仏領ニューカレドニア、独立再度否決 経済への懸念強く

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64595040U0A001C2FF8000/

※ 今日は、こんなところで…。

『【シドニー=松本史、パリ=白石透冴】南太平洋のフランス領ニューカレドニアで4日、独立の是非を問う2回目の住民投票があった。ロイター通信によると暫定結果では独立反対票が53%となり、独立は再度否決された。経済の不安定化や、独立による負担増への懸念が反対票につながったとみられる。

独立賛成票は46%超と前回(43.6%)より票を伸ばしたが、過半に届かなかった。フランスのマクロン大統領は4日演説し「フランスに残るという判断を感謝したい。あなたたちと一緒に明日のニューカレドニアを作っていきたい」と現地向けにメッセージを送った。

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ニューカレドニアはオーストラリアに近い群島で、人口は約28万人。住民は先住民のカナクが4割、欧州系が3割など。1853年にフランスが併合し、1946年には海外領土にした。60年代には欧州系との貧富の差に不満を持つカナクを中心に独立を求める動きが広がり、80年代には暴動で死傷者も出た。

住民投票は98年に独立に賛成派、同反対派、仏政府の3者でまとめた「ヌメア協定」に基づいて実施した。2018年に行われた1回目の投票では、反対派が56.4%で独立は否決された。投票はニューカレドニア議会の3分の1の提案で3回まで可能だ。そのため2022年までにもう一回行うことができる。

今回、過半がフランスに残留することを選んだ背景には、経済に対する強い不安があったとみられる。ニューカレドニアの主要産業はニッケル鉱業と観光業だが、足元で観光は新型コロナウイルスの打撃を受けている。ニッケルはステンレス鋼に加え電気自動車(EV)に使われるリチウムイオン電池の材料となり需要が伸びているが、価格は市況に左右されやすい。

米調査会社ムーディーズ・アナリティクスによると、フランスの財政支援はニューカレドニアの域内総生産(GDP)の15%を占める。しかし、ニューカレドニアが独立した場合「(仏からの財政)支援の法的根拠はなくなる」(在ニューカレドニアの仏高等弁務官事務所)。

ある欧州系住民は投票前、日本経済新聞の取材に対し「フランスからの支援が途絶えた後、生活水準が維持できるか心配だ」と話した。また南太平洋地域で影響力を拡大する中国への不安もあった。「独立反対の理由として『フランスが去れば、次は中国が来る』と主張する政党もあった」(現地記者)。

フランスにとっては、ニューカレドニアが残留する意義は大きい。フランスは自身を海洋国家と位置付けており、ニューカレドニアには仏海軍の駐留地がある。近年中国の太平洋進出に警戒感を強めているだけに、同駐留地は重要な拠点だ。また、太平洋とインド洋に多くの海外領土を持ち、広大な排他的経済水域(EEZ)を有する。残留により、こうした権益は維持される見通しだ。』