エバーグランデ、間近に迫ったキャッシュクランチ、不気味な投資家に警告

『(グーグル翻訳文)
2020年9月24日15:57 2020年9月25日11:47 AM

(※ エバーグランデ→中国恒大集団)
(ブルームバーグ)-世界で最も債務の多い開発者は中国当局に対し、規制当局が同社の長期遅延の証券取引所上場を承認しない限り、国の50兆ドルの金融システムを破壊する可能性のあるデフォルトに直面することを警告しました。株式と債券は不安定な取引で下落した。 China Evergrande Groupは、ブルームバーグが見た広東省政府への8月24日の書簡でシナリオを詳細に説明しました。ブルームバーグは、上場を確保し、現金引き締めを回避するために必要なリストラ提案への支援を求めました。 Evergrandeの最大の戦略的投資家の一部は、会社が1月31日までに深セン証券取引所のバックドア上場の承認を獲得できなかった場合、返金を要求する権利を持っています。 1,300億元(190億ドル)で、現金および現金同等物の92%に相当します。

2017年に提案されたEvergrandeの バックドア上場計画の詳細を読む 同社が拠点を置く広東省政府に送付された書簡によれば、それは銀行、信託、ファンド、債券市場からのエバーグランデの借り入れに「クロスデフォルト」をもたらし、最終的にはより広範な金融システムに体系的なリスクをもたらす可能性がある。 木曜日の広東省政府のメディア局への電話は未応答でした。 投資家が上場の締め切りに間に合わせることができるかどうかについて投資家は意見が分かれているため、エバーグランデの株式は香港の取引に変動をもたらしました。午前11時47分現在で4.3%下落し、以前の上昇を覆しました。ブルームバーグがまとめた価格によると、2023年に期限が到来するエバーグランデの国内紙幣は85.1元という過去最低の記録となった。その7年債は上海での取引を停止しました。

Evergrandeは声明で、資産再編計画に関するオンラインソーシャルメディアの投稿は詳細を明記することなく「作り上げられている」と語った。 「関連する文書と写真は偽造されたものであり、純粋な名誉毀損であり、会社の評判に深刻な損害を与えています」とEvergrande氏は声明で述べています。「同社はそのような行為を強く非難し、公安当局に事件を報告した。会社は、会社の正当な権利と利益を保護するためにあらゆる法的措置を講じます。」 同社はまた、最初の8か月間にプロジェクトの売り上げから4000億元のキャッシュインフローを生み出し、健全な運営を維持していると付け加えました。それは政府に助けを求めたかどうかについての質問に対処しませんでした。

S&Pグローバルは、木曜日の安定からエバーグランデのB +信用格付けの見通しをマイナスに引き下げました。 S&Pは、「中国のエバーグランデグループの流動性は、短期債務の継続的な増加と、2021年1月に中国国内の「A株」戦略投資の一部が返済される可能性がある中で弱まっていると考えています」と述べた。 それでも、格付け会社は流動性危機のリスクを軽視し、エバーグランデは戦略的投資家に留まるよう説得しようとしており、複数の資金調達チャネルを持つ「資産の豊富な」会社であることを指摘しました。S&Pによると、エバーグランデの売上高は2020年も堅調に推移する見込みです。 中国の政策立案者は、金融の安定を維持するために体系的に重要な企業を支援してきた長い歴史があります。政府は近年、より多くの市場規律を浸透させ、モラルハザードを削減しようと努めてきましたが、当局は、2019年にいくつかの問題のある地域の貸し手を救済し、5月以降、少なくとも6つの銀行合併の設計を支援しました。

プロパティベルウェザー エバーグランデは、投資家から、中国の高度にレバレッジされた不動産セクターの先駆けと見なされています。ブルームバーグの計算によると、同社の負債総額は、2019年末の8000億元と比較して、6月末には4%増加し、8300億元となりました。 8月のエバーグランデは、積極的なレバレッジ削減の目標を繰り返し、2020年から2022年まで、毎年約1500億元、または現在の債務負担の約半分を削減しました。しかし、これまでのところ、それは誓約を下回っています。 同社はそれ以来、現金を回収するために全国規模の販売電撃を開始し、サービス部門の株式を売却して30億ドルを調達し、土地購入への支出を削減しました。電気自動車への投資総額は290億元で、当初計画されていた450億元を下回ると見ている。 ©2020ブルームバーグLP』

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和2年(2020)9月24日(木曜日)
         通巻第6650号  
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 ドルの流動性クランチが中国企業を襲っている
  ドル建て社債の償還は年内にまだ1018億ドル、返済の見通しは真っ暗
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 天津物産集団(英語名 TEWOO GROUP)がドル建て社債の債務不履行に陥ったと発表したのは2019年11月22日だった。デフォルトは12億5000万ドルで、過去最悪の負債額となった。同社集団は国有企業であるにもかかわらず、中国人民銀行は黙殺、中国銀行なども追加の緊急融資ができなかった。すなわちドルが手当てできないからだ。

 中国企業全体のドル建て社債の償還は年内期限だけでも、あと1018億ドル、金融筋によれば、この他に「隠れドル債務」が17億ドルあるという。いずれにしても返済の見通しは真っ暗で、中国が理由とするのはコロナ禍だが、それは口実でしかなく、実態は会社管理が杜撰なうえ、財務情報に一つも透明性がないことだ。

 2021年のドル建て社債の償還は1120億ドル前後、2020年には1200億ドルを超える。それなら中国の外貨準備高が3兆1000億ドルもあるのだから、それを取り崩せば良いではないかと考えるのは素人。とうに食いつぶしており、ドルを外銀から借りているのが実態なのである。それも貸し渋りが生じており、金利が14%というのもザラである。

 借り換えのために新規社債を起債するという妙手を思いついたが、今年8月末までの新規ドル建て起債はすでに400億ドルに昇り、市場はドル流動性がとまり、ドル需要があっても、外銀は貸し出しをとめているから、債務不履行は時間の問題である。

