FRB議長「低金利は何年も続く」、雇用回復に時間

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63492670V00C20A9NNE000/

『【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、新型コロナウイルスによる景気回復には時間がかかると指摘して「低金利政策は何年も続く」と述べた。同日発表された8月の雇用統計は「良好な数字だ」と指摘したが、旅行業などサービス部門を中心に「労働市場の回復に時間がかかる」と懸念を示した。

パウエルFRB議長=ロイター
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同日の米公共ラジオ(NPR)のインタビューに答えた。8月の雇用統計は失業率が8.4%まで下がり、5カ月ぶりに10%を下回った。パウエル議長は「新型コロナによって2200万人分の雇用が失われたが、その半分を取り戻したところだ」と述べた。

ただ、雇用情勢の先行きは「旅行や娯楽、宿泊といった分野は新型コロナが直撃し、回復に時間がかかって職場復帰も簡単ではない」と厳しい見方を示した。労働市場が完全雇用に戻るには「新型コロナを制御する必要がある」と述べ、9月以降の回復ペースが鈍化する可能性も指摘した。

そのため「景気回復には長い時間がかかり、低金利政策も何年も続くだろう」と強調した。FRBは3月にゼロ金利を復活させ、物価目標もこれまでの2%をやや上回る水準に事実上引き上げた。パウエル氏は「インフレ率の過度な低下はリスクが大きい」と指摘。物価の緩やかな過熱を容認しており、市場は2025年前後までゼロ金利政策が続くとの見方を強めている。

米議会予算局(CBO)は2日、連邦政府の20会計年度(19年10月~20年9月)の債務残高が過去最大の26兆ドルに膨らむとの試算を公表した。NPRのインタビューでパウエル氏は「政府債務は経済成長率を上回るペースで増加しており、このままでは財政は持続不可能だ」と述べた。ただ、財政健全化は「景気が回復して失業率が下がり、生活者の納税能力が十分に高まってからだ」と強調。追加経済対策を検討する連邦議会に対し、低所得層への失業保険の拡充など、一段の雇用支援を求めた。』