100年前と重なる韓国の「内戦状態」

【九州正論懇話会】李相哲氏詳報 100年前と重なる韓国の「内戦状態」
https://www.sankei.com/world/news/200826/wor2008260014-n1.html

『福岡市博多区のホテルオークラ福岡で25日に開かれた九州「正論」懇話会の第145回講演会では、龍谷大の李相哲教授が「どうなる? 朝鮮半島~日本はどう対処するべきか」と題して講演した。北朝鮮の核問題をめぐっては「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が世界をミスリードした」と指摘。また、文氏による左派政権下で「韓国は内戦状態だ」と分析した。主な内容は次の通り。

■ソウル市長の葬儀めぐり対立

 韓国は今、内戦状態だ。同じ国民が両陣営に分かれて、今のところ暴力行使はないものの、最高レベルでお互いのことを憎んだり、非難したりしている。

 その象徴的な出来事が、セクハラ問題で自殺したソウル市長の葬儀をめぐる対立だ。左派の文大統領を支持する一派は、市長は罪を犯したかもしれないが、市民運動を引っ張ってきた功績があるとして、市が主催して葬儀をやると決めた。しかし、それには10億ウォン以上の金がかかると市民団体が猛烈に反対した。

 同じ時期に朝鮮戦争の英雄、白善●(=火へんに華)(ペク・ソニュブ)将軍が亡くなったが、左派の文氏支持者らは白氏を国立墓地に埋葬してはならないと声を上げた。文氏は軍司令官でもありながら白氏の死に関しては一言も発していない。市民は、ソウル市長の葬儀場の隣に焼香場をつくって白氏の市民葬をやろうとしたが、そこでせめぎあいがあった。

 韓国では今、国会で国立墓地法の改正案が議論されている。国立墓地に埋葬されている朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領や白氏ら親日派69人の墓を掘り出して、どこかに移すという法律だ。

 発想自体が前近代的で、約100年前、李王朝打倒のため政変を起こした開化派の金玉均(キム・オッキュン)が暗殺された状況と似ている。福沢諭吉とも親交が深かった金は、中国・上海で刺客に暗殺され、韓国に渡った遺体はばらばらにされ捨てられた。

 今、韓国は、程度は違うが、100年前の韓国人と同じことをしている。世界が激しく動いている中で、それと関係なく、自分たちは党派の戦いに明け暮れているという状況が重なる。

■文氏が世界をミスリード

 文氏が大統領になってから韓国の雰囲気はガラッと変わってしまった。私はかつて雑誌に、文氏が世界を間違った方向に持っていこうとしているのではないかと書いたことがある。文氏による1番のミスリードは、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が核兵器を放棄するのは、確固たる意志だと繰り返し発信したことだ。

金氏が言っていたのは「朝鮮半島の非核化」であり、「北朝鮮の非核化」とは完全に違う話だ。現在、韓国に核兵器は存在しないが、米軍が韓国に駐留している限り、いつでも持ち込める。つまりは、米軍が韓国から出ていけば、自分たちは核を捨てる用意があるという意味だ。

 2018年6月のトランプ米大統領と金氏によるシンガポール会談でも声明文には朝鮮半島の非核化という言葉が使われた。北朝鮮は非核化するつもりはないし、絶対に非核化は実現しないことがはっきりした。これを文氏は知らないはずがないの嘘をついた。これは、彼がついたさまざまな嘘のうち最大のものだ。

■文政権下で韓国はどんどん劣化

 他にも問題はある。肝心なときに姿を見せないということだ。例えば日本でも大騒ぎになった●(=恵の心を日に)国(チョ・グク)法相(当時)や、最近では不正会計疑惑が取り沙汰されている元慰安婦支援団体をめぐる問題など、国民が真っ二つに割れた問題では自分の考えらしいものは言わない。

 卑怯(ひきょう)といえばいいのか、肝心なところでは姿を現さず、逆に新型コロナウイルス対策など政権の成果を自慢するときだけは表に出てくる。コロナ対策も中身を見ると、朴槿恵(パク・クネ)前大統領時代に態勢が整っていたことが背景にある。

 韓国の保守系新聞は社説で最近、文氏のこれまでの政権運営で成功事例は一つもないと論じている。文政権下で韓国はどんどん劣化しており、悲しいことだが文氏には期待しないほうがいいのではないか。