 こうした危機に関して筆者は小誌でもたびたび指摘したし、田村秀男氏との共著『中国発の金融恐慌に備えよ!』(徳間書店))でも一番問題視してきた。』

ワタミ、劣後ローン30億円調達 居酒屋の3割業態転換

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64235320V20C20A9EA1000/

 ※ おそらく、こういう「居酒屋」チェーンは、提供している「メニュー」における「共通化」「共同仕入れ化」「外注化」が、システマチックに進んでいるんだろう…。
 
 ※ だから、「業態転換」と言っても、その延長線上にあり、既に「イタリア料理店」「唐揚げ店」なんかを展開中のようだ…。

 ※ そこから、さらに「お持ち帰りメニュー」を増やしたり、昼食をターゲットにしたりするのか…。

 ※ いずれ、「転換」と言うが、持っている「リソース」との兼ね合いになろうから、ある程度は「延長線上」のものになるのが現実的なんだろう…。

 ※ ここでも、「売り上げ減」の規模と継続期間、「売り上げ回復」の規模と継続期間の判断が、重要な要素となっている…。

『ワタミは劣後ローンを含めて110億円超を調達する。主力の居酒屋は新型コロナウイルスの感染拡大による時短営業などで売り上げの低迷が続いている。新型コロナの影響が長期化することを見据え、調達した資金で居酒屋店舗の3割を業態転換する。

9月末に横浜銀行から30億円を劣後ローンで調達する。劣後ローンは破綻時の返済順位が通常の借入金より低い。資本性があるとみなされ、今回も15年間、全額資本として認められる。

劣後ローンによって財務悪化を防ぐことができ、それによって金融機関が通常の融資をしやすくなった。そのため100億円を超える借り入れが可能になった。

調達した資金の一部は既存の借り入れの返済に充てるが、大半は店舗改装などの投資に使う。

外食の中でも居酒屋は在宅勤務の普及や夜間の時短営業要請による影響が大きい。ワタミも8月の国内外食事業の既存店売上高は前年同月比64%減と落ち込みが続いており、既に約70店を閉店した。

居酒屋の来店客の回復には時間がかかると判断し、残る約440店のうち、3割にあたる120店について業態を変える。現在でも居酒屋以外にイタリア料理や唐揚げ店を手がけるが、1店舗当たり数千万円かけて全く違う業態を開発する。

新型コロナによって2020年4~6月期の売上高は前年同期比44%減、最終損益は45億円の赤字(前年同期は6500万円の赤字)となった。6月末の自己資本比率は22%と3月末に比べて10ポイント以上低下した。21年3月期も最終赤字は避けられないが、劣後ローンの活用によって15~20%の自己資本比率は確保できる見通しだ。

横浜銀行は中小企業向けに提供していた劣後ローンを、大企業向けに広げる。ワタミ向けには償却前の売上高経常利益率に応じて金利を0.4~1.9%まで3段階設定、返済期間も15年にした。

劣後ローンは新型コロナで業績悪化する企業への支援策として使われている。20年度の第2次補正予算案では劣後ローンや出資枠として約12兆円が盛り込まれた。商工組合中央金庫などの政府系金融機関では中小企業に対する劣後ローンの受け付けが8月から始まっている。』

ANA、2000億円規模の公募増資検討 普通株で

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64248890V20C20A9MM8000/

『 ANAホールディングス(HD)が2000億円規模の公募増資を検討していることが25日、わかった。銀行からの借り入れで当面の資金繰りにメドをつけているが、新型コロナウイルス禍で旅客需要の早期回復は見通せない。危機の長期化に備えて普通株による資本増強に動く。

イブニングスクープ
翌日の朝刊に掲載するホットな独自ニュースやコラムを平日の午後6時ごろに配信します。

ANAHDの2020年4~6月期の連結最終損益は1088億円の赤字だった。特に国際線の落ち込みが深刻で全日本空輸(ANA)の8月の旅客数は前年同月比96%減と低迷が続いている。

ANAHDは6月までに借り入れや融資枠の設定で約1兆円の手元資金を確保した。航空機のリース代や借入金の利払いなどによる資金流出はあるものの当面の運転資金にはメドがついている。

一方、大幅赤字と借入金の増加で財務の健全性を示す自己資本比率は悪化する。8月からは取引銀行と、一部が資本金と認定される劣後ローンで4000億円規模の資金を調達する協議を進めている。ただ資本とみなせるのは半分の2000億円程度にとどまる。

ANAHDは21年3月期に6000億円程度の最終赤字に陥る可能性があり、20年3月期に約1兆円あった自己資本を大幅に毀損しかねない。格付けの維持には劣後ローンによる2000億円の底上げでは不十分だが銀行からの追加調達は難しく、公募による増資が必要と判断したもようだ。

ANAHDの足元の業績は厳しく投資家の需要には不透明感も漂う一方、財務体質が改善することへの期待が高まる可能性もある。日経平均株価が2万3000円台を回復するなど株式相場が堅調なこともANAHDが公募増資に傾く判断の背景にある。

【関連記事】
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ANA、5000億円規模の資本調達で協議

公募増資に合わせて経費削減策も示す。保有する航空機や非中核事業の売却を視野に入れる。航空業界としては政府と空港の使用料や発着料の減免に向けた交渉を進めており、減額幅の調整に入っているもようだ。

新型コロナ禍での収益悪化を受け、航空や自動車など多くの企業が借り入れや融資枠の設定で資金確保に動いている。ただコロナ対応で公募増資の計画が明らかになるのはANAHDが初となる。』

受験生の選択、改革促すか オンラインで授業の質あらわ

受験生の選択、改革促すか オンラインで授業の質あらわ
コロナが変えるキャンパス(5)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64172860U0A920C2SHB000/

