テナント1140店純減 モールに迫る空洞化の足音

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64178180U0A920C2H11A00/

※ ちょっと、疲れてきた…。今日は、こんなところで…。

『大型商業施設の「空洞化」懸念が出ている。日本経済新聞は商業施設データを分析するリゾーム(岡山市)の協力を得て、全国約2800カ所の商業施設の1~6月のテナントの出退店データをまとめた。アパレルや外食を中心に、期間中に1140店のテナントが純減。施設の飽和感に加えて、ネット通販に押されるなど競争環境は厳しさを増す。さらに新型コロナウイルスによる集客力の落ち込みが追い打ちをかけた。巨大施設の存在意義が問われている。

■目立つ空きテナント
名古屋港からほど近い立地のイオンモール名古屋みなと(名古屋市)。9月中旬に訪れると、空きテナントがかなり目立つ。電気の消えたガラス張りの空きスペースからは薄暗さも感じた。平日の午前ということもあってか、カフェでくつろぐ顧客もまばらだ。

「8月31日(月)閉店致しました」「8月30日を持ちまして、閉店することになりました」。1階のテナント跡地の壁には、婦人衣料店や雑貨店の退店のお知らせが貼られ、8月だけでも多くのテナントが退去したことがわかる。6月に訪れたときよりも、モール内はさみしい印象を受ける。

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近隣に大型商業施設が複数存在する、現在の競争環境は厳しい。名古屋市に住む40歳代の主婦は「昔はよく買い物に行ったが、テナントが減ってしまったため、近くの別のイオンモールに行ってしまう」と話す。

首都圏でも商業施設の空洞化は進む。「改装中の為ご迷惑をお掛けしております」。9月中旬、都心部の商業施設を訪れると、木の板で区切られた入居テナントのない空き区画も目立ち、エスカレーター脇にあるフロア案内図には上から白いシールが貼られている場所も。約3分の1が「改装中」のフロアもあった。

テナントの減少によって来店客数が減り、またテナントが撤退して施設の競争力が落ちるという悪循環。施設間の競争激化に、コロナ禍が追い打ちをかけた。

■初めての純減
この逆境はデータからもみてとれる。リゾームのシステム「SC GATE(ゲート)」を利用して分析したデータによると、1~6月の出店数は7222店で前年同期比10.8%減、退店数は8362店で同4.9%増だった。遡れる16年からの増減数でみても純減は初めてだ。

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20年1~6月の純減の内訳は、「ファッション」と「ファッション雑貨」が計842店と圧倒的に多い。「飲食」が116店、「生活雑貨」が114店と続いた。リゾームの砂川誠治氏は「(出退店のサイクルが早い)ファッション関連は出店数の落ち込みが響いた一方、飲食は退店数が多かった」と分析する。

アパレルではオンワードホールディングスが今年度中に700店規模を閉鎖する計画。ワールドも約360店を閉める。帝国データバンクは新型コロナの影響による倒産が8月末までに約500社、上場企業の業績予想の下方修正は約1000社に上ると分析する。

業績不振に苦しむアパレルや外食の店舗閉鎖が本格化するのは秋以降とみられ、経営破綻などによる淘汰も加速する。

今回調査で対象となった商業施設の全テナント数は約15万店。純減数は全体からみれば1%にすぎない。とはいえ転換点となる可能性は高い。近年は施設数の飽和感が指摘される一方、消費者の購買行動はリアルからネットへと移行している。

流れを加速させたのが新型コロナの直撃だ。密を避けるための外出自粛は大きな痛手。モノの消費はもちろん、スポーツジムや生涯学習などの「コト消費」でも感染リスクが足かせとなる。日本ショッピングセンター協会(東京・文京)がまとめた1~6月の全国の売上高は、前年同期比30.3%減と過去最大の下落幅を記録した。

大規模小売店舗立地法(大店立地法)に基づく大型店新設の届出も、20年4~7月は計126件。同期間の件数は、同法が施行された00年度以降でみると01年度(119件)と並ぶ低水準だ。

ショッピングセンター(SC)そのものも減少に転じた。日本ショッピングセンター協会の調べによると、01年に2603カ所あったSCは18年に3220カ所まで増えたが、19年は3209カ所に減った。

売り上げ減に苦しむ施設が増える可能性がある一方で、新設余地は乏しい。施設側は家賃減免などによるテナントつなぎとめにも苦心しそうだ。水面下では秋以降に向けた賃料交渉での綱引きも始まっているという。

