中国人とロシア人の「本音」がよく分かる、「逆さ地図」ってナニ?

中国人とロシア人の「本音」がよく分かる、「逆さ地図」ってナニ?(2013年05月07日 11時11分 公開)
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1305/07/news022.html

『先週、安倍晋三首相がロシアを訪問し、プーチン大統領と北方領土交渉を加速化させるということで合意した。

 日本の新聞や報道番組は、プーチンの口から「面積等分」の話題が出たとかで“前のめり”で報じているが、個人的には、交渉をダラダラ続ける間に、カネだけ引っ張られるのではないかと心配している。

 プーチン、いやロシアが経済連携ぐらいで北方領土を返すわけがない。それは「地図」を見ても明らかだ。

 といっても、それはみなさんが日頃よく見ている地図ではない。日本海を中心に南北を逆さにした通称「逆さ地図」(参照リンク)である。

 この地図では中国大陸やロシアが下となり日本列島は上。つまり、中国やロシアの“真上”に日本があるのだ。こういう位置関係でロシア人の心に思いをはせると、彼らが「北方四島」をどんな目で見ているかよく分かる。

 日本人みたいに毎日、太平洋を眺めて暮らしている民族からするとなかなか想像できないが、ロシア人にとって太平洋という大海原に出るというのはかなり骨が折れる。

 特に太平洋艦隊の本拠地であるウラジオストクから、船を出そうとすると目の前にはまるで嫌がらせのように長い島が立ち塞がる。

 いわずもがな、日本列島だ。

多くの日本人が見慣れている地図(出典:総務省)

普通の世界地図だと、日本のナナメ上にロシアがでーんと広がっているので、自分たちが邪魔をしているなんて意識はないが、「逆さ地図」で見ると、かなりイラっとする場所に日本があるのがよく分かる。はっきり言うと、邪魔なのだ。

 そんな邪魔くさい島のなかで唯一ストレスなく通れるのがサハリンと北海道の間。つまり、宗谷海峡だ。

 ここを抜けて、択捉島の脇にある択捉水道を通って太平洋に出るという選択肢しかウラジオストクにはない。こういう唯一の海上交通路(シーレーン)を自分たちだけでガッチリ握っておきたい、という強い気持ちが国家にはある。

 「どこでもドア」が発明されない限り、石油やらの資源の運搬は海路に頼るしかない。シーレーンを握られたらかつての日本みたいな兵糧攻めに合って、どんな国でもたちどころに滅ぶ。

 ソ連人はそれをよく分かっていた。だから、日本が敗戦したのを見計らって、宣戦布告して火事場泥棒のように樺太を奪い、北方四島もぶんどった。彼らはそこで略奪や虐殺をしたが、それは結果であって、目的はあくまでシーレーンの確保だ。

 さらに本音を言えば、東北まで攻め上がるつもりだった。北海道と東北を握れば、津軽海峡というもうひとつのシーレーンも頂戴できる。きたるべき米国の戦いを考えると、これは欲しい。だから、日ソ中立条約なんて丸めてポイとなるわけだ。

 四島だろうが、二島だろうが、千島列島を日本にポーンと返しますよ、ということは国際ルールを踏みにじってまで確保したシーレーンを危険に晒(さら)すということだ。いくら冷戦が終わったとはいえ、ロシア人はそんなにお人好しなはずがない。

 このようなロシア人の心理は、日本を「目の上のタンコブ」のように思っているもうひとつの国を見ても容易に想像できる。

 中国だ。

世界地図を逆さにしたものです(出典:総務省)

「逆さ地図」を見ると、中国もロシアと同じく、太平洋に出るには日本の南西諸島という「壁」が立ち塞がる。台湾の脇を抜けるか、南シナ海方面からぐるっとまわるしかない。これはかなりイラっとする。

 ピンときたかもしれないが、この2つの「シーレーン」があるところは、中国が主権を主張しているところだ。南シナ海では先日、ベトナムの漁船が中国軍に炎上させられたし、尖閣諸島はご承知のとおりだ(関連記事)。

 要するに彼らのいう「主権」というのは、「シーレーンをよこせ」ということだ。

 尖閣諸島沖にあるという天然資源や、豊富な漁場というのももちろんある。だが、中国政府広報が言った「尖閣は核心的利益」とはシーレーン以外の何者でもない。事実、中国は対米防衛ラインとして九州・沖縄から台湾、フィリピンまでのびる「第一列島線」というものまで勝手に想定している。

 そんな中国の舵(かじ)をとるのが習近平だが、実は彼も安倍首相がロシアに行く1カ月ほど前、ロシアに行っている。そこで講演した際、尖閣諸島問題で一切譲歩しないという方針を明らかにし、こんなことを言ったという。

 「(中ロ両国は)第2次世界大戦の勝利で得た成果と戦後の秩序を守らなければならない」

 要するに、「おまえらだって昔は日本からシーレーンをぶんどったんだから、こっちのやることにいちいち文句を言うなよ」と牽制したわけだ。

 こういう泥棒みたいな人たちがイラっとしながら日本を見ている。「逆さ地図」はそんな現実を我々に教えてくれる。』