アゼルバイジャン大統領「平和的解決遠い」 根深い相互不信

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65322760S0A021C2FF1000/

『アゼルバイジャンのアリエフ大統領は21日の日本経済新聞のインタビューで、アルメニアとの領土紛争について「平和的解決は遠い」と述べた。合意済みの停戦は「失敗した」と明言し、紛争長期化の可能性を示唆した。トルコの介入で情勢が悪化しているとの批判には、同国との強固な関係を強調して正当化した。

和平交渉

アゼルバイジャンとアルメニアの両国外相は23日に訪米してポンペオ国務長官と協議する見通し。この協議について「残念ながら現時点で平和的な解決の見込みはとても遠い」と述べた。

アルメニアはアゼルバイジャンの山岳地帯にある「ナゴルノカラバフ」と周辺7県を実効支配してきた。アリエフ氏は和平交渉入りの条件としてアルメニアが「領土返還を約束しなければならない」と言及した。アルメニア側が譲歩する可能性は少なく、和平交渉の進展は見通せない。

対トルコ関係

アゼルバイジャンを支援するトルコが武器などを供与していることが戦闘激化の一因との指摘もある。アリエフ氏はトルコについて「兄弟国家であり、最も親密な同盟国だ」と述べた。トルコは「(アゼルバイジャンを含む)コーカサス地域の重要なプレーヤーで、地域情勢に積極関与すべきだ」とトルコの介入を正当化した。

アゼルバイジャンは今回の紛争でシリアからの雇い兵を活用しているとの指摘については「正しくない」と答えた。一方で、「アルメニアは雇い兵や戦闘員を中東から採用している。これは誰もが知っている」と述べ、同国を批判した。

一方で、他国在住のアゼルバイジャン出身者が兵士として戦闘に参加する可能性については「我々は排除しない」と述べ、含みを持たせた。フランスのマクロン大統領はイスラム過激派の兵士が紛争に流入しており、過激派の新たな温床になりかねないと懸念を示している。

資源開発への影響

アゼルバイジャンには伊藤忠商事など日本勢も参画する油田があり、石油やガスをパイプラインでトルコや欧州に輸出している。ナゴルノカラバフ地域の近くも通るため、影響が懸念されている。

アリエフ氏は、パイプラインについて、攻撃されることがあれば欧州の反発を招くため「アルメニア側は避けたがるだろう」と指摘した。仮に攻撃を受ければ「厳しく罰せられることになるだろう」とも述べた。

資源の輸出事業は順調だと強調する一方、将来的な脱石油に向けた産業多角化にも取り組んでいると説明した。再生エネルギー分野や農業などで日本企業の役割拡大に期待を示した。

アリエフ氏は父から大統領職を受け継ぎ、父子の政権は四半世紀を超える。妻を副大統領に任じるなど、一族で権力を独占しているとの批判もあるが「政治キャリアをそれぞれ積み、適材適所の結果だ」と説明。米国のブッシュ家、クリントン家などを引き合いに、批判は当たらないと反論した。

(バクーで、木寺もも子)』