※ コロナに伴う「世の中、みんなオンライン化」で、影響受けるのは「大学教育」もか…。

※ ここいら辺の話しを聞くと、「パンデミックは、世界を変える」という説に傾くな…。

※ しかし、「どうせ、元の黙阿弥だ…。ワクチンでも開発されれば、世の中元通り…。変わりはしない…。」という説を唱える人もいるからな…。

※ どういうことになるのかな…。

※ いずれ、どうなってもいいように備えておくことと、「変わるか、変わらないか」を捉える「指標は、何か」ということ、「どういう時間軸で、それを測定して行けばいいのか」を考えておくことが大切のようだ…。

『「対面授業は受けられるようになりますか」。8月下旬、明治大のオンライン個別説明会で高校生が尋ねた。担当者は秋から対面を一部再開すると説明したが、「先行きが不透明で確固としたことは言えない」ともどかしさもにじませた。

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大学国際化に落とし穴 異文化に触れる機会どう確保
学園祭だってウェブ開催 「つながり」回復へ模索
現場に立てぬ不安 実習や実験、必要性問う声も
学生当惑、授業は全てオンライン 対面との両立いかに

明大は昨年のオープンキャンパスで過去最高の約6万人を集めた。今年は3密回避でオンラインに変更した。「実際に足を運んでこそ分かる校風もある。明治の魅力が十分に伝わるか」。入試担当の幹部は気をもむ。

コロナの収束が見えない中、全国の大学が来春の入試動向を固唾をのんで見守る。受験生確保は最優先課題なのに、オープンキャンパスや説明会で大勢の生徒らに直接訴えるのが難しいからだ。

2020年はコロナが深刻化する直前に入試シーズンを終えた。だが大学入学共通テストも始まる21年春の感染状況は誰も読めない。

東京都内の有力私大は受験生の感染に備え追試験を設ける。それでも入試担当者は「感染爆発が起きれば一大学の手に負えなくなる。受験生確保には国レベルの調整が必要になる」と警戒する。

地方出身で大都市の大学に入った1年生の多くは今年、帰省も友人づくりもできず、下宿先でオンライン授業を受けた。

「地方大に受験生の目を向けさせるビッグチャンス」。宮崎大の池ノ上克学長は意気込む。学内で開いていた説明会の代わりに入試担当副学長らが県内の高校を回り、売り込みを図るという。広島大の越智光夫学長も「大都会に出るより、優れた教員が多い広島大の方がよいと中四国の高校生らに訴えたい」と話す。

高校生の志願動向に詳しいベネッセコーポレーションの担当者は「例年よりも大都市部の大学を避ける傾向がある」と分析。駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「オンライン授業の普及で大都市と地方の垣根がなくなる。個性のない大都市の大学は埋没する」とみる。

「偏差値やオープンキャンパスの印象で大学を選ぶ受験生が多いが、授業の質で選ぶ時代が目の前に来ている」。東京の郊外で大学・短大を運営する白梅学園の井原徹理事長も危機感を募らす経営者の一人だ。

オンラインは授業の質が外からでもわかり、悪い評判はすぐ広がる。「授業改革を進めないと資金力が乏しい小規模大学は一気に潰れてしまう」

大都市に立地する巨大私学はどうか。「オンラインなら地方にいても早稲田の授業が受けられる」と早稲田大の田中愛治総長。むしろ地方学生の獲得に有利と期待する。

「オンライン授業が公開され、他大学の授業も聞けるようになると、東京大の一人勝ちになりはしないか」。京都大の山極寿一学長は、文部科学省の会議でこんな発言を聞いた。「競争が激しくなり、大学の数は減るかもしれない」と山極学長。変化の端緒が21年春の入試で見られるのは間違いない。(おわり)

(横山晋一郎、中丸亮夫、秦明日香、西城彰子、金春喜が担当しました。)』

テレワークで地方移住、最大100万円補助 政府21年度から

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64223980V20C20A9MM0000/

『政府は2021年度から、テレワークで東京の仕事を続けつつ地方に移住した人に最大100万円を交付する。地方でIT(情報技術)関連の事業を立ち上げた場合は最大300万円とする。新型コロナウイルスの感染拡大で高まった働き方の変化を踏まえ、地方の活性化につなげる。

21年度予算の概算要求に地方創生推進交付金として1000億円を計上する。これまでも首都圏から移住して地方で起業する場合の支援制度があったが、新たに東京の仕事を地方で続ける人も対象に加える。

新型コロナの感染拡大によって暮らしや働き方に変化が生じ、企業のオフィスに行かず自宅からテレワークする人も増えた。東京一極集中の課題も浮き彫りになり、勤務先や仕事は変えず住居を地方に移す人を財政面で支える。

地方のデジタル化を進めるため、IT事業の立ち上げも支援する。人工知能(AI)の開発やビッグデータ分析など、先端技術を使った仕事が対象になる。

政府は21年度以降、地方公共団体が住民のテレワーク環境を整えるための交付金制度も新設する。費用の最大4分の3を助成する。21年度予算の概算要求に関連費を150億円計上する。

企業の本社から離れた場所に設置するサテライトオフィスやシェアオフィスの確保に充てる。東京でのこれまでの働き方を変えず、地方で仕事を続ける環境を整える。

菅政権は地方創生を優先課題の一つに挙げる。地方で働ける環境を整え、人口減少や少子高齢化の対応につなげる。』

本人確認の難題、揺らぐ「総本山」総務省

本人確認の難題、揺らぐ「総本山」総務省
経済部 広瀬洋平
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64161420T20C20A9EE8000/

『キャッシュレス決済で銀行預金が不正に引き出されていた問題は本人確認の甘さが穴だった。では、そもそも一体どうすれば本人であると確認したことになるのか、あるいは確認できたとみなしうるのか。本人確認の総本山が根本的な問いを突きつけられる事態が生じている。9月10日、総務省が東京地裁に提訴されたのだ。

訴えたのはインターネットサービスのスタートアップ、BotExpress。東京都渋谷区で4月から始めたLINEによる住民票交付サービスについて適法性の確認を求めた。「なりすましの恐れがある」と疑問視する総務省に対して「なりすましの恐れはない」と真っ向から反論している。

