〔中南米関連〕

※ 混沌と、カオスと、無秩序だ…。ヤレヤレな話しだ…。

ペルー摘発騒ぎで13人死亡 外出禁止中の闇パーティー
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62966490U0A820C2000000/

ブラジル、コロナ禍で殺人件数増加 前年比6%増
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62947880S0A820C2NNE000/

南米ベネズエラ、コロナで一部国境閉鎖 帰国を妨害か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62947310S0A820C2EAF000/

『【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラ政府は21日、コロンビアとの国境を一部閉鎖した。新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化する中、移民や難民として周辺国に住んでいたベネズエラ人が帰国し、ウイルスを国内に持ち込まれるのを防ぐ狙いとみられる。

コロンビアとベネズエラの国境にかかる橋を渡る人々(3月、コロンビア北部ククタ)=ロイター
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コロンビア政府によると、同国とベネズエラを結ぶ橋を閉鎖し、人の往来ができなくなったという。コロンビアにはベネズエラの独裁政権による弾圧や経済崩壊から逃れるため、約170万人のベネズエラ人が住んでいるが、新型コロナ拡大に伴い職を失い、陸路で帰国する人が増えていた。

米ニューヨーク・タイムズは、ベネズエラ政府が帰国者を「バイオテロリスト」と呼び、十分な食料や水を与えないまま隔離施設にとじ込めていると報じている。

ベネズエラ政府によると、同国の新型コロナ感染者数は3万7千人で死者数は300人強。マドゥロ政権は周辺国に比べ抑えこんでいると主張するが、経済統計と同様、政府が数字を操作している可能性が高いと指摘されている。』

〔東南アジア関連〕

タイ経済の「司令塔」退場、栄光と挫折の足跡
アジア総局長 高橋徹
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62960860T20C20A8I00000/

『新型コロナウイルス対応で、世界保健機関(WHO)から「優等生」のお墨付きを得たタイ。先週、実に86日ぶりに市中感染が疑われる陽性者を確認したものの、なお封じ込めには成功している。

むしろ同国内を浮足立たせているのは、コロナへの警戒感の後退に反比例して広がる、反政府デモだろう。学生を中心にした集会は8月に入って一段と活発になり、一部からはこれまでタブーだった王室改革の要求まで飛び出した。

強権批判にさらされるプラユット首相は8月12日、政権てこ入れのため、閣僚6人を入れ替える内閣改造に踏み切った。目玉は、コロナ危機からの経済再生に向けた、主要な経済閣僚の刷新である。

プリディー財務相はカシコン銀行の元頭取、スパタナポン・エネルギー相は石油化学最大手PTTグローバルケミカルの元社長だ。1カ月ほど前の7月16日、改造を待たず辞任したウッタマ前財務相、ソンティラット前エネルギー相、そして彼らの上役として「経済チーム」を指揮したソムキット・チャトゥシピタク前副首相(67)らはいずれも元学者。「学界から経済界へ」とカラーが一変した。

スパタナポン氏が副首相を兼ねるものの、経済政策は首相自らが采配を振るう。2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は前年比で12%も減り、回復も視界不良なタイ。元軍人のプラユット氏のかじ取りで大丈夫なのか――。不安視する声は、長く「経済政策の司令塔」を務めてきたソムキット氏の抜けた穴の大きさを浮かび上がらせる。

改造内閣の記念撮影に臨むプラユット首相。コロナ禍からの経済再生へ、自ら経済政策を統括することにしたが…(8月13日、バンコク)=ロイター
「今の経済チームの仕事ぶりが物足りないなら、居座るべきではない。だが何をしていいのか分からないなら、代わりのチームは来るべきではない」。6月に内閣改造観測が浮上しても、ソムキット氏は続投へ強気だった。ところが与党内の内紛も絡み、包囲網は徐々に狭まる。7月に入ると「私は年を取った。何年も前にもう意欲をなくした」と諦観した発言が漏れた。辞任はその6日後だった。

辞任会見に自身は姿を見せず、腹心のウッタマ氏が「健康上の理由」と説明した。5年間を2度、計10年にわたって副首相を務め、タイ経済の針路図を描いてきた重鎮にしては、寂しい去り際だった。

ソムキット氏はタイの政治・経済にどんな足跡を残したのか。

名門タマサート大や国立行政開発研究院で学び、米ノースウエスタン大のケロッグ経営大学院で博士号を得た。「マーケティングの神様」フィリップ・コトラー教授に師事し、共著も著した。書名は「マーケティング・オブ・ネーションズ」。国家の競争力を高めるマーケティング戦略を論じた。

理論構築だけでは満足せず、実践への野心も旺盛だった。コトラー氏は13年に日本経済新聞に連載した「私の履歴書」で、卓越した教え子としてソムキット氏の名を挙げた。1990年代前半に帰国し、母校で教えていたまな弟子から、数年後に「学術の世界にとどまるか政治の世界に進むべきかアドバイスが欲しい」と請われ、「政治の世界で頑張れ」と背中を押した逸話を紹介している。

それはタクシン元首相から政界入りを誘われた時期と重なる。98年に「タイ愛国党」の結成に参画後、いかに重用されたかは、01年の総選挙で比例名簿3位だったことからも分かる。選挙に圧勝してタクシン政権が誕生すると、副首相兼財務相(後に商業相)として経済政策を取り仕切った。

タクシン首相(右)を副首相として支えたソムキット氏は、経済政策の理論的支柱だった(2005年3月、タイ国会)=ロイター
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実践したのはまさにマーケティング戦略だ。7万超の村落に投融資枠を設ける「村落基金」、大分県を手本に地方発の有力商品を育てる「一村一品」、「アジアのデトロイト」「世界の台所」を標榜した自動車や食品の輸出促進策……。「タクシノミクス」と呼ばれた一連の施策は、必ずしもソムキット氏の発案ではなかったが「寄せ集めのアイデアを論理立て、政策に仕立てる『整理屋』としての傑出した能力が、彼の真骨頂だった」(当時を知る外交関係者)。

次の首相候補にも挙げられ、順調だった政界でのキャリアは、06年9月の軍事クーデターによるタクシン氏の失脚で転機を迎える。

軍事政権の誘いに応じ、07年2月に新設の「対外経済協力委員長」に就いたのだ。ところが反タクシン派の猛反発を食らい、1週間で辞任に追い込まれた。「裏切り者」とタクシン派からも非難されたのは言うまでもない。失意の中、自らの政党創設も模索したが、5月にタイ愛国党が選挙違反で解党されると、党幹部だったソムキット氏は5年間の公民権停止処分を受け、表舞台から姿を消した。

次に脚光を浴びたのは、またもタクシン派政権を倒した、14年の再クーデター後だ。軍政顧問を経て15年8月、9年ぶりに副首相に復帰した。昨年の民政復帰を挟み、再びタイ経済のかじを握った。

「日本企業の意見は常に重視しているので困ったことは何でも伝えてほしい、と言われた。何度か陳情に行ったが、迅速かつ的確に善処してもらった。口先でなく本当に実行力のある人だった」

17年度のバンコク日本人商工会議所の会頭としてソムキット氏と接した丸紅の酒井宗二執行役員(現中部支社長)には、国益を常に考えていた印象が強いという。

ソムキット氏がタクシン政権で主導した代表的な政策「OTOP(一村一品)」はタイですっかり定着した(18年6月、スワンナプーム空港の専門店舗)
近い将来の先進国入りに向けて産業高度化の旗を振る「タイランド4.0」や、その舞台装置として既存の臨海工業地帯を高度産業の集積地に変える「東部経済回廊(EEC)計画」など、今回も華々しい戦略を掲げた。だが、GDP伸び率がざっと年4~7%台だった前回在任期と比べ、今回はコロナ危機前でも3~4%前後にとどまる。経済司令塔としては、かつてほど輝けなかったといえる。

「彼の知見を国家のために生かそうと思えば、古いボスを見限り、軍政に近づくしかなかった」。かつてタクシン政権の経済チームで共に働いた元官僚は、ソムキット氏の「変節」に理解を示しつつ、こう付け加えた。「実業家だったタクシン氏は経済政策への理解が深く、全面的に支援を受けられた。プラユット氏は軍人だ。能力を発揮する環境が違いすぎた」

