自民党総裁選、菅氏軸に展開 麻生派、支持に傾く

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63251260R30C20A8000000/

 ※ どうも、安倍後継は「菅さん」ということになってきたようだ…。

 その場合、まず幹事長は、どうなるのか…。二階派の票は、「幹事長留任」とのバーターか…。

 次に、最大の問題は、官房長官だ…。誰にするのか…。河野太郎か…。西村さんじゃ、まだ早すぎる感じだろ…。ただ、「コロナ対策」を第一に掲げるなら、無いわけじゃ無いのか…。甘利さんという可能性も、無いわけじゃ無いと思う…。

 さらに問題なのは、岸田さんの処遇だ…。いままで、散々「安倍政権」に協力させてきて、「ここは、菅で行くことになった…。」と言われても、「そりゃ、聞こえませんなあ。」だろう…。ここで、岸田さんを「敵に回したら」、後々相当マズいことになるだろう…。「任期は、一年だから…。」というのが説得材料のようだが…。選挙やって、勝利すれば、そういう話しは吹き飛ぶだろう…。そこら辺は、岸田さんも海千山千(のはず)だから、先刻ご承知だろうが…。

 いずれ、石破さんの目は無いようだ…。今回の辞任劇の、最大の眼目は、そこだったようだ…。
 
 どういうことに、なるのかな…。

『安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選は、菅義偉官房長官を軸に展開する見通しになった。自民党の各派閥は31日、総裁選に向けた意見集約を進め、党内第2派閥の麻生派と石原派が菅氏への支持に傾いた。二階派は支持を決めた。最大派閥の細田派や竹下派にも菅氏を推す声がある。

総裁選は9月上旬の告示、14日の投開票で調整している。9月1日の党総務会で正式に決める。

菅氏は31日、参院竹下派に影響力を持つ青木幹雄元官房長官と都内で会談した。9月1日以降に立候補を正式表明する意向を伝え、支援を依頼した。

菅氏は31日、自らを支持する無派閥議員の会合で「(出馬を)前向きに検討する。その覚悟だ」と強調した。「なんとか新型コロナウイルス対策と経済を両立させなければいけない。どの国も決断してやっている」と話した。当選同期の吉川貴盛前農相ら有志議員も同日、菅氏に出馬を要請した。

麻生派の幹部は31日、総裁選への態度を固めるため協議した。一致して菅氏を推す意向に傾いているが、麻生派内には同派所属で出馬に意欲を示す河野太郎防衛相を担ぐべきだとの声がある。麻生太郎副総理・財務相が31日、河野氏と約1時間会談し、意見の集約を進めた。

二階派は29日に二階俊博幹事長が菅氏と会談し、支持する考えを伝えた。石原派も31日の幹部会で菅氏を支持する方針を確認した。9月1日の総会での了承を予定する。

細田派の細田博之会長は31日、菅氏と会談した。その後の派閥会合で「後継の首相が安倍首相の意思を引き継いで新型コロナに対応しないといけない」と話した。

竹下派は同日、都内で総会を開き、竹下亘会長が「一枚岩で総裁選に臨むことを確認したい」と語った。2018年総裁選で、同派は首相支持の衆院側と石破茂元幹事長支持の参院側で対応が割れた。

総裁選には岸田文雄政調会長と石破氏も出馬に意欲を示す。岸田氏は31日、首相官邸で安倍首相に会い、支援を要請。青木元官房長官とも会い、支援を求めた。岸田派は31日に会合を開き、対応を協議した。

石破氏は衆院議員会館で情勢分析を進めた。石破派は31日の派閥会合で、総裁選出馬の是非を含めて石破氏に対応を一任すると確認した。石破氏は同日、国会内で記者団に「多くの方々の思いを裏切ることはあってはならない」と述べた。

自民党は9月1日の総務会で、総裁選の方式についても決める。首相が任期中で辞任表明したため、党員投票を省いた両院議員総会の方式での実施を調整する。』

[FT]中国 途上国融資の返済猶予へ アンゴラが焦点

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63237870R30C20A8000000/

『中国は、新型コロナウイルス禍への対応の一環として債務の再編を求めていた低所得国20カ国について、その半数と合意に達したことを明らかにした。

アンゴラのロウレンソ大統領(左)と握手する中国の習近平国家主席(2018年の中国アフリカ協力フォーラム)=ロイター

中国外務省は「この件に関する取り組みは順調に進んでいる」とし、世界銀行や主要先進国がなおも一連の重債務国の対外債務の大半を占めていると指摘した。

中国政府は、低所得国がコロナ禍による保健・経済危機への対応に専念できるよう、4月に20カ国・地域(G20)の主導で打ち出された債務返済猶予計画の下で協議を進めている。G20の「債務支払い猶予イニシアチブ(DSSI)」は、対象国に2国間貸付の返済を2020年末まで凍結することを認めるものだ。

■アンゴラは中国の対アフリカ融資の最大相手国

中国が債務救済措置に関する多国間の協調行動に加わったのは初めてだ。アナリストや民間投資家は、特にアンゴラとの合意が極めて重要になるとみている。同国は過去20年間の中国による対アフリカ融資の最大の相手国だ。

「(DSSIにおける)アンゴラの重要性はいくら強調しても足りないほどで、途上国のコロナ禍に対する国際援助全般にもつながる話だ」と米調査会社REDDインテリジェンスのシニアアナリスト、マーク・ボーランド氏は指摘する。DSSIの下で「基本的に負担の多くが中国にかかる」という。

アンゴラは中国の対アフリカ融資の約3分の1を占め、DSSIで受けられる恩恵は群を抜いて大きい。世銀によると、20年に期限を迎える約26億ドル(約2740億円)の返済が凍結されることになる。同国の国内総生産(GDP)の3.1%に相当する額だ。モザンビークも同様に、GDPの2%に相当する2億9500万ドルの返済猶予を受けられる。

アンゴラ中央銀行によると、同国の対外政府債務の残高は約490億ドルで、そのうち45%が中国からの借り入れだ。両国の協議がどこまで進んでいるのかは不明だが、合意に達すれば1つのひな型になりうると投資家やアナリストはみている。

「中国は多くの低所得国の大きな債権国になっており、これはとても重要な問題だ」と話すのは大手格付け会社フィッチ・レーティングスの中東・アフリカ地域ソブリン格付け責任者、ジャン・フリードリッヒ氏だ。

■融資条件の多くは非公表

アナリストらは、しばしば条件を非公表とする中国の融資の比重が大きいため、DSSIの交渉の進展状況をつかむのは容易ではないと指摘する。融資の大部分は国有の中国輸出入銀行が行っているが、同じく国有の中国国家開発銀行によるものもあり、これについて中国政府は商業貸し付けに区分しようとしてきた。

「あらゆる投資家が頭を悩ませている問題、それは公的融資の規模がわからないということだ。どれが『正式に公的』で、どれがそうでないのか。どの条件が入り、どの条件が入らないのか。そこがわからない」と話すのは、アンゴラ国債に小規模な投資をしている米モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントで新興国債券担当責任者を務めるエリック・バウアーマイスター氏だ。

英運用大手M&Gインベストメンツの新興国担当ストラテジスト、グレッグ・スミス氏は「中国はケース・バイ・ケースで個別の実情に即して債務の再編に当たろうとする傾向がある」と話す。アンゴラに対する条件は他のDSSI対象国への提示条件を示すものとなるはずで、主要な借入国に対する中国の債務救済の姿勢を物語る長期的な先例となる可能性もあると指摘する。

フィッチのアンゴラ担当主任アナリストのジャーメイン・レナード氏は、協議の結果は、37億ドルの対アンゴラ融資の次期トランシェ(分割融資)を供与するかどうかという国際通貨基金(IMF)の判断にも影響するとみている。IMFは7月に判断を先送りしている。

「大きな問題」は「IMFが(アンゴラの)現在の債務見通しを承認するか、つまり持続可能なものと見なすかどうかだ」とレナード氏は言う。IMFは、返済が困難と見なされる債務を抱えた国への融資は行わない。IMFは8月、アンゴラとの「協議を継続中」としている。

アンゴラ財務省はコメントの要請に応じなかった。

現在、指標となるアンゴラの10年物、30年物ドル建て国債は安定的に推移している。コロナ禍を受けて金融市場全体が下押しされ、市場が回復しきれないなかで、アンゴラ国債は4月に過去最低の安値水準に沈み込んだが、同国政府がDSSIに加わると発表した6月以降、変動ははるかに小さくなっている。

■低所得国向け融資の大部分を猶予との見方も

仏運用大手アムンディ・アセット・マネジメントの新興国債券ポートフォリオマネジャー、エスター・ロー氏は、中国はDSSI対象国の債務返済の大部分を猶予する方針だろうとみる。

「問題の焦点は、中国が融資の回収にどれだけ必死なのか、つまり取り戻さなくてもやっていけるかどうかだが、なくても楽々とやっていけるというのが答えだと思う」と同氏は話す。中国の約3兆ドルの外貨準備と比べてDSSI対象国への融資残高は小さいと指摘する。

モルガンのバウアーマイスター氏は、アンゴラやザンビアなど資源の豊富な国々との関係を維持するために、中国は柔軟な姿勢で臨むだろうと述べる。「彼らは自国の国益を合理的に追求する方法を見いださなければならない」

一方、REDDのボーランド氏は、巨額の融資の再交渉に際して、中国はIMFによる低所得国への緊急支援の拡充のような「見返り」を求めているとの見方だ。「むろん中国は(融資を)帳消しにできる」と同氏は言う。「問題は、あまりにも大きな先例はつくりたくないということだ」

By Camilla Hodgson

(2020年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)』

低姿勢で退任の安倍首相、今後はキングメーカーに

低姿勢で退任の安倍首相、今後はキングメーカーに
会見当日までの保秘徹底で当面の政局でも主導権
2020.8.29(土)
紀尾井 啓孟
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61899

『安倍晋三首相が8月28日夕、辞意を表明した。筆者は8月22日、「政局は重大局面、安倍政権はいつまでもつのか」と題した原稿で、早期の「辞意表明」や「内閣総辞職」を想定したメディアの動きに言及していたが、その通りの展開となった。まずは7年8月にわたって、持病を抱えながらも重責を果たしてきた安倍首相に敬意を表する。

(参考記事:政局は重大局面、安倍政権はいつまでもつのか)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61811

内閣府の官僚が気づいた日程の「違和感」
 8月27日夕、翌28日の安倍首相の日程が明らかになった。メディア並びに永田町、霞が関の住人がほぼ独占的に入手している公開情報である。

 しかし、内閣府の切れ者で知られる官僚は日程をみて違和感を覚えた。

「臨時閣議が夕方にセットされているのはなぜか」

 毎週金曜日は定例閣議が開かれる。2回も閣議を開く必要があるのか。ひょっとして、安倍首相がなにか考えているのではないか。閣僚の辞表を取りまとめての内閣改造、理屈としては内閣総辞職もあり得る――。

 28日の臨時閣議は「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保の方針」を決定するために午後4時過ぎから開かれた。午後1時過ぎから行われた新型コロナウイルス感染症対策本部に連動した手続きの一つである。

 結果的に、この官僚の推測は外れたことになる。ただ、違和感を覚えた点では大正解だった。実際、安倍首相は28日の臨時閣議で総理大臣として辞意を表明したからだ。

 議院内閣制の仕組みに従い、安倍首相は先に午後2時過ぎに自民党本部を訪れ、臨時役員会などで自民党総裁として辞意を伝達している。そして4時から前述の臨時閣議、そして5時から辞任表明の記者会見を行った。28日午後5時からの記者会見予定が固まったのは26日とみられているが、この時点で安倍首相は辞意表明に向けた段取りをすべてセットしていたことになる。

 安倍政権は閣議決定を歴代政権よりも多く行う傾向にあるため、コロナ対策での臨時閣議はおかしいとはいえないが、臨時閣議は緊急を要する場合に行うのが通例である。対策本部の日程をずらすなどして、定例閣議でコロナ対策を閣議決定すれば事足りる。1日2回の閣議はやはり何かの兆候だったのである。

誰にも洩らさなかった
 この週は、24日の月曜日から首相の動静に注目が集まっていた。

 安倍首相は24日午前、17日に引き続いて慶応大病院に向かい、約3時間40分滞在している。その日の午後、首相官邸に入った際には、安倍首相は「体調管理に万全を期し、これからまた仕事に頑張りたい」と述べた。

 これにより自民党内は、当面は安倍首相が続投するとの認識を持った。安倍首相に近い側近らも、しばらくは職務に邁進すると受け止めた。実は前週末から「24日辞任」との怪情報が飛び交っていた。食事もとれなくなっているらしいという話はもう少し前から永田町を駆け巡っていた。政界関係者もメディアも緊張感をもって事態を見守っていた。

 だが、この日の安倍首相の言動を見て、永田町とメディアは一息ついてしまった。それが実情だった。

 筆者のつかんだ情報によれば、8月24日から25日にかけ、安倍首相は複数のメディア関係者や経済人らと電話をしている。その際、安倍首相は自身が回復傾向にある旨を明かしている。

 会話をした人物の一人は「安倍首相が続投に強い意欲を示している」との印象を受けたという。今週に入り、メディアが「安倍首相は辞任しなさそうだ」との見方に大きく傾いたのは、安倍首相自身の発言に接した人々の“見方”が影響していた。もちろん、安倍首相と直接面会する閣僚や官邸スタッフ、与党幹部らも同様の見解を持っていた。

 28日の辞任表明会見で、安倍首相は8月24日に辞意を決断したと明言し、誰にも相談せずに一人で決めたことも認めた。ウソをつくメリットを見いだせないので事実に近いはずだ。辞意を誰にも察知されないように保秘を徹底していた可能性が高い。実際、記者会見の3時間前まで、テレビも新聞も「辞意表明」の見出しを打てなかった上、自民党内も、例えば岸田文雄政調会長は地方に出張していたほどだ。有力後継候補の岸田氏がこのタイミングで東京を離れたところに致命的なセンスのなさを感じざるを得ないが、多くの議員たちにとっても寝耳に水だったのは間違いない。二階俊博幹事長も、菅義偉官房長官も、山口那津男公明党代表も、言動から推測するに事前にキャッチしていなかったようだ。唯一、事前に辞意を伝えられたのは麻生太郎副総理兼財務相だった。

