自民総裁選後を占う地方票 菅氏「圧勝」目指す

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『8日に告示する自民党総裁選は菅義偉官房長官が国会議員票で優勢に立ち、地方票の行方に関心が集まっている。報道各社の最近の世論調査では「ポスト安倍」で菅氏が1位になり、議員票と地方票で共に菅氏が勝利する可能性が取り沙汰される。地方票の獲得数は立候補する3氏の今後を占う。

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菅氏が立候補を表明して岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏で総裁選を争う構図が決まったのは2日だ。その後の主な世論調査では菅氏に期待が集まった。

安倍晋三首相が辞任を表明した直後の8月末に実施した日本経済新聞や共同通信の世論調査では、トップは石破氏だった。河野太郎防衛相も支持を集めており、菅氏は石破氏の半分以下の支持だった。

単純比較はできないが、菅氏は9月2~3日の朝日新聞の調査では38%、4~6日の読売新聞の調査では46%の支持を集め、それぞれ2位の石破氏に13ポイント差をつけた。

朝日や読売の調査は3氏だけの名前を挙げて質問した。両社とも自民党支持層の菅氏への支持も全体より高い。このため党内では「地方票でも菅氏支持の動きが広がる」との見方が出ている。

今回の総裁選は全国一斉の党員・党友投票を見送り、両院議員総会で新総裁を選ぶ。国会議員394、地方141の計535票で争う。約4分の3を占める議員票は、菅氏が党内5派閥の支持を得て優勢だ。約4分の1の地方票は同党の47都道府県連が各3票を投じる。どう投票するかは各組織が決める。

日経新聞の取材によると47都道府県連のうち44が党員投票を取り入れた予備選をする。党員投票で1位の候補に3票すべて投じる「総取り」が東京や埼玉など6、党員投票数に応じて各候補に3票を配分する「ドント」が35ある。奈良は「1位に2票、2位に1票」の独自方式だ。2県連は「予備選は実施するが方式は未定」と回答した。

3氏で争う場合「総取り」は1位になれば最低3分の1超の得票で3票すべてとれる。「ドント」で総取りするには2位に3倍超の差が必要になるためハードルが高い。

菅氏の選挙区がある地元の神奈川、菅氏を支持する二階俊博幹事長の地元の和歌山は共に総取りだ。岸田、石破両氏の地元の広島、鳥取は「ドント」で圧勝が難しい。菅氏の出身地の秋田は予備選はせず菅氏に3票投じると表明している。

「地方票でも圧勝することができれば、菅政権の正統性につながる」。菅氏の陣営幹部は強調する。優勢な議員票だけでなく地方でも十分な支持を得れば、次期首相に就任した際の政権基盤が強くなるとみている。

岸田、石破両氏には地方票はさらに重要だ。議員票の多くを菅氏が得るなら、票の上積み余地は地方票になる。2位か3位かも地方票次第になりかねない。2位以下になっても一定の地方票をとれば「世論の支持がある」との評価で次期総裁選への出馬につながる。

地方票が少なければ「人気がない」との印象がつき、今後の総裁選出馬が難しくなる可能性もある。石破氏は2018年総裁選で地方票の45%を得た。今回どれだけとれるかが注目されている。』