焦点のサービスは、申請者がスマートフォンで撮影した自らの写真と免許証などの写真付き本人確認書類の画像を送信すると、人工知能(AI)が画像を照合する。同一人物と判定されれば、住民票記載の自宅住所に郵送で住民票が届く。スマホで顔認証をする「eKYC」と呼ぶ手法は金融機関でも導入されており、免許証のコピーを同封する郵送申請に比べて「格段に安全性が高い」とBot社はみている。しかも住民票記載の住所にしか送付しない仕組みだ。渋谷区は現在も提供を続ける。

総務省は4月、自治体向けの通知で待ったをかけたはずだった。所管する住民制度課の担当者は提訴に困り顔だ。区側とも「新型コロナウイルス対応で忙しいとのことで会えていない」まま今に至る。

提訴を受けて9月15日、当時の高市早苗総務相は「住民基本台帳法上の本人確認がなされていない」と改めて強調した。免許証などの写真自体が偽造の可能性があるのはもちろん、サービスの形式に法的な不備があるとの主張だ。

住基台帳法は住民票の交付について「現に請求の任に当たっているものは(中略)当該請求の任に当たっている者が本人であることを明らかにしなければならない」と原則対面での本人確認を求めている。郵送申請も認めており、署名と押印を本人であることの担保とする。オンライン申請については電子署名法に基づく電子署名を用いると定める。

4月の通知も業者独自の認証ではなくマイナンバーカードに搭載する電子署名を使うよう求める内容だった。住民制度課は「住民票は様々な行政サービスに使われる。最も厳格な本人確認が必要だ」と説く。カードをつくるには申請時か受取時に自治体の窓口を訪れて対面で本人確認を受ける必要がある。「基礎の部分でしっかり確認して交付しているからこそ、その後のオンライン申請が可能になる」というわけだ。引っ越し時に転入先の自治体に提出する転入届についても「住民記録は行政サービスの根幹をなす」との立場から窓口での受理しか認めていない。

問題は公的な本人確認の基礎となるマイナンバーカードが普及が進んでいないことだ。2016年の交付開始から4年が過ぎた9月1日時点で交付率は19.4%にとどまる。対面取得が面倒などの不満は後を絶たない。便利な民間サービスが広がっているのに、生活に浸透していない手段をあえて使うインセンティブは乏しい。

郵送申請は署名と押印があれば本人とみなす。それ自体は民事訴訟法に基づく扱いだ。しかし政府が一方でデジタル化の旗を振りながら、民間で普及しつつある顔認証の電子技術「eKYC」についてなりすましの危険性があると断じる運用は理解を得にくい。住民記録は地方が権限を持つ「自治事務」の代表格でもある。一部の自治体は総務省から「指導」を受ける筋合いはないと不満をくすぶらせる。「マイナンバーカードを普及させたいだけではないか」とうがった見方さえ出ている。

もとより完全無欠な本人確認は難しい。さらに今はデジタルサービスの広がりという変数も加わる。堅固なはずの銀行預金のシステムが揺らぎ、総務省がつかさどってきたはずの真正性それ自体が問い直されている。目先の混乱を収拾するだけに終わらない解が求められている。』

アビガン効果検証大幅遅れ 治験体制、欧米と大差

アビガン効果検証大幅遅れ 治験体制、欧米と大差
被験者集めにコストと時間
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64233890V20C20A9EA1000/

『富士フイルムホールディングスが新型コロナウイルス感染症に対する「アビガン」の臨床試験(治験)で、効果を確認したと23日に発表した。治験は3月末に始め6月に終わる予定だったが大幅に遅れ、承認申請は10月以降にずれ込む。途中で新たな感染者が減り患者集めが難航した影響もあるが、国の体制整備が不十分な点も大きい。

【関連記事】
富士フイルム、10月にもアビガン承認申請
「米国の治験のスピード感、規模感、体制に圧倒された」。8月下旬に都内で開かれた日本感染症学会の講演で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は明かした。

大曲医師は2月、米医師らの打診を受けて米企業の「レムデシビル」の効果を調べる国際共同治験に加わった。4月に1000人規模で検証し患者の回復が早まると確認されたが、迅速に計画を進める「米国に必死に食らいついていった」。結局、米当局がレムデシビルに緊急使用許可を出し、日本も特例承認した。

新型コロナがパンデミック(世界的流行)を起こし各国が一斉に治療薬探しや治験に向けて走り出した。その中でも米国には周到な準備と国を挙げた取り組みがあった。

2001年に炭疽(たんそ)菌テロが起きた米国はバイオテロと感染症対策を並行して進める法律を作った。感染症対策を国の安全保障の柱の一つと位置づけ、平時から感染症をリスト化して研究開発を支援してきた。レムデシビルの早期承認は備えが生きた格好だ。

別の薬「デキサメタゾン」の治療効果を確かめた英国も同様だ。首席医務官らが医療機関や患者に、オックスフォード大学主導の治験への協力を要請した。国家事業となった治験には患者1万人超が加わった。6月、デキサメタゾン投与による死亡率改善を報告した。

一方、日本が5月中の承認を目指したアビガンは治験ではなく「観察研究」での投与が主流となった。患者が同意し医師が必要と判断したら投与できる仕組みで、手っ取り早い。アビガンへの期待の高まりに押され、学会が定めた投与条件もなし崩し的に緩和された。

8月下旬までに5000人以上に投与したが有効性は示せない。効果検証には投与した患者としなかった患者で結果を比べる必要があるからだ。

日本でも3月から2つの比較試験を始めた。藤田医科大学の臨床研究と富士フイルムの治験だ。 だが参加患者数は前者が89人、後者が156人にとどまった。「医療現場は治験どころではなく、被験者集めに苦労した」と同社幹部は打ち明ける。患者数が少なくアビガンの有効性を確認できなかった藤田医大の土井洋平教授は日本には試験が早く進まない「構造的な課題がある」と話す。

