秋は軽くて高速、Windows 10 October 2020 Updateの更新の仕組み

秋は軽くて高速、Windows 10 October 2020 Updateの更新の仕組み
増田 裕正 富士ソフト
2020.10.23
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01440/101600003/

 ※ 『「有効化パッケージ(Enablement Package)」という形式で更新プログラムが配布されている』という話しは、知らんかった…。

 ※ 参考になったわ…。

『2020年10月、Windows 10の大型アップデート「Windows 10 October 2020 Update」の配信が始まった。本特集では主要な機能強化や新機能を解説していく。
注:本記事はプレビュー版であるWindows 10 Build 19042.572を基に執筆しており、通常のWindows Updateでリリースされる版とは異なる可能性がある。
 Windows 10 October 2020 Update(以下、October 2020 Update)はパフォーマンスと品質の向上を重視した位置づけとなっており、配布方法にも工夫が施してある。一部のエディションにおいては、春と秋の大型アップデートでサポート期間も異なる。

秋はパフォーマンスと品質の向上を重視

 Windows 10の更新プログラムは2種類ある。1つは最新機能を追加する「機能更新(Feature Update)」で年2回配布される。もう1つは脆弱性やバグ、信頼性に関する修正が中心の「品質更新(Quality Update)」で月1回の提供となっている。

 前者の機能更新は大型アップデートとも呼ばれ、春と秋に多くの新機能が提供されてきた。だが2019年秋の「November 2019 Update」から、この状況が変わった。

 November 2019 Updateの新機能は、それまでに比べて明らかに少なく限定的だった。パフォーマンスと品質の向上を主目的として、追加する新機能の数を絞ることで安定性を重視した。特に企業ユーザーに対し、業務アプリケーションの互換性の検証作業を少なくして移行コストを最小限に抑えることに配慮した更新であったと考えられる。

 その後の2020年春の「May 2020 Update」では従来通り多くの新機能が提供された。そして今回のOctober 2020 Updateは、May 2020 Updateと比べて新機能の数が明らかに少なく、November 2019 Updateと同様、パフォーマンスと品質の向上を重視した位置づけとなっている。

Windows 10の各機能更新と配布形式
 2019年以降、秋のリリースに関しては連続して同様の位置づけでの機能更新が続いている。米Microsoft(マイクロソフト)は公式にアナウンスしていないが、今後もこの傾向が続く可能性がある。

有効化パッケージで軽量・高速インストール
 今回の更新プログラムの配布形式がNovember 2019 Updateと同様である点にも注目すべきだろう。October 2020 Updateは、November 2019 Updateと同様の「有効化パッケージ(Enablement Package)」という形式で更新プログラムが配布されている。

 実は、October 2020 Updateの新機能はMay 2020 Update以降の品質更新に含まれており、機能が無効化された状態で配信されてきた。これらの無効化された機能を有効化し、新機能を開放する仕組みが有効化パッケージだ。このため、非常に軽量で機能更新に要する時間も少なくて済む。

 ただしOctober 2020 UpdateはMay 2020 Updateをベースとしているため、May 2020 UpdateからOctober 2020 Updateへ機能更新する場合のみ、この恩恵を受けられる。November 2019 Update以前からOctober 2020 Updateへの機能更新に関しては、OSのシステムファイルを置き換える通常の更新プロセスとなる。

品質更新の一部として無効化された状態で配布されてきた機能が、有効化パッケージ(Enablement Package)によって有効化される
[画像のクリックで拡大表示]

有効化パッケージ(Enablement Package)は、無効化した状態で提供されてきた機能を有効化する。画面はNovember 2019 UpdateからWindows 10 Insider Preview Build 19042.546(20H2)へ更新した後の状態。2020 October Update(KB4562830)のモジュール名に「Enablement Package」の表記がある
[画像のクリックで拡大表示]

 筆者は先日、有効化パッケージの動作を検証したのでここで紹介したい。検証には、Surface Pro 4(メモリーは4ギガバイト、ストレージは128ギガバイトのSSD)と自宅の固定インターネット回線を利用した。

 まずMay 2020 Updateが動作するPCへ、2020年10日1日に提供されたオプションの更新プログラム(品質更新)を適用。Microsoft Edgeレガシー版を搭載した状態でWindows Updateを使い、October 2020 Updateのプレビュー版(Build 19042.546)に更新した。その結果、機能更新プログラムのダウンロードは1分ほどで、更新は2分ほどで完了した。