業界に詳しいリテールビジネス研究所(東京・港)の飯嶋薫社長は「歯抜けを防ぐためにテナントに譲歩する動きは広がるだろうが、資本力がなければ生き残れない環境になる」と指摘する。

米国では既に大半のテナントが撤退した「廃虚モール」が急増し、話題を集めていた。大きな要因が「アマゾン・エフェクト」などと呼ばれる、ネットの攻勢だ。ただ、新型コロナにより事態はさらに悪化している。日本の企業にとっても決して対岸の火事ではない。

■イオンは支援継続
コロナ禍はイオンモールにも影響を及ぼしている。2021年2月期の連結最終損益は40億円の赤字となる見通し。赤字転落は02年の上場以来初めて。客足は回復しつつあるがテナントのつなぎとめも一進一退が続く。

11日、国内最大の商業施設「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)を訪ねると、専門店街が開く午前10時を前に買い物客が並んでいた。3棟合計の総賃貸面積が約18万平方メートルにもなる商業施設だが、シャッターがおりた休業店はほぼない。

イオンモール全体の8月時点のテナント空床率は1%強とみられ、「当初想定よりは軽微」(イオン関係者)。この背景には手厚いテナント支援策がある。テナント企業は「大切なパートナー」(岩村康次社長)。「身を切る」覚悟で支えなければ共倒れになる。

コロナ禍による休業に伴い、3~4月はテナント賃料を減免。イオンモールが9月末に社債「サステナビリティーボンド」を発行し300億円を調達するのも、賃料減免による減収を補う目的があるからだ。密を避けるための戦略も打ち出す。混雑のピーク時を避けて食事をした顧客には電子マネー「ワオン」ポイントをイオンモール側の負担で付与。一部のイオンモールでは飲食店のテークアウトのイベントを支援策の一環で始めた。

■「ららぽ」はネットと連携
郊外型の商業施設「ららぽーと」を手掛ける三井不動産は、広場やマルシェなど子連れも楽しめる場所を拡充する戦略を打ち出し、子育て世代に優しい施設作りに力を入れてきた。コロナ禍を機にさらに推し進めるのがネットとの連携だ。

「ららぽーと」などの店とスマホなどから注文できる通販サイト「&mall(アンドモール)」と連携。ネットの利便性を生かしつつ、体験できる場としてリアルの楽しさを訴求する。今後も新規出店には意欲的だ。

新たな担い手も出始めた。ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、JR仙台駅前の旧さくら野百貨店仙台店を複合施設に建て替える計画が進む。

旧さくら野は17年の閉店後、地権者間の調整が難航し建物が3年以上放置されてきた。PPIHは旧さくら野の土地と建物の大部分を取得。ホテルや商業施設など複合施設に再開発する方針だ。

長引くコロナ禍という逆風の中、競争は激しさを増す。密を避ける形でのにぎわいをどう創出するか。廃虚モールへの道を歩まないためにも、テナントと共存共栄するための工夫は欠かせない。

(河野祥平、古川慶一、名古屋支社 細田琢朗、仙台支局 田村匠)

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三菱自動車、希望退職500~600人募集へ 業績回復急ぐ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64286970W0A920C2000000/

『三菱自動車が11月中旬~下旬にかけて、本社など国内の社員を対象に500~600人規模の希望退職を募集することが分かった。同社は7月に発表した中期経営計画で、希望退職や新規採用の抑制を通じて間接労務費を2021年度末までに19年度比15%削減すると表明していた。固定費全体も同2割以上減らす計画で、低迷する業績の回復につなげる。

三菱自単体の従業員数は19年度末時点で約1万4000人。今回の希望退職の対象となるのは、本社や岡崎製作所(愛知県岡崎市)、水島製作所(岡山県倉敷市)などで働く45歳以上の管理職などの社員だ。

加藤隆雄最高経営責任者(CEO)は今年7月のインタビューで「利益を上げているかどうかを問わず、全ての国・地域が対象になる」としていた。三菱自は同5月、タイで既に早期退職の募集を実施した。

三菱自は過去の拡大戦略の不振と新型コロナウイルスの感染拡大による販売減少が響き、21年3月期の連結最終損益は3600億円の赤字(前期は257億円の赤字)を見込む。