しかし、振り返ってみれば兆候もないわけではなかった。

 安倍首相は8月24日、慶応大病院の検査を終え、官邸に入る際、記者団に「大変厳しい時にあっても、至らない私を支えてくれた全ての皆さまに感謝申し上げたい」と謝意を示している。今思えば、いつもとは異なる、妙な言い回しであり、“終わり”を意識した言葉であったことがわかる。

 とはいえ、この言葉だけで、近いうちに退陣するだろうとの見通しを立てられた人はほとんどいないだろう。24日から28日までの5日間、安倍首相は「敵を欺くにはまず味方から」の権謀術数の鉄則を守り、表に出る日程に辞意表明に向けた布石を打った。

「臨時代理」阻止、総裁選方式も思うまま
 8月28日の記者会見では、安倍首相の「低姿勢」が目立った。

「任期をまだ1年残し、他の様々な政策が実践途上にある中、コロナ禍の中、職を辞することとなったことについて、国民の皆様に、心よりお詫びを申し上げます」

「自分自身の健康管理も総理大臣の責任だろうと思います。それが私自身、十分にできなかったという反省はあります」

「病気と治療を抱え、体力が万全でないということのなか、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません」

 体調が万全ではないことが一目でわかる状態でありながら、無礼千万ともとれる一部記者の質問にも真摯に対応した。

 効果は絶大だった。「病気についてあれこれ言うのはかわいそうだ、よくやった」という世論がまたたく間に形成された。安倍首相に厳しい姿勢を取ってきた野党議員からも、ねぎらいや慰労の言葉が次々に飛び出し、国民民主党所属議員からは、政治判断を誤ることはあってはならないので辞任するという理由を「潔い」と褒めたたえる声も出た。

 思い出されるのは、安倍首相の大叔父でもある佐藤栄作首相の退陣会見だ。

 1972年、佐藤栄作首相は、官邸と記者クラブとの行き違いもあって、花道となるはずの退陣表明会見を記者不在で行っている。佐藤首相は記者会見場に入った途端、新聞記者たちが集まっているのを見て不快感をあらわにし、「テレビカメラはどこにあるのか。新聞記者の諸君とは話さないことにしてるんだから。国民に直接話したいんだ。文字になると違うから。偏向的新聞は大嫌いだ」と言い放ち、最終的に記者団不在のまま記者会見が始まった。安倍首相は大叔父の大先輩とは正反対に、引き際の記者会見は成功したと評価されよう。

辞任の理由が病気であること、低姿勢を心がけた会見であったことなどから、世論はおおむね「労いモード」になった。そこで注目されるのは誰が次の首相になるのか、だ。

 安倍首相は、後継に関しては口を出さないとの立場を強調しているが、果たしてそうだろうか。低姿勢の記者会見の裏で、復権に向けた野心も垣間見える。抜き打ち的な辞意表明により、自民党は安倍首相の敷いた路線に従わざるを得ない状態になっている。永田町でまことしやかに喧伝されていた「麻生首相臨時代理」構想は出る幕もなく、安倍首相は後継が決まるまでは職務を続けると断言した。すみやかに総裁選を実施する必要があるため、両院議員総会での総裁選が実施されることも内定した。これは安倍首相の不倶戴天の敵とされる石破茂元幹事長を潰すことに直結する。党員投票が実施されれば、石破氏が有利になるからだ。

 現時点では、すべて安倍首相が望むような方向に動いている。

令和の「キングメーカー」誕生か
 日本で最も権謀術数に長けているのは、史上最長の政権を維持した安倍首相である。「麻生首相臨時代理」の線を消し去り、総裁選出法については「二階幹事長に一任」とは言いながらも、石破氏が不利とされる議員票中心の方法へと導いた。いずれも用意周到なシナリオがあってのものだろう。次期政権への影響力保持を意図しているとしか思えないし、自身は政界を引退せず、一議員として活動していくとの意向も記者会見ではっきり示した。

 9月15日前後に行われることになる総裁選、そして来年9月に再び行われる総裁選で、安倍首相の動きはポイントとなる。来年10月までには必ず衆院選もある。重要な政治イベントがあと1年のうちに3回もある点も見逃せない。

 今後、安倍首相は党内最大派閥、細田派の最高実力者となり、党内政局のキーマンとなる。しかも、細田派は100人近い大所帯であり、全盛期の田中(角栄)派に匹敵する規模を誇る。安倍首相が体調回復に成功すれば、無役の「キングメーカー」として党内に君臨する公算が大きくなってきた。

 さて、安倍首相の意中の後継者は誰なのか。スキャンダルまみれになりボロボロで官邸を去るのではない。歴代最長政権を率いた宰相経験者なのだから、その意向が影響力を持たないはずはない。当面、安倍首相の本音を探ろうとする動きが出てくるだろう。いや、そうなると安倍首相は実質的に、すでにキングメーカーの座を手に入れたと言えるのかもしれない。』

9月政局、「菅首相誕生で10月総選挙」を軸に進む

9月政局、「菅首相誕生で10月総選挙」を軸に進む
立民・国民合流直後に仕掛ける解散戦略を仕切れるのは菅氏だけ
2020.8.30(日) 歳川 隆雄
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61911?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top

 ※ こっちは、相当踏み込んだ記事だ…。解散総選挙の日取り、女性閣僚の顔ぶれまで予想している…。

『(ジャーナリスト:歳川 隆雄)

 安倍首相が辞意を表明した。

 もちろん体調が思わしくないという情報は以前からあった。最初の報道は8月4日発売の「FLASH」が伝えた、安倍首相の吐血説だ。内容は、7月6日に首相執務室で吐血した、というものだったが、この段階ではまだ確定的な情報とは言えなかった。

 誰もが首相の異変を確信したのは、8月14日のテレビ東京の報道だろう。それは7月15日の首相の官邸入りの映像と、8月12日のそれとが比較されたものだった。8月12日の映像では、明らかに首相の足取りは重かった。囲み取材の受け答えにも疲労感がにじみ出ている。体調が悪化しているのは誰の目にも明らかだった。

 ちなみに内閣記者会の総理番記者は、首相が官邸正面から執務室に向かうエレベーター前まで何歩で歩いているかをカウントしている。8月12日は通常よりも4歩も多かった。それが足取りが重く見える原因だったのだ。

 こうして「安倍首相、早期辞任もあり得る」という見方は一気に永田町に広がっていった。

保秘が徹底された首相の辞意
 だが8月17日に慶應大学病院で検査・治療を受けた後、元気を取り戻したような首相の様子が報じられると、「早期辞任説」も若干トーンダウンしていく。実を言えば私も、早期辞任があるとしても9月に入ってからではないかと見ていた。8月24日に大叔父である佐藤栄作元首相の連続在任日数を上回り、通算でも連続でも、首相在任の歴代最長記録をつくる。その直後に辞任するのはあまりに露骨と批判を浴びる可能性がある。だから少なくとも8月中にはないだろうと考えていたのだ。そのため8月28日の辞意表明は全く予想していなかった。

 安倍首相は、辞意を固めたことについて保秘を徹底していた。盟友の麻生太郎・副総理兼財務相にも、女房役である菅義偉・官房長官にも、意中の人とされた岸田文雄政調会長にも、そして二階俊博・自民党幹事長にも辞意表明の28日以前には伝えていない。知っていたのはおそらく、官邸の今井尚哉首相補佐官兼政務担当秘書官や事務担当秘書官である佐伯耕三秘書官らごく数名だろう。その他で、首相から伝えられていた可能性があるのは、母親の洋子さんと昭恵夫人くらいだ。

首相の辞任説が流れはじめたころから、麻生副総理・財務相が首相臨時代理に指名され、同氏のイニシアティブの下で、なるべく早く総裁選を行い、新体制が発足するというシナリオも想定されていた。

 しかし、「麻生首相臨時代理」は実現しなかった。28日午前10時22分、まだ安倍首相の辞任の意向が報じられる前の時間帯に、首相は麻生氏、財務省の太田充事務次官、矢野康治主計局長と官邸で会っている。これはその日の午後に新型コロナウイルス感染症対策本部がまとめ、夕方4時には閣議決定する予定になっているコロナ対策の財源について調整するためだ。

 だがその後、太田次官と矢野主計局長は退出、10時36分からは安倍首相と麻生副総理が30分間余りサシで会っていた。ここで安倍首相から辞意と同時に、おそらく首相臨時代理を置かない方針を伝えられたのではないか。自らの登板に意欲があったとされる麻生氏だが、首相が辞意表明をした後、同日夜に次期総裁選には出馬しないことを明らかにしたのには、こんな伏線があったものと思われる。

派閥力学の中で存在感示す「菅グループ」
 では、辞任する安倍首相の後継は誰になるのか。

 次期総裁選出の方式については、党総裁である安倍首相から二階幹事長に一任された。正式には9月1日の党の最高意思決定機関である総務会で決定される。

 総裁選の方法には、国会議員394票と地方党員394票とによる通常の総裁選方式と、任期途中に総裁が退任した緊急時に限り国会議員394票と都道府県代表141票によって両院議員総会で後任を選ぶ方式とがある。現時点では、後者の両院議員総会での選挙による方式になりそうだ。「緊急事態なので両院議員総会で」というのがその理由ともっともらしく説明されているが、それは建前に過ぎない。実際には、地方党員からの人気が高い石破茂元幹事長だけは後継者にしたくないという安倍首相の強い思いを忖度している。

 ただ、党員投票をしない総裁選については若手を中心に異論もある。最終的にはどうなるか断定はできないのだが、ここでは両院議員総会で後継総裁が選出される前提で話を進めたいと思う。

両院議員総会方式だと、国会議員票の重みが格段に増す。そこでものを言うのが各派閥が抱える議員数だ。

 現在自民党の衆参院議員は394人だ。無派閥の約50人を除けば、みな派閥に属している。

 最大派閥は細田派だ。国会便覧などには97人と書かれているが、98人である。同じく第二派閥の麻生派は55人、二階派は48人だ。その他は竹下派が54人、岸田派が47人、石破派19人、谷垣グループ16人、石原派11人と続く。

 さらにウォッチしなければならないのは、菅官房長官に近い議員の集団だ。新聞社によっては社内資料の中で、そのうち9人を「菅派」と記述しているところもある。

 そしてなにより、無派閥の50人の中に、「菅グループ」と呼ぶべき議員が40人近くもいるのだ。他派閥所属の議員にしても、河野太郎防衛相(麻生派)は実質、菅グループであり、同じ麻生派の甘利明・党税調会長も、片足は菅グループに突っ込んでいるとされる。無派閥の小泉進次郎・環境相はもちろん菅グループだ。

 現在、次期総裁候補として、岸田政調会長、石破元幹事長らと並んで、菅官房長官の名前も取りざたされているが、こうした「派閥の力学」に加えて、総裁選を取り仕切る二階氏が菅氏に肩入れしている事実からも、名目的には無派閥の菅氏が有力視されているのが分かるはずだ。

最有力はやはり菅官房長官か
 では、現実には誰が次期総裁になるのか。私はやはり菅官房長官が最有力だと思う。

 次期総裁の任期は安倍総裁の残余任期で、1年余しかない。つまり誰がなっても、次期総理・総裁は暫定政権的な性格を帯びることになる。

 これを本格的な政権にするためには、選挙の洗礼を受けるのが近道だ。そこで浮上してくるのが早期の「衆院解散・総選挙」だ。これを手掛けられるのは誰か。経験則と知見、そして力量を持っているのは、いま挙がっている中では菅氏である。

 そして菅総裁・総理のもとでの解散総選挙であれば、自民党が勝利する可能性も見えてくる。

 従来、次の衆院選で自民党は議席を減らすと見られてきた。有権者には「モリカケ」の印象が残っている。さらに2017年衆院選が勝ち過ぎたので、次は確実に議席減(現有284)という見方だ。そこで、自民・公明を合わせて安定多数をとれれば「負け」とはならないという見方が政治の玄人の中でもなされてきた。

 しかし、誕生して間髪おかずに解散総選挙をしたら、自民・公明両党で絶対安定多数(261議席)が取れる可能性がある。

 私がそう考える理由を説明しよう。まず日本的慣習だが、新政権には支持率の「ご祝儀相場」がある。新内閣が立ち上がった時に、支持率が低かったのは、近年では唯一、小渕恵三内閣だけだ。それ以外は、前政権末期の支持率より上昇しているのだ。つまり、まず首相の顔が安倍氏から菅氏に変わるだけで内閣支持率が上昇することが考えられる。

 そして暫定政権的性格があるとはいえ、新内閣は菅氏が自身の手で組閣できる。内閣と党執行部のラインナップが世間から好感されるようなものであれば、支持率はより高くなるだろう。菅官房長官との関係から予測するなら、菅内閣の官房長官は河野太郎防衛相の抜擢ではないか。さらに官房副長官は小泉進次郎環境相だ。進次郎氏にとって、形の上では閣僚から準閣僚級への降格になるが、将来を考えて官邸入りすることのメリットは大きい。官房長官と副官房長官に河野太郎、小泉進次郎という自民党切っての人気者を持ってくる。このコンビは地味で発信力が弱い菅氏を十分カバーしてくれることになるだろう。

 ちなみに発信力が弱いとされる菅官房長官も、いま変貌を遂げようとしている。最近は「文春オンライン」のインタビューを受け、なぜGoToトラベルを断行したのかについて語っている。批判が少なくないGoToトラベルの意義について、自分が前面に出て説明しているのだ。自らリスクをとっている。そのこと自体がやる気の表れと言えよう。これまで言葉の上では自らが安倍首相の後継者になることを否定してきたが、もちろんそれは本心ではないのだ。

10月25日投開票で総選挙か
 さて菅内閣の顔ぶれだが、主要閣僚には名の通った女性セレブ議員も起用されるだろう。野田聖子氏、稲田朋美氏、小渕優子氏らだ。このうち2人は入閣するのではないか。

 新政権は遅くとも9月中旬には発足すると思うが、こうした陣容が組めれば、最初の世論調査でかなりの内閣支持率が見込める。おそらく自民党政権に厳しい朝日新聞でも確実に50%は超えるだろう。読売だったら60%にいくレベルだ。

