エヌビディア、AIが初のゲーム超え

エヌビディア、AIが初のゲーム超え アーム買収焦点
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『【シリコンバレー=佐藤浩実】ゲーム用の半導体メーカーだった米エヌビディアの「脱皮」が鮮明になってきた。19日に発表した2020年5~7月期決算は、人工知能(AI)計算用の半導体を中心とするデータセンター事業の売上高が初めてゲーム事業を上回った。時価総額は米半導体業界で首位。英アームの買収観測も出るなか、評価にたがわぬ成長を続けられるか。

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「『フルスタック』でコンピューティングの基盤を提供している」。エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は19日の決算会見でこう強調した。フルスタックはIT(情報技術)業界で、複数の技術分野に精通することを示す言葉だ。売上高が38億6600万ドル(約4100億円)と9四半期ぶりに過去最高となった5~7月期決算は、ゲームとデータセンターの2本柱の成長ぶりを映した。

新型コロナウイルス対策の「巣ごもり需要」によって、同四半期は祖業のゲーム事業に強い追い風が吹いていた。精細な映像をなめらかに映すパソコン向けのGPU(画像処理半導体)から、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の基幹部品まで手掛ける。新型コロナ下で人気を博した「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」を縁の下で支えた。

ゲーム事業以上に好調だったのがデータセンター事業だ。5~7月期のゲーム事業の売り上げが16億5400万ドルに対して、データセンター事業は17億5200万ドルと初めてゲームを上回った。過去5年間の成長率はゲームが2.5倍に対し、データセンターは24倍にのぼる。

理由は2つある。エヌビディアのデータセンター事業は、AIの計算スピードを上げるために使う半導体が中心だ。ゲームに求められる高速な画像処理と通じる技術が多い。他社に先駆けて、画像や音声認識などAIの用途拡大の波に乗った。5月に出した新製品は既に米グーグルや米マイクロソフトがクラウドサービスでの採用を決めている。

4月に買収手続きを終えたメラノックス・テクノロジーズ(イスラエル)が加わったことも業績を押し上げた。買収に69億ドルを投じたメラノックスは、データセンター内部のネットワークを構成する電子部品を手掛ける。早速エヌビディアのGPUと組み合わせて販売しており、相乗効果が出始めている。

今後焦点になるのは、ソフトバンクグループと交渉中とみられる英半導体設計アームの買収だ。エヌビディアはかねてアームと取引関係にあり、「ニンテンドースイッチ」向けのプロセッサーなど多くの半導体の開発にアームの設計技術を役立ててきた。

ファン氏は会見で買収交渉について明言しなかったものの「アームとはかなり親しく仕事をしている」と話し、省電力の半導体を作りやすい同社の設計技術を褒め上げた。アームとの関係を深められれば「CPU(中央演算処理装置)やスマートフォンの分野に入っていける」(米半導体アナリストのパトリック・ムーアヘッド氏)との見方もある。

エヌビディアの時価総額は19日終値ベースで2986億ドルと、年初来で約2倍になった。次世代品の量産技術の確立で苦戦する米インテルの時価総額を7月に抜いて以降、米半導体メーカーとして首位に立つ。「巣ごもり」後も成長し続けられるか。投資家の注目が集まる。』