新たな中期経営計画では間接労務費の削減と並んで、欧州での新車投入の凍結や、子会社のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)の工場閉鎖なども盛り込んだ。今後は強みを持つ東南アジア市場に注力する。日産自動車、仏ルノーとの3社連合で新車の共同開発や受託生産などにも取り組み、収益回復につなげたい考えだ。

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アルツハイマー病治療薬 発病前に阻止する戦略に転換

アルツハイマー病治療薬 発病前に阻止する戦略に転換
日経サイエンス
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64169110U0A920C2000000/

 ※『アルツハイマー病では多くの場合、50代で脳内にアミロイドβの蓄積が始まる。このときは何の症状もない。60代の後半から別の異常たんぱく質「タウ」が蓄積し、神経細胞が死滅し始める。すると「知人の名前が出てこない」といった軽度な認知能力の低下が起きるが、社会生活に支障はない。タウの蓄積が進むにつれて神経細胞が減っていき、ついにアルツハイマー病を発症する。一度減ってしまった神経細胞が増えることはないので、発症前にアミロイドβの蓄積を防ぐ必要がある。』

 ※「知人の名前が出てこない。」とか、日常茶飯事だぞ…。軽度の認知能力の低下に、見舞われているわけだ…。

 ※ もはや、「神経細胞の死滅」が生じている可能性が、高いわけだな…。ヤレヤレだ…。

『9月は世界アルツハイマー月間だ。日本には約600万人の認知症患者がいるとみられ、その7割をアルツハイマー病が占めている。アルツハイマー病は1906年に最初に報告されたが、100年以上たった今でも根治薬は存在しない。アルツハイマー病の治療薬を研究している理化学研究所脳神経科学研究センターの西道隆臣チームリーダーに、治療薬の今後の展望について寄稿してもらった。

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アルツハイマー病治療薬の研究は、転換点を迎えている。これまで患者の脳に異常たんぱく質の「アミロイドβ」が蓄積するのを防ぐ、あるいは蓄積したたんぱく質を除去する薬の開発が積極的に進められてきたが、その多くが失敗した。近年、アルツハイマー病には感染症でいう「潜伏期間」のような無症状の期間が約20年もあることが明らかになり、発症してから治療するのではなく、無症状の間に病気の進行を食い止めて発症を防ぐほうが効果的だと考えられるようになった。

アルツハイマー病では多くの場合、50代で脳内にアミロイドβの蓄積が始まる。このときは何の症状もない。60代の後半から別の異常たんぱく質「タウ」が蓄積し、神経細胞が死滅し始める。すると「知人の名前が出てこない」といった軽度な認知能力の低下が起きるが、社会生活に支障はない。タウの蓄積が進むにつれて神経細胞が減っていき、ついにアルツハイマー病を発症する。一度減ってしまった神経細胞が増えることはないので、発症前にアミロイドβの蓄積を防ぐ必要がある。

なぜ異常たんぱく質が蓄積するのかというと、分解が進まないためだ。体内のたんぱく質は、合成と分解のバランスによって適切な量に保たれている。この分野の研究は日本の「お家芸」で、大隅良典東京工業大学栄誉教授をはじめ多くの日本人研究者が貢献してきた。

私たちはマウスやラットを使った実験で、脳内でアミロイドβを分解する酵素を突き止めた。この酵素は、加齢とともに作られる量が減ってくる。さらにこの分解酵素を活性化する因子を探し、ソマトスタチンという神経ホルモンを見いだした。ソマトスタチンが神経細胞の膜にある受容体に結合すると、細胞内で一連の反応が起き、分解酵素が活性化される。ソマトスタチンに代わって受容体に結合する薬を開発できれば、アミロイドβの分解を促進できるとみられる。

幸いなことに、ソマトスタチン受容体は、ヒトの体に800種類ほどある「Gたんぱく質共役受容体」(GPCR)の一種だとわかった。一般に酵素は複数の物質に結合するが、GPCRは特定の1つとしか結合しない。このためGPCRに結合する薬は体内のほかの作用に影響せず、安全な薬になる可能性が高い。またGPCRに作用する薬は、化学的に合成できる。アルツハイマー病に対しては抗体医薬の開発も進んでいるが、抗体は細胞に産生させて作る必要があるためコストが高い。アルツハイマー病患者は5年後には日本で500万人に達するとの推計もあり、安価に製造できる薬が求められている。

(理化学研究所脳神経科学研究センター 西道隆臣)

