行政デジタル化 青写真と今後の論点

https://comemo.nikkei.com/n/nf6bd76c562fd

※ 今日は、こんなところで…。

『新型コロナ感染症対策での様々な混乱を受けて、今後こうしたことが起こらないように、菅官房長官(当時)の肝煎りでデジタル行政サービスと自治体情報システムの在り方を見直すWGが6月に立ち上がり、この金曜朝に総理臨席のもと3回目の会合がありました。検討の叩き台となる行政情報システム改革のトータルデザインについて斎藤構成員から説明があり、私からも補足説明させていただいた他、戸籍へのカタカナ氏名の追加や、自治体標準化について討議が行われました。関連資料はこちらからダウンロードできます。

行政デジタル化を5年で達成 首相指示、年内に工程表
菅義偉首相は25日、首相官邸で開いた会議で、行政のデジタル化を今後5年で達成するよう各府省に指示した。

全体としては手続きのデジタル完結率を向上させて、新たなデジタルセーフティーネットの構築へ向けて、国と地方で一体となって推進していくことを目指しています。2022年までに突発事案に対して即応できる情報システムを整備する「足し算」、2025年へ向けて自治体の情報システム標準化を推進し、段階的なクラウド環境へと集約して各団体の情報システムがバラバラなため必要だった団体間の中間的なデータベースを一掃しAPI連携に移行する「引き算」の改革を提案しました。

まず2022年までに、仮に今回の新型コロナのような突発事案が発生した際、迅速に全国向けの共通システムを提供し、1週間以内で給付を完了できる仕組み。具体的には給付金の消込にも使える自治体共通SaaS、国民の銀行口座と直結して公金出納を集約する公金口座システムの整備を考えています。

特別定額給付金オンライン申請を振り返ると、郵送申請と違って世帯構成などの情報が事前に入力されていないことが問題でした。これは申請事務に用いられたマイナポータルが、申請書の受け渡しについては自治体と繋がっていたものの、自治体の住民システムとは繋がっていなかったからです。給付金を住民に対して実際に支払ったか等の消込は、各団体が個別にシステムを整備したり、Excelなどを使って目視で管理していました。

こうした突発事案の際に、急拵えでつくられた制度に合わせて突貫で業務を組み立ててシステムを構築することは大きな負担です。団体によっては整備が間に合わず、今回のような混乱に繋がりました。そこで突発事案が起こった際、政府が構築した共通のSaaSサービスを各団体向けに提供し、各団体は基準日時点の住民情報をSaaSに流し込んで、その上で給付の消込や電子申請の受付といった業務を回すようにすれば、各団体が個別にシステムを整備する必要はなくなって、電子申請サイトは流し込まれた情報を参照して、最低限の入力で電子申請を受け付けられるようになります。SaaSのデータベースを団体単位で分離すれば現行制度のまま対応できます。

同時に全ての住民に対して公金出納専用の口座を国が提供する「公金口座」の構想も打ち出しました。自治体が住民基本台帳にある誰に対していくら支払うかを台帳に書き込むだけで該当者に給付できる仕組みです。公的機関は今回のような給付に際して、申請書や口座番号の取得に煩わされることがなくなります。住民は「公金口座」と自身の銀行口座を紐付けることで給付を受け取るか、コンビニATM等でマイナンバーカードを使って直接出金できる仕組みを検討しています。

かねて給付の効率化には銀行口座とマイナンバーとを紐付ける「預金付番」が効果的とされていました。しかしながら金融機関の口座にマイナンバーを紐付けただけでは給付を効率化することはできません。金融機関が預金者のマイナンバーを取得するだけでなく、公的機関がどの口座に振り込めばいいか把握でき、その口座に対して給付を行うことについて、住民の同意を取得できている必要があります。公的機関は年金や児童手当、所得税・住民税の還付、水道料金の徴収などのために住民の銀行口座を把握している場合がありますが、給付金の支払いにその口座を用いる同意が取得できていないため、勝手に給付する訳にはいかず、申請書を受け取る必要がありました。

具体的に「公金口座」をどうやって実現するかは未定ですが、年金のように口座番号を登録して銀行口座に振り込む、公と住民との間で包括的な口座振替契約を結ぶといった手堅い方法から、CBDC(中央銀行発行デジタルマネー)など新しい基盤の構築まで、様々な方法が考えられます。