いまのタイで起きている学生主導のデモは、以前の「タクシン派か反対派か」といったイデオロギー対立ではなく、世代間の対立の様相を呈している。そのさなかのソムキット氏の退場は、ひとつの時代の終わりの象徴でもある。

ただし、辞任した7月16日は、プラユット政権発足からちょうど1年の節目だった。あえてこの日を選び、辞めさせられる前に辞めたことで、与党内の利権争いの「被害者」の立場を印象づけたのは間違いない。コロナによる経済危機のさなか、空白を承知で職責を投げ出した学者らしからぬ振る舞いは、なお将来の政界復帰の野心を秘めているからなのだろうか。』

Somkid Jatusripitak(※英語版のみ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Somkid_Jatusripitak

(グーグル翻訳文)
『初期の人生
ソムキッドはバンコクで生まれ、10人の子供のうちの1人である大規模でありながら控えめなタイの中国人(Teochew)家族で育ちました。[3] [4]彼の曾祖父は嘉慶天皇[5](19世紀初頭)の治世中に中国から移住した。タイで生まれ育ったにもかかわらず、ソムキッドは依然として強い中国のアクセントでタイ語を話します。[6] [7]彼の兄の一つ、ソムJatusripitakは、後の大統領になったサイアムシティ銀行で商業大臣チャワリット・ヨンチャイユットの政府。[8]

彼の妻、アヌラチャニージャトゥスリピタクは、チュラロンコン大学で教えています。彼らには3人の子供がいます。[ 引用が必要 ]

教育と学歴
ソムキッドは、トライアムウドムサクサスクールに行き、1972年にタマサート大学経済学部を卒業しました。その後、国立開発研究所の経営管理大学院(NIDAビジネススクール)で金融のMBAを取得しています。(NIDA)と博士号 ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でマーケティングの博士号を取得。

卒業後、教職に就き、経営学研究科(NIDAビジネススクール)のマーケティング准教授に就任。また、NIDAビジネススクールのアソシエートディーンを務めました。ソムキッドの考えは、マイケル・ポーターの「国家の競争力」に大きく影響された。彼は学術的研究の多くを国とビジネスの競争力の発達に焦点を合わせました。彼のメンターであるフィリップ・コトラーとともに、彼はネーション・ブランディングのコンセプトの強力な支持者でした。1997年、ソムキッドはフィリップ・コトラーと共同で「国家のマーケティング:国の富を築くための戦略的アプローチ」を執筆した。。この本は、国々がマーケティングとそれをサポートする適切な政策を通じてどのように競争力を向上させることができるかを概説した。[3]ソムキッドの本、Borisat Prathet Thai( “Thailand Inc:Concepts and Strategy”)は、タイがマーケティングをどのように活用して競争力を向上させるべきかを強調しました。』
『政治的キャリア
タクシンシナワット外相アドバイザー
ソムキッドはバンハーンシルパアルチャ政権下のタクシンシナワット外相の書記になった(1995–96)。

タノンビダヤ財務相顧問
ソムキッドはチャバリットヨンチャイユッドの政府の下でタノンビダヤ財務相の書記になりました(1996–97)。

タイラックタイ党の設立
ソムキッドは、党首のタクシンシナワットとともに、1998年のタイラックタイ党の共同創設者の一人でした。パーティーでの彼の上級の身長は彼のいいえから明らかでした。TRTの2001年の選挙党リストで、タクシンシナワットとプラチャイピエムソンブーンの後ろに3位。

Somkid「後ろの男と呼ばれてきたThaksinomics、」[10]と壮大なスケールでポピュリズムを受け入れることにより、2001年に地滑り選挙の勝利にTRT」ウォンをタイ愛国タイ党を推進助けたポピュリスト政策の首謀者でした、 「極東経済レビューは言った。ソムキッドの主な政策革新には、ユニバーサルヘルスケアプログラム、タイの70,000村のそれぞれに100万THBの開発資金、農家向けの3年間のローン凍結、国営企業の民営化のファストトラック、および購入する国家資産管理会社(AMC)が含まれます。タイの銀行が抱える200億ドルの不良債権の増加。[11] [12]

ソムキッドはまた、TRT党の地方中小企業(SME)政策を開拓した。タイの人口の60〜70%を雇用している農業が依然として最も重要な経済セクターであることを指摘し、経済的課題は農業セクターを発展させ、それを近代的なセクターと結びつけることでした。[8] これはタクシン政府の人気のある1つのタンボン製品(OTOP)プログラムの設立原則の1つになりました。

当時、The Nation新聞は、これらの政策は「タイの公共政策の革命に相当する」と宣言しました。[13]

タクシン政権の大臣
TRTの2001年の地滑り選挙での勝利以来、ソムキッドはターキンの経済的内閣の中心的メンバーでした-財務大臣として始まり、その後商務大臣になりました。

財務大臣

このセクションはリスト形式ですが、散文として読むほうがよいかもしれません。必要に応じて、このセクションを変換することで支援できます。編集ヘルプを利用できます。 (2014年5月)
ソムキッド財務相(2001年2月〜2003年2月)在任中

・国有のタイ航空インターナショナルで経営陣の改造を監督した
・国家資産管理会社(AMC)の設立を主導
・Prachai Leophai-ratanaのタイ石油化学産業(TPI)の物議を醸しているリストラを支持[14]
・2002年、ソムキッドは村の基金プログラムを設立しました。このプログラムは、タイの70,000の村のそれぞれに100万THB(約25,000米ドル)の自己管理基金を提供し、草の根の社会的および経済的投資に使用されます。

商務大臣

このセクションはリスト形式ですが、散文として読むほうがよいかもしれません。必要に応じて、このセクションを変換することで支援できます。編集ヘルプを利用できます。 (2014年5月)
商務大臣としての任期中(2005年8月〜2006年9月)、ソムキッド

・2004年の津波後のアンダマン海岸の観光産業の回復を監督しました
・英国との貿易、投資、協力を強化するための包括的なロードマップを作成することに合意[15]
・エレクトロニクス、石油化学、車両タイヤの3つのターゲットセクターで投資委員会のインセンティブを強化[16]
・2005年から2006年のタクシン反対デモの際、タクシンはソムキッドが辞任した場合首相として彼を継ぐ可能性のある4人の一人であると述べた。

・2006年3月、ソムキッドは反タクシン抗議運動の最中、バルーン血管形成術を受け、心臓近くの動脈の血栓を取り除きました。[17]

後はタクシン氏は2006年4月の選挙後に議会からプレミアシップを受け入れないだろうとの発表、Somkidは広く潜在的な代替として見られました。ビジネスマンの世論調査で、57%はソムキッドが新人プレミアの最も適した候補者であると述べました。次に高いTRT政治家はBhokin Bhalakulaで、12%しか受け取っていません。[18]間もなく、Wang Nam Yom(130 MPs)、Rim Nam(15 MPs)、Lamtakong(7 MPs)、Wang Phya Nag(10 MPs)、Chon Buri(7 MPs)、中央州(10議員)は、次の首相としてソムキッドヤトゥスリピタクを押すことを決定しました。[19]

2006年のクーデターの余波
タイ軍は2006年9月19日にタクシン政府に対するクーデターを成功させました。そのとき、ソムキッドはパリにいて、シリントーン王女とカンタティスパマコンコン外相とのタイ-フランス文化展に出席していました。2006年9月21日、バンコクに戻りました。[20] タクシン内閣の他のいくつかの上級議員とは異なり、彼は連邦政府によって逮捕されなかった。ソムキッドは目立たず、2006年10月2日までタクシンシナワットと共にタイラックタイ党を辞任した。[21] [22]