(詳細は9月25日発売の日経サイエンス11月号に掲載)

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人手不足産業に「出向」 政府、労働移動支援に軸足

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64263370V20C20A9EA3000/

 ※ こういう政策は、人材派遣業界に与える影響が、けっこう大きいと思うぞ…。

 ※ 今まで、「民間にお委せ」だったものが、似たようなことを「官もやる」ということだからな…。

 ※「官業の民業の圧迫」にならないようにする、「官・民の棲み分け」なんてことが、問題になるだろう…。

 ※ なんか、「ゆうちょ」に関して、聞いたような話しだな…。

『雇用政策の軸足が、これまで働いてきた企業での雇用維持から、人手不足の産業への移動支援に移り始める。政府は2021年1月から雇用調整助成金の特例措置を段階的に縮小するのに合わせ、業種を超えた出向や新たなスキルの習得を後押ししていく。「失業なき労働移動」に成功するかどうかが経済回復のカギを握る。

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の収縮で、企業が内部に抱える休業者は一時600万人近くに膨らんだ。政府は従業員に休業手当を支払う企業を支援する雇用調整助成金の特例措置で雇用維持を図ってきたが、人手不足の産業への労働力移動を妨げるとの指摘も出ていた。

このため、厚生労働省は25日に決めた21年度予算の概算要求に労働力移動を支援するメニューを盛り込んだ。

国と都道府県の職業能力開発施設や、NPOが運営する教育訓練機関の教育費用を負担する。職を一時的に失った人が無料で職業スキルを学び、すぐに再就職できるように後押しする。要求額は990億円超とし、政府が予算案を決める年末の段階で積み増すこともできるようにした。

経営が厳しく雇用が過剰になった企業から人手不足の企業に向け、人材が在籍出向の形で移るのを支援する予算も求める。公益財団法人の産業雇用安定センターが人手の過剰業種と不足業種の両方から情報を集め、無料でマッチングする。同センターは47都道府県に事務所をおき、地域の業界団体と協力していく。

経済産業省は若い世代を中心に、ものづくりを担う地方の中小企業などに人材が移るのを後押しする。概算要求で30億円を計上し、人材の確保やデジタル技術の活用に積極的な企業を支援する。

同省も社会人の学び直しを支える予算を盛り込んだ。問題解決の能力を高め、新規事業を生み出せるようにするプログラムを始めるという。

厳しい情勢の続く雇用も、業種別にみるとばらつきが大きい。宿泊や外食などで就業者数の落ち込みが続く一方、人手不足が常態化している介護の有効求人倍率は7月に3.99倍に達した。

自宅から近い小売店やインターネット通販への消費シフトにより、スーパーや物流でも人材の需要は大きい。通販や在宅勤務を支えるデジタル人材のニーズも高く、情報通信業の7月の就業者数も前年水準を上回る。

第一生命経済研究所の田中理氏は「コロナによる社会の変化は長期化する」と指摘する。そのうえで「政府による特定企業での雇用維持策が長引くと、急ぐべき産業構造の転換が進まない」と語り、労働力移動に軸足を移していくことを主張する。

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社会人の再教育により、デジタル人材を育てる取り組みでは欧米に後れをとっている。日本の再教育は産学官の連携が乏しく、労働市場のニーズとの開きが大きい。厚労省と経産省は教育内容の改善を急ぐ。

英国は休業者の給与や所得の80%を支援してきたが、10月に60%に減らす。欧州各国はデジタル技術の学び直しへの支援策を充実することで、コロナ後の成長力を高めようとしている。

厚労省は中小企業に最大100%助成し、支給上限額も日額1万5千円に引き上げた雇用調整助成金の特例について、21年1月から縮小する方針をすでに示している。

日本の7月の失業率は2.9%と前月から0.1ポイント悪化し、年末にかけてさらに上昇していくとみられる。厚労省の集計では、コロナ関連の解雇・雇い止めは見込みを含めて6万人を超えた。

雇用調整助成金による支援を急速に縮小すれば失業率の急上昇や社会不安を招く恐れもある。厚労省は雇用情勢や労働力移動の状況を見ながら、慎重に進める考えだ。』

コロナ禍の国連、機能せず 米中ロが自国成果強調

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64263980V20C20A9FF8000/

『【ニューヨーク=大島有美子、吉田圭織】創設75周年を迎えた国連が新型コロナウイルス禍で立ち往生している。22日始まった首脳級演説で各国は自国のコロナ対策の成果を強調、主導権を握ろうとけん制し合うばかりで足並みはそろわない。戦後の国際平和と安全の礎を築いてきた多国間協調の枠組みは岐路に立たされている。

