英貿易相「TPP加盟へ、参加国と非公式協議重ねる」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63783620S0A910C2I00000/

『【ロンドン=中島裕介】日英両政府が11日に経済連携協定(EPA)で大筋合意したのを受け、英国のトラス国際貿易相は日本経済新聞の書面インタビューに応じた。次のステップとなる環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟申請へ、参加国との非公式協議を重ねる方針を示した。

日英間の貿易は年末までは日本と欧州連合(EU)が結んでいる経済連携協定(EPA)に基づく関税優遇措置が適用される。だが英のEU離脱に伴い、離脱の移行期間が終わる20年末までに日英が新たな通商協定を結ばなければ、急に関税が上がる懸念があった。

これを防ぐため日英は6月から交渉を始め、11日の茂木敏充外相とトラス氏とのテレビ会議で大筋合意を確認した。決裂が危ぶまれるEUとの自由貿易協定(FTA)交渉についてトラス氏は「合意に向け懸命に努力している」と述べた。

茂木敏充外相とトラス英国際貿易相は11日、テレビ会談で日英通商協定の大筋合意を確認した(英国際貿易省提供)

インタビューの主なやりとりは次の通り。

――今回の大筋合意の意義をどうみるか。

「新たに(EUから)独立した貿易国として、世界第3位の経済大国の日本との関係を強化する非常に重要な合意だ。デジタルとデータ分野で最先端の条項で合意するなど、日欧EPAを超える多くの成果もあった。この合意はアジア太平洋の玄関口となり、世界最大のFTAの一つであるTPP加盟への重要な一歩にもなる」

――そのTPP加盟に向けた検討状況や正式な加盟申請の時期は。

「最近、現参加11カ国の首席交渉官らと英国の加盟について議論した。引き続き政府高官レベルでの協議を重ねていく。これは正式な加盟申請をする前にすべての現参加国と非公式に関係を構築し、お互いの懸念や疑問に対処するのに必要なプロセスだ」

「TPPへの加盟は日本のような国とともに自由貿易を支持し、保護主義と戦う準備ができていることを示す強力なシグナルとなる。最終的には非公式協議が進捗し、国益に資する交渉ができるとの確信を得て正式に加盟申請する。この点での日本政府の支援にはたいへん感謝している」

――日英交渉ではどの分野で苦労したか。チーズなど農産品の調整が難航した印象がある。

「昔から(交渉事には)『すべての合意まで何も合意されない』とのことわざがあるが、最終的な課題の一つがまさに農産品だった。結果的に農産品の輸出業者にも消費者にも有用な合意ができた。日本の消費者には来年にも英国産のスパークリングワインやラム肉、チーズを楽しんでもらえる。英国の消費者が神戸牛や日本酒を楽しむことも期待している」

「(今回の交渉で)手ごわかったのは、新型コロナウイルスの影響で通常の対面交渉がほぼできなかったことだ。今回の合意は史上初めてオンラインで完全に交渉された通商協定であり、史上最速の大筋合意であると信じている。合意に達するための日英両国の共通の価値観と決意の表れだ」

――直近ではEUとのFTA交渉が難航している。対米交渉の合意も米大統領選前は難しい。

「EUとの通商交渉は(10日までに)8回の協議が終わっており、引き続き合意に向けて懸命に努力することを約束している。米国との交渉も前向きかつ建設的で、包括的な合意に向けて前進しているのは確かだ」

「EUを出た私たちは域外の主要国と通商協定は結べないとか、質が下がった協定になるなどと言われてきたが、今回の大筋合意でその批判が間違っていることを証明した。今後も外に開いた独立国家として、世界貿易の素晴らしい機会を獲得できると確信している」』