 文氏は、強迫観念があるのか、北朝鮮政策にすべてをかけている。しかし肝心の北朝鮮は6月に開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破するなど文氏を憎んでいる。

 文氏は18年9月の南北首脳会談で、寧辺(ニョンビョン)の核施設を放棄すればトランプ氏は制裁を解除すると金氏を説得、金氏も応じた。しかし、19年2月にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談は決裂した。それで金氏のリーダーシップは傷つき、文氏にだまされたとして文氏を憎んだ。文政権とは付き合わないと公言したのはそのためだ。

■北朝鮮に残された道は2つ

 一方の北朝鮮も今の体制はそんな長く続かないのではないか。17年から始まった国際社会による本格的な制裁が効き始めていて、経済は壊滅状態だ。

 そこに追い打ちをかけるように新型コロナが発生した。北朝鮮は今、国境を全面封鎖しているので、稼ぎ口がほとんどなくなっている。さらに今年は水害も直撃し、食糧生産基地が壊滅状態だ。

 この三重苦の中、北朝鮮は、軍事態勢によって国民を締め付けている。指示に従わなければ軍法で処罰する。最近の状況は、北朝鮮の70年以上の歴史で最も怖い統治が続いているといわれている。

 北朝鮮は11月の米大統領選をにらんで今後の方向性を決めるつもりかもしれないが、残された道は2つしかない。核を捨てて米国と協力するか、核にしがみついて独自の道を歩むかだ。

 しかし、米国はどのような政権ができても北朝鮮の核保有は認めないだろう。トランプ大統領が再選したら北朝鮮問題に決着をつける可能性が高いとみている。来年ごろには北朝鮮のミサイル能力が米国本土を攻撃できる状況になるからだ。制裁だけでなく、強い「何か」をする可能性は十分考えられる。』

すぐには敗北認めるな バイデン氏に助言―クリントン元米長官

『【ワシントンAFP時事】クリントン元米国務長官は25日、11月の大統領選に関し、全ての票集計終了まで民主党候補のバイデン前副大統領は敗北を認めるべきではないという見解を示した。ドキュメンタリー番組のインタビューで語った。
郵便投票で大量無効票? 郵政公社「集計に間に合わない恐れ」―米大統領選

 クリントン氏は、郵便投票がかつてない規模になると見込まれる中、集計作業が遅れる可能性に触れ、当初段階ではバイデン氏は敗北宣言を控える必要があると強調。「われわれが一歩も引かずに相手陣営と同じくらい粘り強い態度を保っていれば、彼(バイデン氏)が勝つと信じている」と述べた。』

「がんに近づいている」 大統領、演説で明かす―フィリピン

『【マニラ時事】フィリピンのドゥテルテ大統領は25日の演説で、持病のバレット食道について「ステージ1のがんに近づいている」と医師から警告されたと明かした。ただ、警告の時期には触れず、ロケ大統領報道官は「だいぶ昔、大統領就任前だと思う」と健康不安を打ち消した。

【地球コラム】「ワクチンナショナリズム」の醜悪

 病状をめぐる発言は、汚職を戒める中で飛び出た。大統領は「金があっても食べたい物を食べられない。高脂質の食事を取れば死ぬと、医者から言われた」と述べ、「ステージ1に近づいているので酒を飲むな」と忠告されたと打ち明けた。
 ロケ報道官は26日、CNNの取材に「医師の助言は大昔のことだ」と説明。「だから大統領は酒を断ち、私の知る限り、就任後ずっと禁酒を続けている」と強調した。』

[FT]中南米の景気回復に水を差すコロナ以外の理由

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63061370W0A820C2000000/

『中南米諸国はブラジルとメキシコが引っ張る形で新型コロナウイルスが引き起こした深刻な不況から抜け出しつつあるが、慢性的な経済の脆弱性のために、発展途上国では最も低い成長しかとげられない見込みだ。

中南米は6月初旬から、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の震源地になっており、世界全体に占める人口が8%にすぎないにもかかわらず、コロナによる死者数の40%以上を占めている。

大規模な危機は、すでに病んでいた経済にとてつもなく大きな打撃を与えた。ブラジルとメキシコはコロナ対策で比較的レッセフェール(自由放任主義)なアプローチを採用したが、その他の中南米諸国は欧州やアジアよりもはるかに長く続く厳格なロックダウン(都市封鎖)によって軒並み壊滅的な打撃を受けた。