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「皆さんも自国を第一に考えていいんだよ」。トランプ米大統領は自身の演説をこう締めくくった。コロナを「中国ウイルス」と呼び、感染拡大の初期に「中国は国内の移動を封鎖しながら、海外への渡航を認めて感染を世界に広げた」と非難。一方で「3つのワクチンが臨床試験(治験)の最終段階にある。大量生産も進めており、ただちに配布できるだろう」と自国の対応の素早さを自賛した。

対する中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は複数のワクチンが治験の最終段階にあり「公共のものとして、途上国に優先的に提供されるだろう」と国際貢献に努める方針を強調。「私たちは断固として多国間主義の道を歩み、国際関係の核心としての国連を守る」と訴えた。習氏はコロナ関連で5000万ドルの人道支援資金など国連活動への貢献を表明し、協調に背を向ける米国の隙を突く。

ロシアのプーチン大統領も世界で初めて承認したワクチンについて「信頼でき、安全で、効果がある」と強調、ワクチン開発を巡るハイレベルの国際会議をオンラインで開くことを提案した。コロナで悪化した世界経済の回復に向けては、米国を念頭に「違法な制裁」の解除が役立つなどと訴えた。

主要国がそれぞれ国益を前面に押し出した主張を繰り広げるなか、途上国は国際協調の枠組みが機能しなくなることに危機感を募らせている。

トランプ氏が脱退を決めた世界保健機関(WHO)について、各国からは「WHOは必要だ」(フィリピンのドゥテルテ大統領)との声が上がった。特に途上国にとってはワクチンの公平な供給における役割に期待する面が大きい。南米ガイアナのアリ大統領は「コロナ対策備品の公平で透明で迅速な供給を保障する役割として、国連を信じている」と述べた。

国連は戦後の多国間協調の中心的役割を担ってきた。米国をはじめとする自国第一主義、「多国間」を唱えつつ人員と資金で存在感を強める中国と周辺国の不安――。その基盤が揺らぎつつあるところにコロナが直撃し、機能不全に陥らせた。象徴的なのが安全保障理事会だ。

「安保理は恥を知るべきだ」。24日、国連総会に合わせて開かれた安保理会合で米国のクラフト国連大使は中国のコロナ対応を批判し「コロナ後の国際平和と安全」という会合の趣旨をけなした。中国の張軍国連大使は「政治ウイルスをまん延させ、対立をつくっている」と反論し、非難の応酬となった。

国連のグテレス事務総長は「コロナは世界が直面する試練へのリハーサルだ」として、連帯を呼びかける。危機感を強める欧州勢は多国間主義について話し合う会合を総会中に2年連続で開くが、具体策は見えない。コロナで溝が広がる現状を修復できるのか。非常事態が収まった後に、国際協調を実現する加盟国の覚悟が試される。』

市場で浮上する「民主党完勝」への期待(NY特急便)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64288650W0A920C2000000/?n_cid=TRPN0017

『25日のダウ工業株30種平均は前日比358ドル高で終えた。週半ばまでの株安が響き、週間では昨年8月以来となる4週連続の下落となった。月初の主力ハイテク株の急落で始まった不安定な相場が続いている。

米国の追加経済対策の遅れが投資家心理の重荷になっているのは間違いない。本来は7月中に成立するはずだったが、財政支出の規模で与野党の格差が大きく、2カ月も遅れている。

24日夕には野党・民主党を率いるペロシ下院議長が2.4兆ドル(252兆円)規模の案を提示したと伝わった。従来の3.5兆ドルから縮小し、与党・共和党に歩み寄る姿勢を見せた。ただ、財政赤字を懸念する共和党は9月上旬に5千億ドルと小規模な経済対策を提案し、否決されたばかりだ。

米投資銀行エバコアISIの政治アナリスト、サラ・ビアンキ氏は「両党の案はかけ離れており、合意の可能性は低い。ペロシ氏は合意に向け努力している姿勢を支持者に見せたいだけだろう」とみる。ゴールドマン・サックスは年内の成立はないとみて、2020年10~12月期の米実質経済成長率の予想を6%から3%に引き下げた。