2007年2月まで、プーミポン国王の自給自足の経済政策を「説教」する責任を負う政府委員会の委員長に任命されるまで、彼は目立たなくなった。評論家がポピュリスト経済学の皇帝は自給自足を促進する役割を持たなかったと主張したので、この任命は大きな論争を引き起こしました。[23] [24] Somkidの予定が一般的でサポートされていたSaprang Kalyanamitr、軍事政権の強力なメンバー、およびソンジー・リムソンクールの民主市民連合、Somkidのの長年の同僚。ソムキッドは後に委員会を辞任することを決定し、委員会は解散した。ソムキッドの長年のライバル、プリディヤトーン・デヴァクラ財務相委員会の役割を果たすことを志願し、ソムキッドの辞任におけるいかなる役割も否定した。[25]

2007年5月上旬、元選出の上院議員のグループは、ソムキッドが新しい政党、いわゆるダルマティパタイグループの形成を支援する準備ができていると述べました。その中には、スラポーンダナイタントラクーン、アネクラオタマタス(マハチョン党の元指導者)、タイラクタイの元メンバーであるスラナンベジャジーヴァとピモルスリビコーンが含まれていました。[26] 2007年6月26日、彼らはルアム・ジャイ・タイを設立した。しかし、2007年5月30日、憲法裁判所は、ソムキッドを含むタイラックタイ党の元幹部メンバー111人全員が5年間政治職を務めることを禁じ、評決を下しました。[27]

ソムキッドは2012年に、タイの主要な企業が後援するシンクタンクであるタイフューチャースタディインスティテュートを設立し、公共機関や民間セクターへの調査とコンサルティングの提供を目指しています。[27]

2014 juntaの顧問およびメンバー

2017年にバンコクのロイヤルタイ空軍エアターミナルでソムキッドジャトゥスリピタク副首相とロドリゴロアドゥテルテ大統領
後に2014年5月22日クーデター、軍事政権-自身を呼び出し、平和と秩序のための国民評議会(NCPO)は、特にアジア諸国は中国と日本で、対外経済関係を担当してその「諮問委員会」のメンバーSomkidを-appointed。[28] [29] 9月16日、2人の民間人の1人としてソムキッドがNCPOのメンバーとして任命された。[30]』

〔ヨーロッパ関連〕

[FT]大揺れの独極右AfD、醜聞と内紛で支持低落
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63014410V20C20A8000000/

 ※ ドイツが持つ(ドイツだけの話しじゃ無いだろう…)、「暴力的な側面」に触れている記事なので、読んでおいた方がいい…。

『しかし先週、連邦議会で起きた異常な事件がモイテン氏側を押し上げた。元ドイツ連邦軍特殊部隊の空挺(くうてい)隊員であるカルビッツ氏がAfDのデニス・ホーロック議員を拳で殴り、同氏の脾臓が破裂する事態に至ったのだ。現在、検察当局が「過失傷害」の疑いでカルビッツ氏を取り調べている。

カルビッツ氏は「事故」だったと主張しているが、誰もがそう思っているわけではない。ブランデンブルクのAfD議会スタッフ、カイ・ラウバッハ氏はフェイスブックへの投稿でカルビッツ氏の暴力的な行動パターンを非難し、ホーロック氏にけがを負わせた後に「ひよわな意気地なし」だとあざ笑っていたと明かした。「あなたは党のがんだ」とラウバッハ氏は書いている。「どうか、おとなしくお引き取りを!」

この投稿について、カルビッツ氏は自分に対する「ちゃちな中傷攻撃の一環だ」と退けた。』

〔ビル設計AIは、ここまで来た!〕

あの超高層を手掛けた構造設計のエースが開発中、竹中工務店の「使えるAI」
木村 駿、石戸 拓朗 日経 xTECH/日経アーキテクチュア
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01000/092500001/?P=4 

『人工知能(AI)が、建築の設計や施工、維持管理を高速化し始めている。人手のかかる単純作業をコンピューターが「爆速」でこなしてくれれば、浮いた時間を人間にしかできない創造的な仕事や、ワークライフバランスの向上に充てることができる。AIをうまく使いこなせば、建築はまだまだ進化できるはずだ。

 竹中工務店、HEROZの構造設計AI 
構造設計の単純作業を爆速化
 AIで単純作業を高速化し、生み出した時間を顧客との対話や人間にしかできない創造的な仕事、設計者のワークライフバランスの向上に充てる──。竹中工務店が将棋AIで有名なHEROZ(ヒーローズ、東京・港)と2017年から開発してきたAIの輪郭が日経アーキテクチュアの取材で明らかになった〔図1〕。

〔図1〕これが竹中工務店「3つのAI」だ
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(資料:竹中工務店の資料を基に日経アーキテクチュアが作成、写真:日経アーキテクチュア)
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 「リサーチAI」「構造計画AI」「部材設計AI」と呼ぶ3つのAIを設計の段階に応じて使い分け、構造設計にまつわる単純作業の7割を削減する。開発リーダーは高さ日本一の超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市)などの構造設計を担当した竹中工務店設計本部アドバンストデザイン部構造設計システムグループの九嶋壮一郎副部長。「実務者目線で『使えるAI』を目指す」(九嶋副部長)

 最初に取り組んだのが、社内に蓄積してきた膨大な設計データの整理。同社の構造設計システム「BRAIN(ブレイン)」で設計した400プロジェクト、25万部材の情報をデータベース化した。この中から、進行中の案件と似た事例を簡単に引き出せるようにしたのが「リサーチAI」だ(図1の1)。

 構造設計の初期段階では、過去の類似事例を参考にしながら検討を進める。しかし、各事業所から情報を集めるのに時間がかかる上、経験の浅い設計者はどの事例を参照すべきか迷いがち。面積や階数、スパンなど構造を特徴付けるパラメーターは10~20個もあり、比較が難しい。

 リサーチAIでは、10次元以上のパラメーターを2次元に縮約(圧縮)し、総合的に類似度が高いプロジェクトを示せるようにする。機械学習(「AIのキホン ディープラーニングって何?」を参照)の一種で、データの集まりを類似度に応じて分類する「クラスタリング」を用いた。

 同社技術研究所先端技術研究部数理科学グループの木下拓也研究主任は、「ベテランが持つ嗅覚のようなものをAIで補い、誰でも有益な情報にたどり着けるようにする」と話す。』
『計算せずに仮定断面を出す
竹中工務店
設計本部アドバンストデザイン部
構造設計システムグループ 副部長
九嶋 壮一郎氏

(写真:日経アーキテクチュア)
 基本計画・設計の段階になると、構造設計者は建物のボリュームや空間の配置に応じて構造種別や架構形式を検討し、意匠設計に必要な柱・梁(はり)の仮定断面を出す。

 「構造計画AI」は、構造計算なしで仮定断面を自動推定する人工知能だ(図1の2)。複数案を簡単に比較検討できるので、短時間で構造設計の質を高められる。推定の精度を、詳細設計完了時の部材断面の±20%以内に収めるのが目標だ。

 開発には、機械学習の一種である深層学習(ディープラーニング)を用いる。脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」をコンピューター上に幾層も構築して大量のデータを入力すると、コンピューターがその特徴を学び、未知のデータを認識・分類できるようになる。

 効率的に学習させるため、AIには「教師データ」と呼ぶ情報を与える。構造計画AIの学習に用いたのは、データベースに登録した25万部材の設計情報だ。建物の規模やスパン、位置などに応じて異なる柱・梁の断面サイズを学んだAIは、「10階建ての角の柱の断面はこのぐらい」と瞬時に見当をつけられるようになる。

 HEROZの井口圭一最高技術責任者は、「過去の事例には特殊な構造の建物もある。うまく分けて学習させないとAIの回答がそれに引っ張られる。開発チームで事例を精査しながら学習させている」と話す。

 3つ目の「部材設計AI」は、詳細設計の際に部材の「グルーピング」を支援するツールだ(図1の3)。

 柱が全て同じ断面ならば施工性は高まるが、経済性は悪くなりがち。逆に数量を減らそうと断面サイズを柱ごとに変えると施工性が悪くなる。構造設計者は施工性と経済性が両立するよう、部材の種類をグルーピング(整理)しなければならない。部材設計AIは、施工性と経済性を両立する案を絞り込んで提示し、構造設計者の意思決定をサポートする。