 そうなれば後は本格政権化を目指して、早期の衆議院解散に踏み切るだけだ。10月の総選挙が濃厚だ。10月13日公示・25日投開票の可能性が高い。

 なぜこうしたスケジュールになるかというと、野党の立憲民主党と国民民主党の合流である。9月16日に立憲民主党と国民民主党、その他無所属グループが大団円して新・立憲民主党が誕生する。新総裁体制発足はその直前にするのが一番効果的だ。

 また新党は、合流後しばらくは人とカネの問題でもめるだろう。国民民主党にはこれまでの政党助成金が50億円ほど残っているが、立憲民主党のほうには10億円前後しかない。その残余金を巡って、現在も双方で激しい綱引きが行われている。

 また各所属議員の選挙区の候補者調整もまだ終わっていない。旧立民と旧国民は前回の参院選挙で戦ったのである。この調整はそう簡単には決着しない。

 つまり大きな野党は出来ても、選挙準備は十分整えられない状況にある。自民党としてはそのタイミングで解散・総選挙に持っていくのが常道だ。

 そこまでの仕事を一気呵成にやってのけられるのは、やはり「腕力」がある菅官房長官だけだろう。自らの後継者については何も語らなかった安倍首相も、そのことは百も承知のはずだ。9月の声とともに、永田町は「菅首相」の誕生を軸に動いていくものと思われる。』

「石破を叩きのめす」安倍首相の執念と、菅官房長官の「ある野望」

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56759?imp=0

 ※ 安倍三選の時の記事だ…。
 石破さんに対する処遇は、ともかく、「岸田禅譲」を巡る菅さんの思惑が、今回の安倍辞任後の総裁選出馬の「背景」と、あまりにピッタリ重なるんで、ビックリした…。紹介しておく…。

『(2018-08-02T12:25)
豪雨、台風そして酷暑…天災が夏の日本を次々と襲うのもどこ吹く風、自民党内は来たる9月の総裁選一色となった。「有終の美」に向けて必死の票固めを進める安倍首相、一騎打ちを演じる見込みの石破元幹事長、土壇場で出馬を断念した岸田政調会長、そしてゲームを裏から眺め、密かに野望を抱く菅官房長官…水面下で繰り広げられる、大物たちの「暗闘」のすべてをレポートする。

豪雨災害の中、かけた電話
西日本各地を襲った豪雨災害の対策に政府が追われていた7月中旬、首相・安倍晋三は、会議や打ち合わせが続くタイトな日程の合間に、首相執務室から竹下派所属の議員に電話を入れていた。自民党総裁選をめぐる竹下派内の現状報告を聞くためだ。

安倍は国政選挙どころか地方選挙でも、移動時間や会議の合間に、寸暇を惜しんで知り合いの会社経営者や地方議員に携帯から直接電話を入れて、支持を依頼する執念をみせる。総裁選ともなれば、自ら票固めの先頭に立つのは当然だ。

「名もない若手議員たちと何度も飯を食ってきたし、すでに議員票の3分の2は固めたよ」。7月上旬には、安倍は旧知の民間人に強い自信を示していた。

票が読めない党員投票に不安を残す中、安倍はまず議員票で大差を付けることに拘ってきた。当選すれば自民党総裁として最後の3期目に入る。たとえ勝てたとしても「辛勝」では、その日からレイムダック化しかねない。

安倍の出身派閥の細田派に加えて麻生・二階両派が安倍支持を鮮明にする中、目下、安倍の最大のターゲットは55人が所属する党内第三派閥の竹下派だ。

竹下派会長の竹下亘は、「安倍さんが引き続き総理になるか。『はい、その通り』とは即答しかねる」と繰り返してきた。だが、今春、派閥会長に就任したばかりの竹下に派内を統率する力はない。

とりわけ、同派の参院側は今も、亘の兄・竹下登の秘書から参院議員に転出し、かつて参院自民党の「ドン」と言われた男の強い影響下にある。元自民党参院議員会長・青木幹雄である。

そもそも亘が派閥会長に就任できたのも、青木が前会長の額賀福四郎に対し、「会長を竹下に譲るように」と通告したからだ。額賀は抵抗したが、最後は青木が、竹下派会長代行で自民党参院幹事長である吉田博美を通してねじ伏せた。

現在、参院竹下派21人を束ねる吉田は、今なお引退した青木を「親父」と呼んでその指示を仰ぐ。それゆえ、「竹下派対策の要は、この青木ー吉田ラインにある」と見た安倍は、昨年から再三、吉田を夜の会合に誘い出して懐柔に努めてきた。

だが、その吉田は「私自身は安倍さんの再選で構わないと思っているが、仮に青木さんから『石破で行け』と言われれば、石破を全力でやらざるを得ない」と安倍に伝えていた。

青木は、自らの長男で後継者の参院議員・青木一彦の選挙で世話になった石破と、ここ数年は近い関係にあり、今回の総裁選で「石破支持」を打ち出す可能性を以前から仄めかしていた。

Photo by gettyimages/Bloomberg
安倍はこの動きを察知していた。この総裁選で、もはや石破を「ポスト安倍候補」に名前が挙がらないほどに叩きのめす。そのためには、竹下派を味方に付けることが必須だ――そう考えた安倍は、竹下派内の個別工作にも余念がない。

「青木さんが『石破をやれ』と言い出せないくらい、竹下派内を安倍支持で固めてしまえばいい」。安倍は、気脈を通じる竹下派幹部からこうアドバイスされていた。

たとえ会長の竹下が「石破支持」を打ち出しても、派内が「安倍支持」と真っ二つに割れる状況であれば、さすがの青木も、会長として初めて総裁選に臨む竹下を慮って「石破をやれ」とは言い出せないだろうというわけだ。

それゆえ安倍は、経済再生相で竹下派会長代行の茂木敏充、事務総長の山口泰明、元総務相の新藤義孝ら、竹下派内にあって「安倍支持」を鮮明にしている議員たちに「石破に圧勝しなければならない。一人でも多くの仲間に安倍支持と言わせて欲しい」と頼みこんできた。

中でも安倍は、「能力は高いが人望がない」との評価が党内外で定着している茂木を頼みとしている。茂木も茂木で、若手議員を食事に誘い出しては選挙対策を指南し、政治資金も配っているという。この総裁選を機に、竹下派のプリンセス・小渕優子を抑えて、派閥の総裁候補に躍り出ようと必死なのだ。

「すでに竹下派の7割以上は安倍支持」(竹下派幹部)との見方もある中、青木は7月下旬、ついに吉田に対して「石破をやれ」と最終的な指示を出した。これを受けて、吉田は竹下派の参院側21人を石破支持でまとめる方向だ。

青木はかつての小泉純一郎政権下で、野中広務ら派内の大半が反小泉の独自候補を立てる方針に傾く中、「参院側は小泉再選支持」を打ち出し、派閥を分裂させた「前科」がある。青木にとっては、派閥の結束よりも参院が独自性を保つことのほうが大事なのだ。

今回も竹下派は分裂が確実で、安倍は竹下派内の安倍支持を増やす工作を、一段と加速させる構えだ。

表面化する「安倍と菅のすれ違い」
安倍が石破をどれだけ引き離せるか――今回の総裁選は、安倍の「勝ち方」だけが焦点になっているといわれる。だが、この総裁選をめぐって浮き彫りになった重要な事象がある。

「ポスト安倍」をめぐる、安倍本人と、この5年半、安倍を官房長官として支え続けてきた菅義偉の思惑の違いだ。

2人のすれ違いは、安倍が信頼する盟友で、党内第4派閥を率いる党政調会長・岸田文雄の立候補をめぐって表面化した。

今からちょうど1年前、昨年7月のこと。安倍は当時外相だった岸田と、EUとの首脳会談のために共に訪問したブリュッセル、そして帰国後の東京で、二度にわたり2人だけで長時間、酒を酌み交わした。

その会談で岸田は、「外相を外れて党三役に就きたい」との考えを安倍に伝えたうえで、「どのような立場になっても(安倍)総理が続けるという限りは全力で支えます」と明言した。翌年(今年)の自民党総裁選に安倍が立候補するのであれば、自らは手をあげず、安倍支持に回ることを示唆したのだ。

安倍は喜び、自分が首相を辞めた際には岸田に譲りたいとの考えを仄めかした。この時期、安倍は親しい政界関係者に「私が辞める時の総裁選では、清和研(=清和政策研究会、安倍の出身派閥である細田派)として岸田さんを推すことは、極めて有力な選択肢だ」とたびたび漏らしていた。

ところが、それからほぼ1年が経った今年6月18日、岸田は赤坂の日本料理店で、ビールと日本酒を酌み交わしながら2時間以上も安倍と向き合ったものの、総裁選への対応を最後まで明らかにしなかった。派内の全員から総裁選への対応について意見を聴いた結果、主戦論が多かったためだ。

岸田は安倍に「私は未だに派閥を掌握できておらず、皆の意見を無視できない」と弁明。「私が『総裁選で負けて我が派が干されたら、皆が困るだろう』と言っても『構わないから出ろ』という声が多いのですよ」と言い訳を繰り返し、安倍を呆れさせた。

安倍は、「もしあなたが立候補したら、他派の手前、岸田派は処遇できない」「私が今あるのは、小泉内閣で幹事長や官房長官など政権中枢を経験してきたからだ」と立候補を止めるよう促したが、岸田は最後まで言を左右にした。

安倍は今年に入ってからも岸田と会合を繰り返してきたが、流石に6月ともなれば、優柔不断な岸田も対応をはっきりさせるだろうと考えていた。それだけに会談後、周辺に「岸田さんも、皆から意見を聴いたりしちゃダメだよな」と吐き捨てた。

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岸田派内部の実情はどうだったか。事務総長の望月義夫らベテラン議員には慎重論が強いとされたが、ベテランでも文科相の林芳正や元経産相の宮沢洋一らは「総裁選に出れば、負けても知名度は一気に高まるし、政治家として成長できる」とか、「仮に安倍首相の退陣後、細田派の支援を受けて総理になったとしても、賞味期限が切れた安倍さんからの『禅譲』と見透かされ、国民の支持は得られない」などとして、主戦論を主張していた。

だが、岸田はかつて宏池会(=現在の岸田派)の会長だった加藤紘一が、総裁選で現職の小渕恵三に挑んで敗れた結果、宏池会が徹底的に冷遇され、加藤が失脚に追い込まれた経緯を間近で見ていたため、決断できなかったのだ。

「出てもらったほうがいいじゃないですか」
「岸田さんには出てもらったほうがいいじゃないですか」。6月の安倍・岸田会談の様子を安倍から伝え聞いて突然言い出したのが、官房長官の菅義偉だ。

すでに細田・麻生・二階の主流3派は押さえた。ここに、いまや「菅派」と言われる無派閥議員を加えれば、勝利は揺るがない。無理に岸田を押し止める必要はない、というのだ。

「そうは言ってもなあ…」。その時はなお岸田の支持を得たいとの考えを示した安倍だが、確かに石破との一騎打ちになれば、安倍を嫌う票はすべて石破に集まり、石破が有力な総裁候補として生き残る可能性が高まる。

安倍サイドにあえて立候補を期待する向きもあった野田聖子には、支持の広がりが見られず、20人の推薦人の確保は絶望的だと見られている。安倍に近い細田派の議員は「数人(の推薦人)を野田に貸せば出られるという状況ではない。それに昔の派閥とは異なり、今や派閥領袖といえども所属議員に『野田の推薦人になってやれ』と無理強いできる時代ではない」と解説する。

そのため、安倍も7月に入る頃には、「岸田さんが立候補して反安倍票が分散することは、私にとって悪い話ではない。菅ちゃんの言う通りだ」と漏らすようになっていた。

菅にとって「政治家人生で一度のチャンス」
ただ、岸田の立候補を望んだ菅には、単に「安倍を助けたい」という意図とは異なる思惑があったことは間違いない。「岸田の立候補が、自らの将来にとってプラスになる」との冷徹な計算があったのだ。

菅はかねてから安倍が岸田を重用し、禅譲を仄めかしてきたことを快く思っていなかった節がある。

安倍と岸田は同じ二世議員の当選同期で、若手議員の頃から気の置けない遊び仲間でもある。そこに菅が入り込む余地はない。

一方、菅は当然のことながら、安倍政権終了後も影響力を発揮できる体制の構築を狙っている。そのため、第2次安倍政権発足後もしばらくは、安倍が嫌う石破とも裏で気脈を通じてきた。自らの息のかかった総裁候補を育てようと、麻生派出身の現外相・河野太郎に早くから目をかけ、本人が望んでいた外相への起用を安倍に進言し、実現させてもいる。

第2派閥の麻生派を上回る、約70人にのぼる無派閥議員の人事の面倒などをこまめに見て、囲い込んでもきた。今や約30人の若手無派閥議員が、事実上の「菅派」だと言われる。

さらに菅は、ここにきて幹事長の二階俊博に急接近している。

二階は「安倍首相に不測の事態が起きても、菅さんがいるじゃないか」と以前から繰り返していたが、最近とみに菅と水面下で連携を深める。6月10日に行われた新潟県知事選でも二階主導で擁立した候補を菅が全面的に支援し、激戦を制した。

安倍総理の退陣後、総裁候補のいない二階派と、無派閥の「菅派」約30人が組んで、菅を総裁候補に担ぎ出す展開も皆無とはいえない。仮にそのとき石破、岸田、菅の3人が立候補した場合、カギを握るのは最大派閥の細田派だ。そこで事実上、すでに細田派の領袖である安倍が菅支持を打ち出せば、「菅首相」も現実味を帯びる。

この5年半、政権の大黒柱を務めてきた菅が立候補しようという時に、「否」という選択肢が安倍にあるかどうか。「派閥を持たず、間もなく70歳になる菅が宰相の座を狙えるのは、安倍が退陣する時の一度限り」というのが党内の一致した見方だ。菅からすれば、安倍と岸田に楔を打ち込み、距離を広げておくことは大きな意味があるのだ。