日本は小規模病院が多く、患者数をそろえるのには多くの病院の協力が要る。海外より時間がかかり、製薬会社のコストも増える。国立病院機構の楠岡英雄理事長は「20年間で改善したが欧米に比べると不十分だ。厚生労働省に繰り返し提言してきたが、遅々として進まない」と指摘する。

公的機関が治験の候補薬の優先順位を決めたり全国規模の体制を作ったりするなどの戦略を練ることもなく、小規模試験が複数立ち上がり分散した。緊急時の治験手順もなく、どこまで科学的厳密さを追求するかを巡り富士フイルムは厚労省との調整に手間取った。

海外の成功事例との差を目の当たりにし責任の押しつけ合いも起きている。「なぜ最初から、きちんと効果を比較できる全国規模の試験を組み立てられなかったのか」。国の医療研究の司令塔である日本医療研究開発機構(AMED)の8月の審議会で、委員から疑問の声が上がった。

その場では回答がなかったが、AMED幹部は「観察研究か別の形かを決めるのは厚労省だ。我々に権限はない」と話す。一方、同省幹部は「優れた計画を選ぶのはAMEDの役目だ」と反論する。

有用なデータを素早く出せれば緊急時の政策や診療に生かせる。日本は大規模な治験などが進みやすい仕組みを作る必要がある。手間と時間がかかる治験などを担う医師らの養成も重要だ。国の実行力が問われている。

(編集委員 安藤淳、岩井淳哉)』

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界

威嚇に懸ける、中国爆撃機の性能と限界
太平洋に進出すればただの「標的」を必要以上に恐れるな
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62209

 ※ 紹介、引用、転載に問題がある場合は、Word Press.comの方に連絡してください。

『爆撃機は、大型の機体であり、大量の爆弾を搭載して飛来し、その爆弾を落とす恐ろしい兵器だというイメージが強い。

 米空軍爆撃機が第2次世界大戦で、日本やドイツを爆撃した時やベトナム戦争で北ベトナムを爆撃した時の映像が頭に残っているからだろう。

 そのため、中国の爆撃機が西沙諸島に配備されたり、南西諸島の宮古海峡を越えて西太平洋に進出したり、台湾の防空識別圏に侵入したりしたことを写真つきでメディアに取り上げられると、国民は大きな衝撃を受ける。

 戦時であれば、中露の爆撃機は、相手国に接近するだけで撃墜されるだろう。

 しかし、平時には撃墜される恐れがないため、あからさまに接近して威圧する行動に出ることがある。

 メディアは、これらのことを「爆撃機の脅威」という文字で表わすことが多い。これを見た国民が不安や恐れを抱くことがある。

 このため、過剰な不安や恐れを抱かないために、これらが現実的に生起することなのか、脅しのために見せつける行動なのかを区別して理解する必要がある。

 現在の爆撃機の運用は、過去のイメージを変えている。

 図体がでかく飛行速度も遅い爆撃機は、防空ミサイルや戦闘機から容易に撃墜される。

 そこで爆撃機は、防空ミサイルの射撃を避けて、防空ミサイルの射程外(アウトレンジ)から大型で長射程のミサイルを撃ち込むように変更している。

近年では、射程を延伸して敵の戦闘機や艦艇のミサイルの範囲外、つまり友軍の掩護を受けた空域からミサイルを発射する能力を持つ。

 米空軍の「B2」ステルス爆撃機だけは、防空レーダーに映らないために、敵国の内陸部まで侵入し、約14トンもの超大型貫通爆弾を撃ち込むことができる。

 当然、長射程のミサイルも使用できる。

 中国空軍は、まだステルス爆撃機を保有していないので、友軍から掩護された空域から長射程のミサイルを撃ち込む戦略を採用せざるを得ない。

 では、中国空軍爆撃機の脅威とは、どのようなものなのか。

 特に中国本土や南シナ海の西沙諸島に展開する爆撃機が、日本、台湾、南シナ海を取り囲む国々およびグアム島に対してはどうかなどを分析し解説する。

旧式爆撃機の改良にとどまっている現実
 中国空軍は1994年頃、「H-5」爆撃機(旧ソ連名「Iℓ-28ビーグル」)を350機、「H-6」爆撃機(旧ソ連名「Tu-16バジャー」)を中国国内でライセンス生産し約120機を保有していた。

 2020年現在では、H-5爆撃機は、すでにすべて廃棄し、H-6爆撃機を約180機保有している。

 H-5爆撃機を使用しているのは現在、世界でも北朝鮮に80機あるだけだ。他の国では、軍事博物館に飾ってある。

 H-6爆撃機は、ロシアでは1993~94年頃には、旧式であることを理由に破棄された。ロシアが、この型の爆撃機を6機廃棄してから、約25年以上も経過している。

中国のH-6爆撃機でもかなり旧式であることから、「Tu-22M」超音速爆撃機(バックファイア)をロシアから導入しようとしたが、何らかの理由で、実現しなかった。

 2017年にTu-22M×1機が国際行事のために、中国の長春を訪問した。売買交渉が続いているのかもしれない。

 超音速爆撃機を導入できないためか、中国はロシアが廃棄したTu-16爆撃機を新たにH-5爆撃機として製造している。

 長射程のミサイル、特に、約2000キロの巡航ミサイルや約1500キロの弾道ミサイルを搭載し、長い槍で日米や周辺諸国を衝く空・海軍戦略を考えているようだ。

 中国空軍は、射程40キロの巡航ミサイルや射程250キロの対艦ミサイル搭載の「H/M型」を60機、長射程巡航ミサイル(射程1500~2000キロの「長剣-10」:「CJ-10A」)搭載のK型を100機、射程1500キロの「DF-21D」対艦弾道ミサイル搭載のN型を4機以上保有している。

 中国海軍は、射程約250キロの空対艦ミサイル「YJ-83A」を装備したG型を27機、射程400キロの超音速対艦巡航ミサイル「YJ-12」や射程250キロの対艦弾道ミサイル「CM-401」を搭載可能なJ型を8機保有している。

