印米、軍事協力を強化 衛星情報の共有で合意へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65511140X21C20A0910M00/

『インドと米国は軍事協力を強化する。両政府は27日、インドの首都ニューデリーで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、衛星情報の共有などで合意する見通しだ。インドと国境沿いの係争地域で対立する中国へのけん制が念頭にある。日本とオーストラリアも加わる「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進に弾みを付ける。

印米は27日の外務・防衛担当閣僚協議で軍事協力の強化を確認=AP
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両政府の2プラス2は2018年から定例化し今回で3回目にあたる。印側はジャイシャンカル外相、シン国防相、米側はポンペオ国務長官、エスパー国防長官が参加した。シン氏とエスパー氏は26日、協議に先立って重要事項について意見を交わした。印国防省はその後に「今回の訪問で地理空間情報の交換に関する協定に署名するだろう」との声明を出した。

この協定は、米国が強みとする衛星情報などを活用し、相手の兵士の位置や軍事施設に関する正確なデータを瞬時に共有することを狙いとする。両政府が意識しているのはインドとの国境沿いで兵士や軍事施設を増強する中国の存在だ。

インドと中国はヒマラヤ山脈などで国境が3千キロメートルほど画定していない。印中は5月から印北部ラダック地方の係争地域でにらみ合いを始め、6月半ばには両軍の衝突によって45年ぶりに死者を出した。印中は閣僚や軍司令官の対話を重ねているが、いまも解決策を見いだせていない。

対立が長引く一因には国境沿いの地形が複雑だという事情もある。対立する地域は一部で標高4千メートルを越え、湖、渓谷、温泉がある。両国の実効支配線がわかりにくいため、現場では偶発的な衝突が起こるリスクがつきまとう。印メディアによると、印中両軍は係争地域に総勢10万人ほどの兵士を配置している。

インドは今回の協定の締結によって、これまで難しかった中国の軍事情報を把握しやすくなる。中国がどこに重点的に兵士を配置しているかがわかりやすくなり、新しく設ける軍事施設も見つけやすくなるとみられる。航空や航海の地理情報をいかし、兵器を搭載したドローンなども活用できる。米国にとっては印側に最新鋭の兵器を供給する道が開けそうだ。

米国は11月にインド洋で日本やインドと実施する海軍の共同訓練に、豪州も参加することに「歓迎する」との意向を示した。日米豪印が参加する共同訓練は13年ぶりで、自由で開かれたインド太平洋構想に基づく連携を深める好機になる。

4カ国は10月上旬に東京で開いた外相会談でも年1回の会合を定例化することで合意した。南シナ海などで軍事行動を活発にする中国を念頭に、4カ国は相次ぎ協調する姿勢を打ちだしている。インドは国境対立をきっかけに中国への経済制裁も発動し、従来の各国との等距離外交から4カ国での連携に傾斜し始めたとの見方が出ている。

(馬場燃)』