一方の安倍は、親しい永田町関係者にたびたび「首相を辞めたら、清和研(=現細田派)の会長として残りの政治家人生を気楽に楽しみたい」と漏らしてきた。当面、清和研には総裁候補がいない。最大派閥の長として、他派の総裁候補を担いで当選させ、恩を売って「院政」を敷きたいと考えているのだ。

その最有力候補が岸田だ。気心が知れていて、寝技が苦手な岸田であれば操縦しやすい――そう考えた上でのことなのは言うまでもない。

果たして岸田はどう出るのか。安倍や菅が固唾を飲んで見守っていた中、岸田は7月24日、立候補見送りと安倍支持を表明した。ぎりぎりで安倍陣営に駆け参じた形だ。安倍をイライラさせた末の参陣で、岸田が希望通りに党3役などの重要ポストに留まれるかどうかは微妙である。

さて、「大差」で勝てるのか?
現在、安倍の最大の懸念は、今度の総裁選から重みを増す党員票の行方だ。

内閣支持率は回復傾向にあり、各マスコミの世論調査では、自民党支持者における安倍の支持率は石破を大きく引き離してトップだ。とはいえ、森友学園や加計学園の問題への対処の仕方に国民の視線はなお厳しく、長期政権による「飽き」もある。

安倍は、数か月前まで「前回は党員票で石破にかなり負けたが、今度は負けることはない」と自信を示していた。石破に党員票で負けた12年総裁選には、安倍が所属する清和研から当時会長だった故・町村信孝も立候補したため、派閥が持っていた各種団体票はほとんどが町村に流れた。しかし現職総裁として臨む今度は構図が根本的に異なるから、大丈夫だと高をくくっていたのだ。

だが、ここに来て「地方党員の間に、安倍に厳しい声が多い」との情報が数多く寄せられるようになり、安倍は細田派の議員らに対して党員票獲得でハッパをかけている。

その地方の党員票獲得に関しても、菅は、官房長官という激務にありながら手を打っている。当選4回以下の菅に近い無派閥議員らで作る「ガネーシャの会」の会長で、総務副大臣の坂井学らに対し、「首相か私が出向くから」とそれぞれの地元で安倍支持を広げるため会合をセットするよう要請しているのだ。

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安倍圧勝に向けて邁進する菅の姿に、自民党内では「今回、安倍が大差で勝つことは、その後を安倍政権を支えた菅が引き継ぐ環境を整備することにもなる。それで菅は必死なのだ」と見る向きもある。

石破、岸田、野田…「ポスト安倍」候補たちが戦闘力不足を露呈した今回の総裁選。小泉進次郎ら次世代へのつなぎ役として、菅が次期首相候補に躍り出るのか。それに向けて菅は、総裁選で安倍三選が決まるであろう今年9月以降も官房長官に留まるのか、それとも幹事長への転出を強く望むのか。

安倍政権が「最後の3年」に突入するこの9月以降は、安倍と菅の関係こそが政界の流れを読む鍵となるだろう。(戸坂弘毅 ・ジャーナリスト、文中敬称略)』

岸田正記(※ 岸田さんの祖父)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%AD%A3%E8%A8%98

岸田幾太郎(※ 岸田さんの父)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E7%94%B0%E5%B9%BE%E5%A4%AA%E9%83%8E

主流派、菅氏に白羽の矢 派閥主導で石破氏封じ―自民総裁選

『 安倍晋三首相の辞任表明に伴う自民党総裁選に、菅義偉官房長官が出馬する意向を固めた。二階俊博幹事長や麻生太郎副総理兼財務相が菅氏を推す考えで、首相も前向きとされる。次期政権でも主流派として既得権益を維持し、人事や政策決定に影響力を行使したい勢力が、政権中枢で7年8カ月にわたり首相を支えた菅氏が適任とみて白羽の矢を立てた格好だ。
自民総裁選、菅氏が出馬の意向 岸田氏も立候補明言―来月17日にも首相指名

 二階氏はかねて菅氏の手腕を評価しており、首相が辞任を表明した28日朝のテレビ番組収録でも「(首相に)指名されれば十分任に堪え得る人材だ。有力候補の一人だ」と明言。共に国会議員秘書と地方議員を経験、最近も頻繁に会食を重ね、気脈を通じる間柄だ。29日には菅氏から直接、出馬の意向を伝えられた。二階派の河村建夫元官房長官は30日、「(菅氏支援の)空気が生まれている」と記者団に語った。
 一方、麻生氏は消費税への軽減税率導入で菅氏と対立するなど反目。岸田文雄政調会長への「禅譲」を探る首相と歩調を合わせてきた。だが、岸田氏はここへきて発信力や指導力の欠如を露呈。政権批判を繰り返す石破茂元幹事長と一騎打ちになれば「勝ち目はない」(竹下派幹部)と目されていた。首相退陣が確定すると、麻生氏は「菅氏が一番収まりがいい」と方針転換を口にした。
 首相自身、任期途中での不本意な退陣で当初描いていた岸田氏への禅譲がかなわなくなると、複数の関係者に「菅氏が望ましい」と本音を漏らした。ただ、後継選びに関与すべきではないとの立場から、表立っての発言は控える意向だ。
 「『菅待望論』の雰囲気を徐々につくっていこう」。あるベテラン議員は29日、菅氏と会ってこう申し合わせた。菅氏と親しいこの議員は、首相が17日に慶応大病院を受診して健康不安説が高まった頃から、後継には菅氏しかいないと見定めて党内の根回しを進めている。
 ある主要派閥の幹部は、二階派が既に菅氏支持を固めたことを踏まえ、「細田派、麻生派、竹下派がどうするかで流れが決まる」と述べ、派閥主導で選挙戦の行方を決定付ける考えを示した。
 総裁選に当たり、二階氏は党内の根強い異論をよそに、党員投票を伴わない両院議員総会で決着させる方針。新型コロナウイルス感染拡大や経済悪化という国難に直面する中、政治空白の長期化を避けるという「大義名分」の下、過去の党員投票で強さを示してきた石破氏に不利な構図に持ち込もうとしている。
 一方、首相からの禅譲を基本戦略としてきた岸田氏は、主流派から菅氏に乗り換えられた形となった。岸田氏は30日、東京都内で細田派会長の細田博之元幹事長、麻生氏と相次ぎ会談。改めて支援を要請したとみられる。だが、岸田派中堅は「今回は勝ち目がない。一度我慢した方がいい」と語り、撤退も視野に入れるべきだと指摘した。』

ポスト安倍 優勢なのは… 各派閥の勢力と支持は

https://www.nippon.com/ja/news/fnn2020083179465/

『安倍首相の後継を選ぶ、自民党総裁選の動きが本格化している。

総裁選のカギを握る自民党の各派閥の勢力、そして各派が誰を支持するのかを整理する。

まず、岸田政調会長は、自身が率いる岸田派の47人が中心となる。

石破元幹事長は、派閥の議員は19人と少ないが、自身が有利とみられる党員投票が行われるか否かを見極めて立候補を判断する考え。

そして、菅官房長官は派閥に属していないが、菅氏に近い無派閥議員数十人が支持するほか、47人を擁する二階派が菅氏を支援する方向。

そのほかの派閥では、安倍首相の出身派閥で党内最大勢力の98人を擁する細田派と、ポスト安倍候補の1人、河野防衛相を抱える54人の麻生派。

この2派閥が、菅氏か岸田氏のどちらを推すかで調整が続けられている。

そして、茂木外相が所属する竹下派は54人で、茂木氏を推すべきとの声と、菅氏を支援する声の両論がある。

こうして見ると、議員票の焦点は細田派と麻生派の動きということになるが、もう1つの焦点が、総裁選の形式とも絡む党員票、地方票の行方。

(FNNプライムオンライン8月31日掲載。元記事はこちら)』

安倍後継は「石破」つぶしの「菅」コロナ対策政権

安倍後継は「石破」つぶしの「菅」コロナ対策政権
政治・外交 社会 2020.08.30
田勢 康弘
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00617/

『安倍も麻生も石破茂が嫌い
日本の政治は「政策」では動かない。政策論争をしているように見えても、それはまやかしだ。「好き」か「嫌い」かで日本の政治は動く。それぞれの政治家や政党、あるいは派閥にとって「損」か「得」かでも動く。日本の国家、国民にとっていいか悪いかは政治行動の基本にはならない。

安倍晋三は石破茂が大嫌いである。麻生太郎も石破が嫌いである。ともに首相時代、石破から「退陣した方が」と迫られた屈辱的な経験を持つ。麻生も安倍も人の好き嫌いが激しい。とくに安倍はたとえ些細なことであっても、自分を小馬鹿にした人間は絶対に許さない。父安倍晋太郎外相の秘書官をしていた時代、官僚からかなり意地悪をされた経験を持つ。それが安倍の財務(大蔵)官僚嫌いの根源にある。

いままであまり付き合いのなかった経済産業省や警察庁の官僚を信頼し、その結果彼らが首相官邸を牛耳っている。そのボス的存在が経産省出身で総理秘書官から補佐官に格上げされた今井尚哉である。また警察庁出身の杉田和博官房副長官も各省庁の官僚人事を握り、睨みをきかす。安倍は一度嫌った人間は絶対に許さない。好きな人材は職を離れた後までも徹底的に面倒を見る。だから安倍に仕えた役人はみなイエスマンになり、メディアの安倍番記者たちは権力側の御用聞きになる。

第一次安倍政権退陣直後から捲土重来を期していた菅
2007年、持病の潰瘍性大腸炎で総理を辞職したあと、安倍事務所から「話を聴いてくれませんか」と言われ、東京・赤坂の小料理屋で二人だけで話し込んだことがある。慶応病院から退院した後だったと思う。安倍は印象に残るようなことは何も話さなかった。憔悴(しょうすい)しきった顔で私の話を聴いていた。「病気での退陣は辛いことだったけど、これからは一人の政治家として、こつこつと実績を積み上げていくこと、そうすれば、必ず活路を見出せる」、おおむねそのような激励をしたように記憶している。

そのときは後に再び総理大臣の座につき、在任期間で日本最長の総理大臣になるなど、夢想だにしないことであった。そのころ菅義偉はもう一度安倍で勝負する決意を固めていた。「あんな辞め方をした政治家が総理大臣に返り咲くなどありえない。バカなことはしない方がいい」と言う私の言葉を振りきって菅は言い放った。「あなたは安倍の恐ろしいまでの指導者としての能力、魅力を知らない」。

二度目となる「退陣表明記者会見」をテレビで見て、安倍が初めて自分の言葉で会見したな、と思った。原稿が目の前に流れてくる「プロンプター」を使うことなく、あまり力まずに話した。この中継を見ていた自民党のある大物議員は言った。「やはりあの乱暴な国会答弁は潰瘍性大腸炎による躁鬱状態のなせるものだったんだ」

見事に計算され尽くした二度目の退陣劇
突然の退陣表明のように見えたが、このタイミングといい、その後の後継総裁選出の手順といい、見事に計算され尽くしていた。二度にわたる慶応病院での診察があまりに長く、政界には「安倍潰瘍性大腸炎再発」「年内退陣か」などという情報が飛び交った。政局を動かすことのできる唯一のメディアとなっている「週刊文春」が「安倍再発、後継は菅コロナ暫定政権」と報じた。それでもまだ、体調についての説明とコロナ対策が記者会見の目的だと見る向きが多かった。

安倍は一人で退陣を決めた。いまのところ誰かに相談した形跡はない。2020年9月から10月にかけてはニューヨークでの国連総会出席や内閣改造人事、秋の臨時国会、それにコロナへの対応などで日程が空白になっていた。ここに総理交代に必要な日程をすべて入れ込む。そうすれば、後継総裁選びは党員投票と国会議員投票を合わせて行う自民党大会ではなく、それに準ずる両院議員総会+都道府県代表による投票で済ますことになる。コロナ禍の最中であるということで党員投票まで要求する声は消滅するだろう。

突然の退陣表明というショックは、安倍首相の胸の内にある「石破後継だけは絶対に認められない」という怨念を消す。安倍の胸の内は初めは岸田文雄だった。しかし、総裁選が事実上の「石破×岸田」の対決構図になれば、岸田が負ける可能性が高い。絶対に石破に勝てる候補、それは「引き続きコロナと戦う総理」ということで菅義偉以外にない。菅ならば安倍政権の継承であり、コロナ対策を熟知している、しかも来秋までの残りの安倍任期となれば、コロナ対策の継続という大義名分となる。

安倍政権の政治基盤はそのままの首すげ替え政権
岸田の後ろ盾になるはずの古賀誠は岸田に物足りなさを感じていた。その一方で古賀と菅の関係は急接近していた。その菅と二階俊博も悪くない。派閥を持たない菅は、持たないがゆえの強さを持っている。安倍の派閥細田派に、麻生、岸田、それに竹下派が乗れば、あっという間に菅政権誕生になる。1年だけ、なら岸田も乗れる。

問題は菅とことごとく相性の悪い麻生太郎がどうするかだ。麻生にとっての頭痛のタネは派内の河野太郎。出馬となれば麻生派は割れる。菅ならば、神奈川県つながり(菅も河野も神奈川県の選出)で河野も出馬断念しやすい。

結局はいまの安倍政権の政治基盤をそのままにして殿様の顔だけ入れ替えようという戦略だ。菅は秋田県の高校を出て上京、都内のダンボール工場で働きながら、2年後、法政大学の夜学に通う。大学の紹介で法政出身の政治家で衆院議長を務めた中村梅吉を紹介され、そこから同じ中曽根派の小此木彦三郎事務所に入る。後に菅は北海道知事の鈴木直道を全面バックアップするようになる。鈴木もまた法政の夜間出身なのだ。このきめのこまやかな人間関係が菅の本質であり、政治手法は師と仰ぐ梶山静六そっくりである。

というわけで、安倍後継は安倍を再び総理にし、最長政権を官房長官として支えてきた菅義偉で決まりも同然である。

菅の人生はいまどき珍しいくらいの田中角栄神話のような魅力がつまっている。エリート面した政治家が多い中で、叩き上げ風の菅の立身出世物語は大衆に受けるだろう。
ただ、同じ東北人としてほんとに大丈夫だろうかと心配にもなる。秋田県でも山形県寄りの出の菅義偉と山形出身の私と声や話し方がかなり似ているらしい。以前テレビで対談したら、映像を見ていないとどちらの発言か分からないとも言われた。