そうした閉塞感が漂う中、株式市場でにわかに浮上しているのが11月の選挙で民主党が完勝するシナリオへの期待だ。大統領選だけでなく同時に実施する上下両院選でも民主党が過半数を占めれば「2兆ドルを超える追加経済対策に加え、バイデン氏が掲げる財政支出計画も上乗せされる」(ゴールドマン)

バイデン氏は法人税率の引き上げなど4兆ドル規模の増税案を掲げており、市場では「バイデン大統領=株安」というのが大方の認識だった。だが、追加経済対策の遅れが景気を冷やす構図が強まるにつれ、民主党案を評価する声が市場でじわりと広がっている。

米調査会社ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ氏は「民主党が完勝し、バイデン氏の政策がすべて実行されれば、何も変わらなかった場合に比べ24年10~12月期の実質GDPを8千億ドル強押し上げる」と試算する。4兆ドルの増税の影響を7兆ドル超の支出増で吸収する。支出が増える21年後半~22年前半にかけて成長が加速するという。

ただし上院で民主党が過半数を奪還しても、現実には政策の実行は難しい。少数政党が議事進行を妨害する「フィリバスター」と呼ばれる上院独特の制度が法案の採決を妨げるためだ。ザンディ氏の分析にはこの影響が加味されていない。回避するには5分の3の議席数(60議席)が必要だが、現実的ではない。

ゴールドマンはフィリバスターなどでバイデン氏の財政支出が計画の半分程度に縮小し、増税も提案の半分にとどまるとの前提で試算した。それでも22年のGDPを潜在GDPに比べ2.7ポイント押し上げるという。英経済調査会社オックスフォード・エコノミクスもゴールドマンとほぼ同様の前提で、基本シナリオに比べ21年の経済成長率が2.1ポイント高まると指摘する。

政治情報サイトのリアル・クリア・ポリティクスの集計では上院の議席予想は共和党47、民主党46、互角7となっている。投資家は民主党完勝シナリオの影響を改めて分析しておく必要がありそうだ。

(NQNニューヨーク=松本清一郎)』

安倍外交、同盟強化が起点 安倍前首相インタビュー

安倍外交、同盟強化が起点 安倍前首相インタビュー
中国台頭で米と危機感共有
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64254760V20C20A9SHA000/

『安倍晋三前首相は日本経済新聞のインタビューで、7年8カ月の長期政権を振り返った。2016年11月、米大統領選で極東からの米軍撤退を示唆し、同盟見直しを掲げたトランプ大統領が勝利し、日本外交は緊迫した局面にあった。安倍氏は就任前のトランプ氏を訪ねて中国の軍事的な台頭を背景に日米同盟の重要性を訴え、退陣に至るまでの強固な関係の起点とした。

16年11月17日、米ニューヨークのトランプタワーでのトランプ氏との会談は予定の倍の1時間半に及んだ。10日ほど前に大統領選に勝ったばかりのトランプ氏にとって、安倍氏は選挙後初めて会う海外首脳だった。

■東アジア情勢、図表広げ説明
「あなたはエスタブリッシュメント(支配層)に挑戦して勝った。私も野党だったが挑戦して勝った」。安倍氏はこう伝え、トランプ氏から「そこは我々の共通点だ」との言葉を引き出した。

安倍氏には「トランプ氏はこれまでの大統領とは相当、違うタイプだ。就任前の段階で会った方がいい」との思いがあった。同盟と貿易・経済、この2つの重要性で一致しなければ、日本外交が立ちゆかなくなるとの危機感だ。

安倍氏は中国や東アジア情勢をグラフなどを用いて描いた図表を広げ、説いた。

「中国はいつから、どのぐらいのスピードで軍事費が増えているのか」。トランプ氏の質問に安倍氏が「30年近くで約40倍に増えた。こんな速さで増やした国は世界中でない」と答えると、トランプ氏は驚いた表情を見せた。

安倍氏は中国潜水艦の具体的な保有隻数も挙げて「標的は西太平洋などで活動する米海軍第7艦隊だ」との見方も示した。日本だけでなく米国の問題でもあるとして「米国はプレゼンスを維持してほしい」と呼びかけた。