特別定額給付金では世帯単位の給付が不評であったことから、今後は個人単位の給付も視野に入れて検討する必要もあるでしょう。その場合に世帯主の後ろに隠れていた未成年者や成年被後見人の扱いをどうするか、手数料などの事務費をどこまで低減できるかも課題です。いずれにしても誰もが簡単に使えて、困ったときも適切に手を差し伸べてもらえる仕組みとする必要があります。

そして2025年へ向けて、自治体システムをクラウドに移行し、住基ネットや情報提供NWSの中間サーバーをはじめとした団体間のデータベースを廃止して、クラウド内でサービスメッシュを介した直接API連携に移行することを構想しています。

自治体システムの仕様を標準化するのか、それとも団体間のシステム統合まで踏み込むのか、報道も混乱していますし、関係者からもスケジュールが拙速過ぎるのではないかといったお叱りもいただいています。この点については実のところ構成員の間でも様々な意見があるところです。

わたしからは具体的な目標を設定せずに、無理に団体間の仕様を揃え、全ての業務をカバーすることにこだわると、日程的に無理がある中で似たようなシステムの作り直しになってしまって、十分な効果を得られないのではないか、まず目的や目標を明確にしてやるべきことを絞り込む、標準化のための標準化ではなく、具体的な住民メリットを実感できる施策に優先して取り組むべきではないか、といった意見を述べさせていただきました。

個人的な見解としては、住民管理について作成された標準仕様書を見ても、現段階ではSoRとSoEの切り分けが十分にできておらず、この状態で無理してシステム統合まで踏み込んでしまうと、今やっている自治体の事務を十分にカバーできないのではないかという危惧を持っています。

とはいえ現行構成のようにバラバラな自治体システム、業務単位で縦割りの団体間連携システムが相互に足を引っ張って、手を付けられない膠着状態にはメスを入れる必要があります。少なくとも団体間連携に使われている中間的なデータベースと業務ロジックを、サービスメッシュ上でのAPI連携に置き換えて、部分的な改善を積み重ねられる疎結合構造へと解していく必要があるでしょう。

システム統合による割り勘効果と、独占やシステム運営の主体が曖昧になることの弊害とを見極め、廃止できるシステムは廃止して、標準化・共通化を通じて統合運用できるところは集約しつつ、環境の変化に柔軟に適応でき、現場の創意工夫を引き出して、適切に市場競争が働くエコシステムを目指して、現実的かつ住民が便利になったと実感できる目標を設定すべきです。

年内の工程表策定へ向けて、いよいよ検討は大詰めとなりますが、叩き台となる青写真を出したことで、今後は自治体やベンダーなど多くの方々との対話を通じて、効果的かつ実現性の高いロードマップへと磨き込んでいくフェーズとなります。

引き続き皆様よりご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくおねがいします。』

中国に幻滅した東欧 投資の「空手形」に不満

中国に幻滅した東欧 投資の「空手形」に不満
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64331660Y0A920C2TCR000/

『共産党が牛耳る中国は好きではない。それでも、ビジネスでは彼らは有望なパートナーだ。

チェコやハンガリーを2年前に訪れた際、対中関係について外交官や識者にたずねると、こんな声が聞かれた。経済建設を急ぐ東欧は中国熱を帯びていた。しかし、今や期待はしぼみ、失望に変わろうとしている。

すでにドイツやフランス、英国といった西欧では、対中観の冷え込みが明らかだ。南シナ海やサイバースパイ、香港の自治侵害、ウイグル族の弾圧……。これらが重なり、新型コロナウイルスの拡散も追い打ちをかける。

9月14日の欧州連合(EU)と中国によるテレビ首脳会談では、議長国ドイツのメルケル首相らが人権問題で批判を浴びせた。習近平(シー・ジンピン)国家主席は「人権の先生は要らない」と怒り、極めて険悪だったという。

そして中国に融和的だった東欧でも幻滅が広がり、経済で結ばれてきた欧州と中国の蜜月は事実上、終わりを告げようとしている。世界は米欧日と中国による2極対立の色彩が濃くなるだろう。

東欧で中国熱が高まったのは、もう8年前のことだ。この地域の16カ国は2012年、中国と「16プラス1」という経済協力の枠組みをつくり、ほぼ毎年、首脳会議を開いてきた。

16カ国のうち11カ国はハンガリー、チェコといったEUメンバーだ。19年にギリシャも加わり「17プラス1」となった。

これに対し、独仏は「中国によって東欧が囲い込まれ、EUが分断されてしまう」(独当局者)と危機感を募らせてきた。南シナ海問題でEUが中国非難の声明を出そうとした16年には、対中配慮からハンガリーなどが難色を示し、足並みが乱れる騒ぎもあった。

