投票が実施されたが、投票率は極めて低く、ひっそりと終わった。今回は市場関係者の関心を集める一大イベントになるだろう。』

法律から「等」追放を 不明確でデジタル化阻む

法律から「等」追放を 不明確でデジタル化阻む
編集委員 前田昌孝
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66041390Q0A111C2000000/

『筆者が住む町の職員はなぜ4つの暗証番号のうち、2つはカードだけではダメだと言ったのか。総務省住民制度課の説明では、事務処理要領のなかに「機器の不具合等」があった場合には別途、本人確認書類が必要だとの記載があり、町ではこれを拡大解釈したようだという。暗証番号にロックがかかったカードは「完璧なカード」ではなく、機器の不具合「等」に当たるとみなされたわけだ。

「等」の解釈には幅があるから、国と町でズレが生じても仕方がない。町の専門職員が1時間もかけて調べなければならないほど、規定が複雑なことも問題だ。現に全国の自治体は本人確認書類の要否でバラバラだ。マイナンバーカードの自己否定につながる運用を疑問視する国民も多いだろう。とにかくこのままでは行政手続きのデジタル化は難しい。住民制度課の担当者は「分かりやすいルールに書き直す」と話していた。』

『問題は「等」に「など」の意味を持たせる使い方だ。金融商品取引法もかなり多いが、主な法律をみると、法律全体の文字数に比べて最も高頻度だったのが銀行法だ。「預金者等」「定期積金等」「株式等」などとやたら出てくる。ただ、「『預金者等』とは、預金者及び定期積金の積金者をいう」という具合に、「等」の定義を明確にする条文もあるから、罪一等減じるべきかもしれない。

驚くのは租税特別措置法の2万1600回だ。全部で324万文字、文書作成ソフトに落とすとA4判で2650ページにもなる法律だから仕方がないのかもしれないが、税金は国民の財産権の侵害だから、どんな課税も法律に基づかなければならないのが民主主義国の基本ルールだ。「租税法律主義」と呼ばれる。その法律が「等」だらけでは、徴税官の裁量が働きやすく、租税法律主義は有名無実になる。これはデジタル化以前の問題だ。』

 ※ そうは、いかんだろう…。

 ※ それは、そういう風に、「制度設計」してあるからだ…。

 ※ 典型的な例を、紹介しよう…。民法の「裁判離婚の成立要件」の条文だ…。

 ※ 『(裁判上の離婚)
第770条
1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2.裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。』

 ※ 第1条第5項に、『その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。』とある…。

 ※ 第2条には、『一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき』とある…。

 ※ いわゆる、「一般条項」というものだ…。こういう条項は、数限りなく存在する…。

 ※ 妥当な結論を得るために、現場の裁判官(「等」の例では、現場の担当公務員)に、わざわざ相当程度の「裁量」を与えているわけだよ…。

 ※ そして、その一回一回の「判断」「処理」の積み重ねが、「判例」になったり、「先例」になったりして行く…。

 ※ むろん、その上級職の判断も、集約されていく…。判例だったら、地裁 → 高裁 → 最高裁と集約されていく…。行政処理だったら、現場の担当者 → 係長 → 課長 → 局長…、などと集約されていく…。

 ※ そういう風に、社会的な「制度」や「システム」というものは、ある程度「伸びたり、縮んだり」できるように、制度設計することが多い…。

 ※ もちろん、「その職を担当する人間が、適切な判断を、現状や実態に即した形で行う。」という前提なわけだ…。

 ※ そこにも、AIが導入されて行く流れになるやも、しれんがな…。

 ※ しかし、それも「補助的な」形でだろう…。最終判断は、「人間が行う」ということからは、逃れられんだろう…。