中国爆撃機はグアム島まで攻撃可能か
 中国沿岸部や南シナ海の西沙諸島からグアム島まで4000~5000キロである。

 H-6爆撃機は、戦闘行動半径3500キロと長射程巡航ミサイルの射程2000キロをプラスすれば、計算上は、空対空のミサイルがグアム島まで到達できる(図1参照)。

だが戦時ではどうなのか。

 H-6爆撃機は、最大速度が時速1050キロである。Tu-22M爆撃機は時速約2300キロ、「Su-27」戦闘機が2500キロであり、それらと比べると半分以下だ。

 大型で飛行速度が遅い爆撃機は、防空ミサイルの標的になる。

 遅い速度で、戦闘機の防空掩護なく、あるいは、あったとしても空中給油を受ける戦闘機だけの防空掩護で、南西諸島やフィリピンと台湾間のバシー海峡を通過して、3500キロを移動すれば、米空母の戦闘機や米海軍イージス艦の防空ミサイルに容易に撃墜されてしまう。

 日本が南西諸島に配備する防空ミサイルが残存していれば、そこを越えて飛行することはできないであろう。

 戦時では、図体がでかくのろまな航空機がミサイルの射程圏内に入って来れば、容易に撃墜される。

 同様に随伴する空中給油機も戦闘機も同じ速度で飛行するので、同様であろう。

 これは、自殺行為である。

 おとりために出て来る以外、戦時、みすみすやられるために西太平洋に出て来ることは有り得ない。

 では、中国爆撃機はどうするか。

 爆撃機は、撃墜されないために、中国の沿岸部から発進して上空に上がっても、Su-27戦闘機から掩護される空域から出ることはないであろう。

 そうなると、Su-27戦闘機の戦闘行動半径以内、おおよそ南西諸島のライン付近からは出られない。

 この範囲から、長射程巡航ミサイルが届く範囲の目標は攻撃できるが、それよりも遠方にあるグアムを攻撃できないことになる(図2参照)。

東シナ海での威嚇飛行の狙いは
 H-6爆撃機は、次の3つのパターンで飛行すると考えられる。

①沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を越えて、西太平洋に進出して中国に戻る。

②宮古海峡を越えて台湾の東に接近する。

③対馬海峡を越えて、日本海に進出する。

 この時、爆撃機を支援する戦闘機が、南西諸島まで掩護して随伴飛行をする。つまり、戦闘機の戦闘行動半径付近までは、戦闘機が爆撃機を掩護する。

 爆撃機のパイロットは、戦闘機の掩護がなければ、単独では行動できないことを知っている。

 爆撃機は、援護がなくなってから延々と単独飛行をして、爆撃機の戦闘行動半径の3500キロを飛行しているのかというとそうではない。

 西太平洋への単独飛行はせいぜい100キロ程度だ。台湾方面へは、単なる威嚇飛行であり、撃墜される可能性はないことを承知で、約300キロ単独飛行をしている。

 戦時の戦闘行動では、まず、南西諸島に配備されている防空ミサイルシステムを完全に破壊しない限り、南西諸島を通過して、西太平洋に出ることは不可能である。

 平時では、国際海峡の上空を通過するだけでは、その航空機を撃墜することはできないので、中国の爆撃機は日本や台湾を威嚇するために、堂々と飛行しているのだ。

 戦時には、中国爆撃機がこのような行動を取れば、直ちに撃墜されることになるであろう。

では、台湾有事になれば、日本はどうすべきなのか。

 日本は、中国軍機の行動を、見て見ぬふりをして沈黙するのではなく、南西諸島一帯での、中国軍機の飛行を禁止することを世界に宣言すべきである。

図3 平成28年9月25日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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図4 平成28年12月10日中国軍機の行動概要

出典:防衛省統合幕僚監部プレスリリースに筆者コメント
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西沙諸島への爆撃機展開の狙い
 まず、中国による南シナ海の占拠の違法性についてである。

 南シナ海において一方的な海洋権限を主張する中国に対し、2016年、オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所は、中国の主張を全面的に否定する裁定を下した。

 つまり、中国は南シナ海を不法に占拠しているのである。

 中国軍用機専門ブログ「CMA」は8月、中国人民解放軍海軍が、南シナ海のウッディー島(中国名・永興島)にH-6J×1機を展開したと伝え、関連写真を公開した。

 展開という表現は、一時的に着陸して短い期間滞在したものか、長期間の配備なのかを判断しなければならない。

 長期間の配備の可能性について検討すると、爆撃機を西沙諸島の永興島に長期間実戦的に配備するのであれば、この爆撃機を守るために、南沙方面の人工島に戦闘機を数十機配備しなければならなくなる。

 戦闘機の掩護の配備がなくて、爆撃機を配備することは、自滅行為に等しい。米海軍の艦対地ミサイルに簡単に破壊される恐れがあるからだ。

 よって、永興島への一時的で短時間の展開であったと見るべきであろう。では、その狙いは何か。

 中国による南シナ海領有の既成事実化であり、周辺諸国への軍事的恫喝である。

 実戦で、この爆撃機が周辺諸国に使用できるのかというと、米海軍が存在し、あるいは周辺諸国が防空ミサイル装備の艦艇を保有していれば、その行動は大きく制限されるであろう。

