[FT]トランプ政権支えたファミリーの「影の役割」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66031470Q0A111C2000000/

 ※ 日本にいると、「トランプ・ファミリー」の情報に接する機会は少ない…。

 ※ 貴重な情報だと、思う…。

 ※ 通常、「米国大統領職」というものは、選りすぐりの軍・シンクタンク・官界などの出身者からなる「チーム」を率いて仕事するものだと思っていた…(ケネディ政権の、「ベスト・アンド・ブライテスト」があまりに有名…)。

 ※ しかし、ここに描かれている「像」は、そういう、通常の「大統領を支えるチーム」を持たない、家族だけしか信頼できるものがいない、孤独な「権力者」の姿だ…。

 ※ ちょっと、哀しい話しだな…。

 ※ こういう「ファミリー」の行く末も、考えないとならないわけだから、そう簡単には引き下がれないんだろう…。

 ※ 「取引(ディール)」は、そういうものも含んだものに、なるんだろう…。

『米トランプ政権ほど内部に混乱を抱えた政権は現代史に類例がなく、閣僚、高官の辞職や解任は空前の数に及んだ。

2日、ミシガン州で投票日前夜に勢ぞろいしたトランプ大統領のファミリー=AP

だが、そうしたなかでトランプ氏が一貫して頼り続け、揺るがぬ支えとなってきた顧問の一団がある。自身の家族だ。

先週もまた、バイデン前副大統領のホワイトハウス入りを阻もうとするトランプ氏が最後の手段として訴訟に動くなかで、家族の忠誠心が示された。

トランプ氏の次男エリック氏は5日、同じく陣営の選挙顧問を務めた妻のララ氏と東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで慌ただしく開いた記者会見に臨み、同州で不正投票があったとするトランプ氏の根拠のない主張を代弁した。

一方、長男のトランプ・ジュニア氏は南部ジョージア州アトランタに飛び、騒ぎ立てる支持者を前に、全国の投票所で「魔法の(投票)箱」が現れていると主張した。

■共和党の「裏切り」を批判

政権与党の共和党内で、大規模な不正投票があったとするトランプ氏の根拠なき主張に同調しようとする動きはほとんど見られない。それだけに、応援リーダーとしての家族の役割は一層重要になった。ジュニア氏は党側の「裏切り」を見過ごさなかった。

大統領選挙をめぐる法廷闘争で記者会見にのぞむエリック・トランプ氏(中央)と妻のララ氏=ロイター
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「意気地なしの共和党のありさまは民主党にとって見慣れたものだろうが、今度はそうはさせない」と、陣営の財務責任者を務めた恋人のキンバリー・ギルフォイル氏と並び立ったジュニア氏は宣言した。「あの党はもう去っていった。戦わない人間は一緒に去るべきだ」

トランプ氏の政権と2度の選挙戦において、同氏の子どもたちが果たしてきた異例の役割を象徴する光景だった。身内の面々はトランプ氏が耳を傾け、同氏の細やかな代弁者になれるごく少ない内輪の一員だ。

トランプ氏の子どもたちとそのパートナーは、それぞれホワイトハウス内のドラマで異なる役割を果たしてきた。それは時に、テレビドラマ「ザ・ホワイトハウス」と「サクセッション」がないまぜになったようなものに見えた。

■息子2人は「闘犬」役

ジュニア氏をよく知る関係者の言葉を借りれば、同氏とエリック氏は父の敵に激しく飛びかかる「ピットブル(闘犬)」の役割を担ってきた。

9月、大統領選の討論会に向かうドナルド・トランプ・ジュニア氏(右)とキンバリー・ギルフォイル氏=AP
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トランプ氏の娘イバンカ氏はソフトな路線だ。同氏は先週、共和党幹部の論点に倣って「自由で公正な選挙」への支持を表明する一方、「合法的に投じられた全ての票が集計されるべきだ」とツイッターに投稿した。

その夫のジャレッド・クシュナー氏は舞台裏にとどまり続けた。米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、同氏は先週、トランプ氏の勝利につながる訴訟を起こせそうな共和党の有力者にあたりをつけようと電話にかじりついていたという。今のところ、さしたる成果は上がっていない。