■「三重の急停止」を招いたコロナ

米ワシントンに本部を構える米州開発銀行(IDB)のチーフエコノミスト、エリック・パラド氏は、中南米は「三重の急停止」に対処しなければならなかったため、世界の中でも異常な状況に陥ったと指摘する。ロックダウンと移動制限による人々の活動の停止、貿易の減少、外国投資の流出と送金の減少がそれだ。

「2020年の中南米カリブ地域は、2基の壊れたエンジンで飛んでいる飛行機のようなものだ」とパラド氏は言う。「1つ目の壊れたエンジンは、いくつかの国における社会危機や低い生産性と成長率、政治的な二極化など、かねて存在していた経済問題すべてと関係している。そして2つ目がパンデミックと関係したものだ」

米バンク・オブ・アメリカによると、地域全体の域内総生産(GDP)は20年は8.2%減少すると予想されており、中東やアフリカ、新興アジア諸国よりはるかに悪い数字になる。21年の景気回復も勢いがなく、中南米の成長は3.5%にとどまり、失ったGDPの半分も取り戻せないとみている。

「中南米各地のロックダウンは経済の息の根を止めるには効果的だったが、ウイルスを食い止めるほどの効果はなかった」。英調査会社オックスフォード・エコノミクスの中南米担当チーフエコノミスト、マルコス・カサリン氏は話す。「景気回復については、メキシコとブラジルが抜き出ている。事業や施設の閉鎖が最も少なく、今のところ、どの国よりも素早く回復を遂げてきた」

最近、経済予想に最大の修正が加えられたのはブラジルだ。従来は7~8%のマイナス成長が予想されていたのに対し、今では大半の銀行が今年のGDPの縮小は約5%と見ている。21年の予想では、3%を若干上回る成長が見込まれている。

■ブラジル、メキシコ 1年後に待ち受ける困難

カサリン氏は、予想より早く回復を遂げたとはいえ、ブラジル、メキシコ両国とも、21年にははるかに困難な局面となるとくぎを刺す。「メキシコは最初に回復したかもしれないが、景気回復の最初の90%はたやすいものでも、最後の10%は難しい戦いになる」と言う。「従来から存在していた問題が影響を与え始める。パンデミックが始まる前、メキシコは8四半期連続で民間投資がゼロだった。では、今後それが出てくるのか。そんなことはない」

ブラジルは危うい財政状態で危機に突入しており、ボルソナロ大統領は22年の大統領選に向けて、やっかいな選択を迫られている。迅速な景気回復を後押しした緊急財政支出を打ち切るか。あるいは公的債務の水準が高いにもかかわらず歳出を続けて金融市場で危機が発生するリスクを冒すか。どちらかだ。

「ブラジルは二者択一の選択を迫られるだろう」。英調査会社キャピタル・エコノミクスの新興国担当チーフエコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏はこう語る。「ゲデス経済相が続投し、緊縮財政の中で改革が進められ、ボルソナロ大統領が選挙で敗れる。あるいは、もっと緩やかな財政政策がとられ、ゲデス経財相が辞任し、市場がパニックに陥る。その中間はない」

中南米3位の経済規模のアルゼンチンは、コロナに襲われる前から、すでに深刻な不況に陥っていた。3月半ばからロックダウンが導入され、世界屈指の長さになっているが、感染拡大を抑えられず、経済は昏睡(こんすい)状態が続いている。米シティバンクの予想によれば、同国のGDPは今年、11.5%減少する見込みだ。

早い段階で厳格なロックダウンに踏み切った他の中南米主要国は、コロンビア、チリ、ペルーだ。これらの国はウイルスを素早く封じ込めた欧州の成功をまねたいと考えたが、規模が大きい「非公式経済」と人口密度の高い都市部のスラム街が中南米でそうした戦略を妨げることを予期できなかった。

■ペルー 急速な回復の期待も

ペルーは、貧困層を支援する幅広い刺激策を発表しつつ、早い段階で非常に厳しいロックダウンに踏み切ったことで、世界的に称賛を浴びた。だが、ウイルスはそれでも国内の大規模な青空市場で猛威を振るい、米ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによれば、ベルギーに次いで世界で2番目に高い人口当たりの死者を出すことになった。