 竹中工務店の九嶋副部長は言う。「AIを、人を支援し、協働する存在と位置付け、新たな構造設計の在り方を示したい。20年度を目標に開発を進めていく」』

『Iのキホン ディープラーニングって何?
 一口にAIと言っても、様々な種類がある。例えば1980年代に流行した「エキスパートシステム」は、人間が判断基準をコンピューターに入力し、コンピューターはそれに従って「もしAならばB」などとデータを分類・判断する仕組み。「ルールベースのAI」などと呼ぶ。

 一方、現在のAIブームをけん引するのは、コンピューターがデータの分類方法や判断基準を自ら学ぶ「機械学習」と呼ぶアプローチ。中でも「深層学習(ディープラーニング)」と呼ぶ手法が脚光を浴びている〔図2〕。

〔図2〕AIには様々な手法がある
手法によっては異なる分類をする場合がある(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 ディープラーニングでは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)のネットワークを単純化した「ニューラルネットワーク」を、コンピューター上に幾層も構築する。これに大量のデータを入力すると、コンピューターが自らデータの特徴を学び、未知のデータを認識・分類できるようになる。それまでの機械学習に比べて高い精度で正解を導き出せる〔図7〕。

〔図3〕脳の神経回路を模したニューラルネットワーク
中間層を多層化したものをディープラーニングと呼ぶ(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 機械学習には、「教師なし学習」「教師あり学習」「強化学習」の3つの学習方法がある。教師なし学習は、極めて大量のデータをコンピューターに入力し、データの傾向や規則性などを自動的に学ばせる方法だ。

 教師あり学習は、正解付き(ラベル付き)の「教師データ」を用いて効率的に学習する方法。例えば、コンクリートの画像から健全性を診断するAIをつくる場合、画像データと専門家による診断結果をセットにした教師データを学習させる〔図4〕。

〔図4〕産業用途は「教師あり学習」が大半

学習に必要なデータをそろえ、ラベル付け(アノテーション)をするには、人手と時間を要する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 建築を含め、産業用途でディープラーニングを活用する場合は、ほとんどが教師あり学習だ。教師なし学習と比べてデータの数こそ少なくて済むが、ラベル付きのデータをそろえるのには多大な労力がかかる。このため、教師データ集めで挫折するケースは少なくない。』
『竹中工務店とHEROZの自動制御システム 
AIで「建築設備が成長」
 竹中工務店とHEROZが共同でAIを開発するのは、構造設計の分野だけにとどまらない。人工知能を用いて空調や照明などのビル設備を自動制御するシステム「Archiphilia Engine(アーキフィリアエンジン)」を開発した。管理員の手動に頼っていたビル設備の制御を自動化し、管理業務の効率化や省エネ性の向上を図る。

 アーキフィリアエンジンは、センサーなどから取得したビッグデータを基に設備の運転条件を制御する。竹中工務店が開発したビル設備の管理システム「ビルコミュニケーションシステム(ビルコミ)」とHEROZのAIサービス「HEROZ Kishin(キシン)」を組み合わせた。ビルコミュニケーションシステムが収集する温度や照度などのデータをAIに学習させ、ビル設備を最適な形で自動制御する。消費エネルギー量を最適化するだけでなく、利用者の好みに合わせた制御も可能だ〔図4〕。

〔図5〕AIで設備を自動制御
「アーキフィリアエンジン」のシステムの概要。「ビルコミュニケーションシステム(ビルコミ)」が収集した情報を「HEROZ Kishin」で学習して、設備を自動制御する(資料:竹中工務店)
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2年間の実証実験で省エネ効果などを検証

 竹中工務店は2019年6月5日に、自社が設計・施工した未来のライフスタイルを提案する体験施設「EQ House」でアーキフィリアエンジンの実証実験を開始した〔写真1〕。期間は2年間。人感センサーや温度などを測るセンサー、利用者の心拍などを測るウエアラブルセンサーを用いる。延べ面積88m2の空間に約1000個のセンサーを設けて、1分おきにデータを収集する。

 さらに空調や照明などを通じて得られたデータを学習させることでEQ House内の設備を自動制御する。両社によると、データをこれほど大量に収集し、ビル設備の制御に生かす取り組みは珍しい。実験を通じて、自動制御に必要なセンサーの種類やアーキフィリアエンジンを用いた際の省エネ効果などを検証する。

〔写真1〕実際の建物で省エネ効果を検証
アーキフィリアエンジンの効果を実証する「EQ House」の外観(写真:日経アーキテクチュア)
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 竹中工務店はアーキフィリアエンジンの導入によって省エネ性や快適性を高められると確認できれば、積極的に実プロジェクトへの提案を進めていく予定だ。』

実録・浸水タワマン復旧への道程

実録・浸水タワマン復旧への道程
木村 駿 日経クロステック/日経アーキテクチュア 森山 敦子 日経クロステック/日経アーキテクチュア 坂本 曜平 日経クロステック/日経アーキテクチュア
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/na/18/00111/080500003/

 ※ 小杉のタワマンの続報だ…。

 ちょっと感心したのは、「管理組合」のみなさんが、非常にフットワーク軽く、機動的に動いておられる点だ…。

 「内水氾濫」とか、聞いたこともなく、文字通り「寝耳に水」の話しだったろう…。しかも、おそらくは、取得してからまだ数年しか経過しておらず、この先長い期間「ローン」を支払っていかなければならない立場にあるはずだ…。普通だったら、打ちひしがれて、復旧、再建への「気力」も無くしそうなところだ…。そこを、矢継ぎ早に「次のこと」を考えて、打てる策を、しっかりと打っている…。水のかき出し写真を拝見すると、まだ「お若いご夫婦」が多いようだ…。それで、腰軽く、機動的に動けたんだろう…。これが、70代、80代の「お年寄り」が多かったならば、なかなかそうは行かなかっただろう…。「若年層」の入居者が多かったことが、効を奏した形だな…。

『2019年10月、2万5000ヘクタールを超える浸水被害をもたらした東日本台風。多摩川流域の内水氾濫で電気設備が浸水したタワーマンションでは、復旧に長期間を要した。こうした被害を踏まえ、国土交通省は20年6月に浸水対策ガイドラインを公表した。

 2019年10月12日、東日本台風(台風19号)の接近に伴い、多摩川流域では四六時中、氾濫の危険性や避難情報を伝える緊急速報メールの受信音が鳴り響いていた。

 タワーマンションが立ち並ぶ川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺では、増水した多摩川の水が、雨水を排水するための山王排水樋管を通じて逆流。広い範囲に内水氾濫を引き起こした。駅前に立つタワーマンション「パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー」の浸水被害はとりわけ深刻だった。

 12日夜、周辺の浸水を知ったマンションの住人は、地下駐車場や建物の出入り口前に高さ60cmほど土のうを積み上げた。そのおかげで、外構は最大約30cmまで浸水したが、建物内に泥水が流れ込むのは防ぐことができた〔写真1~3〕。

〔写真1〕地下最深部の貯水槽から雨水があふれた
2019年10月の東日本台風の影響で内水氾濫が発生し、浸水したタワーマンションの地下3階で住民が排水作業をする様子。地下4階相当に設置された貯水槽に容量を超える雨水が流れ込み、蓋からあふれて地下3階が浸水した(写真:パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー)
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〔写真2〕多摩川を望むタワーマンション
パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの外観。地下3階・地上47階建てで、総戸数643戸の大規模タワーマンションだ(写真:パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー)
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〔写真3〕武蔵小杉駅周辺が浸水
2019年10月13日午前0時過ぎの武蔵小杉駅周辺の様子。写真右手がパークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー(写真:読者提供)
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 しかし、水は想定外の場所から浸入した。地下3階の下に設けた貯水槽の蓋から、あふれ出したのだ。マンション内に流入した水は9000t。浸水によって地下の電気設備の多くが故障して停電し、住人は17日の復旧まで不自由な生活を強いられた。』
『特定した浸水経路への対策
 フォレストタワーの管理組合はその後、タスクフォースを立ち上げて独自に調査し、浸水メカニズムを特定。20年3月2日に被災原因と再発防止策の検討状況を公表した。