一年以内に解散総選挙があり、任期も来年9月で切れる。「暫定政権」が本格政権に化けるのはそう難しくはない。解散総選挙で勝利すれば、手続きなしに本格政権になる。(敬称略)

バナー写真 : 左・菅義偉官房長官、右・石破茂元自民党幹事長(いずれも時事)』

極上の眺望へいざなうデザイン

極上の眺望へいざなうデザイン
長崎稲佐山スロープカー(長崎市)

大井 智子 ライター
2020.08.07
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00013/073100020/ 

『「移動自体を楽しんでほしい」
 最大勾配は20度余り。丸みを帯びた車両が緑深い山の尾根伝いに最大毎分80mの歩くようなスピードで上っていく。2020年1月に運行を始めた斜面走行モノレール「長崎稲佐山スロープカー」だ(写真1、2)。

写真1■ 長崎市が整備した斜面走行モノレール「長崎稲佐山スロープカー」。夜景の名所である稲佐山山頂展望台(写真右奥)と山の中腹とを結ぶ輸送施設として2020年1月に開業した。レールの下には遊歩道が通る(写真:長崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

写真2■ スロープカーは1編成2両で、2編成が運行。最大で約20度の勾配をゆっくりと行き来する。写真奥は山頂駅。駅から200mほど離れた場所に展望台がある(写真:長崎市)
[画像のクリックで拡大表示]

 稲佐山は標高333m。山頂展望台からは、香港、モナコとともに「世界新三大夜景」に選ばれた長崎の街や港を一望できる。観光に力を入れる長崎市が、山頂と中腹の駐車場とを結ぶ輸送施設として整備した。「乗車時間は8分。景色を楽しみたいので、もっとゆっくり走ってほしいという声もある」と市中央総合事務所地域整備1課の末川久司主事は明かす。

 KEN OKUYAMA DESIGN(山形市)が車両のデザインを担当した。同社の奥山清行代表はフェラーリのスポーツカーなども手掛ける世界的な工業デザイナーだ。

 スロープカーは稲佐山の広葉樹林を眼下に見ながら行き来する。車両は天井から足元までガラス張り。「森のカーペットの上を滑るように進む。用事もないのに乗りたくなるような乗り物を目指した」。こう話す奥山代表は、スロープカーに乗る体験そのもののデザインを目指した。

 市はスロープカーが走るレールや支柱、駅舎など、車両デザイン以外の設計を一括で発注した。デザインコンセプトや景観を統一するためで、周辺の公園とともに17年に完成した出島表門(おもてもん)橋でも採用した手法だ。

 一連の設計業務はトーニチコンサルタントがプロポーザル方式で受託した。市は約500mある中腹駅から山頂駅までのルートを尾根上に設定。尾根には既設の遊歩道があり、施工時に木を極力切らずに済むからだ。「急斜面での工事は費用がかさむ。尾根は比較的平らで見晴らしも良い」と同社九州支店技術部の田辺敏宏部長は説明する(写真3、4、図1、2)。

写真3■ 施工中の様子。手前の中腹駐車場から山頂まで尾根伝いのルートを通る(写真:長崎市)
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写真4■

ロープウエーは市街地を望む稲佐山の東側斜面をルートとするのに対し、スロープカーは北側斜面の尾根伝いにアプローチするため、西側に広がる五島灘の夕景も楽しめる。スロープカーを含む稲佐山公園とロープウエーは、リージョナルクリエーション長崎(長崎市)と一般財団法人長崎ロープウェイ・水族館の事業共同体が指定管理者となる(写真:長崎市)
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図1■ 地形に逆らわず高架レールを架設
長崎稲佐山スロープカーの全体図。支柱の高さは最大で約14mに抑えた。長崎市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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図2■ 4.5m間隔で2つのレーン
長崎稲佐山スロープカーの軌条構造図。長崎市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 駅舎の設計は、トーニチコンサルタントがMORアーキテクツ(長崎市)へ再委託した。山頂駅のプラットホームは7mも空中に張り出し、スロープカーで上ってきた人々を迎える。「山頂駅舎は市街地からも見える。山の稜線(りょうせん)に沿うように高さを抑え、ランドマークとなるように工夫した」とMORアーキテクツの一丸康貴代表は言う(写真5~8)。

写真5■ 山頂駅を正面から見る。東(写真左)側に長崎市街地、西(右)側に五島灘。中央は管理用通路(写真:ミヤザキ フジナリ)
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写真6■ 山頂駅のプラットホームは空中に張り出し、上ってきた人々を迎え入れる(写真:ヨコタ ケイスケ)
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写真7■ 山頂駅に滑り込むように到着するスロープカー。ホーム先端はトラス構造と片持ち梁で支持され、7m張り出す(写真:ミヤザキ フジナリ)
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写真8■ 中腹駅。ホームに入るスロープカーがよく見えるように、扉や間仕切りにガラスを多用した(写真:ミヤザキ フジナリ)
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 設計の過程では、関係者全員が現地を視察してルートや見え方を検証し、支柱の高さなどを調整した。市の景観専門監として事業を監修した九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの高尾忠志准教授は次のように話す。「車両も駅舎も隔てず、稲佐山全体を味わう一連のプロセスとしてデザインした。ぜひ移動自体を楽しんでほしい」

大量輸送に向けて3案を検討
 稲佐山には麓と山頂を結ぶ既存のロープウエーがある。しかし、近年は観光客の急増で1時間待ちとなるような混雑も珍しくなかった。しかも、ロープウエーの定員は31人と少ない。修学旅行生やバスツアーなどの団体客を分散させず、一度に輸送できる手段が必要となっていた。

 長崎市は2015年度、多くの利用客を運ぶ新たな方法として「山頂まで続く既存道路を大型バスも通れるように拡幅する」「エスカレーターと動く歩道を整備する」「スロープカーを整備する」の3案を検討。道路拡幅は工事が長期間に及ぶ点が、動く歩道は工事費がかさむ点がそれぞれ懸念され、スロープカーの導入が16年度に決定した。市土木部土木建設課の馬場秋広技師は「スロープカー自体が稲佐山の新たな観光資源になるとも考えた」と言う。

 スロープカーの総事業費は約20億円。20年2月の利用者数は約2万人で、想定を5000人ほど上回った。その後、新型コロナウイルスの感染拡大による休止を経て、6月から営業を再開。1編成2両で一度に80人が乗れるが、当面は30人に絞って運行している。

[プロジェクト概要]
■ 位置図
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[長崎稲佐山スロープカー]

事業名称=稲佐山公園(スロープカー整備)事業
施工場所=長崎市稲佐町・大浜町
発注者=長崎市
設計者=トーニチコンサルタント(管理技術者:田辺敏宏)、車両デザイン:KEN OKUYAMA DESIGN、駅舎設計:MORアーキテクツ(旧:岡村設計)
施工者=嘉穂製作所・アダチ産業・三浦工業所JV、武藤建設、本間建設、西海興業・本間建設JV(以上、稲佐山公園斜面輸送施設・遊歩道整備)、ウエノ(稲佐岳スターハウス解体他)、西海建設、細田電気工事、住吉設備、日東建設、長崎電建工業、アトム防災設備(以上、駅舎)、田浦工務店、五島設備工業(トイレ)、九州ビルド(公園整備)他
設計期間=2016年6月~17年6月
工期=2017年12月~20年1月
設計費=約6300万円
工費=約19億8000万円(斜面走行モノレール:約10億円、中腹・山頂駅舎:約3億4000万円、土木工事:約4億7000万円、その他施設整備:約1億7000万円)
事業規模=斜面走行モノレール(レール延長約500m×2レーン)、車両(40人/両の2両連結×2編成)、中腹駅(延べ面積185.43m2)、山頂駅(延べ面積506.9m2)、中腹駅舎前舗装(約500m2)、遊歩道(コンクリート舗装の延長約220m、幅員約2m、照明灯22カ所)』

SNSから本性バレた 知能や性格、AI実験に懸念も

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63169460Y0A820C2MY1000/

 ※ ネットは、「匿名性」が保たれているはず…、と思っている人は、特に見ておいた方がいい…。

 「匿名」どころか、「本性バレバレ」だ…。

 ※「デジタル・ツイン(ネットやPC操作などの様々な「デジタル活動」から割り出し、作り上げた、その人の「デジタルな双子」)」の話しと言い、「薄気味悪い世の中」になったもんだ…。

『SNS(交流サイト)から本人の知能指数(IQ)や精神状態、生活習慣を見抜く実験に総務省傘下の情報通信研究機構が成功した。人工知能(AI)を使った初期の実験とはいえ、わずか140文字の投稿でプライバシーを明かしたと思っていない人にとっては驚きの事実だ。米科学誌に論文を公表してから1週間余りが過ぎたばかりで、論争が起きるとしたらこれからだが、情通機構は悪用を懸念してAIプログラムの公開を見送る異例の対応をとった。

誰もがつぶやけるSNSは、今では社会参加のインフラになっている。行き交う短い文面から、その先の相手がどんな人かを確かめたいという欲求が研究の始まりだった。

実験でAIは短文投稿サイト「ツイッター」の情報から人々の内面を表す23種類の特徴を推定した。IQなどの知能や性格のほか、統合失調症やうつ病のような精神状態、飲酒や喫煙の生活習慣、人生の満足度も読み取れた。

これまでも、技術力を見せつけたい研究者らがSNSの解析に挑んできた。それでも「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経症傾向」の大まかな傾向がわかっただけで、解析成果を「Big5」と呼んで誇ってきた。

今回は数百の少ないデータでもAIを賢くできる新たな手法で、個人のより細かな特徴まで突き止めた。専門家は一線を越えたとみる。

一体、どうやって見抜いたのか。研究チームはツイッターを日ごろ使う239人に最大数十のアンケートを個性にまつわる項目ごとに回答してもらい、ツイッターの投稿内容とともにAIに学ばせた。

学習を終えたAIはツイッターから人々の内面をあぶり出す規則性を次々と発見した。例えば「いいね」をされた頻度が多いと「漢字の読み書きの能力が高い」。毎回のつぶやきで文字数のばらつきが大きいほど「統合失調症の傾向がある」。「飲む」「歩く」「時刻表」などの単語を多く使う人は「飲酒の習慣がある」。新たなつぶやきで試してもその傾向を見いだした。

短文だけで「真の自分」をこれだけアピールできるのかと歓迎する人もいるかもしれない。だが「今回の技術で厳密に個性を算出するのは難しい」(情通機構の春野雅彦研究マネージャー)という慎重な発言こそ、多くの人の実感を代弁している。

新技術を目の当たりにしたとき、人々の反応は2つに割れる。先に立つのは薄気味悪さだ。SNSのつぶやきから内心まで分かれば、脳の中に監視の目が届く。「犯罪集団のネットワークを絶てる」と当局が小躍りしそうだ。

かつてフェイスブックの個人情報は世論操作の標的となった。16年の米大統領選では民間企業が「いいね」の対象分野を5000項目に分けて調べ、個人の大まかな傾向を推定していたとする報告も出ている。この技術は政治広告に使われたとみられている。

選挙活動だけでなく、いずれ就職や昇進などの判断にも関わってくるだろう。AIとプライバシーの問題に詳しい小林正啓弁護士は「現時点では規制がない。SNSを採用などの人事に使う行為は法的に問題ないと考える」としつつも、「AIは偏見を身につける危険もある。将来はAIの使い方に規制がかかる可能性はある」と話す。

一方で、SNSは一人ひとりの内面を映し出す鏡だ。適切に使えば、真の自分をアピールでき、自分では気づかない一面を知ってもらうきっかけになる。AIの解析を「見張り」ととらえず、「見守り」と思う人にとっては技術の進歩が光明となる。

情通機構が応用を目指すのはストレスの分析だ。海外では18年、うつ病の兆候をフェイスブックに並ぶ単語から3カ月前につかめるとする研究が発表された。豪雨などの災害発生時に、避難をためらいがちな住民をSNSから探り、早めに声をかけるような使い方も有望かもしれない。

中国は個人の信用力を数値化した信用スコアの活用が進む。信用スコアに応じて融資やホテル利用などで優遇を受けられる。AIが管理する社会では、SNSでの交流などに気を配って信用スコアを引き上げ、生活を豊かにするのも一つの生き方だ。

新技術は産業や経済を大きく変える。期待と不安のはざまで問われているのは、開発者や企業、個人の責任だ。開発者や企業はAIの開発指針や情報をどう活用したいのかなどを明示し、個人はどんな使い方であれば情報を託すのかを自分自身で考える必要がある。個人の特徴を見抜くAIが人を助ける道具となるか監視の武器となるかは、私たちの行動次第だ。(大越優樹)』

「自称プログラマー」の哀れな末路、仕組みを考えないコーダーはエンジニアにあらず

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00148/082800134/

※「プログラマーと、コーダーは違う。」…。

 この業界ではたらく人は、よく見ておいた方がいい…。

『(木村 岳史 日経クロステック/日経コンピュータ)

たまに哀れな「自称プログラマー」に関する話を聞くときがある。例えば「あのさぁ、何をつくってほしいか、きちんと仕様にしてくれないと、システムなんかつくれないじゃん!」とか「何をつくるかを決めるのはビジネスサイドのあんたたちの仕事だろ。俺の仕事じゃないぜ」と言い放って、事業部門の人を怒らせたり涙目にさせたりする愚か者たちだ。

 一見とても正しい発言のように思える。というか大概の場合、発言としては正論であったりする。同業者なら「よくぞ言ってくれた!」と喝采する人もいるはずだ。何せ最近は、要件定義が全くできず、「何をつくってほしいのか」まで開発サイドに丸投げしてくるビジネスサイドのアホが多数いる。そんな連中を一言で撃退できる自称プログラマーは称賛すら集めるだろう。

 だが、この自称プログラマーが本心からそう思っているなら、やはり愚か者である。まず本質でないほうの理由から説明する。「何をつくるかを決めるのはビジネスサイドの仕事だろ!」と言い放ったが最後、「逆も真なり」となる。システム開発プロジェクトでビジネスサイドからの協力は一切得られなくなるし、力関係次第では無理難題を押しつけられる。「それはむちゃです」と言っても「知らねぇよ、それを何とかするのがITの専門家の仕事だろ!」といった具合だ。