トランプ氏の子どもたちが政権運営とビジネスで果たしてきた役割は現代史に前例のないものだが、ここ数日間の代弁者としての役割はニクソン政権のスキャンダルと重なるものがある。

■ニクソン元大統領の娘の似姿

「エリック、ジュニア、イバンカが今やっていることを見ていると、ウォーターゲート事件の捜査で大騒ぎになるなか、父親に代わって記者会見する一幕もあったニクソンの娘ジュリーを思い出す」と話すのは、「Team of Five(5人のチーム)」「First Women(ファースト・ウイメン)」などホワイトハウス関連の数冊の著者があるケイト・アンダーセン・ブロワー氏だ。

9月、トランプ大統領の選挙活動に同行、大統領専用機に乗り込むイバンカ・トランプ、ジャレッド・クシュナー夫妻とその子供たち=AP
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「追い詰められて団結している。どれほど悪あがきに見えようとも」と同氏は言う。

2015年にトランプ氏が勝ち目は薄いと思われた大統領選への出馬を表明して以来、最初の妻イバナさんとの間にできた3人の子はそれぞれのパートナーとともにトランプ氏に付き添ってきた。忠誠心が足りないとしてトランプ氏が側近を次々に解任するなか、4年間の大統領任期を通じて政権内にとどまった数少ないメンバーの一部だ。

クシュナー氏はホワイトハウスで司法改革から中東和平まで、多岐にわたる政策を統括した。イバンカ氏も広範な権限を握り、20カ国・地域(G20)首脳会議で離席したトランプ氏の席に座ることまでした。

トランプ氏の上の息子2人はニューヨークにとどまってファミリービジネスの運営にあたったが、同氏の国賓としての英国訪問に同行するなど儀礼的行事への参加を続けてきた。

■ファミリーそろって演説

末娘のティファニー氏を含む成人した4人の子ども全員に加え、ギルフォイル氏とララ氏も20年の共和党全国大会で演説した。

9月、オハイオ州での大統領選討論会に参加したティファニー・トランプ氏=AP
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10月初めにトランプ氏が新型コロナウイルスへの感染を公表、選挙遊説取りやめを余儀なくされた際には、本人に代わって資金集めのイベントや選挙集会で全国を飛び回り、再選を目指す選挙戦の命脈を保った。

家族の面々を知る関係者は、「ファーストファミリー(大統領一家)」ではなくなった後のそれぞれの身の振り方は、まだはっきりしていないと話す。

ジュニア氏について知る関係者は、トランプ氏の「肉食」系の気質を引くジュニア氏は政界にとどまって共和党内のトランプ派を支えようとするはずで、いつの日か選挙に出馬するかもしれないと話す。

イバンカ氏とクシュナー氏に近い筋によると、2人は「(選挙に)勝つと思っていた」ので今後のことはまだよく考えていないという。イバンカ氏は自身の名を冠したファッションブランド、クシュナー氏は不動産投資を手がけていたが、いずれも単純に元のビジネスに戻ることは考えにくい。

■大統領の去就が問題

「問題は(トランプ氏が)どうしようとするかだ」と、この関係筋は言う。「24年に再出馬したいと思っているのであれば、2人ができることにも影響が出るかもしれない」

9月、ホワイトハウスで夫のトランプ大統領(中)とともにネタニヤフ・イスラエル首相を出迎えるメラニア夫人(右)=ロイター
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夫妻は一時期、元のニューヨークでの私的な生活と社交的地位に戻ることを求めていたかもしれないが、もうニューヨークに戻っても、つながりのあった人たちに必ずしも歓迎されるわけではないという現実を徐々に受け入れるようになったという。

「以前は両立しないことをしようとしていた。友人たちと友人のままでいると同時にトランプ氏とつながっていることだ」と関係筋は話した。

「だが年月を経るにつれ、それは無理なことだと悟るようになった。『もう以前の生活のことは気にかけない。私たちはトランプ派の共和党員、それが私たちの世界だ』と思うところまで達しているように思う」

By Courtney Weaver

(2020年11月8日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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