 タスクフォースの調査によると、浸水メカニズムは次の通りだ。

 フォレストタワーでは市の指導の下、建物周辺の雨水を、雨水流入升を介して建物内の貯水槽に一時的に貯め、ポンプでくみ上げて敷地外の下水管に流す仕組みを採用している。下水道や河川などに能力以上の水が流出しないようにするためだ。

 被災時は周辺が冠水していたため、雨水の流入速度がポンプの排水能力を超えたとみられる。浸水し始めた当初は住民らが人力で排水していたが、流入速度は予想以上に速く、安全を優先して作業を中断した。

 タスクフォースは調査結果を踏まえ、管理会社の三井不動産レジデンシャルサービスや設計・施工者の竹中工務店などの協力を得て、再発防止策を整理。20年6月には雨水流入升から貯水槽へ雨水を送る配管に「止水バルブ」を新設した。貯水槽へと無制限に水が流入することを防ぐのが目的だ〔図1、2〕。ただし、貯水槽は雨水を貯めて周辺地域の浸水被害を軽減するための施設なので、止水バルブを閉じる基準については運用マニュアルを作成中だ。

〔図1〕浸水経路に止水設備を増設
パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの浸水メカニズムと再発防止策。建物の西側に武蔵小杉駅がある。同マンションの管理組合は2019年10月に発生した浸水被害を検証。特定した浸水経路や、建物の開口部、地下駐車場出入り口に止水設備を増設した(資料:パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーの資料に日経アーキテクチュアが加筆、下の写真2点は日経アーキテクチュア)
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〔図2〕対策に優先順位を設定
パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーのタスクフォースが作成した浸水対策案。優先順位を設定して進めている(資料:パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー)
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 東日本台風で、住人が自ら土のうを積むことになった経験を踏まえ、迅速に対応できるよう、地下駐車場出入り口と建物出入り口の計7カ所に止水板を設置した。外壁のガラス部分については、浸水深1mまで水圧に耐えられることを確認した。

 マンション管理組合の理事長は、「1mの浸水に耐える対策は講じた。次は多摩川が氾濫した際に想定される2m級の浸水対策だ」と話す。非常時に屋上の受変電設備を使えるよう配線系統を変えるなどの対策を検討している。』
『初の浸水対策ガイドライン
 首都圏の人気エリアに立つタワーマンションで電気設備などが浸水被害を受け、長期にわたって停電や断水が発生したことは社会に大きな衝撃をもたらすと同時に、都市部の浸水対策の甘さをあらわにした。

 タワマンの被災を受けて国土交通省と経済産業省は19年11月、「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」(座長:中埜良昭・東京大学生産技術研究所教授)を設置。浸水対策の在り方や事例を初めて整理し、20年6月19日に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を発表した。

 ガイドラインでは、消費電力量が大きく、高圧受変電設備などの設置が必要となる建築物を想定し、洪水などの発生後も機能を継続できるよう、電気設備の浸水対策の在り方や具体例を示した。対象は、建築主や設計者、施工者、所有者、管理者、電気設備関係者など建築物の電気設備に関わる者だ。ガイドラインに法的な強制力はないが、浸水対策を検討している企業や管理組合などにとっては参考になる内容だ。

 ガイドラインではまず、対策の検討プロセスについて解説した〔図3〕。建築主や設計者などは、敷地の浸水リスクを調査し、浸水深や浸水継続時間などを想定する。さらに、調査結果を踏まえて浸水を防止する箇所を選定するなどして、建物の機能継続の目標水準を設定する。

〔図3〕浸水対策は浸水深の想定からスタート
国土交通省のガイドラインで示した建築物における電気設備の浸水対策の流れ。まずは浸水リスクを調査し、浸水規模や機能継続の目標水準を設定する。目標水準を踏まえ、必要な対策を講じる(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 具体的な浸水対策としては、浸水リスクの低い上階などに電気設備を設置することが望ましいとした。上階に設置することが難しい場合は、建物への浸水を防ぐために「水防ライン」を設定するよう促した。

 水防ラインとは、建物などを囲むように領域を設定し、ライン上の全ての浸水経路に止水板などを設置することで、ラインより内側への浸水を防止。電気設備などの浸水リスクを低減する考え方だ。

 水防ライン上に施す浸水対策の具体例については、浸水経路別に紹介している。出入り口への止水板の設置や、下水道からの逆流を防止するバルブの設置などだ。

 さらに、水防ライン内で浸水が発生した場合に備え、水密扉の設置などによる防水区画の形成や電気設備の設置場所のかさ上げなどの対策も示した。事例集ではこうした対策の参考事例を紹介し、止水設備の特徴についても解説している〔写真4〕。

〔写真4〕対策の具体例を紹介
国土交通省のガイドラインに示した浸水対策の一例。電気設備を想定浸水深より高い壁で囲んだ例や、高い位置に設置している例などがある。また、地盤面より1階床面の高さを段階的に高くして平時の建物利用の利便性を損なわないよう配慮した例も示した(写真:国土交通省)
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 ガイドラインでは、建物の企画・設計の段階から平時、水害発生時などの各段階で誰が何をすべきかを整理した「タイムライン」も提示〔図4〕。関係者間で共有し、自身の役割を事前に確認しておくことを推奨している。

〔図4〕建物の浸水に備えてタイムラインで役割を確認
国土交通省のガイドラインで示した浸水対策タイムライン。企画・設計段階から発災前後まで、時系列で対策項目と役割を整理した。これを参考に、個別の建物の特徴や管理体制に合わせてタイムラインを作成することを推奨している(資料:国土交通省)
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売上高2倍・利益6倍の超ヒット任天堂あつ森「非常識すぎる」設計

売上高2倍・利益6倍の超ヒット任天堂あつ森「非常識すぎる」設計
野安 ゆきお ゲームジャーナリスト
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00620/082000031/

『任天堂が2020年8月6日に公表した2021年3月期第1四半期の決算でとてつもない数字をたたき出しました。売上高は前年同期の2倍以上にあたる3581億円(108.1%増)、営業利益に至っては前年同期の6倍に近い1447億円(472.7%増)という驚異的な数字です。まさに圧倒的といってよい好業績です。

発売から4カ月で2240万本ってすごすぎない?
(イラスト:闇雲)
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任天堂の2021年3月期第1四半期の決算
(出所:任天堂の決算説明資料)
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参考資料:2021年3月期第1四半期 決算説明資料(PDF)
ソフト販売5043万本、その2割があつ森
「あつまれ どうぶつの森」の起動画面
4〜6月に販売本数は累計2000万本を突破。Nintendo Switch用ソフトとして歴代2位の売り上げを達成した。 (c)2020 Nintendo
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 特筆すべきは新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下新型コロナ)流行の影響によるさまざまな不利をはねのけて達成した数字だという点です。まず今期を通じて、主力のハード「Nintendo Switch」は全世界的に品薄状態で、巨大な販売機会損失が出ていました。アジアの製造・物流がダメージを受けたせいで、Switch本体や「リングフィット アドベンチャー」のような専用の道具を使うタイトルなども品薄が続きました。またコロナ禍により為替が円高に傾き、輸出産業であるゲーム企業は利益が出にくい情勢でした。』
『好業績を引っ張ったのはソフトウエア販売です。Switch向けタイトルでミリオンセラーが9本も出たこともあり、ソフト販売本数は前年同期比123.0%増の5043万本に達しました。また巣ごもり需要の増加からデジタル販売(ダウンロード用ソフト、追加コンテンツ、Nintendo Switch Onlineなどの売上高)も好調でした。ゲーム機専用タイトルのデジタル販売比率は55.6%(前年は38.3%)に増加。生産・流通の影響を受けにくいデジタル販売が、パッケージ版の機会損失を補って利益に貢献した構図です。

7月のアップデートで今では島の周囲の海を泳ぐことも可能に
のんびのり過ごす無人ライフはさらに充実。 (c)2020 Nintendo
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 好調なソフト売り上げをけん引したのはもちろん3月に発売されたSwitch向けタイトル「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」です。発売直後から圧倒的な支持を受けたあつ森は、4~6月期にも順調に売り上げを伸ばし、国内で331万本、海外でも732万本と、全世界でくまなく1063万本も売れました。累計販売本数はなんと2240万本に到達。4~6月期の任天堂の好業績は、このタイトルの爆発的なヒットによってもたらされました。

 決算報告書によるとNintendo Switch本体の生産状況はおおむね正常に戻っているようです。品薄状態も順次改善されそうです。そうすればゲーム機本体の売り上げも伸び、新規ユーザーがさらに増えます。あつ森は間違いなくもっと売れるでしょう。Switch向けタイトルでは初の累計販売3000万本の突破も夢ではなくなってきました。

あつ森が爆発的に売れたのには理由がある
 しかしながらなぜあつ森は、ここまでの超ヒット作になったのでしょう?