その結果、ペルー経済は第2四半期(4~6月期)に前年比で30.2%縮小し、世界で最悪の部類に入る不況に陥った。しかし、経済は急速に回復しており、来年は力強い成長を遂げると予想されている。カサリン氏は、ペルーはコロナ危機全体を通して、地域で最も力強い成長を遂げる国の1つになると見ている。

「ペルーはブラジルと同様に各家庭や企業への支援に資金をつぎ込んだが、既存の(債務の)脆弱性がなく、良い成長軌道に乗っていた」

似たような理由から、チリも大半の隣国よりも良い状態でコロナ不況から抜け出す公算が大きい。だが、コロンビアは、コロナの死者数の増加が続き、財政出動が鈍いことによって足を引っ張られるだろう。

中南米の指導者はコロナ危機を積年の問題に取り組む時が来たという警鐘と受け止める必要があると、パラド氏は主張する。「強靱(きょうじん)かつインクルーシブ(包摂的)で持続可能な成長をとげるための源泉が必要だ」

By Michael Stott

(2020年8月24日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2020. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

金与正氏、党の中核部署を掌握か 韓国国防相が見解

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63043860V20C20A8910M00/

『【ソウル=恩地洋介】韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は25日、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が党の核心部署である組織指導部に所属し、実質的に掌握しているとの認識を示した。韓国政府は金正恩(キム・ジョンウン)委員長が与正氏に一部の権限を委譲したとみている。

韓国政府は金与正氏(右)に一部権限が移されたと見る=AP
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組織指導部は党の情報と人事権を握り、父の金正日総書記は部長職を兼務したといわれている。北朝鮮は金与正氏の立場を「党中央委第1副部長」としか伝えていない。金与正氏が宣伝扇動部から組織指導部に移ったとの観測はあったが、韓国政府が公式に言及したことはなかった。

鄭国防相は国会答弁で、北朝鮮指導部の権力構造について「金正恩委員長が権力を掌握している。ただ、下の人間に役割や責任を分散している」と述べた。北朝鮮は6月に、対韓国事業に関しては金与正氏が総括していると明らかにしている。

韓国の国家情報院の分析によると、金正恩氏は自らの負担軽減のため側近に権限を移している。長引く経済制裁に加え、新型コロナウイルスや水害が経済を直撃している。失政批判を回避するためとの見方もある。

一方、金正恩氏が昨年末、党内に「軍政指導部」という名の部署を新設したことも国家情報院の国会報告で判明した。軍の統制を強める狙いとみられている。』

Facebook、タイ王室批判団体へのアクセス遮断

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63050850V20C20A8EAF000/

『【バンコク=村松洋兵】米フェイスブック(FB)は24日、タイの王室に批判的な団体が運営するページへのタイ国内からのアクセスを遮断した。FBは25日、ロイター通信などに対して「タイ政府から強要された」とし、法的措置を講じる方針を明らかにした。

軍政の流れをくむプラユット政権や王室を批判するグループのページ「ロイヤリスト・マーケットプレース」がタイ国内から閲覧できなくなった。日本に逃れているパビン京都大准教授らが4月に開設し、100万人以上が参加している。

プラユット首相は25日の記者会見で「タイの法律に基づいて取られた措置だ」と述べた。情報統制を担当するプティポンデジタル経済社会相が10日にFBに対し、ページを削除しなければコンピューター犯罪法違反で訴追すると警告していた。

王室を擁護し政権を支持する団体は25日、バンコクの日本大使館を訪れ、日本政府に対してパビン氏をタイに強制送還するように申し入れた。

タイでは不敬罪もあり王室批判は厳しく規制されているが、強権的なプラユット政権への抗議活動が広がるなか、一部では王室改革を求める声が出始めた。扇動罪などの疑いで反政府デモのリーダーらの逮捕も相次いでいる。』

インド、ファーウェイなど中国通信機器を排除へ FT報道

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63008470V20C20A8EAF000/

『インドの関係省庁は同国の通信会社に対し、華為技術(ファーウェイ)をはじめとする中国企業の通信機器を採用しないよう指示した。25日の英フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)がインドの当局者、企業幹部の話として報じた。インド政府は書面ではこうした決定を示していない。

FTによると、インドの通信会社の幹部は匿名で「インド政府は中国の通信機器の採用を認めないだろう」と指摘。この幹部は次世代の高速通信規格「5G」の試験でファーウェイや中興通訊(ZTE)などを使うことを、インド規制当局が禁じたと明らかにした。