中国軍爆撃機の真の脅威とは
 中露の大型の爆撃機が、現実にわが国の周辺に接近飛行し、時には領空侵犯を行う。

 かつて、米ソ冷戦時代、旧ソ連空軍遠距離航空隊の爆撃機が日本に接近し、航空自衛隊のレーダーサイトを明らかに攻撃する航跡を取ったことが何度もあった。

 最近では、中露の爆撃機が東シナ海から日本海にかけて共同訓練を行った。

 中国の爆撃機が、台湾を威嚇する飛行も行い、南シナ海では、西沙諸島の永興島に一時的に展開し、周辺諸国を威圧し、領有の既成事実化を図っている。

 中国の習近平国家主席は、中国が保有する兵器を防衛的なものと言う。だが、これらの兵器の保有と行動は、中国が意図的に行っているものであり、極めて威圧的である。

「遼寧」などの大型空母、長射程のミサイルを搭載した爆撃機、大量の弾道ミサイルは、周辺国を脅かす兵器だ。

 だが、これらの兵器や行動を恐れるだけではいけない。存在自体に、また、白紙的な計算で攻撃される恐れがあるからといってむやみに恐れてはいけない。

 その兵器の実態、具体的には戦闘における強さ、運用の限度、弱点を知って、勝てる対策を講じることが必要である。

 戦闘の場面を考察し、どのような脅威があるのかを知っておくべきだ。

 ただむやみに恐れることは、中国の威圧的な宣伝戦に踊らされることである。

 これらは、防衛担当者や軍事専門家だけが、知っておけば良いものではない。日本国民全体が、メディアが、中国の宣伝戦に揺さぶられて、右往左往しないことだ。

 国を守るということは、国民が軍事力について恐怖を感じるのではなく、具体的な知識を持つことであり、そして防衛兵器を保有し、防衛政策に生かすということであろう。』

「戦狼中国は日米開戦・真珠湾攻撃前の日本」で大激論

「戦狼中国は日米開戦・真珠湾攻撃前の日本」で大激論
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63856750V10C20A9I10000/

『「戦狼外交」に象徴される威勢のよい声ばかりはびこる中国で、日米開戦前の日本の失敗を教訓にすべきだとする冷静な警告が相次いで現れ、大論争を巻き起こしている。激論の焦点の一つは、1941年、ハワイ真珠湾攻撃に至る前に目立った四方八方を敵にする日本である。

日本海軍航空隊による真珠湾攻撃で炎上する米軍戦艦「カリフォルニア」=1941年12月8日(ホノルル・アリゾナ記念館蔵)=共同
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共産党・政府の政策を正面から批判できない現代中国の体制下では、時に過去の歴史を暗喩として現政権に諫言(かんげん)する複雑な手法がとられてきた。今回は国家主席、習近平(シー・ジンピン)「一強体制」と関係が深い現外交路線への婉曲(えんきょく)な批判だけに注目度は高い。

1941年当時、国民党政権の中華民国は日本と戦争中で、戦後の日中国交回復後も共産党政権が過去の日本の軍国主義を厳しく批判してきた。その宿敵、日本と今の中国が似た過ちを犯していると示唆する論旨は、斬新な半面、政治的にはかなりのリスクをはらむ。

■「体制内」の学者らから諫言

確かに中国の現状は厳しい。南シナ海、香港、台湾といった問題も絡む米トランプ政権との対峙、報復合戦に陥ったオーストラリアとの関係、45年ぶりに死者を出したインドとの衝突、華為技術(ファーウェイ)が絡むカナダとの摩擦、台湾が関係するチェコとの確執……。

日米開戦を報じた中外商業新報
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さらに中国寄りが目立ったドイツも初のインド・太平洋外交の指針(ガイドライン)を閣議決定するなど微妙にスタンスを変え始めた。

真珠湾攻撃前の日本が登場する話題の学者の論文は2つある。いずれも共産党体制内の人物だ。まずは外交官出身の学者、袁南生。「多くの国に同時に対抗するのは、ただ外交の災難だけであろうか」と題した文章で「四方を全て敵にするのは外交の失敗」と断じ、その危険性を歴史を振り返りながら批判した。

袁は、ハワイ真珠湾攻撃によって米、英、フランス、豪、中国、最後はソ連までも同時に敵にした日本の例を挙げた。これに関連して、新型コロナウイルス禍で再注目された米国の学者、ジャレド・ダイアモンドの著書も引用し、自らの能力を高く評価しすぎた結果、壊滅的な結果を招いた当時の日本統治者のミスも指摘した。

また、周りを全て敵にする外交の典型として、清時代の1900年、西太后が、民意に押される形で義和団とともに排外主義に走ったケースも例示している。この時はロシア、英、米、仏、ドイツ、日本、イタリアなど8カ国連合軍が北京に入り、最終的に計11カ国を相手に屈辱的な北京議定書が交わされた。

ほかにも史実を挙げて「外交が民意に拉致されてしまう危険」を訴えている。駐サンフランシスコ中国総領事を務め、外交官を養成する外交学院の共産党委員会トップまで歴任した学者だけに説得力がある。「非常に理性的な文章だ」。中国の知識人らからは評価する声が多い。

■「売国奴」との批判

一方、交流サイト上では、中国で「左」と呼ばれる民族主義の色濃い面々から、先鋭的な攻撃を受けている。「この書き手は売国奴だ」「学校帰りに5人の不良に脅されて小銭を巻き上げられたのに、その5人を敵としないのか」。5人とは米、豪、インド、カナダ、チェコを指すようだ。

これだけの論争が起き、習近平時代の外交政策への批判と受けとめられているのに、当初は論文が検閲当局による削除対象にならなかったのは興味をひく。関係者は「内部に同調する意見が一定数あることを意味する」と解説する。とはいえ発表から1週間近くを経て、ネット上の大論争が収拾しにくくなると、ついに閲覧不能になった。

米軍が2015年5月に公表した、南沙(英語名スプラトリー)諸島のミスチーフ礁の画像=ロイター
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もう一つの論文は中国新権威主義を代表する学者、蕭功秦が米中関係を論じたものだ。1941年央にベトナムのカムラン湾など南部仏印(フランス領インドシナ)に進駐した日本軍の行動が、フィリピンを含む米国の核心的な利益を侵すとみなされ、日本を正面から敵視。最終的に真珠湾攻撃で日米開戦に至る過程を指摘している。