ところがそんな東欧で一転、中国離れの波が広がっている。

急先鋒(せんぽう)はチェコだ。ミロシュ・ビストルチル上院議長が8月末から台湾を訪れ、中国を激しく怒らせた。これに先立ち、首都プラハ市は北京市との姉妹提携を解消し、1月に台湾・台北市と結びなおした。

チェコのビストルチル上院議長は台湾を訪れ、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した(9月3日)=AP

次世代通信規格「5G」の安全対策をめぐっても、ポーランドやチェコ、ルーマニア、エストニアが昨年から今年にかけ、米国との協力に合意。中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)を制限する姿勢をにじませる。さらにルーマニアでは今年6月、中国企業との原発建設計画が破棄された。

いったい何が起きているのか。内情を知る現地の外交専門家らにたずねると、第1の原因は経済協力への失望だ。中国は「一帯一路」構想をかかげ、巨大なインフラ整備の大風呂敷を広げた。だが、さほど進んでいない。

プラハ国際関係研究所のルドルフ・フュルスト主任研究員は語る。「中国は12年以降、中欧、東欧で主にエネルギーと輸送インフラの投資プロジェクトを多数、手がけた。だが、バルカン諸国を除けば、ほとんどが完全には実現していない。このため、中国との経済協力への期待が薄れている」

2000~19年、中国からEUに注がれた直接投資のうち、東欧向けは10分の1にも満たない。親中派を自認してきたゼマン・チェコ大統領ですら今年1月、ついに失望を表明した。

第2に中国との交流が深まるにつれ、内政干渉や安全保障への不安も高まっている。ポーランドでは昨年1月、ファーウェイのワルシャワ支店幹部がスパイ容疑で逮捕された。

チェコでは情報機関が19年11月、同国内で中国のスパイ網づくりが加速しており、ロシアと並ぶ深刻な脅威になっていると結論づけたという。チェコの国会議員は「中国国有企業からチェコ政府高官に、不透明な資金が流れたという疑惑もある」と憤る。

中国は東欧で多数の投資プロジェクトを打ち出したが、さほど進んでいない(写真は中国の習近平国家主席による国連総会での事前収録の演説)=AP

東欧はかつてソ連の共産圏に組み込まれ、1989年以降に民主化の扉が開いた。中国の経済力に魅せられても、共産党体制に共感しているわけでは全くない。

オルバン首相による強権化が進むハンガリーでも、事情は同じだ。同国の政治専門家は「オルバン政権ですら曲がりなりにも選挙はやっている。中国の独裁モデルは受け入れがたく、経済協力が進まないなら、接近する意味はない」と切り捨てる。

東欧よりも先に、英独仏が中国に幻滅するようになったのも、人権や安全保障の問題だけではなく、外資系企業への規制が強まり、対中ビジネスが難しくなっていることが大きい。在中国EU商工会議所の調査(今年2月)によると、中国内で活動するEU系企業の49%が過去1年でビジネスがより困難になった。

何とか欧州を引き留めようと、中国は新型コロナの発生後、感染者が多いスペインやイタリアにマスク外交を展開した。だが、世論が改善するには至っていない。

仏戦略研究財団のアジア研究主任、ヴァレリー・ニケ氏は「欧州における対中観の悪化は数々の問題が積み重なった結果で、コロナ禍は流れを加速したにすぎない。近い将来、関係が元通りになることはないだろう」と話す。

もっとも、中国市場に大きく頼るドイツなどが、米国ほどに中国に厳しくなるとは考えづらい。それでも米欧日の対中認識が近づけば、連携の余地は広がる。トランプ政権下で米欧の仲は極めて険悪だが、せめて対中政策では協力を立て直すときだ。』

米大統領選、納税問題が新たな争点に 29日TV討論

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64324910Y0A920C2FF8000/

※ 稀に見る(あるいは、「見たこともないような」)「泥仕合」となるのでは…、という予想のようだ…。

※ それでも、アメリカ国民は、「最後の投票を決める材料を得ようと」、固唾を飲んで見守るんだろう…。

『【ワシントン=永沢毅】米大統領選は29日夜(日本時間30日午前)、1回目のテレビ討論会を開催する。共和党現職のドナルド・トランプ大統領(74)と民主党候補、ジョー・バイデン前副大統領(77)が初の直接対決に臨む。27日にはトランプ氏の納税記録を巡る新たな疑惑も浮かび、両候補の舌戦が熱を帯びる。

