台風10号、海水高温で強力に ラニーニャも影響

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『台風10号は「猛烈な」勢力で沖縄近海を進み、九州に接近または上陸して広範囲に激しい暴風をもたらす恐れがある。短時間で猛烈に強まる「急速強化」が北上しながら起こり、あまり衰えずに陸地に近づく極めて異例の台風となりそうだ。熱帯の海水温の変化など悪条件が重なった。これだけ強い勢力で陸地に迫るのは、1959年の伊勢湾台風以来だ。

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台風10号の中心気圧は3日午前0時から18時間で30ヘクトパスカル下がった後、4日午前0時から9時間で30ヘクトパスカル下がり、発達のペースが倍増した。海面水温がセ氏30度を超えて異常に高く、上空の風も穏やかで「発達を妨げる要因がほとんどない」(名古屋大学の坪木和久教授)。

発達した台風が通過すると水がかき混ぜられ、深いところの比較的冷たい水が表面に上がって海面水温は下がる場合が多い。しかし、現状は水深100メートル程度まで高めのため、下がりにくい。

台風は暖かい海からの水蒸気をエネルギー源とする。台風の発達に適しているとされる海面水温セ氏27度以上の海域が九州の沿岸近くまで迫っており、10号は最盛期を過ぎてもある程度の強さを維持して九州に接近する公算が大きい。

日本の南の広い範囲で海面水温が異常に高いのは、高気圧に覆われ続けて日射で暖まったのが直接の原因とされる。そして、高気圧が勢力を強めて居座った背景には熱帯の海特有の現象がある。

一つは数年に1度のペースで海面水温が熱帯太平洋の西側では高め、東側では低めになるラニーニャ現象が起き始めていることだ。もう一つはインド洋の海面水温が高い現象で、これらが重なって日本の南に張り出す高気圧を強めた。結果的に、8月に入って水温が高い海域は西太平洋のかなり広範囲に及び、台風の発生・発達に適した条件ができたとみられる。

もともと日本近海の海面水温は長期的な上昇傾向が顕著で、ゲタを履いたような状態になっている。そこへ今夏特有の水温上昇が重なり、台風が北緯30度近くまで最盛期の勢力でいられるほどの高温になった。

気象庁や米国の気候予測センターは秋~冬にラニーニャが発生する確率は6割程度と予想している。このため、日本の南海上で海面水温が高く、台風が発達しながら北上しやすい傾向は続く可能性がある。9、10号を追うように新たな強力台風が襲来する恐れがある。今回は被害を免れても次があると考え、備えを万全にしておきたい。(編集委員 安藤淳)』