 で、本質的なほうの理由だが、そもそもソフトウエアって何だっけ?という話だ。私が思うに、ソフトウエアとは「プログラミング言語で記述された(実装された)何らかの仕組み」である。つまりソフトウエアの本質は、それに実装されている何らかの仕組みにあるわけだ。業務アプリなら、もちろんビジネスの仕組みだ。その仕組みを考えてプログラミング言語を道具として使って実装していくのがプログラマーの仕事である。

 なぜ冒頭の愚か者たちを「自称プログラマー」と書いたか、もうお分かりであろう。ここまでで「仕組みを考えるのは当たり前でしょ」と不審に思った人は、パッケージソフトウエアやクラウドサービスの開発に携わるプログラマーなのだろう。一方、人月商売ビジネスにはそのあたりがよく分かっていない自称プログラマーが大勢いる。人月商売ビジネスでよく使われる言葉で言えば、彼ら/彼女らはプログラマーではなく「コーダー」。つまりエンジニアではなく作業員である。

 デジタル革命が進展するなかにおいては自称プログラマー、つまりコーダーという作業員はいつ職を失っても不思議ではない。デジタル革命と大げさに言わなくても、これまでも35~40歳あたりからコーダーは徐々に仕事が厳しくなってきていた。自称プログラマーに染みついているのは分業の発想だ。人月商売の多重下請け構造の発想と言い換えてもよい。そうした分業体制がそろそろ成り立たなくなりつつあると気付くべきなのだ。

プログラマーは「料理を創るシェフ」
 そう言えば以前、米Microsoft(マイクロソフト)でWindows 95のチーフアーキテクトなどを務めた中島聡氏と対談したことがある。その際、中島氏はソフトウエアを料理に例えていた。そうするとプログラマーはシェフである。シェフの仕事の本質は料理を「創る」ことであり、単に食材を切ったり煮たりすることではない。プログラマーも何らかの仕組みを「創る」のが仕事の本質であり、それは言われた通りコードを書くことではない。

 中島氏は多重下請け構造の人月商売のIT業界を次のように批判していた。「僕から見ると、ITゼネコンの方は料理をつくったことがない『なんちゃってシェフ』がレシピだけ書いている。下請けの人たちは、下りてきたレシピ通りつくるだけ。そこでは、おいしい、おいしくないは関係ない」。ITゼネコンとはSIerのことだが、このITゼネコンが支配する人月商売のIT業界には、料理を創るシェフに相当する本物のプログラマーが存在しないわけだ。

関連記事:ここがヘンだよ! 日本のIT業界
 ちなみにWindowsのようなOSやパッケージソフトウエア、あるいはクラウドサービスの世界では、何らかの仕組み(コンピューターを動かす基本的な仕組みや業務処理の仕組み、あるいはサービスの仕組み)を専門的に考えるプログラマーをアーキテクトと呼ぶ。だからプログラムを書いたことのないアーキテクトはあり得ない。程度の差はあるが、仕組みを考えてソフトウエアの形にしてきたプログラマーの中から、優れたアーキテクトが生まれてくるわけだ。

 一方、人月商売のIT業界のほうはどうかと言うと、アーキテクトに相当するのがSE(システムエンジニア)である。先ほどの中島氏の言い方に従えば、料理をつくったことがない「なんちゃってシェフ」たちだ。もっとも、最近ではSIerもプログラミング経験のないSEはさすがに使えないと深く反省し、プログラムを書く経験を積ませるようになった。ただ、仕組みを考え、それをプログラミングで形にしていくプログラマーの仕事を通じて、優れたSEが育っているのか言えば、全くそうではないから困ったものだ。

 そもそもSEは、アーキテクトと違って何らかの仕組みをゼロから「創造」する必要はない。要件を明確にしたうえで、必要となる機能をどう実装するかを検討するのが仕事だ。一応、仕組みを考えているとは言えるが、既存の業務をシステム化することが大半だから、考える仕組みとはまさに「機能をどう実装するか」のみである。実に単純な仕事だ。「システム導入を機に業務のやり方(仕組み)を変えましょう」と提案するなら創造的な仕事になるが、「それはお客さまやコンサルタントの仕事」として避けてしまう。

 しかも最近、その単純な仕事がさらに単純になっている。大規模な案件であっても、ERP(統合基幹業務システム)など出来合いのパッケージソフトウエアなどをシステムのベースに使うケースが増えてきたから、必要となる機能をどう実装するかを検討する機会は大幅に省略される。後はフィット&ギャップ分析などで、客が要望する(本当は必要でないかもしれない)機能をどうつくるかだけを検討する。これはもう、仕組みを考えるという創造性とは無縁の世界だ。

 SEですらそのレベルだから、SIerをはじめとする人月商売のITベンダーでは、仕組みを考えてプログラミングで形にしていくプログラマーが育たない。どんなにプログラムを書いても、仕様に基づいてコーディングしているだけだ。つまりコーダーばかりである。余計なことを言えば、人月商売のIT業界では、そんなコーダーにも「SE」との肩書を与えるから、もう訳が分からない状況になっている。

基幹系刷新では誰も「仕組み」を考えない
 もう一度書くが、ソフトウエアの本質は、それに実装されている何らかの仕組みにある。プログラマーであろうが、アーキテクトであろうが、「本物の」SEであろうが、その仕組みを考えて実装するのが仕事である。そして、ここまでがエンジニアである。単に言われた通り、仕様通りにプログラムを書いているなら、エンジニアではなくコーダーと言う名の作業員である。先ほどは料理の世界と比べたが、機械や土木などの世界のエンジニアもきっと同じであろう。

 そんなわけで人月商売のIT業界にいるのは、ソフトウエアの本質である仕組みをろくすっぽ考えない、なんちゃってSEや自称プログラマーばかりである。しかも話をさらに悲惨にするのは、システム開発を依頼する側、つまりユーザーであるビジネスサイドの連中も、新たにどんな仕組みをつくるのか、あるいは既存の仕組みをどう変えるのかを丸っきり考えていないことだ。

 例えば基幹業務システムの刷新ならば、新旧のシステムに実装するのは業務プロセスなどビジネスの仕組みである。本来なら刷新を機に、このビジネスの仕組みをどう変えるのかについて、ビジネスサイドの人やSE、プログラマーが真剣に考えて議論すべきなのだ。だが、誰も考えようとしない。特にITベンダーのなんちゃってSEや自称プログラマーは「それはお客さまがやること」との固い「信念」があるから、全く考えようとしない。かくして、何度刷新しても「現行通り」のシステムがつくられ続ける。

 人月商売のITベンダーからすれば客のシステムなのだから、客が「現行通り」と言えばその通りにつくればよい(ただしプロジェクトは大概悲惨な結果になる)。ただし、そんな仕事ばかり続けていると、つまり仕組みを考えないコーダー仕事などを続けていると、エンジニアならぬ作業者には成長がない。というか35歳あたりから劣化が始まる。最新技術を習得するのは加齢とともに大変になるし、コーディングスピードも若手に勝てなくなる可能性が高まるからだ。

 そんなわけで、仕組みを考えて実装できる本物のプログラマーにならないと、中高年になったときに大変だぞ……と極言暴論らしくあおりたいところだが、現実はもっと複雑だ。「現行通り」のシステムがずっと生き残り続けているので、そのシステムのお守りをしていれば稼ぎは少なくても食いっぱぐれることはない。特にCOBOLプログラムが生き残っていると、とても安心だ。今どき若手が「参入」してくることはほとんどないから、コーダー稼業でも食っていけた。

 めでたしめでたし……とは、もちろんいかない。時代は大きく変わり始めている。そう、ビジネスや社会のデジタル化、いわゆるデジタル革命の進展だ。巨大プラットフォーマーが主導するクラウドの急速な普及により、既存のビジネスや社会を変え得る新たなサービス(仕組み)を低コストでつくれるようになった。だからこそ、少人数で起業したITベンチャーが続々と登場し、既存の産業や企業に取って代わるデジタルディスラプター(デジタルによる破壊者)を目指し、しのぎを削っているのだ。

 仕組みを考えてそれを実装できる本物のプログラマー、そしてアーキテクトにとっては、最高にハッピーな時代が始まっているわけだ。特に日本では圧倒的に人材が足りず、引く手あまただ。これからは20代の若手であっても、年収1000万円程度の「低賃金」しか出せないような企業で働く必要はない。転職、副業は自由自在。何なら優秀な仲間とともに起業に踏み切ってもよい。作業員ではなくエンジニアである限り、素晴らしい未来が約束されている。

デジタルの時代に座して死を待つことはない
 では、作業員にすぎない自称プログラマー、なんちゃってSEはどうか。これはもうお察しの通りである。人月商売のIT業界に在職する作業員はこれから先、どんどん用済みになっていく。この極言暴論で何度も指摘しているように、途方もない工数をかけてシステムをつくり上げる大規模プロジェクトはこの先、数を急速に減らしていくはずだからだ。

 大規模プロジェクトの花形だった基幹系システム刷新でも、ERPやクラウドサービスの機能を可能な限りそのまま使うことが当たり前になる。ERPベンダーなどに高額のライセンス料を支払うのに、どうでもよい自社独自の業務のやり方をシステムに組み込むために、さらにSIerにばか高い人月料金を支払うのは愚かだ――。そんな当たり前の認識が日本企業にもようやく広まりつつある。

 大規模プロジェクトの需要が大きいから、人月商売のIT業界では多重下請けという分業体制が発達した。元締のSIerは、少しだけ仕組みを考えるSEと現場監督のプロジェクトマネジャーを出し、2次請け以下の多くの下請けITベンダーが大勢のコーダーを送り込む。こうしたプロジェクトを幾つもこなすことで、人月商売のIT業界は潤ってきたわけだかが、そんな前時代的な労働集約型の商売はまもなく成り立たなくなる。

 くだらない基幹系システム刷新でお金をドブに捨てるようなまねをやめたユーザー企業は当然、浮いたIT予算を顧客接点のデジタル化といったビジネスのデジタル化に使うようになる。その際に必要となる人材はもちろん、仕組みを考えてそれを実装できるプログラマー(できればアーキテクト)である。そんなわけなので人月商売のIT業界にいる作業員たちは、コーダーなどに甘んじていれば先はないが、プログラマーというエンジニアを目指せば前途洋々たる未来が開ける。

 最後に、ここまでずっと曖昧に表現してきた「仕組みを考える」について、少し詳しく書いておこう。既に理解している読者も多いかと思うが、プログラマーやアーキテクトが考える仕組みとは、ビジネスの仕組み(ビジネスモデルや業務プロセスなど)とシステムの仕組み(アーキテクチャー、ビジネスモデルなどをどう機能として実装するか、など)の両方である。

 そうした仕組みを一体で考えるには、マーケティングや法制度などのビジネスサイドの知識と、クラウドやAI(人工知能)などの最新技術に対する知識が必要になる。「スーパーマンじゃないんだから、そんなの不可能だ」と思う読者が大勢いるだろうが、まさにその通りだ。だからこそ、様々な分野の専門家であるエンジニアや、ITに詳しいビジネスサイドの人たちが集まる必要がある。ただし、専門領域ごとに仕組みを考えるといった「分業」をしては駄目だ。一緒に仕組み全体を検討しなければならない。

 さて、人月商売のIT業界で自称プログラマーやなんちゃってSEの仕事に甘んじている皆さん、いかがだろうか。人月商売に先がないことを見切ったSIerは、下請けITベンダーを切り捨てながら、そちらの世界に人材をシフトさせるのは間違いない。切り捨てられる側にいる人たちも、座して死を待つことはあるまい。本物のプログラマーの仕事は未来があるだけでなく、やりがいがあって楽しいぞ。』

中国が導入を急ぐデジタル人民元 : 机上空間

http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/23535072.html

 ※ 米ドルというもの、米国の金融力というものの本質に触れていると思われるので、見といた方がいい…。

『世界の金融は、米ドルを中心に回っています。というのは、海外へ送金したり、決済をする場合、必ずSwiftコードというISOで標準化された銀行機関コードを使用します。主に送金業務のさいに、送金元と送金先の資金を移動を確実に行う為に、現状では使用せざるを得ないシステムです。

これが良く誤解されやすいのですが、Swiftコードというのは、単に銀行機関にコードを割り当てただけではなく、資金移動を担保する信用システムも兼ねているという事です。確実に送金元から、指定された金額を出金して、送金先へ入金するという作業を、第三者的に保証するシステムも兼ねています。

その送金の過程で、どの国からどの国へ資金移動するにしても、多くの場合一度は米ドルに換金されます。そして、自国通貨から、相手の国の指定の通貨で送金されるわけです。つまり、銀行というのは、国際業務を行うに当たって、米ドルを一定の額をキープしていないと、国際決済業務が行えません。つまり、アメリカ政府から、その金融機関に対して米ドルの供給を止めれば、実質的に破綻する事になります。

送金の過程で、目に見えない通貨変換が起きるので、実は、その時の通貨為替レートによって、送金中の資金の価値が変化します。その為、送金してみないと、相手が現地通貨で請求している金額が正確に送れるかどうか判らないという、随分とアナログな決済方法でもあります。しかも、どこの銀行を送金の過程で経由するかも、送金した時々で変わるもので、固定されていません。

米ドルが基軸通貨である為に、事実上、世界の金融業界は、どこの国であろうと、アメリカ政府の管理下にあると言っても過言ではありません。その為、どこの国の銀行であろうと、アメリカ政府の指示を無視できないのです。米中摩擦で、アメリカが台湾の人権弾圧に関係した人間の金融資産の締め付けを始めて、中国本土の銀行まで、対象者の口座の解約や、口座開設の拒否を始めたのは、銀行本体が潰れるからです。日本の銀行で、海外送金しようとすると、用途をしつこく聞かれたり、場合によっては、送金を拒否されるのは、マネーロンダリングに対するアメリカ政府の規制が厳しいからです。違反を指摘され、ペナルティーが課せられると、銀行業務の一部が死ぬ可能性が常にあります。中東あたりの銀行は、普通にこれで潰されてます。