 一方、その時点における最新の品質更新プログラム(オプションの品質更新プログラムを含む)を適用していないと、品質更新プログラムも同時にインストールされることを確認した。この場合、インストールされる品質更新プログラムの分、ダウンロード時間と更新時間が長くなる。

 さらに、October 2020 Updateプレビュー版(Build 19042.546)を適用する前のMay 2020 Updateの環境に、Chromiumベースの新しいMicrosoft Edgeがインストールされている場合には、ダウンロード時間と更新時間がさらに短くなることも確認できた。

 今後、秋の機能更新は、パフォーマンスと品質を重視した有効化パッケージによるリリースとなることが予想される。新機能の追加は限定的となり、ダウンロードと機能更新プロセスが高速に完了するものとなるだろう。これは企業における機能更新の負担を軽減する方針によるものと考えられる。

大規模組織・教育向けエディションのサポートは30カ月
 Microsoftは2018年9月にWindows 10の製品ライフサイクルを変更した。Windows 10のEnterpriseとEducationエディションについては、秋の機能更新のみを対象として、リリース日から30カ月間までをサポート期間とした。この発表以前は、すべてのエディションが18カ月間までをサポート期間としていた。

 つまり、EnterpriseとEducationエディションは、秋の機能更新のサポート期間が春の機能更新より約1年長い。秋の機能更新に該当するOctober 2020 UpdateにアップデートしたEnterpriseとEducationエディションにおいても、October 2020 Updateのリリース日より30カ月間がサポート期間となることが発表されている。

Updateについては、新型コロナウイルスの影響への考慮により、一部サポート終了日が延期された
 各バージョン、各エディションのライフサイクルに関する詳細は、MicrosoftのWebサイトで確認したい。

Windows 10 リリース情報
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/release-information/

ライフサイクルに関する FAQ – Windows
https://docs.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/faq/windows
 Windows 10
EnterpriseとEducationエディションは大量の端末を抱える企業や教育機関で利用されていることが多い。これらのユーザーはアプリケーションやドライバーの互換性検証、新バージョンへの移行計画などに多くの時間を費やしており、移行の周期をなるべく長くしたいと考えている。

 年1回、機能更新ごとに移行するケースを見てみよう。移行先の機能更新がリリースされてから、移行先環境の検証や移行の準備が完了するまで6カ月かかるとする。

 春の機能更新でバージョンを上げる場合、準備完了後に移行を開始すると、サポート期間は残り1年(12カ月)となる。そして移行開始後6カ月で次の春の機能更新が出て、その移行準備が始まる。その準備が終わると同時に、運用中だったバージョンはサポート終了を迎える。つまり、移行準備終了後に予期せぬ障害が発生すると、回復に要する移行猶予の期間がない。これはすべてのエディションにおいて同じである。

年1回、春のリリースを対象とした場合の移行周期の例。検証/移行準備にリリース後から6カ月かかると想定すると、移行を開始した時点で移行元のバージョンのサポートが終了する

[画像のクリックで拡大表示]
 これに対して秋の機能更新でバージョンを上げる場合、EnterpriseやEducationエディションのユーザーであれば、次のバージョンの移行準備が完了した時点で12カ月のサポート期間が残る。これを移行猶予期間に使える。次のバージョンの移行準備終了後に不測の事態が起こっても対処でき、余裕を持って移行できる。

Windows 10 EnterpriseとEducationエディションにおいて、秋のリリースを対象とした場合の移行周期の例。1年に1回の移行周期でも移行実施の猶予を十分に取れる
[画像のクリックで拡大表示]

 October 2020 Updateはパフォーマンスと品質の向上を目的としており、新機能の追加が限定され、パッケージサイズも軽量で高速にインストールできる。新機能を楽しみにしているユーザーには喜ばれない側面はあるが、移行を負担と考えているユーザーにおいては労力を軽減してくれる。

 Windows 10 EnterpriseとEducationエディションのユーザーには、より長いサポート期間が提供されるので、その多くは秋の機能更新をターゲットとして移行を計画し、実施するようになっていくと考えられる。October 2020 Updateは新機能が少なく、サイズも小さな機能更新ではあるが、毎回の移行に悩んでいるユーザーにとっては、大きなリリースと言える。』