インド電気通信規制庁によると、同国の携帯電話の利用者(アクティブユーザー)は10億人に迫り、中国に次ぐ世界2位の規模だ。契約者数で同国2位と3位の英系ボーダフォン・アイデアと印バルティ・エアテルはファーウェイと大口の取引がある。インドから排除されればファーウェイなどへの打撃は大きい。

インドが中国の通信機器メーカーを実質的に排除する背景には、両国の間の係争地を巡る対立がある。6月中旬には両国軍が衝突し、インド側に20人の死者が出た。

これを機にインドは経済面で中国への制裁措置を強化。6月末に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など中国系の59のアプリの使用を禁止した。インドメディアによると、中国企業によるインドへの投資案件の認可が留保されるケースもある。』

[FT]プーチン政権が続けるナワリヌイ氏監視の実態

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63058640W0A820C2000000/

『先週、毒物が原因とみられる昏睡(こんすい)状態に陥ったロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が搬送されたシベリアの病院では、医長室にマスク姿の3人の男が乗り込んでいた。

憂い顔で麦畑を歩くプーチン大統領の肖像画の下で、3人はとりとめのない話をしていたが、何者なのか名乗ろうとしなかった。だが、ナワリヌイ氏の家族や側近にとって、不似合いな服装とずる賢そうな物腰はすっかり見慣れたものだった。ロシアの治安機関の要員だとすぐに見分けがついた。

■治安機関が常時尾行

「まったくおかしな姿だ。こわもてで体格のいい男たちがたいていバッグを肩に掛けているので、それとわかる」とナワリヌイ氏が率いる「反汚職基金」のイワン・ジダーノフ代表は語る。

シベリアで汚職告発のユーチューブ動画を作成していたナワリヌイ氏が監視要員につきまとわれていたことは、10年来の活動を続ける同氏が今もロシア大統領府(クレムリン)にとって邪魔な存在であることを物語る。

プーチン氏に対する抗議運動を組織したかどで13回逮捕されているナワリヌイ氏は昨年、自身と家族は常にロシア治安機関の要員に尾行されていると本紙に語っていた。

「かなり前からずっと続いているが、もう当たり前のことになって気にしていないと言えばうそになる。ばか者たちがいつも隣に座ってくる。しかし生活を止めるわけにはいかない」と言明。「たいていの人は諦めて隠れようとするだろうが、私たちはできる範囲で生活を楽しんでいる」とも語っていた。

シベリアに同行し、オムスクの病院でナワリヌイ氏の病状を見守った側近らは、車での尾行やビデオカメラを隠そうとする男たちの姿を見るのもかなり前から慣れっこになっていると述べている。

「常に電話が盗聴されていることや隠しカメラがセットされていること、どこへ行っても監視カメラで撮影されていることはわかっている」とジダーノフ氏は語る。「私の身内や私が会った相手全員が尋問されている。完全な統制のようなものだ」

ロシアのペスコフ大統領報道官は、監視活動は「大統領警護隊の権限」で行われ、プーチン政権の承認を「受けるということはなく、受けるべきでもない」と強調した。

■世論工作にちらつくクレムリンの影

ナワリヌイ氏に対する監視は少なくとも、同氏が大統領選でプーチン氏に挑むべく国内行脚を始めた2017年までさかのぼれるようだ。同年、プーチン氏の盟友ユーリー・コバルチャク氏が親会社を共同所有しているとされるテレビ局が、ナワリヌイ氏は「逃亡した政商たち」から秘密資金を受け取っていると告発するドキュメンタリー番組を放映した。

この番組には、家族と休暇を過ごすナワリヌイ氏の姿をとらえた監視カメラ映像や盗聴された通話、テキストメッセージ、メールが使われ、同氏のスタッフがカフェで尾行された。

このテレビ局の元脚本家でオランダ亡命を申請中のドミトリー・ベロウソフ氏は本紙に対し、大統領警護隊から渡った映像であるはずだと語った。ナワリヌイ氏のような活動家をおとしめるための業界用語で言う「コンプロマート」と呼ばれる材料だという。

ベロウソフ氏は、テレビ局の政治担当チーフプロデューサーのアレクセイ・マルコフ氏から自慢された話として、クレムリンの委託による国営テレビのドキュメンタリー番組制作のために提供された監視映像などの素材を、ロシア連邦保安局(FSB)の「元締め」から入手したのだと語っている。