上記の説明で判るように、手数料や実質的に到着する送金金額が、送金経路や通貨為替で変化するので、正確なところが送金してみないと判らないという、信じられないくらい原始的なシステムでもあります。手数料も複数の金融機関を経由して、その度に発生するので、とても高いものにつきます。

BitCoinを始めとする仮想通貨は、この欠点を克服する大いなる可能性を秘めた社会実験でした。送金や決済に当たって、一切、銀行の助けがいらないのです。問題は、法定通貨と違って、その価値を担保する裏付けが無い事です。つまり、皆が仮想通貨に価値があると信じないと、存在できない通貨という事です。結局のところ、普及させるに当たって、価値の吊り上げが始まり、通貨というよりは、金とかレアメタルのように、所有して価値が上がるのを待って売るという金融商品に成り下がってしまいました。

BitCoinの裏付けは、ブロックチェーン技術という強力なセキュリティーシステムです。そして、何人と言えど、取引に介入できない透明性の担保です。仮想通貨で取引されている場合、アメリカ政府といえど、例えどんな非合法な取引でも介入して取り締まる事は不可能です。その為、テロリストや犯罪者は、わざわざ仮想通貨で取引をしています。

さて、仮想通貨には、そのシステムの透明性自体を信用の担保にしたものと、具体的な価値の裏付けを持った、現行の法定通貨の代用になるものと2種類が存在します。BitCoinは前者ですが、中国政府が普及を進めているデシタル人民元は、後者になります。

仮想通貨は、基本的に管理者がおらず、システムが完全に公平に取引を行いますが、デシタル人民元のような仮想通貨は、価値を担保する組織が、その全てを管理する事になります。つまり、中国共産党です。それは、口座の一つ一つを完全に共産党が管理し、外部からの干渉を受け付けない通貨システムを持つ事を意味します。

これが普及すると、中国にとっては大きなメリットがあります。

・国内に対して、個人の口座を担保にして脅しや操作ができるようになる。(口座を凍結した場合、現金で持ち歩く場合以外は、経済的に標的になった個人が破産します)

・通貨を現物で発行する莫大な費用が必要なくなる。通貨の発行というのは、管理も含めて、とてもお金がかかる事です。実際、流通している通貨の量は、実際に発行を決めた通貨の総量ではなく、実需を満たす量しか発行されてません。印刷するのにも、古い通貨を回収して入れ替えるのも、大変な手間です。

・米ドルの影響を完全に排除できる。相手がデジタル人民元での決済と送金を、認めたらという条件付きですが、海外送金や国際決済で、米ドルの影響を完全に排除できます。

・個人の購買履歴を全て把握する事ができます。共産党が、個々人が何を買ったか監視する事が可能です。その結果として、反革命分子として理由を付けて逮捕もできるでしょう。また、特定の口座を決済不能にする事で、買えるものと買えないものを共産党が管理する事が可能です。

・莫大な金額になると言われている官僚の裏金や資金洗浄の監視。現在、中国共産党の幹部が所持している裏金は、総額で莫大な金額になると言われています。もし、このお金が、何かのパニックで、表に出てきた場合、それだけでインフレになると言われているくらいです。これを、防ぐ事ができます。不正蓄財や、資金の海外流出をシャットアウトできます。

中国共産党が国内向けにデジタル人民元を普及させるのは、独裁国家なので簡単ですが、対外取引となると、かなり限られます。相手国の経済を既に人民元が握っていて、無理やりデジタル人民元での決済を認めさせるか、ロシアなどアメリカを共通の敵としている国との間に限って、取引に利用するしかないでしょう。

それは、仮想通貨の担保になっている人民元自体が、為替操作や政治的な影響を受ける不安定な通貨だからです。つまり、法定通貨の中でも、信用が無い方に入ります。なので、いくら便利だからといっても、それ以外の国が敢えて導入しないでしょうし、アメリカが黙っていないでしょう。

しかし、既に中国国内では、総数4億人程度になる、いくつかの都市で、デジタル人民元の導入を進める計画をたてています。しかし、執行部が宣言しているように、米ドルに挑戦する意図は無いようです。国内だけの流通でも、十分な見返りがあります。

以上の理由から、フェィスブックが立ち上げようとしたLibraなどの、民間主体の仮想通貨が、国家に潰されるわけです。一部の仮想通貨が活発に取引されているのも、法定通貨の取引に比べれば、実需がオモチャ程度の規模しかないからです。つまり、お目溢しされているだけです。』

安倍政権を、誰が支えているのか(2019年11月27日)

『「安倍さん、辞任するって!」
2007年9月。当時、自民党担当だった私は、騒然とした記者クラブ内の様子を今でもよく覚えている。それほど突然の辞任だった。(※ 第一次安倍政権の話し)

あれから12年。
なぜ、安倍政権は復活でき、しかも「最長」となったのか。
今回、その裏側を当事者の話で明らかにしたい。
(長谷川実)

こうして安倍は「復活」した
2007年、第1次安倍政権は1年で幕を閉じた。
その後、福田、麻生、鳩山、菅、野田と、どの政権も1年前後の短命で終わった。

なぜ、長きにわたる政治の混乱の、引き金を引いたような安倍政権が復活できたのか。

それを身近に見て、復活にも手を貸してきた「盟友」がいる。自民党税制調査会長を務める甘利明だ。

「2012年の総裁選挙は勝つべくして勝ったわけじゃない。3番手からスタートし、逆境を跳ね返した。その結束力が、政権の土台に根付いていることが1番だろうね」

甘利が「逆境」と表現するのも当然だろう。
2007年9月12日、安倍は辞意を表明し、翌日、病院に入院した。

安倍は、7月の参議院選挙で大敗しながらも続投を表明。
2日前に行った所信表明演説に対する代表質問に臨む、まさにその日の辞意表明だった。

政権を放り出した格好となり、与党内からも、「理解しがたい」「とまどいを通り越して、悲しみさえ覚える」などと、厳しい批判が浴びせられた。

2012年。安倍は、政権復帰直前の自民党総裁選に再び立候補した。

これには、永田町でも驚きの声があがった。

自民党の総裁経験者が再び総裁に就いた例はないうえ、5年前のあの時の辞め方だ。

はじめに菅が…
なぜ、立候補したのか。その始まりは菅義偉だった、と甘利は語った。
総裁選挙の半年ほど前のことだ。

「菅さんが私のところに相談に来て、『安倍さんをどうしても、もう1回表舞台に引っ張り出し、この国の指揮を執ってもらいたい』と。わたしも、どん底まで落ちた人がまたトップになるのって痛快だな、これ以上の再チャレンジってないだろうなって」

承諾した甘利と菅は、連日、甘利の事務所で打ち合わせを重ねた。
その後、麻生が加わり、3人のチームが誕生する。しかし逆風は想像以上だった。

「ウチの秘書もけっこう怒鳴られたし、親しい県議会議員に頼んでも、『いやあ、今回は勘弁してくれ』などという話もあった。『何とか2番を取れ』と必死だった」

“内閣主導でいく”
9月の自民党総裁選挙。
5人が立候補し、1位は石破、安倍は2位。

いずれも過半数に届かず、決選投票の結果、安倍が逆転し、総裁に返り咲いた。

そして12月の衆議院選挙で圧勝し、自民党は政権を奪還した。喜びに沸く自民党の開票速報本部で、甘利は安倍から政権構想を明かされる。

「2人きりになった時、『人事どうします?』と聞いたら、ひと呼吸置いて、『甘利さん、閣内で経済の指揮を執ってくれ』と。『党はどうします?』と言ったら、『閣内に人材を集めたい。内閣主導でいきたい』という話だった」

安倍は、ことば通り、麻生、菅、甘利を、それぞれ副総理兼財務大臣、官房長官、経済再生担当大臣と、内閣の骨格ともいえる枢要なポジションに配した。

そのうえで、石原伸晃や林芳正ら総裁選で戦った相手も閣内に集めた。

そして内閣発足当日の夜、安倍は初閣議で緊急経済対策の策定と補正予算案の編成を指示。

年明けには、休眠状態だった経済財政諮問会議を再開させ、経済再生に向けた検討を始めるとともに、日銀と政策協定を結び、新たな金融緩和策が始まった。いわゆる、アベノミクスだ。

「3人組」
麻生、菅、甘利の3人は、結束を維持するため、菅の提案で2か月に1回程度、ひそかに食事をともにした。

甘利は、こう自負する。

「長期政権につながる人事配置は、はじめからできていた。つくづく思ったのは、『実力がそこそこあるやつが3人そろったら、政権って維持できるな』ということだね」

ところが、甘利の当時の秘書が建設会社から現金を受け取っていた問題が浮上。(最終的には不起訴処分)2016年1月、甘利は責任を取って辞任し、3人組の一角が崩れた。

「『トライアングル』というのは、それぞれ協力し合ったり、けん制し合ったりする良い距離が取れるけれども、麻生、菅、2人の関係がうまくいくといいなと。俺が間に入れなくなったんで、総理に2人の間に入る役までやらせてしまった…」

甘利が去って以降、麻生と菅は、衆議院の解散戦略などをめぐって、たびたび意見を異にし、永田町では2人の不協和音がささやかれることになった――

情報は「制服組」から
安倍が「最も信頼する自衛官」がいたことをご存知だろうか。

河野克俊。2014年に自衛隊トップの統合幕僚長に就任し、3度も定年を延長。安倍と歩みを同じくするように、「歴代最長」となるおよそ5年の任期を務めた。

河野は、ある分野での情報共有のシステム化が、政権の安定に寄与した、と語る。
「外交・防衛が一緒のテーブルに着くシステムを作ったのは非常にいい。これまでそういう機会はなかったから」

どういうことか?
総理大臣の1日の動きをまとめた記事「総理動静」には、週に1回程度、外務省、防衛省、自衛隊の幹部の名前がそろって登場する。

外務省総合外交政策局長、防衛省防衛政策局長、そして自衛隊の統合幕僚長だ。
「ブリーフィング」と呼ばれる会合で、外交・安全保障に関する最新の動向を総理大臣に説明するものだ。

こうした仕組みができたのは、実は、第2次安倍政権からだという。
それまでは、いわゆる「制服組」と呼ばれる自衛官が、総理大臣に接する機会は限られていた。

「戦前の軍の二の舞を避けるため、自衛隊を極力、政治から遠ざけてきた。それがシビリアンコントロールだと」

「でもわたしの報告があるので、安倍総理は、自衛隊の動きが頭に入っている。そういう総理は初めてだと思う。日本もその意味では、諸外国並みになってきたと思いますね」

イラン情勢が緊迫する中、政府はことし10月、中東地域への自衛隊派遣を検討することを決定した。
政府内では、ホルムズ海峡の中で活動すべきだという意見もあったが、活動範囲はホルムズ海峡外側のオマーン湾やイエメン沖などを中心にするとした。関係者は、安倍が、イランとの関係を考慮しただけでなく、自衛隊の運用や現場部隊に及ぶリスクまで把握したうえで行った判断だと話す。

また別の関係者は、自衛隊や各国の軍事動向を把握することが、首脳会談の際、通訳だけを同席させるいわゆる「テタテ」や夕食会など、用意されたペーパーを読むことが難しい場面で役立つと語る。例えば、ヨーロッパの首脳に対し、地中海付近での中国軍艦船の動向を教えると驚かれることもあったという。

官邸の「意思決定」は誰が
安倍政権以降の政治状況は、「官邸主導」「政高党低」などと言われる。

官邸内の意思決定はどのように行われているのか。
ことし9月の内閣改造で就任した官房副長官、西村明宏に尋ねた。

第2次政権の発足以降、衆議院議員では4人目となる副長官だ。

官邸では、秘書官などを交えた闊達な議論が行われていると説明する。

「政権が長いから、秘書官の皆さんも気心が知れていて、総理に言いたいことをけっこう言っている。非常に自由な議論が行われ、その中で総理が決断するプロセスがある。みんなで同じ方向を向けるのが、政権の強さの源ではないか」

このうち政務担当の今井秘書官は、第1次政権でも事務秘書官を務めた。経済産業省の出身だ。

さらに下の写真、安倍の向かって左に控えるは、やはり経済産業省出身の佐伯秘書官。第1次政権では秘書官付きの事務官だった。安倍の右につくのは外務省出身の鈴木秘書官。第2次安倍政権の発足以降、一貫して務めている。

安倍、菅、3人の官房副長官と秘書官は、原則として、毎日1回、一堂に会し、食事などを取っている。いわば「チーム安倍」ともいえる存在だ。

しかし、安倍の周辺だけで政策を決め、自民党全体での議論が乏しいのではないか。

「党側と官邸はきちんと意思疎通をしている。ただ、その意思疎通が記者団に見えないから、国民には分かりづらいかもしれない。実際、私も党の方と毎日行き来しながら話しているから」

与党も野党も…「しかし次は」
因縁の相手にも聞いてみた。小沢一郎だ。

安倍が総理就任後、初めて臨んだ国政選挙だった12年前、2007年の参議院選挙。
小沢は当時の民主党代表として対決し、自民党を歴史的な大敗に追い込んだ。

自民党は、結党以来初めて参議院の第1党の座を失い、国会は「ねじれ状態」となった。
安倍の退陣につながっただけでなく、のちの民主党への政権交代にもつながる大きな転換点だった。

長期政権の理由として、何よりもまず野党が結集できていないことを挙げた。
「政局的に言えば、1つは、野党が結集できていないことが大きい。2007年は党が基本的に1つだった。共産党などはいたけども、リベラル・中道は1つになっていたから。その違いだ」

そして、自民党内の状況も要因だと指摘した。
「もう1つ、自民党内の活力が全くなくなっていることもある。つまり与野党ともに、官邸権力に対抗するだけの力がなくなっている。もう政治家の資質の問題だな。自民党も、陰でぶつくさ言っているけど、表向きは、安倍を公然と批判する議員はほとんどいない。大きく言えば日本社会全体に言えることで、絞って言えば、政治家の資質の問題だ」