 新型コロナの影響で巣ごもり需要が喚起され、「無人島でのんびり過ごすというゲーム内容」が全世界の人たちに愛されたのだ、と解説されることが多いようです。確かにそれも間違いではありませんが、完全な正解でもありません。実はもっとはっきりした理由があります。あつ森には「初めてゲームに触れるユーザー」を明確に意識した設計が隠されているのです。

 具体的にはこのゲーム、2つの操作を同時に要求しないように作ってあります。例えば「走りながら道具を使用する」といった操作を決してプレーヤーに要求しません。

 「だからなに?」と思われるかもしれません。しかしこうした操作設計は、通常のゲームではあり得ない「非常識な」設計なのです。

アクションゲームの古典的名作「スーパーマリオブラザーズ」
ダッシュしながらジャンプする、という2つの操作を同時に要求してくるからこそ、このゲームは面白い。 (c)1985 Nintendo
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 他のゲームを思い浮かべてください。世の中の99%のゲームは2つ以上の操作を同時に要求するように作られています。例えば「スーパーマリオブラザーズ」はダッシュするために、左手でスティックを倒しながら、右手でダッシュボタンを押すという操作を要求します。さらに「その状態からジャンプする」というアクションも要求してきます。

マリオの最新作「スーパーマリオオデッセイ」
3Dで描かれた世界を走りながらジャンプする、というアクションは引き継がれている。 (c)2017 Nintendo
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『「2つの動作を同時に行う」は人にとっては不自然な動きなので、どんな人でも慣れが必要です。ゲームの面白さの多くはこの性質を使って作られています。すなわち「操作に慣れるまでは難しいと感じるが、次第に実行できるようになり、プレーヤーに上達を実感させる」という部分です。逆にいうとテレビゲームは複数の操作を同時に要求するように設計するものなのです。「うまくなったぞ」と実感させ、プレーヤー達成感を与え、それによってゲームへと夢中にさせていくわけですね。

 ヘビーユーザーが楽しむタイプのゲームになると2つどころか、4~5つの操作を同時に正確なタイミングで要求するものもザラにあります。この手のゲームはすべてを無駄なく完璧に操作できるようになるには数百時間の習練が必要です。だからこそそれを実行できる人がプロゲーマーとして脚光を浴び、巨額の賞金を稼げるわけですね。両手を自在に操れるピアニストが「うまい」と称賛され、その頂点に立つ人がプロになれるのと同じです。

ムシを捕るときにダッシュしないほうがいい
あつ森では足音を立てずにゆっくりと接近するほうがムシを捕りやすい採りやすい。 (c)2020 Nintendo
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2つ以上の同時操作を徹底的に排除するどうぶつの森
 しかしどうぶつの森シリーズは徹底的にその逆をいくゲームなのです。2つの操作を同時に要求することが見事なほど排除されています。

 一例をあげましょう。このゲームには「ムシ捕り」という要素があります。ムシ捕り網を使ってムシを集めるのです。簡単に捕まえられるムシからレアなムシまでいろいろ用意されています。こういう場合、ふつうのゲーム開発者なら「ダッシュしながら網を振り下ろす」といった操作で捕まえやすくなるような、ちょっと動きの速いレアなムシを登場させたくなるものなのです。しかしどうぶつの森は違います。むしろ音を立てないようじっくりと接近し、立ち止まって、そこから網を振り下ろすというアクションをしないと、レアなムシほど捕れないようになっています。

すべてのアクションは、立ち止まってから行うよう設計されている。操作がシンプルであるため上達の必要がなく、初心者にストレスを与えないゲームデザインだ。 (c)2020 Nintendo
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『他の道具を使うときも同様です。スコップで穴を掘るときも、斧(おの)で木を切り倒すときも、ジョウロで花に水をあげるのも、すべて「立ち止まった状態」で行うよう設計されています。「移動しながら○○をする」といったアクションは決して要求されません。そもそも絶対にできないよう作られているのです。

 このような「非常識な」設計だからこそ、このシリーズは初心者でもストレスなく遊べるのです。4~5歳の子供や高齢者、初めてゲームに触れるような人たちがみんな楽しめてしまう。上達の必要がなく、初めて触れたときから楽しさが感じられるように作られているんですね。

筆者の島は「南半球にある」ので今は真冬です
幻想的な雪と氷の世界を堪能中。 (c)2020 Nintendo
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 誰でも最初から楽しめるどうぶつの森シリーズを、任天堂は2001年から大事に育て続けてきました。その姿勢は、どんどん高度化するゲームが増えていく中では異質であり、時に「子供向け」「ファミリー層にこびている」とやゆされることもありました。

 新型コロナのまん延が結果として、任天堂が大切に育ててきたどうぶつの森の隠された価値に、大々的に脚光を当てた形になりました。巣ごもり需要が初めてゲームに触れる人を大量に生み出したタイミングで、これ以上ないほどピッタリのタイトルとして登場したわけですから、驚異的なヒットを達成するのはある意味、必然です。とてつもない決算の数字を達成できたのは、開発者の信念と継続的な努力が実を結んだからなのです。』

ジョブ型雇用はやめておけ、「DX人材」や「アジャイル人材」にも惑わされるな

ジョブ型雇用はやめておけ、「DX人材」や「アジャイル人材」にも惑わされるな
お題:デジタル革命の時代に「サラリーマン」じゃ生き残れない
甲元 宏明 アイ・ティ・アール
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00868/081800106/

『スタート以来、日経クロステックの名物コラムとなった「テクノ大喜利、ITの陣」。今回はその第23回だ。毎回、複数の識者に共通のお題(質問)を投げかけ、識者にはそれに答える形で論陣を張ってもらう。今回は夏の特別企画として枠を2倍に拡大して、識者8人に暴論、奇論を織り交ぜ熱い弁舌を振るってもらう。

 お題は「デジタル革命の時代に『サラリーマン』じゃ生き残れない」。識者の4番手は、調査・コンサルティング会社のアナリスト甲元宏明氏だ。「人は企業が定義したスキルマップを埋めるために生まれてきたのではない」と主張する甲元氏は、1人の力が大企業に勝る時代が到来した今だからこそ、個々人が自らのビジネス人生を自分の手で設計せよと説く。(編集部)』


『世界中でインターネットが利用できるようになり、クラウド、スマートフォン/タブレット、モバイル通信などのテクノロジーの発展と相まって、世界のどこにいてもいつでも仕事ができるようになりました。

 今後はIoT(インターネット・オブ・シングズ)、ロボット、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、3D設計/試作などの進化により、スマートファクトリーも進み、工場に人が張り付く必要もなくなります。AI(人工知能)のおかげで、繰り返し型の作業を人が担うこともなくなるでしょう。

 新型コロナウイルス禍以降、物理的なオフィスを必要としない企業も増えています。今後はオフィスを全く持たない企業も増えるでしょう。このような変化により、企業における従来の人事評価基準(拘束時間、作業時間、業務処理量、勤務態度など)はなくなっていくと思います。

 コミュニケーションも対面ではない形式、つまりZoomのようなWebミーティング、Slackのようなチャットの利用頻度が高まり、これまでの「社内コミュニケーション術」の価値はなくなるでしょう。例えば、上司へのお世辞など上辺だけのコミュニケーション能力や、飲み会参加率などの付き合いの良さによる評価はなくなるはずです。

