中国、半導体の輸入急増 ファーウェイ駆け込み調達か

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『【北京=川手伊織、広州=川上尚志】中国が半導体輸入を増やしている。中国税関総署が7日公表した2020年8月の貿易統計によると、集積回路の輸入額は単月で過去2番目の大きさを記録。数量でも最多だった7月に続いて高水準だった。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が米国による禁輸措置の厳格化を前に、駆け込みで調達している。

「9月中旬までに発注済みの部品を納品してほしい」。ファーウェイは日本や台湾の部品調達先に納品を急ぐよう求めている。米商務省が、9月中旬から事実上の禁輸措置を強化し、米国技術が関わる半導体などが同社にわたるのを完全に遮断するためだ。

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8月の集積回路の輸入額は前年同月比11%増の311億ドル(約3兆3千億円)と、18年9月に次ぐ水準だ。数量も19年秋から増え、20年7月に469億個と最高を記録し、8月も442億個と引き続き高水準の輸入量だった。

半導体の主要輸入先である台湾からの輸入額は8月に2割増の186億ドルとなり、単月で過去最高を更新した。台湾からの輸入増加も半導体の駆け込み調達をうかがわせる。

中国商務省も「米国の対中輸出規制の厳格化は一部の輸入に間違いなく影響を及ぼしてきた」と指摘してきた。米国による新たな禁輸措置の強化で、中国の半導体輸入は10月以降、落ち込む公算が大きい。ファーウェイは半導体の在庫積み増しで当面対応する公算だが、今年末にもスマートフォン生産に支障が生じかねず、経営への打撃は避けられそうにない。

中国税関総署によると、8月の全体の輸入は前年同月比2.1%減の1763億ドルだった。原油価格の下落などの影響で2カ月連続で前年を下回った。全体の輸入が減るなかで、最大の輸入品目である集積回路は増加が続き、全体に占める割合は19年まで14%台だったが、20年1~8月は17%に高まった。

一方、8月の輸出は前年同月比9.5%増の2352億ドルだった。3カ月連続の増加で、伸び率は7月(7.2%)より拡大した。新型コロナウイルスの影響をうけ、マスクやパソコンの輸出が4割増と全体をけん引した。労働集約型の衣類も3%伸び、19年12月以来のプラスとなった。

国際経済研究所の伊藤信悟主席研究員は「自動車部品の輸出が復調するなど世界経済の回復が中国の輸出に追い風となった」と語る。一方、中国のエコノミストには「新型コロナの第2波など感染拡大が続く海外の一部で、サプライチェーン(供給網)の回復が遅れている分、代替として中国の輸出が押し上げられている可能性がある」との見方も出ている。』