加藤官房長官、調整力に定評 霞が関熟知「もろ刃の剣」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63930130W0A910C2PP8000/?n_cid=TRPN0017

『菅義偉首相は自身の後任となる官房長官に加藤勝信前厚生労働相を選んだ。旧大蔵省出身で行政の実務に詳しく、調整能力にたけた点が起用の決め手となった。霞が関の仕組みを熟知するのはもろ刃の剣だ。時に政治家としての突破力を鈍らせるおそれもある。

加藤氏は2012年12月の第2次安倍政権発足後、官房副長官として3年近く官房長官の菅氏を支えた。このとき初代の内閣人事局長も兼務した。首相官邸主導の人事の流れを穏当につくり、霞が関から信任を得た。

同時期に官房副長官を務めた世耕弘成参院幹事長は「堅実な方だ。霞が関の特徴や習性も熟知している」と評価する。

内閣の要としては調整力だけでなく、首相が掲げる各府省のあしき前例主義や縦割りの打破をどう具現化するかも課題となる。

新型コロナウイルス対策を指揮した厚労相時代はPCR検査の検査能力をなかなか高められず「目詰まり」を指摘され続けた。治療薬開発では安全性の観点から早期承認に慎重な厚労省側の立場を重視し、安倍晋三前首相ら開発を急ぎたい官邸側とぶつかった。

牧原出東大教授は「菅氏は内政の調整を掌握する『官房長官型の首相』で、加藤氏は菅氏をサポートする『官房副長官型の官房長官』だ」と分析する。「安倍政権は行き過ぎた官邸主導だった。菅政権は穏当な政治主導の手腕が問われる」と語る。

加藤氏は国会答弁で、質問に真正面から答えず論点をずらして逃げると野党から批判されたこともある。牧原氏は「新型コロナ対策は国民の納得をいかに得るかが重要だ。手堅い答弁だけでは政府の信頼を回復できるか分からない」と指摘する。』