中国が導入を急ぐデジタル人民元 : 机上空間

http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/23535072.html

 ※ 米ドルというもの、米国の金融力というものの本質に触れていると思われるので、見といた方がいい…。

『世界の金融は、米ドルを中心に回っています。というのは、海外へ送金したり、決済をする場合、必ずSwiftコードというISOで標準化された銀行機関コードを使用します。主に送金業務のさいに、送金元と送金先の資金を移動を確実に行う為に、現状では使用せざるを得ないシステムです。

これが良く誤解されやすいのですが、Swiftコードというのは、単に銀行機関にコードを割り当てただけではなく、資金移動を担保する信用システムも兼ねているという事です。確実に送金元から、指定された金額を出金して、送金先へ入金するという作業を、第三者的に保証するシステムも兼ねています。

その送金の過程で、どの国からどの国へ資金移動するにしても、多くの場合一度は米ドルに換金されます。そして、自国通貨から、相手の国の指定の通貨で送金されるわけです。つまり、銀行というのは、国際業務を行うに当たって、米ドルを一定の額をキープしていないと、国際決済業務が行えません。つまり、アメリカ政府から、その金融機関に対して米ドルの供給を止めれば、実質的に破綻する事になります。

送金の過程で、目に見えない通貨変換が起きるので、実は、その時の通貨為替レートによって、送金中の資金の価値が変化します。その為、送金してみないと、相手が現地通貨で請求している金額が正確に送れるかどうか判らないという、随分とアナログな決済方法でもあります。しかも、どこの銀行を送金の過程で経由するかも、送金した時々で変わるもので、固定されていません。

米ドルが基軸通貨である為に、事実上、世界の金融業界は、どこの国であろうと、アメリカ政府の管理下にあると言っても過言ではありません。その為、どこの国の銀行であろうと、アメリカ政府の指示を無視できないのです。米中摩擦で、アメリカが台湾の人権弾圧に関係した人間の金融資産の締め付けを始めて、中国本土の銀行まで、対象者の口座の解約や、口座開設の拒否を始めたのは、銀行本体が潰れるからです。日本の銀行で、海外送金しようとすると、用途をしつこく聞かれたり、場合によっては、送金を拒否されるのは、マネーロンダリングに対するアメリカ政府の規制が厳しいからです。違反を指摘され、ペナルティーが課せられると、銀行業務の一部が死ぬ可能性が常にあります。中東あたりの銀行は、普通にこれで潰されてます。

上記の説明で判るように、手数料や実質的に到着する送金金額が、送金経路や通貨為替で変化するので、正確なところが送金してみないと判らないという、信じられないくらい原始的なシステムでもあります。手数料も複数の金融機関を経由して、その度に発生するので、とても高いものにつきます。

BitCoinを始めとする仮想通貨は、この欠点を克服する大いなる可能性を秘めた社会実験でした。送金や決済に当たって、一切、銀行の助けがいらないのです。問題は、法定通貨と違って、その価値を担保する裏付けが無い事です。つまり、皆が仮想通貨に価値があると信じないと、存在できない通貨という事です。結局のところ、普及させるに当たって、価値の吊り上げが始まり、通貨というよりは、金とかレアメタルのように、所有して価値が上がるのを待って売るという金融商品に成り下がってしまいました。

BitCoinの裏付けは、ブロックチェーン技術という強力なセキュリティーシステムです。そして、何人と言えど、取引に介入できない透明性の担保です。仮想通貨で取引されている場合、アメリカ政府といえど、例えどんな非合法な取引でも介入して取り締まる事は不可能です。その為、テロリストや犯罪者は、わざわざ仮想通貨で取引をしています。

さて、仮想通貨には、そのシステムの透明性自体を信用の担保にしたものと、具体的な価値の裏付けを持った、現行の法定通貨の代用になるものと2種類が存在します。BitCoinは前者ですが、中国政府が普及を進めているデシタル人民元は、後者になります。

仮想通貨は、基本的に管理者がおらず、システムが完全に公平に取引を行いますが、デシタル人民元のような仮想通貨は、価値を担保する組織が、その全てを管理する事になります。つまり、中国共産党です。それは、口座の一つ一つを完全に共産党が管理し、外部からの干渉を受け付けない通貨システムを持つ事を意味します。

これが普及すると、中国にとっては大きなメリットがあります。

・国内に対して、個人の口座を担保にして脅しや操作ができるようになる。(口座を凍結した場合、現金で持ち歩く場合以外は、経済的に標的になった個人が破産します)

・通貨を現物で発行する莫大な費用が必要なくなる。通貨の発行というのは、管理も含めて、とてもお金がかかる事です。実際、流通している通貨の量は、実際に発行を決めた通貨の総量ではなく、実需を満たす量しか発行されてません。印刷するのにも、古い通貨を回収して入れ替えるのも、大変な手間です。

・米ドルの影響を完全に排除できる。相手がデジタル人民元での決済と送金を、認めたらという条件付きですが、海外送金や国際決済で、米ドルの影響を完全に排除できます。

・個人の購買履歴を全て把握する事ができます。共産党が、個々人が何を買ったか監視する事が可能です。その結果として、反革命分子として理由を付けて逮捕もできるでしょう。また、特定の口座を決済不能にする事で、買えるものと買えないものを共産党が管理する事が可能です。

・莫大な金額になると言われている官僚の裏金や資金洗浄の監視。現在、中国共産党の幹部が所持している裏金は、総額で莫大な金額になると言われています。もし、このお金が、何かのパニックで、表に出てきた場合、それだけでインフレになると言われているくらいです。これを、防ぐ事ができます。不正蓄財や、資金の海外流出をシャットアウトできます。

中国共産党が国内向けにデジタル人民元を普及させるのは、独裁国家なので簡単ですが、対外取引となると、かなり限られます。相手国の経済を既に人民元が握っていて、無理やりデジタル人民元での決済を認めさせるか、ロシアなどアメリカを共通の敵としている国との間に限って、取引に利用するしかないでしょう。

それは、仮想通貨の担保になっている人民元自体が、為替操作や政治的な影響を受ける不安定な通貨だからです。つまり、法定通貨の中でも、信用が無い方に入ります。なので、いくら便利だからといっても、それ以外の国が敢えて導入しないでしょうし、アメリカが黙っていないでしょう。

しかし、既に中国国内では、総数4億人程度になる、いくつかの都市で、デジタル人民元の導入を進める計画をたてています。しかし、執行部が宣言しているように、米ドルに挑戦する意図は無いようです。国内だけの流通でも、十分な見返りがあります。

以上の理由から、フェィスブックが立ち上げようとしたLibraなどの、民間主体の仮想通貨が、国家に潰されるわけです。一部の仮想通貨が活発に取引されているのも、法定通貨の取引に比べれば、実需がオモチャ程度の規模しかないからです。つまり、お目溢しされているだけです。』