「私は多額の税金を支払ってきた。フェイクニュースだ」。トランプ氏は27日、ホワイトハウスの記者会見でこう語気を強めた。2016年の当選前の15年間のうち、10年分の所得税を連邦政府に納めていなかったとの米紙ニューヨーク・タイムズの報道を否定した。

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同紙によると、当選した16年と就任1年目の17年の納税額は各750ドル(約8万円)にとどまったという。1970年代以降の大統領の慣例だった納税記録の開示をトランプ氏は拒否し、民主党は納税逃れのため不適切な取引があったとの疑惑を投げかけてきた経緯がある。もっとも、同紙は現段階で違法性に関しては明らかにしていない。

米CNNはトランプ氏の納税逃れ疑惑が、ウィスコンシンやペンシルベニア、ミシガンなどの激戦区「スイング・ステート(揺れる州)」のブルーカラー層の支持に影響を与えると分析している。トランプ氏が支払った年間わずか750ドルの納税額が多くの一般の米国人の納税額よりも少ないことをあげ「飛行機やゴルフ場を所有する人物の負担として正当なのだろうか」と指摘している。

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29日から計3回の討論会は選挙情勢を変える可能性もある終盤戦の天王山だ。初回は中西部オハイオ州クリーブランドで開かれ、(1)両候補の歩み(2)連邦最高裁判所(3)新型コロナウイルス(4)経済(5)人種と暴力(6)選挙の正当性――の6テーマを15分ずつ、計90分討論する。

バイデン氏は世界最多の死者を出したトランプ氏の新型コロナへの対応に的を絞り、大統領として不適格だと浮き彫りにする腹づもりだった。今回の疑惑でトランプ氏に打撃となる新たな攻撃材料を手にした形だ。

全米の支持率で劣勢のトランプ氏は討論会で選挙戦の流れを変えようと懸命だ。「討論会の前後に寝ぼけたジョー(・バイデン氏)に薬物検査をするよう強く求める」。27日にツイッターにこう書き込んだ。「バイデン氏の討論会の出来にはムラがあり、その原因は薬物ではないか」というのがその言い分だ。

背景にはバイデン氏が民主党候補を絞り込む予備選の討論会で精彩を欠く場面が多かったことがある。保守系メディアはバイデン氏の高齢を理由に適格性や判断能力にたびたび疑問を投げかけている。

政策面では、トランプ氏はバイデン氏が掲げる3兆ドルにのぼる過去最大規模の増税プランをやり玉にあげそうだ。急進左派の影響を受けていると印象づけ、「社会主義」のレッテルを貼って穏健派の離反を促す狙いがある。バイデン氏が副大統領在任中に次男ハンター氏が中国、ウクライナ両国でビジネス上の関わりを持った疑惑も取り上げるとみられる。共和党は「利益相反がある」などと批判してきた。

米連邦最高裁判所判事の人事も焦点となる。トランプ氏が巻き返しに向けて支持層を鼓舞しようと保守派の女性を指名したのを受け、バイデン氏は27日の記者会見で「新大統領と議会の選挙が終わるまで指名を承認してはならない」と阻止に全力をあげると強調した。最高裁の保守派支配が進めば、人工妊娠中絶の禁止や銃保有の容認といったリベラル派が容認できない施策が進む可能性がある。

トランプ氏は27日、オバマ前政権の成果である医療保険制度改革法(オバマケア)を連邦最高裁で無効と判断することで「より素晴らしく安価な代替案に取って替える」とツイートした。オバマケアの廃止はオバマ氏を支えたバイデン氏にとっては看過できない。

大統領選の最終盤にあるテレビ討論会は過去にも勝敗を決する分水嶺ともなってきた。政策の中身に限らず、見た目や表情、しぐさといった候補者の人柄も、大統領としてふさわしいかどうかをみる手がかりとなる。

初のテレビ討論会を開いた1960年はそれを象徴する語り草となっている。共和党のニクソン候補は病み上がりで顔色が悪い中で化粧を拒み、民主党のケネディ候補は万全なメークで若々しさを印象づけた。2人のテレビ映えの違いが、ケネディ氏勝利の流れを決定づけたとされる。

米ジョージ・ワシントン大のフランク・セスノ・メディア広報学部長の話(※ 上記)
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