中南米GDP、4~6月軒並み2ケタ減

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63514010X00C20A9EAF000/

『【メキシコシティ=宮本英威、サンパウロ=外山尚之】中南米経済が記録的に落ち込んでいる。主要国の4~6月期の実質経済成長率は前年同期比で軒並み2ケタのマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染は世界でも有数で、経済格差や治安という既存の課題がさらに悪化しかねない。

ブラジル地理統計院が1日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比で11.4%減となった。1996年の統計開始以来、最大の減少幅となった。観光客の減少で、リオデジャネイロ市の飲食店業の組合は「3千店のうち1千店は年末まで営業を続けられない」とみる。

経済規模で域内2位のメキシコは18.7%減だった。81年以降で最悪だ。主力の自動車など鉱工業が低迷した。ロペスオブラドール政権は新型コロナの経済対策に消極的で、国際通貨基金(IMF)は財政措置が「20カ国・地域(G20)で最も少ない」と分析する。

最も下落幅が大きかったのはペルーの30.2%減だった。主要産業である銅や亜鉛の生産減少が響いた。コロンビアは15.7%減、チリは14.1%減となった。

20年通年の域内成長率はマイナス9.1%と「過去1世紀で最悪の水準」(国連)となる可能性もある。米ジョンズ・ホプキンス大によると、中南米の感染者数は731万人(8月31日時点)と、世界全体の3割弱を占める。中南米の人口が世界に占める比率は8%にとどまるので、域内の感染は世界でも深刻だ。

低所得者が密集して住む地域の感染を抑えられていない。検査が進まないのも課題だ。カナダのスコシアバンクは「さらなる経済再開で感染状況はより厳しくなりかねない」と警戒する。

新型コロナで大きく影響を受けるのは非正規の労働者だ。日銭を稼げなくなり、その日の食べ物にも困る人々がいる。国連は20年末までに域内の貧困層が4500万人増え、合計2億3千万人になると分析する。

ブラジルでは1~6月の殺人被害者が2万2680人と前年同期比6%増えた。メキシコも1~7月で同1.6%増の2万494人だった。中南米に進出する日本企業は「犯罪に走る人々が増えかねない」(現地法人社長)と警戒している。』