三峡ダム、過去最高の水位に

三峡ダム、過去最高の水位に 洪水の重慶市は物流停止
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62807150Z10C20A8EA2000/

『【重慶=多部田俊輔】世界最大級の三峡ダムが2006年に完成してから最大規模の洪水が長江の上流で起きている。四川省などで続いた大雨で重慶市中心部の一部道路などが水没し、長江を使った物流は一時停止に追い込まれた。重慶市からみて下流に位置する三峡ダムの水位は過去最高を更新する見通しで、当局は警戒を強める。

「過去最大の洪水に迫りつつある」。重慶市で河川やダムなどを管理する水利局は19日、長江や支流の流域に住む住民らに警告を出した。すでに一部の観測地点で警戒水位を大幅に上回り、1981年の洪水に匹敵する規模となった。

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長江沿いなどの道路は冠水し、商業施設などは相次いで営業停止に追い込まれた。習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近で重慶市トップの陳敏爾氏は長江沿いの地域を視察し、「人民の生命と財産を第一に守るように」と指示した。

自動車やパネルなどの主要工場は河川から離れた高台にあるため、多くの操業に直接的な影響は出ていないもようだ。長江を使った船舶の物流が18日から止まっていることから、水運を利用する一部の企業の製品出荷などに悪影響が出る恐れも浮上する。

日本企業をみると、トラックやエンジンの製造拠点を重慶市に持ついすゞ自動車も現時点で洪水による影響は出ておらず、通常通り操業している。重慶市にエンジン、湖北省武漢市に四輪車製造拠点のあるホンダも「現時点で影響は確認されていない」という。

長江中流の湖北省にある三峡ダムへの警戒は高まる。中国国営中央テレビによると、三峡ダムへの入水量は過去最大の毎秒7万6千立方メートルに近く達する見通し。すでに10カ所の水門から過去最大となる毎秒4万8千立方メートルを放水するが、流入量に追いつかず、水位は過去最高の166メートルに達する見通しだ。

三峡ダムは06年5月に完成した。現在の水位は危険水位を示す制限水位の145メートルを大幅に超えており、最高水位である175メートルまで10メートル近くまで迫る。7月の大雨では湖北省や安徽省などで浸水などの水害の被害が拡大したばかりで、三峡ダムの放流規模の拡大で再び被害が出る可能性もある。

中国は新型コロナの影響で2~3月に多くの工場などが閉鎖に追い込まれた。中国の経済は4月から回復に向かってきたが、自動車や半導体、薄型パネルなどの主要産業が集中する長江沿いの地域で水害が広がれば、中国経済の回復を阻害しかねない。』