その後、日米で掲げた「自由で開かれたインド太平洋」構想への支持はオーストラリアやインド、英仏などに広がった。

初対面で「ゴルフの約束を取り付けるのも目的の一つだった」とも明かした。トランプ氏との「ゴルフ外交」は計5回、正式な会談は14回を数えた。

安倍氏は「トランプ氏は私によく『短期的には北朝鮮、中長期的には中国が問題だ』と言っていた」と語り、初対面時の説明が奏功したとの認識を示した。

トランプ氏は大統領選中の公約も忘れていなかった。一連の会談で「日米同盟は片務的で不公平ではないか。駐留経費も日本がもっと負担すべきだ」と繰り返し迫った。

その度に、安倍氏は「日米同盟を『助け合う同盟』にするために、憲法解釈を変更し(集団的自衛権の行使を認める)安全保障関連法を整備した。そのために内閣支持率を10%以上落としたんだ」と返した。トランプ氏は「それはすごい勇気だ」とたたえた。

在日米軍の駐留経費についても安倍氏は再三、米軍の給料以外、光熱費や住宅費など7割以上を日本が負担している現状を解説した。「米軍部隊を米本土に置くより日本に駐留している方が安いんだ」と話すと、トランプ氏が「非常に分かりやすい。You are a genius!(あなたは天才だ)」と答えたこともあった。

18年6月の米朝首脳会談の開催地選びでは安倍氏がトランプ氏に助言した。米朝間でソウルやシンガポールなど複数案があった。「朝鮮半島で開くと北朝鮮ペースになりかねない」とシンガポール開催を主張し、トランプ氏も同意した。

■近づいた領土、解決に至らず
強固な日米同盟を築いた一方で、やり残した部分もある。

「戦後外交の総決算」として掲げたロシアとの北方領土の返還交渉は、プーチン大統領との会談で平和条約交渉を巡り「いよいよ締結に向けた中身の交渉に近づいているとの認識があった」と述べた。決着次第では衆院解散・総選挙を実施して「国民に信を問わねばならないと考えていた」とも語った。

16年12月、山口県長門市での会談で「プーチン氏に積極的に解決するつもりがあるのではないか」と感じ、18年11月のシンガポールでの会談にかけて「最も近づいた」と振り返った。

結局、平和条約は締結に至らなかった。ロシアによるクリミア併合などで「米ロの対立が強まったという別の要素があった」と安倍氏は補足した。

北朝鮮問題では金正恩(キム・ジョンウン)委員長との間で「いろいろな兆候はあった。会談に向けた機運が芽生えるかもしれないという雰囲気はあった」と首脳会談を模索したが、実現しなかった。拉致問題は解決できずにいる。「拉致問題はトップの判断なのでなかなか難しかった」と、首脳会談が実現できなかったことを悔やんだ。

韓国とも元徴用工訴訟や貿易管理の厳格化などを巡り戦後最悪の状態に陥った関係を改善することなく終わった。地球儀を俯瞰(ふかん)する外交の完成は、後継の菅義偉首相にゆだねる形となった。

菅首相が第2次安倍政権発足後、一貫して官房長官を務めた経歴に触れ「ずっと政権の中枢にいたというのは相手にとって安心感になる。外交では財産だ」と指摘した。

安倍氏は8月28日に持病の悪化を理由に首相を辞任する意向を表明し、9月16日に辞任した。通算の在任日数は3188日で憲政史上最長となった。インタビューは24日に実施した。

(聞き手は政治部長 吉野直也)

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ファーウェイで大規模火災 中国広東省、3人死亡

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64267330V20C20A9000000/

『【北京=共同】中国メディアによると、広東省東莞市にある中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の大型施設で25日午後、大規模な火災が発生した。消防が出動し、ほぼ鎮火した。消防当局によると、現場で3人の遺体が見つかった。同社のスマートフォン事業などへの影響が懸念されている。

25日、火災が発生した中国広東省東莞市にあるファーウェイの施設(「微博(ウェイボ)」から、共同)

施設は数階建てのビルの大きさで、黒煙が強い勢いで上がった。東莞市の消防当局によると、施設はまだ正式稼働していなかった。中国メディアは、現場一帯はファーウェイが携帯電話や部品などの研究開発、生産のために整備したエリアだと報じた。

消防当局によると、通報があったのは午後3時(日本時間同4時)すぎで、防音用の綿素材が燃えたという。死亡した3人は、現場一帯の施設を管理する会社の従業員という。

ファーウェイはトランプ米政権の制裁強化で、スマートフォンの生産に必要な半導体などの調達が難しくなっている。今回の火災で自前の開発や生産計画に支障が出れば、さらなる打撃となる可能性もある。