 今後も従来通りの仕事のやり方やコミュニケーション手法の踏襲を強いる企業に未来はないともいえます。数年前からこのような傾向はありましたが、コロナ禍でこのような変化が大きく加速したのです。

 しかもデジタルテクノロジーの進化により、革新的なビジネスアイデアがあれば、大企業に1人で戦うことも可能な時代になりました。「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)のような巨大企業が世界を席巻する時代に何を言っているのか」という批判もあるかと思いますが、これらの企業がたった1人、または数人でスタートしたことを忘れてはいけません。

 誰でもGAFAのような企業を作ることが可能な時代になっているのです。これまでは企業力が個人1人ひとりの力に圧勝していましたが、これからは1人の力が大企業に勝ることもあり得る時代になったということなのです。このような時代に「会社人」は必要ありません。自分の意思を持った個人が重要なのです。』


『最近、日本企業の雇用は「メンバーシップ型」から「ジョブ型」に移るべき、という論調が増えていますが、私の主張は異なります。私は米国居住経験がありますし、今も多くの欧米企業と付き合っていますので、ジョブ型の良い点も悪い点もわかっているつもりです。少なくとも、メンバーシップ型とジョブ型のどちらの選択肢が良いかという議論は不毛だと考えています。

 欧米企業でのジョブ型雇用はジョブディスクリプション(職務記述書)ありきです。ほとんどの日本企業では、仕事上の役割や組織の定義は非常に曖昧です。昔はきちんとした定義があったのかもしれませんが、時代の変化や人の入れ替わりにそれらの定義が対応できず、有名無実化しているのが一般的です。

 日本企業では、役割や組織分担の曖昧さを誰かが埋めてくれることを前提としています。そして、それを積極的に行う人が評価されるのです。例えば、国内製造業の「できる営業」は顧客の要請に基づき、自社の工場の生産計画にまで口を出し、場合によっては工場に乗り込んで無理難題を通します。

 日本ではこのような人ができる営業ですが、欧米企業でこんなことをすれば総スカンにあいます。他人のジョブ領域を侵害することになるからです。

 ある統計によると、今の日本の20〜30歳代の約8割は「お金のために働く」のだそうです。自分のやりがいややりたい仕事のために働く割合は非常に小さいようです。実際、私は仕事柄、多種多様な人とコンタクトしますが、やりがいをもって仕事をしている人は2割もいないと感じています。

 以前にこの連載において、「エンジニアは専門家(プロフェッショナル)になれ」と書きましたが、今の日本は「プロフェッショナル志向」の人は少ないのです。ジョブ型はプロフェッショナルな志向を持つ人が対象です。現時点でプロフェッショナルが少なく、今後も増える見込みのない日本でジョブ型雇用は無理があるのです。

関連記事:ユーザー企業への転職は不幸の始まり、技術者なら専門性を軸に人生設計せよ
 数十年の計画で日本全体の仕組みを変えられる人がいるのであれば、ジョブ型雇用にシフトすることも可能だと思いますが、少なくともそのような人は今の日本にはいないでしょう。このような理由により、私は中期的な観点ではジョブ型雇用への移行には否定的なのです。』
『質問1への回答で「今の日本はプロフェッショナル志向の人は少ない」と書きましたが、個人力が重要な時代ですから、やはりプロフェッショナルになってほしいと思います。プロフェッショナルを必要とする日本企業が増えてほしいとも思います。

 これはエンジニアや技術者に限った話ではありません。人事でも、総務でも、購買でも、営業でも、どのような職域でもよいから、自分の得意とする分野におけるプロフェッショナルになってほしいのです。単純に言えば、自分の得意とする分野を持ってほしいということです。

 あるテレビ番組で、その道の達人に「プロフェッショナル」の定義を尋ねていました。このようにプロフェッショナルの定義は定まっていません。私がこのような話をする際には、「プロフェッショナルとは急に話を振られて、資料なしで自分の得意な分野について1時間話すことができる人」と説明しています。話がうまい必要は全くなく、他人に説明できるかということです。

 「企業にとって必要な人材とは何か」を個人が意識する時代は過去のものにしましょう。自分中心で、自分がやりたいこと興味を持っていることを深く掘り下げていきましょう。個人の力が重要な時代になり、そのような人が活躍することで企業もメリットが生まれる国にならないと、日本企業は海外に勝てないと思います。

 そもそも「人材」という言葉自体が企業論理そのものです。「人材」という単語は「材料」という語感があるため、企業にとってかけがえのない財産という意味で「人財」という造語が生まれて久しいですが、どちらも企業側の視点で人を見ています。

 経営リソースには「人/モノ/金/情報」があるというのがビジネスの基本知識ですが、人はリソースではありません。ロボットが経営している企業ならいざ知らず、企業とは人がいなければ成り立たないものです。全ての企業は多種多様なプロフェッショナルが集まって成果を出すことができる組織を目指すべきなのです。

 国内メディアや企業のWebサイトには「××人材」という単語が頻繁に登場します。「デジタル人材」「DX人材」「アジャイル人材」といった具合です。そんな言葉に惑わされず、自分のビジネス人生を設計してほしいのです。

 「人生設計」というと大げさに聞こえますが、短期間の目標でよいので自分のやりたいことや得意なことを決めましょう。一度決めた設計が、自分の気持ちや家庭環境を含む外部環境などの変化で変わっても全く問題ありません。自分が決めた人生設計で自分をがんじがらめにしてはもったいないです。

 人材育成やキャリアプランに関しては、官公庁から出されているガイドラインやフレームワークを参考にする企業が多いですが、それらを作成している組織が素晴らしい成果を上げているとはとても思えません。無視しましょう。人は企業が定義したスキルマップを埋めるために生まれてきたのではないのです。』
『今さら私が書くまでもなく、日本のITが遅れていることは事実ですし、コロナ禍で官公庁系システムが旧態依然のものであることが明らかになってしまいました。企業や官公庁のITが急激に変わる可能性は小さく、今後も「IT後進国」の状態が続くでしょう。

 だからといって、個人のIT力を日本全体のIT力のレベルに合わせる必要はありません。ITを仕事としていないビジネスパーソンでも、個人力を発揮するためにITは必須の武器です。全てのビジネスパーソンはIT力を持つべきなのです。

 個人力を高めるためには、IT以外にも英語力が必要です。ITは国境をなくしました。世界の最新情報が誰でもすぐに手に入る時代になりました。しかし、それは英語圏に限った話です。日本語に限定すれば、情報量や情報伝達スピードは英語に大きく後れを取ります。ビジネスも日本枠で考えるのと世界枠で考えるのでは雲泥の差があります。グローバルな視野を持つには英語が必須なのです。よりプロフェッショナルになるには、世界のプロフェッショナルが発信する英語情報にアンテナを張りましょう。

 新しいことをやろうとすると、非プロフェッショナルの外部の人々から批判的な意見を聞かされることも多くなります。このような人たちの意見を気にする必要はありません。その意味では、自分のプロフェッショナル志向に参考にならない人の意見を聞き流す力も必要になります。インターネットは個人力を上げるのに必須のプラットフォームですが、素人がばっこするSNS上の情報には鈍感になりましょう。』

スパコン「富岳」、世界4冠へ貫いた信念とは?

