混乱のベラルーシ プーチン氏が探る「次」

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『「辞めろ!」「辞めろ!」

国営工場の労働者から罵声を浴びせられる事態は、ベラルーシのルカシェンコ大統領にとって屈辱だった。隣国ロシアから見ていたプーチン大統領も衝撃を受けたはずだ。

ルカシェンコ氏は17日、首都ミンスク近郊のトラクター工場を訪問した。9日投票の大統領選で6選を決めたが、これが不正だったとして反対運動に悩まされている。国営工場なら賛同を得られると考えて設定されたのだろう。

ルカシェンコ氏は「あなた方は常に大統領を支持してきた」と訴えたが、その答えは「ノー」。1994年から26年にわたり君臨してきた「独裁者」はこの瞬間、地位を失う危険を感じたに違いない。

2014年のウクライナ騒乱時と違うのは国民が「親欧州」を掲げているわけではないことだ。あくまで独裁への不満から民主化を求めている。

同じく長期政権のプーチン大統領にとって、この事態は心地いいはずがない。もしルカシェンコ氏がこのまま退陣し、民主的な「革命」が実現すれば、ロシアにとっても政権を揺るがしかねない重大事となる。

まずロシア国内の反プーチン派が勢いを得かねない。プーチン氏は7月に憲法改正を実現し、いまの任期を終える24年以降の続投に道を開いたばかり。しかし経済低迷と長期政権に伴う閉塞感から変革を求める声は確実に強まっている。支持率は00年の大統領就任直後を除いて過去最低水準に沈んでいる。

24年以降も大統領にとどまるつもりかどうかは不明だが、権力者としてこの20年で築いた権威主義的で硬直的な「体制」を維持するつもりだろう。いまはそれに向けて改めて足場を固めようとしている時期だ。不安要因は排除したい。

第2にベラルーシの今後だ。兄弟国という位置づけであるうえ、ロシアからみて、その向こうには北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり反ロシアの代表格であるポーランドが控える。その陣営に兄弟国が取り込まれることは悪夢だ。

それを回避するために手段を選ばないことは同じく隣国のウクライナで起きたことをみれば明らかだ。ロシアはクリミア半島を併合した。

それだけに一部で懸念されているのが、ロシア軍による介入だ。流血を引き起こせば、国際社会全体を敵に回し、ロシア国民も支持しないだろう。現状ではあり得ない選択肢といえる。

プーチン氏がもくろむのは、影響力を及ぼすことができる政権樹立だ。

「もはやルカシェンコ氏は現状のまま大統領にとどまるのは難しい」――。ロシアでもそんな見方が増えている。

国営テレビ局は17日、ストを実施し、反旗を翻した。さらにネット上では治安機関の隊員が制服やバッジをゴミ箱に投げ捨てる動画の投稿が相次いでいる。同じく治安機関出身のプーチン氏はこの規律の緩みが行き着く先を視野に入れているはずだ。

プーチン大統領(右)はルカシェンコ大統領に見切りをつけたのか…(2017年11月、ミンスクで抱擁する両大統領)=AP

やり直し選挙を前提に信頼できる後任を探すのか、ルカシェンコ氏を何らかの形で権力の座に残したまま利用するのか――。いずれにせよ時間はあまりない。ロシア紙によると、情報活動も担当するロシア連邦保安局の幹部を乗せたとみられる飛行機が18日、ミンスクに到着した。

一方、ルカシェンコ氏は17日、憲法改正による権限移譲を表明した。詳細は不明だが、時間稼ぎと権力維持の両にらみでプーチン氏の手法を応用した可能性がある。

いまロシアが注意深く見守っているのは欧米各国の出方だ。民主化支援のため一枚岩で行動するのか、あるいはウクライナ騒乱時と同じように深入りを避けるのか。それを見極めている。

制裁に苦しむロシアは欧米との対立をこれ以上深めたくはない。しかしベラルーシを勢力圏から外すわけにはいかない。

そのなかでどう落としどころを探るか。欧米の本気度がロシアのベラルーシへの介入の仕方に影響を与えることになる。』

※ NATOは、ドンドン拡大してきた…。

※ クリミアまで、ムリクリ併合した(その代償は、「経済制裁」という形で、けっこう大きかった…)。それなのに、今またベラルーシを失うわけにはいかない…。

※「拡大するEU」の方も、見ておくか…。

※ ただし、「東バルカン」は、中国が「一帯一路」で取り込みを試みているんで、必ずしも「一枚岩」というわけでは無くなった…。

※ それでも、「安全保障」「軍事同盟」ということになれば、また別の話しだろう…。