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スリランカ、日本支援の鉄道事業を撤回 中国意識か

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64260980V20C20A9FF8000/

『インド洋の島国スリランカが、日本が支援する鉄道整備事業を撤回する考えを示した。総事業費が2500億円規模と、1カ国による支援としてはスリランカ最大の事業であり、同国が中国への経済的依存を下げる動きの一環と見られていた。実際に事業が撤回となれば、同国が再び中国依存に傾く懸念が強まりそうだ。

予定していた鉄道事業は最大都市コロンボ市内を走る一部区間が対象で、総延長15.7キロメートルの高架軌道の敷設や16駅の設置、鉄道車両の調達などが含まれていた。2019年3月には事業の第1期分として、国際協力機構(JICA)が約300億円の円借款契約をスリランカ政府と結んだ。同年7月に当時のウィクラマシンハ首相が同席し、起工式も開いた。

だがラジャパクサ大統領は事業の打ち切りを指示した。大統領秘書官は運輸省に宛てた21日付の書簡で「非常に費用が高く、コロンボの都市交通インフラとして費用対効果が適切ではない」と指摘。「大統領が事業の終了とプロジェクト事務所の閉鎖を指示した」と説明した。

同事業はシリセナ前大統領時代に日本側と合意したもの。シリセナ政権は過度の中国依存の修正を掲げ、日本やインドなどとバランスの取れた外交を目指した。一方、19年11月に就任したラジャパクサ大統領は再び中国に傾斜するとの懸念がつきまとう。05~15年まで大統領を務めた実兄が、中国マネーに頼るインフラ整備を進め「親中派」とみられたためだ。

実兄が大統領時代に中国の支援で開発した南部ハンバントタ港は17年、債務返済に窮して中国側に99年間の運営権を譲渡した。中国による「債務のわな」の典型例だ。19年の大統領選後は、この兄が首相に就き、兄弟で大統領と首相を務めている。

ただ実際に日本支援の鉄道事業が撤回となるかは不透明だ。ロイター通信は24日、運輸省高官が「為替相場の問題で一時的に停止した。他のプロジェクトも中断している」と述べたと報じた。JICAのスリランカ事務所は25日、日本経済新聞の取材に「(事業撤回の)報道は承知しているが、詳細は差し控えたい」と述べるにとどめた。(早川麗)』

習氏来日、双方言及せず 日中首脳が電話協議

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64282420V20C20A9MM8000/?n_cid=TRPN0017

『菅義偉首相は25日夜、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と初めて電話で約30分間、協議した。首相は協議後、延期した習氏の国賓来日について「特にやり取りはなかった」と記者団に話した。日中両国や国際社会の諸課題について、両首脳を含むハイレベルで緊密に連携することで一致した。

両国首脳の電話協議は2018年5月以来。首相は「日中の安定は2国間だけでなく地域、国際社会のために極めて大事だ。共に責任を果たしていきたい」と伝えた。首相によると、習氏は首相就任を祝福したうえで「日本との関係を引き続き発展させていきたい」と述べた。

両首脳は新型コロナウイルスへの対応を巡り、日中が様々なルートで連携することで一致した。日中のビジネスに限定した往来再開の早期実現に向け、協議を続けると申し合わせた。

首相は「地域、国際社会の関心が高い課題についても今後しっかり議論していきたい」と述べ、日中間の懸案について提起した。日本政府関係者によると、中国公船の領海侵入が相次ぐ沖縄県・尖閣諸島周辺などの東シナ海情勢や、中国が国家安全維持法に基づいて統制を強める香港情勢が念頭にある。

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首相は北朝鮮による日本人拉致問題についても取り上げ、日中が引き続き連携していくと確認した。日本政府関係者によると、電話は日本側からかけた。

中国国営の新華社によると、習氏は「歴史など重大な敏感な問題をよく処理して新時代が求める中日関係を打ち立てるべく努力しよう」と述べた。21年に予定する東京五輪・パラリンピックについて「中国は成功を支持する」と話した。

首相は「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の年内の署名を確実にし、日中韓自由貿易協定(FTA)の協議を加速しよう」と強調したという。

日中両政府は今年3月、新型コロナの感染拡大を受けて4月を予定していた習氏の国賓来日を延期すると決めた。加藤勝信官房長官は電話協議に先立つ25日の記者会見で「具体的な日程調整をする段階にはない」と語った。』