何が本当の問題か 論点をしっかり探り出す3つの条件

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO63174360Y0A820C2000000?channel=DF120320205956

※ 思考方法の話しだ…。

※ また、貼っておくか…。

『御社の本当の問題は何ですか?
会議の生産性を高めたいので、ファシリテーションのスキルを身につけさせたい。私のところに舞い込む研修の依頼の典型です。研修担当者は、会議の生産性が低いことや議事進行が下手なのが問題だと思っているのです。スキルを習得すれば解決できるのではないかと。

そう言われたら、依頼通りに研修をやればお金はいただけます。ところが、そんなことをすると、後で面倒がおきないとも限りません。大抵は問題を見誤っているからです。

先日も同様の依頼があり、会って事情を聞くことにしました。待ち合わせの喫茶店に行ってビックリ、連絡をくれた担当者やその上司を含め5人も打ち合わせに現れたのです。しかも、挨拶もソコソコに、フルカラーの分厚い資料を渡され、なぜこの研修をやることにしたのか、背景やストーリーを説明し出します。ひとりずつ順番に自分が担当するパートを。

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ところが、「ここにある〇〇とは何ですか?」「なぜ△△なのですか?」と素朴な質問をするとしどろもどろに。いちいち5人でコソコソと相談が始まります。要は、カタチだけ立派で中身がまったくつめられていない。私は、こういう仕事の仕方を“会社ごっこ”と呼ぶことにしています。

もうお分かりのように、会議で分かりやすく症状が出ているだけで、組織や仕事のやり方そのものに問題があるのです。1回の研修をやったからといって、変わる話ではありません。

結局、それを指摘してしまったために、この話は流れることになりました。早い話、コーヒー代650円で会社の大元の問題を気づかせてあげたというわけです。相手は「さすが先生、とても勉強になりました」と喜んでいましたが……。

事実を元にして適切な論点を見いだす
問題を解決する上で一番大切なことは、真の原因を見つけることでも、優れた解決策を考えることではありません。「何が問題か?」を正しくとらえることです。そこを間違ってしまっては、すべての努力が水泡に帰してしまいます。

物事を考えるに際のテーマ(お題)を「論点」(イシュー)と呼びます。まずは論点が何かをしっかりと吟味して、最善の論点を見いだすのが「論点思考」の考え方です。

論点は問い(質問文)で表すと分かりやすくなります。「どうやったら会議の生産性が上がるか?」「わが社の一番の問題は何なのか?」といった具合に。論点を設定することは、問いを立てることに他なりません。ちょっとやってみましょう。

仮に、「今月の売り上げが前年比50%ダウンした」とします。皆さんは、どのような論点を設定して問題解決を図りますか。言い方を変えると、この会社が解決すべき問題は何でしょうか。

多くの方は、「どうやったら売り上げが回復するか?」を考えると思います。ダメだとはいいませんが、事実の裏返しが必ずしも論点ではなく、他に考えられないでしょうか。

たとえば、「さらなる売り上げ低下を防ぐには?」という論点も設定できます。あるいは、「低成長下で収益体質をつくるには?」「落ち込む分をカバーする新たな事業とは?」でも構いません。いろんな問いが立てられます。果たして、どれが望ましい論点なのでしょうか。

優れた論点を選ぶ3つの条件
残念ながら、適切な論点を導くためのシステマティックな手法はありません。本稿で紹介しているすべての思考法は、論点が定まったあとで活躍するものです。「どう考えるか?」(How)の技法は山ほどあっても、「何を考えるか?」(What)は自分で見いだすしかありません。

センスを磨くための方法はあります。情報収集に努める、幅広い教養を身につける、現場感覚を持つ、いろんなことに疑問を抱くようにするなどなど。だからといって目の覚めるような問いが立てられる保証はなく、試行錯誤を繰り返すしかありません。

とはいえ、立てた問いを評価することはできます。良い問いの1つ目の条件は、論点が本質をついており、「考えるだけの価値があるか?」です。売り上げ低下の話で言えば、それが一過性でないのなら、事業構造の変革そのものを論点にするほうが賢明です。

2つ目に、「新しい視点で物事を問い直しているか?」です。論点がありきたりだと、結論もありきたりになります。マンネリ化した論点だと、取り組むファイトがわいてきません。みんなを「え!」と驚かせた上で、「ナルホド」とうならせる斬新な視点がほしいところです。

3つ目に、「自分事としてかじ取りできる論点になっているか?」です。新型ウイルスのまん延や世界の景気の落ち込みは、個人や一企業がどうこうできる話ではありません。「それらにどう対処していくか?」「苦境を逆手にとった新しい事業とは?」であれば自分事になり、コントロール可能です。たとえ難しくても、自分事として解決できる論点を設定するようにしましょう。

論点が持つパワーを高めるには?
だからといって、3つの条件を兼ね備えた論点が一発で出てくるわけではありません。まずは、思いつく論点を付箋などに書き出して、数を増やすことに専念します。視点を替えたり、抽象度を替えたり、前提を疑ったりしながら。この作業を「クエスチョン・ストーミング」と呼びます。

そうやって100個くらい論点がたまったら、先ほどの基準でふるいにかけていきます。10個くらいまで絞り込めればOK。残ったものをブラッシュアップしていきましょう。問いの文章を洗練させることで、論点が持つパワーが大きく違ってきます。

たとえば、「売り上げが回復できるか?」といったクローズド質問(Yes/No型)と、「何が回復につながるか?」といったオープン質問(5W1H型)を相互に転換する手があります。

文頭に、「我々は」「あなたは」と主体を加えると、考える人の当事者意識を高める効果があります。文末の「できるか?」(Can)「したいか?」(Will)「べきか?」(Should)「ねばならないか?」(must)によっても、問いの意味が大きく変わってきます。

あるいは、「もし(仮に)……」「あえて……」と仮定法を使うと、思考の制約を打ち破ることができます。さらに、「最高の」「究極の」「本当に」「圧倒的な」といったパワーワードを加えると、問いの力が大いに高まります。そうやって、考える意義が最も高く、みんなが心から取り組みたい思える論点をつくることが、優れた問題解決の出発点となります。』