1940年夏より前、米国は日本の中国侵略に抗議していたが、なお対日経済関係は保たれ、鉄スクラップ、石油を日本に供給していた経緯にわざわざ触れているのが興味深い。

ところが日米開戦前になると、米国は鉄スクラップの禁輸から、南部仏印進駐を契機にした対日石油全面禁輸に踏み込む。いわゆる「ABCD包囲網」の完成である。米英中にオランダを加えた対日貿易制限は日本に大きな痛手を与えた。南部仏印進駐はマレー、ビルマといった英国の権益にも脅威を与え、米英がともに「喉元に突き付けられた刃」と感じたのは大きい。

最終的に日米開戦の引き金となったのが、日本軍によるインドシナ半島の南部仏印進駐だという歴史的経緯は、中国ではそれほど知られていない。もし、これがもう少し広く認識されていれば、中国の行動に変化が出たのかどうか。

論文の筆者である蕭はそこまで説明していないが、あえて深読みすれば、日本軍による南部仏印進駐が現在の中国による南シナ海での人工島造成と軍事化。米国が日本に供給していた鉄スクラップと石油は、現代中国が米国中心の供給網に依存してきた半導体とその関連技術に見えてくる。

80年近く時を隔てた日本軍の南部仏印進駐と、中国による南シナ海の人工島造成。米国が自国の利益への挑戦とみなす点では確かに両者は酷似している。

米国ではオバマ政権からトランプ政権に変わっても当初はハイテク分野で中国との交流を保っていた。しかし、15日に発効したファーウェイへの新たな輸出規制が象徴する現在の米中関係は、もはや摩擦の域を超え、軍事的な衝突だけがない「戦争状態」に近い。

中国の習近平国家主席(右)と会談するトランプ米大統領(2019年6月、大阪市)=AP
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米国は7月、南シナ海で権益拡大に動く中国の行動を「違法」と断じた。南シナ海を巡る中国の主権主張を全面的に退けた2016年のオランダ・ハーグの仲裁裁判所判断を支持する立場からだった。米国務長官のポンペオは声明で「世界は中国が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うのを認めない」という強い態度を示した。

中国国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)は「米国は南シナ海の軍事化の最大の推進者であり、地域の平和に対する最も危険な要因だ」と反論している。だが、米側が「違法」と踏み込んだ以上、次に違法状態解消に向けた具体的行動に踏み切ることになる。人工島造成に関与した中国企業への制裁はその一環だ。

■日本まで敵にしないために

安倍晋三が2度目の首相に就任したのは12年12月。習近平が共産党トップに就いた1カ月余り後で、2人はほぼ同じ時期、日中のトップにいた。7年8カ月ぶりとなる日本の首相交代で注目されるのが日中関係である。

自民党の両院議員総会で安倍首相(左)に花束を手渡す菅新総裁(14日午後、東京都内のホテル)=共同
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新首相となる菅義偉は、先の自民党総裁選を巡る日本記者クラブでの討論会で、元幹事長の石破茂が提起するアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想に批判の目を向けた。「米中が対立する中で、反中包囲網にならざるを得ないのではないか」。日米同盟を基軸とする戦略外交を掲げながらも、日米開戦前の対日包囲網を思い起こさせる「反中包囲網」には慎重な姿勢に見える。

ただ、コロナ禍で延期された習近平国賓来日の今後については、まだ具体的な日程を考える時期ではないとしている。

習近平政権は日本の新政権にどう対処するのか。沖縄県の尖閣諸島などを巡って日本との確執が強まれば、やがて反中包囲網づくりが現実化する。中国は、身内の学者らが諫言した四方の敵をさらに増やさない知恵を持ち合わせているのか。今こそ真珠湾攻撃に至った過去の日本の失敗に学ぶべきだ。そうでなければ大惨事を招きかねない。(敬称略)』

課題山積みのデジタル庁 権限・予算で綱引き

『菅政権が看板政策に掲げる「デジタル庁」創設に向けた議論では、権限や予算をどう位置付けるか課題は山積みだ。省庁の縦割りを打破してデジタル化の断行を目指すが、今後、衆院選もにらんで成果としたい首相官邸と権限を握る各省庁の綱引きが予想される。
菅首相、デジタル庁「官民から人材」 基本方針、年末取りまとめ

 「デジタル庁創設はわが国の経済・社会の大きな転換につながる改革で、今までにないスピードで取り組む必要がある」。菅義偉首相は23日の閣僚会議で改革に全力を挙げる考えを強調した。
 デジタル庁創設は、新型コロナウイルス感染拡大を機に顕在化したデジタル化の遅れを受けたもの。マイナンバーカードの普及率は2割に満たず、10万円の現金給付などで現場の混乱を招いた。首相の思いは強く、内閣官房、総務省、経済産業省などに散らばるデジタル政策を集約し、権限を一元化したい考えだ。
 焦点はデジタル庁が予算要求や配分、実施権限を一括して担えるかどうかだ。現在は、省庁ごとに政策の実施を担っており、平井卓也デジタル改革担当相は20日の民放番組で「予算要求段階からデジタル庁でやろうと思っている」と意欲を示した。ただ、権限を実際にデジタル庁に移すことになれば、各省庁の反発は必至。政権の思惑通りに運ぶかは不透明だ。
 組織の在り方も課題だ。政府内には、設置期間を定めた時限組織が望ましいとの意見がある。政権幹部の一人は「機能的には恒久的に必要なものではない」と指摘。期限を区切ることで集中的にデジタル化に取り組む狙いがあるとみられる。
 時限組織の事例としては、東日本大震災からの復興を目的に2012年2月に発足した復興庁がある。政府関係者は「イメージは復興庁。デジタル庁に司令部を集め、実務部隊は各省庁に置く」と解説する。ただ、平井氏は23日、記者団に対し「課題は時限的に解決できるような問題ではない」との考えを示しており、政府内の調整が難航する可能性もある。
 菅政権は国と地方のシステム統一化も目指すが、「地方を縛ることはできない」(政権幹部)ため、地方自治体の理解を得ながら進めることが不可欠だ。また、政府が個人情報を把握することへの国民の抵抗感は根強く、丁寧な説明が必要となる。』