ベロウソフ氏は「彼が何者かに会って素材を持ち込んだ。基本的にあの番組を作っていたのは彼らだった」と言明する。「自分の発案であの種の番組を作るということはない。全て承認が得られるよう注文通りに作られている。何か伝えたい話がクレムリンの側にあって、FSBと政権が番組内容をまとめる」

ペスコフ報道官は「我々は何も知らない。彼らが誰なのかも知らない」と本紙に語った。このテレビ局はベロウソフ氏の話を最初に報じた独立系調査報道サイト「プロエクト」に対し、マルコフ氏がクレムリンから指示を受けたという事実はないとしている。

■隠しもしない監視活動

ロシアメディアの報道は、クレムリンがナワリヌイ氏のノボシビルスクとトムスクへの定期的とみられる訪問すら厳重な監視下に置いていたことを示している。政府寄りの大衆紙モスコフスキー・コムソモーレツは22日、旅行中は常にナワリヌイ氏の後をつけていたという「治安当局関係者」の話を伝えた。同氏は繁華街で支持者と自画撮りをしたほか、「陰謀のためのアパート」を借り、トミ川で泳ぎもしたという。

このリークは、ナワリヌイ氏に毒を盛るのは不可能だったということを示す狙いとみられる。「不適切あるいは疑わしい接触は一切」見られなかったとも強調している。

それでも、記事は監視活動の規模を浮かび上がらせている。要員がナワリヌイ氏の支持者のクレジットカードを照合確認し、寿司の出前注文やホテル予約についてもチェックし、同氏を車で尾行していたことを明らかにした。

プロエクトは、クレムリンの高官が同サイトの記者にナワリヌイ氏の公表前の検査結果を見せ「毒を盛られたということは完全にない」ことが証明されたと語ったとしている。

By Max Seddon

(2020年8月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

中国、南シナ海で再び軍事演習 陸空は参加せず

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63021720V20C20A8FF1000/

『【北京=羽田野主】中国の人民解放軍が南シナ海や台湾に近い沖合などの4カ所で再び軍事演習を始めた。これまでとは違い、陸空軍は参加せず、海軍主体の演習にした。国内向けにアピールしつつ米国との緊張が高まらないように配慮している様子がうかがえる。

中国全人代の会期中、人民解放軍代表団の会合に臨む習近平国家主席=20年5月、北京(新華社=共同)
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解放軍は7~8月にも南シナ海や台湾周辺で演習をした。陸海空軍がそろって参加する統合型の訓練だった。今回は海軍だけの演習に絞った点が大きく違う。

北京の軍事関係筋は「民間船舶の立ち入り禁止区域からみて、海軍の艦艇による射撃訓練が中心になる」と指摘する。海軍が毎年各地でやっている射撃訓練をつなぎ合わせて大規模にみせかけているとの分析だ。

中国海事局は南シナ海や台湾に近い広東省の沖合などで24~29日の日程で軍事演習をすると発表している。

中国メディアは米海軍主催で17~31日に実施中の多国間海上演習「環太平洋合同演習(リムパック)」に対抗するねらいがあると強調した。

解放軍関係者は「米艦艇がリムパックに参加するためハワイに向かっているいまが演習の良い機会だ」と話す。米軍が「不在」のいまなら偶発的な衝突や緊張が高まるリスクは小さい。国内向けには強い習近平(シー・ジンピン)指導部をアピールすることもできる。

25日には米中の経済閣僚が貿易を巡り協議した。米中貿易協議の「第1段階合意」を引き続き着実に実施しそのための条件を整えることで一致した。今回の軍事演習はこうした外交日程に水を差さないように配慮した可能性もある。』

迫りつつある中国による南シナ海「防空識別圏」設定(6月4日(木)8時0分 JBpress)
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0604/jbp_200604_2245973674.html

GDP1万倍の街、深圳特区40年 米中対立の最前線に

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63015680V20C20A8I00000/

『【深圳=比奈田悠佑】中国南部の広東省深圳市が経済特区に指定されて26日で40年たった。市場化改革の実験場として中国経済をけん引し、経済規模は1万倍になった。通信機器の華為技術(ファーウェイ)など有力な民間企業を多く生んだが、米中対立や香港問題でかつてない逆風が吹く。