野党がまとまれば、与党に勝利できると主張する小沢。
この7年間で、与党に警戒感を抱かせた瞬間があった。
2年前、2017年衆議院選挙の「希望の党」設立だ。

「希望の党」が発足する前、小沢は、野党結集に向け、水面下で小池知事や当時、民進党の代表を務めていた前原誠司と会談を重ねていた。

小沢は、野党勢力を幅広く結集させることを望んだが、果たせなかった。
「ひとときのドラマみたいなものだった。でも、あれは小池が本気になったら十分勝てたよ。小池が衆議院選挙に出て、各党が1つになって、『排除』なんてバカなことを言わなければ」

小沢が、もっと勝てる可能性を感じていた選挙がある。
さらに1年さかのぼる2016年の参議院選挙だ。

小沢は、当時、民主党の代表だった岡田克也に対し、野党の結集を呼びかけていた。

小沢が、各党の比例代表候補の名簿を統一する方法を提案したのに対し、岡田も真剣に検討したという。
しかし岡田は、「統一名簿方式」は、各党ごとの復活当選がある衆議院選挙では適用できないことなどから、小沢の提案を最終的に断念。

結果的に野党の結集はかなわず、与党が勝利した。

「3年前の参院選は本当に残念だった。もう少しだったんだよ。統一名簿方式で連合もオッケーのところまでいったんだよ。岡田君だけが反対してダメになった。絶対勝てたはずだ」

次の選挙、野党がまとまる見通しは?
「100%まとまる」

“小泉流”からの脱却
第1次政権と第2次政権との違いとして、“小泉流”からの脱却があると言うのは、一橋大学大学院教授の中北浩爾だ。

「小泉さんは派閥を否定したけれども、安倍さんは派閥をうまく使って党を掌握しています。かつての自民党の統治システムに、一連の政治改革で強化された総理・総裁の主導権をミックスしていて、非常に強固な安倍総理のトップダウンが実現していると考えていいと思います」

甘利が長期政権の要因に挙げた、「チーム安倍」の結束力を中北も指摘した。

「安倍さんは、非常に固い結束力を持つチームを作っているのが最大の強味で、第1次政権で失敗し、第2次政権で復活するプロセスの中で、さらに強固に再編された。これをつくれる政治家はしばらく出ないんじゃないでしょうか」

しかし、長期にわたる政権運営の中で驕(おご)りや緩みも出ているのも確かだ。

総理主催の「桜を見る会」をめぐっては、参加者や予算が年々増え、総理や官房長官、与党などに招待者の推薦枠があり、後援会関係者や知人も招待されていた。

また「加計学園」をめぐる問題では、当時の「チーム安倍」の一員だった総理大臣秘書官が、学園や自治体の関係者と事前に会っていたにもかかわらず、国会で「記憶の限り会ったことはない」などと否定し、安倍に近い人への優遇が疑われた。

中北も、政権の規律が失われている面があると指摘する。

「安倍政権は強固に安定しているから、それに対するチェックが効かない。権力の驕りも出れば緩みも出る。これは善し悪しだが、『悪し』の部分が目立つのも事実じゃないか」

長期政権の「驕り」は
麻生・菅・甘利の3人、秘書官らで構成する官邸の「チーム安倍」、そして制服組などからの情報網。政権維持の「骨格」はこうして形づくられた。

そして安倍は、消費税率引き上げの先送りなど、大きな決断を行う際には衆議院を解散して信を問い、勝利することで求心力を高めてきた。

一方で、政権から規律が失われつつあるのだとすれば、意外と早く崩れていく可能性もある。

安倍の自民党総裁としての任期は残り2年弱。
歴代最長任期を更新した11月20日、安倍は、「薄氷を踏む思いで、緊張感を持って歩みを始めた初心を忘れずに政策課題に取り組んでいきたい」と述べた。

安倍が驕りや緩みをそのままに政権を去るのか、緊張感を取り戻し、経済再生や拉致問題など残された重要課題に道筋をつけるのか、厳しい目が注がれている。

(文中敬称略)』

「まだ大丈夫。なんとかなる」と考えたい空気が流れている

https://comemo.nikkei.com/n/n4ee9e7f0a3da

『「まだ大丈夫。なんとかなる」と考えたい空気が流れている
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池永寛明(大阪ガス エネルギー・文化研究所)
2020/08/26 11:53

“まだ大丈夫。うちとこは、なんとかなる。”
緊急事態宣言が解除されても、お客さまは帰ってこない。ソーシャルディスタンス対応でいろいろな場所の制約があるが、大丈夫、お客さまは必ず来てくれる。工場の稼働は2分の1、大丈夫、今までもうまくいった。来店客は3分の1だが、なんとかなる、イベントやキャンペーンをうったら、元に戻る。前期はオンライン講義、後期はなんとか大学の教室で対面講義したい、そうでないと来年の受験に影響する。インバウンドは当面無理だが、私のところは国内旅行客が中心だったから、落ち着いたら来てくれるはず、きっとなんとかなる…。実質的にコロナ禍に入った3月から、半年が経った。現況は厳しく、これからのことが予想できないが、「まだ大丈夫。なんとかなる」という空気が所々で流れている、なぜか。

サービスの現場は厳しい。
ある都心の飲食街では、2割の店がすでに閉じた。秋冬にかけて、さらに増えるという。それも突然の閉店が多い。経営者が行方不明となるケースもある。コロナ禍が心配、不安。「コロナ禍はこれからどうなるのか、いつまでつづくのか」「お客さまはいままでのように来てくれるのだろうか」「これから補助金が無くなったら、家賃と人件費は払えるのだろうか」「弁当や仕出しなど新しい分野に取り組んだが、やはり今までのやり方で頑張る。」「当面しんどいが、まだ大丈夫、なんとかなる」という声がでる。

今までどおりいくとは思えない。
多くの会社でテレワークが普通となって都心に通勤する人々が少なくなり、「ちょっと一杯」「親睦会」が減り、「接待」をしないできない状況がつづいている。それは3日とか1週間といった実験的トライアルではなく、1ヶ月2ヶ月3ヶ月半年つづき、それで普通となった。今までとちがう飲食スタイルとなったことは明らかであるのに、いままでどおりにお店が戻るとは思えない。

しかしこんな状況でも、厳しい業種のなかでも、売り上げをのばしている企業・店・人がいる。苦戦している企業・店ばかりではない。二極化・三極化どころではない。各社・各店バラバラになろうとする。今までのように、同じ方向に進んでいくという展開シナリオは描けない。なぜか。コロナ禍前とコロナ禍以降の前提条件が変わった。
各企業・各店舗・各人ごとに、状況はちがう。“コロナ禍前に、なにを考え、なにをしていたのか”と、“コロナ禍に入って、なにを考え、なにをしてきたのか”によって、それぞれの現在とこれからはちがってくる。にもかかわらず、“みんなと同じ”と考えようとする、そして“なんとかなる”と考えようとする。

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“コロナ禍で大きく変わらない”
という「先生」たちがいる。「コロナ禍といっても、大きくは変わらない。元に戻るよ」と語る「有識者」と呼ばれる大学教授や評論家が多い。彼らの言説は対症療法、その場対応の方法論や一般論が多く、参考にならない。「過去」に生きる先生方にとって、コロナ禍にあてはめる「過去」が見当たらず、機能不全をおこしている。
みんな同じことをいう。テレビやオンライン講義で社会的不安をあおることを避けようとしているのかもしれないが、市場・社会の現場に立っていない先生たちは「現在」がどのように成り立ち、構造が変化していこうとしているのかというメカニズムをつかめないので、人の心を打つことを語れない。

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社会観・市場観・生活観がずれている。
「観」はその人・その組織がそれまで取り組んできた事柄や試行錯誤によってつくられる。現在は過去に埋めこまれている。自分・自組織だけ見て、他人・他組織・市場を見ていないと、全体が見えてこない。内と外の過去から現在の流れを見つめ、「変化」を読み解かないと、未来は見えない。
いつからか、日本は全体がどうなっているのか、過去から現在の時間軸でどうなったのかをつかみ、なにをすべきかを考えないようになった。

虫の目で自分・自組織の現在を見てばかりいては、未来は見えない。市場全体の現在がなぜそうなったのかという構造と関係性をつかまないと、未来は見えない。鳥の目で見れなくなった日本人。部分ばかり見て、全体が見えなくなった。「鳥」と「魚」の目で、市場全体を俯瞰して過去から現在の流れと構造をつかまないと、未来が拓けない。あきらかにコロナ禍前からコロナ禍に大断層(リセット)がおこっている。にもかかわらず今までどおりで、「なんとかなる」わけがない。』

益子修氏死去 三菱自動車前会長、経営立て直し奔走

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63240810R30C20A8I00000/

『三菱自動車の前会長の益子修(ますこ・おさむ)氏が27日、心不全のため死去した。71歳だった。告別式は近親者のみで行った。

1972年に三菱商事に入社。2004年に三菱自動車に転じ、05年に社長に就任。経営危機に陥っていた同社の立て直しを推進した。14年に会長となったが、16年に発生した燃費不正問題を機に社長に復帰した後、18年に再び会長に就いた。

16年には主要株主である日産自動車からの出資を取り付け、近年は仏ルノーを含めた3社連合のかじ取りに注力した。

8月7日、健康上の理由で会長職と取締役を退任していた。』

自民総裁選、菅官房長官が日程決定後に正式立候補の方針

自民総裁選、菅官房長官が日程決定後に正式立候補の方針-報道
延広絵美
2020年8月31日 8:09 JST 更新日時 2020年8月31日 13:04 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-30/QFVGA3T0G1KW01?srnd=cojp-v2

『会見では「政府見解を説明する場、総裁選のコメント控える」-菅氏
二階派が支持へ、「空気生まれつつある」-河村元官房長官
辞意を表明した安倍晋三首相の後任を選ぶ自民党総裁選で、各派閥の動きが本格化してきた。菅義偉官房長官は9月1日の党総務会で総裁選日程が決まった後に正式立候補する方針を固めたと共同通信が報じた。二階派などに支持の動きが出ており、新型コロナウイルス対策や経済政策などで安倍政権の路線継続を訴える見通し。

  31日午前の記者会見で菅氏は、総裁選への出馬について問われると、官房長官としての会見は「政府見解を説明する場であり、コメントは差し控えたい」と述べるにとどめた。安倍首相とは後継者について「話をしていない」と語った。

  菅氏は27日のブルームバーグのインタビューでは、「ポスト安倍」への意欲について、「まだ1年もある話だ」とした上で、「何回聞かれても、全く考えたことはない」と否定していた。二階派の河村建夫元官房長官は30日、同派として菅氏を支持するか問われ、「そういう空気が生まれつつある」と述べた。

Japan Chief Cabinet Secretary Yoshihide Suga Interview
菅義偉官房長官Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  総裁選には石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長らが意欲を示しているほか、党内では河野太郎防衛相の名前も挙がっている。小泉進次郎環境相は30日、自身の出馬を否定した上で、「河野さんが出るなら応援する」と記者団に語った。

  岸田氏は30日夜、フジテレビの番組で出馬する考えを問われ、「はい」と明言。党員・党友による投票も含めた総裁選の実施を求めている石破氏は同日、記者団に対し、総裁選の方式が決まった時点が出馬表明の「一つのめど」と述べるにとどめた。

  NHKは31日、党執行部が今回の総裁選は党員・党友による投票を省略して9月13日から15日を軸に両院議員総会を開いて行う方向で調整を進めており、同月1日の総務会で決まる見通しと報じた。菅官房長官の立候補に期待する声は派閥の枠を超えて広がりを見せているという。

  政治評論家で元自民党政務調査会調査役の田村重信氏は、党員らによる投票が見送られることで、総裁選は菅氏が「正式に出馬表明した時点で決着がつく」との見方を示した。その場合、菅氏が「コロナ対策、外交、経済政策などで安倍政治の継承を訴えるだろう」と語った。

  共同通信が8月29、30両日に行った世論調査では、次期首相に「誰がふさわしいか」の問いで石破元幹事長が34.3%でトップだった。菅官房長官が14.3%、河野防衛相が13.6%と続いた。4位以下は小泉環境相が10.1%、岸田政調会長は7.5%だった。

党員投票
  自民党の党則によると、総裁が任期中に欠けた場合でも原則は党員・党友による投票を含めた形で行うが、「特に緊急を要するとき」は党大会に代わる両院議員総会で後任を選任することができると規定している。

  両院議員総会で実施する場合は現職国会議員の394票(衆参両院議長除く)と各都道府県連にそれぞれ3票を割り当てた141票の合計535票で決める。党員・党友投票の結果を国会議員票と同数に算定した本格的な総裁選に比べ、国会議員票の比重が増す仕組みになっている。

  自民党の派閥に所属する国会議員数は最大派閥の細田派が98人、麻生派と竹下派が54人、岸田政調会長の岸田派と菅官房長官支持の動きを見せている二階派が47人。石破派は19人のため、世論調査で人気の高い石破元幹事長は両院議員総会による選出となると、劣勢に立たされる可能性がある。

  党員・党友投票は石破氏のほか、小泉環境相も自身のフェイスブックに「一部の報道では、全党員投票をやらないことが既定路線とも報じられていますが、誰の利益にもなりません」と投稿し、実施を求めている。

  世耕弘成参院幹事長は30日、NHKの日曜討論で、新型コロナへの対応や尖閣諸島周辺での中国公船の活動、南シナ海情勢などを挙げ、「一日も早く次の総理を決める必要がある」と指摘。仮に両院議員総会で新総裁を決めても、安倍総裁の残り任期が切れる来年9月には総裁選が実施されるとも述べた。

(菅官房長官のコメントなどを追加して更新しました)』

【速報】総裁選は14日午後に都内ホテルで実施へ(2020年8月31日 月曜 午後1:22)

https://www.fnn.jp/articles/-/79552

『辞任の意向を表明した安倍首相の後継を決める自民党の総裁選挙は、14日午後に東京都内のホテルで実施されることが固まった。新型コロナウイルス対策のため通例の自民党本部での開催は見送った。党幹部が明らかにした。

正式にはあすの党総務会で決められる。
新たな自民党総裁の選出を受け、17日にも召集される臨時国会の冒頭で新しい総理大臣が指名される見通しだ。

(FNNプライムオンライン8月31日掲載。元記事はこちら)
https://www.fnn.jp/

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