スパコン「富岳」、世界4冠へ貫いた信念とは?理研・松岡氏が明かす開発の舞台裏
浅川 直輝 日経クロステック/日経コンピュータ

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00677/080600058/

『「スパコンは使われてなんぼ」。理化学研究所計算科学研究センターの松岡聡センター長は、かねてこう公言してきた。スーパーコンピューター「富岳」の開発でも信念を貫いた。性能ランキングの世界4冠を達成した決め手は何だったのか、最先端技術を開発する国家プロジェクトのあるべき姿とは。開発をけん引した松岡氏に直撃した。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長)

改めて「富岳」の世界4冠獲得、おめでとうございます。開発プロジェクトにおいて最も重視したことは何でしょう。

 アプリケーションファーストの設計思想を貫くことです。企業や研究機関が実際に使う様々な科学技術計算用アプリケーションを、最高の性能で動かす。これを一番の目標に掲げて徹底しました。

 我々は富岳の開発過程で、社会的・科学的に意義が大きく重点的に取り組むべき「重点課題」を9つ設けました。いくつかの課題については既に現状の100倍以上のアプリケーション実効性能を発揮しています。重点課題全体の平均でも数十倍ですね。

 何か1つの分野ではなく様々な分野のアプリケーションを最高の性能で動かすために、我々が知る限り最善のマシンを作りました。結果としての世界4冠だと考えています。

 開発に当たり、特定のベンチマークで1位を目指すつもりは全くありませんでした。およそ10年の開発期間を通じて、設計についてベンチマーク性能とのトレードオフを迫られた際にベンチマーク性能を選んで設計を変更したことは、今まで一度もありません。

演算パターンの多くをカバー
富岳が1位をとった4つの指標のうち、TOP500(LINPACK演算性能)以外の「HPCG」「Graph500」「HPL-AI」の意義を教えてください。

 HPCGは自動車や飛行機の空力設計、構造計算といった産業用アプリケーションの性能を測る代表的な指標です。

 Graph500は文字通り大規模なグラフ、すなわち多数の頂点と枝から成るデータ構造を解析する性能を評価する指標です。実社会の複雑な現象を表現する際に、グラフをよく使います。ソーシャルネットワークや各種のビッグデータなどです。

 最後のHPL-AIはCNN(たたみ込みニューラルネットワーク)をはじめとする深層学習(ディープラーニング)の性能評価の指標です。2019年にできたばかりのベンチマークですが、今後は従来の伝統的な数値計算をある程度置き換わるものになるでしょう。

 これらとTOP500を加えた4つのベンチマークで世の中の演算のパターンをかなりカバーできています。これらのベンチマークに関する富岳の演算性能が評価されたのは、私たちが掲げた開発方針に照らして大きな意義があると考えています。

(写真:菅野 勝男)
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汎用性を高めるため、京の「SPARC」に代えて「Arm」を採用しました。決断には曲折があったのでは。

 Armの採用を決定するまでにはすごい戦いがありました。理研側は絶対Armにしようと言っていました。

 京の失敗の1つは売れなかったことです。エコシステム(普及促進に向けた生態系)を作れず、ソフトウエアが出てこなかった。

 最終的にArmに決めてよかったと思っています。富士通にとっても、CPUの重要な部分を外部から吸収できたのはベネフィットがあったのではないでしょうか。

Armのエコシステムにはどう貢献すると考えますか。

 社会的インパクトが大きいと思います。今やスマートフォンのCPUとして誰でもArmを使っているわけですから。スパコンというお化けみたいなArm搭載機が登場したのは、Armの特徴を分かりやすく示した例と言えるでしょう。

 クラウドをはじめとする様々な分野のエコシステムにArmが採用される道が開けたと考えています。富岳に使ったバージョンか将来のバージョンが、クラウドのデータセンターで大規模に使われる可能性は十分にあるでしょう。動画配信は得意分野ですし、AI向けの用途も期待できます。

(写真:菅野 勝男)
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富岳の開発プロジェクトにおいて最も苦労したことは何でしょう。

 メンバーごとに違うと思いますが、私としては消費電力の目標を達成するのに最も苦労しました。むちゃくちゃアグレッシブな目標でしたから。

 消費電力に関しては、1ワット当たり十数ギガフロップスの性能を達成しないとマシンを作れないと分かりました。これは当時としては常識外の(省エネの)数字でした。当時の世界トップクラスのGPUマシンと比べても3倍の開きがあった。これをCPUでやらなくてはならなくなったのです。

 京は1ワット当たり1ギガフロップス以下でしたから、これは大変なことだと。当時の(GPUを採用した)TSUBAME2.5でも3ギガフロップスくらいでした。

半導体技術の見直しが奏功
目標を達成するためにどんな工夫を?

 ポイントは半導体の設計にあったと考えています。あれこれアセスメントした結果、このままでは目標に届かないという結論に達しました。そこで製造を委託した台湾の半導体大手TSMCからの詳細な設計データを基に議論を重ねました。

 その結果、半導体のアーキテクチャーを見直しました。当初の富岳用チップは(京の派生スパコン)FX100に近い設計でしたが、現在は大きく変えています。

半導体の設計レベルで見直したと。

 その通りです。富士通の貢献が大きかった。

省電力性能を競う「Green500」は4位でした。結果をどう評価しますか。

 富岳の順位は4位でしたが、消費電力効率の値そのものはトップと2割ほどしか違わないんですよ。パワポ(Microsoft PowerPoint)まで動く汎用性を確保したうえで、たかだか2割しか違わないのはすごいことです。

 Green500向けに富岳のハードやソフトをチューニングする時間がまったくありませんでした。だから今回のGreen500の結果は、本当の実力ではありません。

富岳の世界4冠は日本のコンピューター産業の発展や人材の育成にどう貢献すると考えますか。

 まず富士通が素晴らしいプロセッサーを作ったことをみなさんに分かっていただきたい。なぜ実現できたのかと言えば、国プロ(国家プロジェクト)として取り組んだからです。民間企業としてのビジネス目的だけだったら、絶対に無理だったでしょう。

 民間では担保できないリスクマネーを国が投入して、オールジャパンでつくり上げたからできたんです。ある意味、ムーンショット(月面着陸のような革新的な取り組み)と言えるのではないでしょうか。

 IT産業は民間が主導している印象があるかもしれませんが、民間だけで本当の最先端技術を開発するのはリスクが大きすぎます。ソフトウエアなどの既存資産がありますから。民間はむしろ、最先端技術の研究開発にコンサバティブになる面がある。一方である程度アグレッシブな技術や製品を開発しないと、世界では競争できません。

国家プロジェクトが必ずしも成功するわけではありません。むしろ失敗とされる事例が多いのでは。

 おっしゃる通りです。IT産業に国が口を出して失敗した例はたくさんあります。ただ、あまりに失敗の印象が強いため、国がそういうところに何か参加して、リスクマネーをばらまいても意味がないんじゃないかと捉える風潮があるような気がするんです。

 もちろん投資すべき分野の見極めは必要です。国プロの評判が悪くなったのは見極める力や人材が不足していたのも一因でしょう。

(写真:菅野 勝男)
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 富岳に関しては私は当事者ですが、やはりプロジェクトの過程や結果を客観的に分析すべきです。勘所の方程式をまとめ上げて、ITや他の分野に適用していく必要があります。こうした取り組みを重ねれば、日本の産業は世界の中でより競争力を高められるのではないでしょうか。』

いまいち定着しないテレワーク、「今も実施」は3割止まり

いまいち定着しないテレワーク、「今も実施」は3割止まり-「7割普及」目指す政府と開き
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00800/

『調査は東京商工リサーチが全国の約1万4300社を対象に実施し、7月に公表した。在宅勤務・テレワークを「現在、実施している」とする回答が31.0%だった一方、「一時実施したが、既に取りやめた」との回答も26.7%に達した。インターネット経由での情報管理に不安があったり、社員が慣れなかったりしたことが要因とされる。「一度も実施していない」は42.2%に上った。

東京都や大阪市など都市部では新規感染者の増加傾向が続き、7月下旬以降は全国で「感染経路不明」の割合が5割を超えた。コロナ対策を所管する西村康稔・経済再生担当相は経済界に「テレワーク70%以上の実施」を要請している。

在宅勤務やテレワークを導入するには、テレビ会議や業務管理に関するパッケージシステムの導入に加え、在宅を前提にした人事評価など「ソフト面」の改革が重要になる。だが、システム投資の余裕が乏しく、「昔気質」の社風が色濃い中小企業にとって、ハードルは高い。東商リサーチの調査では、「(在宅勤務を)実施している」との回答は、大企業が55.2%に達した一方、中小企業は26.1%にとどまった。

バナー写真:PIXTA』