さびしい漁村だった深圳市は1980年、中国初の経済特区に指定されると急速に発展した。2019年の域内総生産は2兆7千億元(約40兆円)と上海、北京に次ぐ中国第3位の都市だ。1980年比の経済規模でみた深圳の1万倍は、中国全体(216倍)はおろか、同じ時期に特区になった広東省珠海市(1600倍)や福建省アモイ市(900倍)も大きく上回る。

テレビの品質をチェックする工員(1982年、深圳市)=新華社・AP
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成長の起爆剤が緩い規制だ。輸入関税や法人税を減免し、外資をはじめ多くの製造業が深圳市に工場を建設した。競売による国有地使用権の民間払い下げや企業破産は深圳で全国に先駆けて実施された。かつての計画経済から市場経済への改革開放のモデル都市になった。

中国国務院(政府)の研究者は「政府が民間経済に介入しなかったことが深圳の成長の秘訣」とみる。北京と深圳の双方で勤務経験のある銀行員は「北京の監督当局は『とにかく法律や規制を守れ』の一点張り。深圳の役人はまず『何か困っていることはないか』と聞いてきた」と話す。

深圳が香港と隣接していることも成長に有利に働いた。安価な労働力を求める外資系電機メーカーなどが香港経由で深圳市に進出し、加工貿易の産業集積地となった。電子部品の製造、流通はいまも盛んで国内外のメーカーを引きつける。

ライトアップされた中国・深圳のビル群(2019年)

40年しか歴史がなく、国内各地から人材が集まる「移民都市」として街が形成されたことも魅力だ。工場での仕事を求めて地方から流入した労働者や子世代はその後、通信やネット企業の発展を支えた。大都市となったいまでも戸籍の取得条件は北京や上海より緩く、中国全土の若者が集まる。平均年齢は32歳と中国全土(38歳、中央値)より若い。

ロボット掃除機の製造ライン(2019年、深圳市)=ロイター
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深圳発のグローバル企業は多い。ファーウェイは通信基地局で世界首位の3割超のシェアをにぎり、20年4~6月期にはスマホ出荷でも世界首位に立った。ネットサービスの騰訊控股(テンセント)は「フォートナイト」を開発する米エピックゲームズなど世界のゲーム開発会社やフィンテック企業に積極出資する。ドローンのDJIは米国や日本など先進国で大きな収益を上げる。

グローバル企業が多い分、米中摩擦の打撃も大きい。米政府はファーウェイ製品を使う企業と政府機関の取引を禁じ、同盟国にも排除を呼びかける。米国の技術を用いて製造した半導体やソフトウエアの同社への供給も絞る。米国で1900万人が利用するテンセントの対話アプリ「微信(ウィーチャット)」も米国で禁止される見通しだ。

特区成立30周年の記念式典に出席した胡錦濤・元国家主席(2010年9月、深圳市)=ロイター
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香港での国家安全維持法の施行も逆風となる。「一国二制度」の香港は世界から中国への玄関口となり、隣接地の深圳も大きな恩恵があった。国家安全維持法で香港の競争力も陰りそうで、香港経由のカネや人の流入が鈍れば深圳への打撃は小さくなさそうだ。

もともと人件費の高騰や不動産バブルで工場立地拠点としての深圳の魅力は衰えており、市政府の危機感は高まる。

8月中旬には全国で最も早く高速通信規格「5G」の基地局を市内全域に整備した。7月にはIT産業や製造業を活性化するため、高速通信網やデータセンターなどのインフラを整備する計画も打ち出した。25年までに官民で4119億元(約6兆円)を投じる。

深圳市の特区成立を巡っては、秋に国家主席が現地を訪れて祝う慣例がある。20周年に江沢民(ジアン・ズォーミン)氏、30周年には胡錦濤(フー・ジンタオ)氏が記念式典に参加した。今年は隣接する香港の情勢が緊迫するなか、習近平(シー・ジンピン)国家主席の深圳入りがいつ実現するか、どんなメッセージを発するか注目される。

改革開放と経済特区 中国建国の父、毛沢東が発動した文化大革命で荒廃した国内経済を立て直すため、鄧小平氏は1978年に改革開放にかじを切った。計画経済を見直し、ヒトやカネの動きを市場に委ねる試みで、海外企業を誘致するために経済特区が設けられた。80~81年に広東省深圳市、珠海市、汕頭市、福建省アモイ市が経済特区となった。深圳は企業へ積極的に工業用地を貸し出したりして資金を捻出、水道や道路などのインフラを整備して加速度的に発展した。』