「強固な防衛力が必要」台湾・蔡総統、軍事産業育成へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63168520Y0A820C2FF8000/

『【台中(台湾中部)=中村裕】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は28日、域内初となるF16戦闘機の整備センターの設立式典に出席し「地域の平和と安定を守るには、こびへつらうような弱腰ではなく、強固な防衛力が必要だ」と述べた。軍事産業の育成を通じ、軍事力を一段と強化する必要性を強調した。

蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、F16戦闘機の整備センター設立式典で、軍事力強化の重要性を訴えた(28日、台中市)
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南シナ海などを巡り米中対立が深まるなか、台湾の危機感が強まっている。同センターは今後、台湾の軍事関連企業が米国と協力して軍事産業の育成を急ぐ、中心的な役割を果たす拠点になるという。毎年600人の雇用創出を見込んでいる。

米国がこのほど、F16戦闘機の新型66機を台湾へ売却することを正式決定したのを受け、台湾は域内初のF16整備センターの開設準備を進めてきた。台湾の軍用機製造大手の漢翔航空工業が主導する形で28日、報道陣に一部を公開した。

台湾軍は現在、F16戦闘機を約140機保有する。これに加え、今後、米国から購入するF16の新型66機には総額2472億台湾ドル(約8900億円)が費やされ、2026年までに全機が納入される予定。空軍の力が大幅に高まるとされる。

一方、200機以上のF16を抱えることになり、従来の整備体制では限界もあった。例えば、保守対象の部品を、F16の製造元の米ロッキード・マーチンに何度も輸送する必要などがあった。今後、同センターが台湾で軌道に乗れば、その必要は無くなり、蔡総統は「(台湾のF16)戦闘機のメンテナンス時間が大幅に短縮する。国防最前線において、空軍の戦闘優位性が確保できるようになる」と期待を寄せた。

蔡総統は5月にスタートした2期目の演説で、公約に「6大核心戦略産業」の育成を掲げた。そのうちの一つが軍事産業だ。トランプ米政権は中国の脅威にさらされる台湾への武器売却を増やしているが、台湾は自前による軍事産業の育成を通じた軍事力の強化の必要性も感じている。

蔡総統は27日も南シナ海について触れ、米中の偶発的な衝突のリスクが高まっていることを指摘し、台湾周辺の活動に強い危機感を示していた。』