Gゼロ痛感する世界 コロナにかすむ「国際協調」(2020/3/17 11:45)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56877180X10C20A3I00000/?n_cid=DSREA001

『新型コロナウイルスの感染拡大が、各国の足並みの乱れをあぶり出している。市場混乱に危機感を強める主要7カ国(G7)首脳会議は16日、緊急テレビ会議を開いて結束を演出したが、米株価の急落に歯止めはかからない。市場はリーダーなき世界の国際協調の限界を見透かしている。

首脳らは「金融政策と財政政策を含むあらゆる手段を総動員する」と表明。感染拡大の阻止へ連携することを確認した。3日にG7の財務相・中央銀行総裁が出した声明より踏み込んだが、ダウ工業株30種平均は2997ドル安と過去最大の下げを記録した。

感染拡大後の動きについて、国際政治学者のイアン・ブレマー氏は「国際協調が欠如している」とみる。同氏が「Gゼロ」という言葉を世に送り出したのが2011年。グローバルな課題の解決を主導する国や国際的な統治の仕組みがない世界に警鐘を鳴らした。

米トランプ政権の誕生で、その傾向は加速した。そしてコロナ騒動がリーダーなき世界の悲劇をあぶり出した。危機時は国際協調が叫ばれ、いざとなれば各国が連携し混乱を収める。そう信じることで人々は安心できるが、現実には各国の一致団結を突き崩す出来事が頻発している。

▼ドイツの報道では、米国がコロナのワクチン開発で先行する独企業を呼び寄せようと画策。ドイツ側が阻止に動く

▼中国外務省の副報道局長がツイッターで「米軍がウイルスを武漢市に持ち込んだ」と主張。米国が強く反発

トランプ米大統領もコロナ対策に苦慮している=ロイター

「国際協調」の神通力は失われたのか。諦めるのは早い、との声はある。16日には日銀や米連邦準備理事会(FRB)など6中銀が、ドル資金供給の拡充策を発表した。本格的な資金逼迫に先手を打つため、各中銀が先週末から密に議論したといい、国際連携のよいお手本になる。

もっとも金融政策ののりしろは小さい。マイナス金利の日銀と欧州中央銀行(ECB)に加え、FRBもゼロ金利政策に転じた。

そこで注目が集まるのは財政政策。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は16日、自身のブログで「2008~09年の危機時並みの協調的な財政出動が必要だ」と訴えた。主要20カ国の国内総生産(GDP)の2%、9千億ドルに相当する規模という。

だが、金融危機時に財政で経済を引っ張った中国に当時の余裕はない。財政支出には議会の説得というハードルもある。先進国の財政事情は一様に厳しく、各国がどこまで支出できるか不明だ。

G7首脳は財務相や保健相による週1回の協議を確認した。世界同時不況の足音がひたひたと迫るなか、各国は効果的な対策づくりへ協調を保てるだろうか。』