〔同時達成が難しい3つの価値…〕

 ※ トリレンマに触発されて、書き出してみた…。

 ※ 国家による強制力と、個人の人権の尊重の対立は、「近代国家」の永遠の課題だ…。

 ※ そこへ持って来て、「グローバリズム」というものが登場した…。

 ※ 一応は、「利(儲け)」のためには、多少の「不自由」は、ガマンしよう…、ということで、何とか折り合いつけていたわけだ…。
 「国際協調主義」なんてのも、その一変形だった…。

 ※ しかし、いざ「パンデミック」ということになってみると、そういう「グローバルな制度(WHOもその一つ)」「国際協調主義」なんてものは、あまり役には立たないということが露わになった…。

 ※ やはり、最後に頼りになるのは、「国民国家」「自国の政府」ということか…。

 ※ そういう流れになると、「国家の強制力」はもっと強化して、「ルールを守らないヤカラを、もっと統制しろよ!」ということになって、「個人の尊重」なんてのは、制限されていく方向になるよなあ…。

 ※ 国家体制の優劣の判断も、強力に「権威主義的に」「ルールを強制する」体制の方が、優れているという方向に、流れやすくなるよなあ…。

 ※ しかし、それで、本当にいいのか…。「個人の尊重」を置き去りにして、本当にいいのか…。

 ※ なんてことを、ツラツラ考えた…。

 ※ そういう「ツラツラ考えること」の一助として、書き出してみた…。

 ※ 裏写りしているのは、何かの印刷された紙の裏に書き付けたからだ…。

 ※ みんなも、自由に「思いついたこと」を書き出して、考えてみてくれ…。

世界に迫る無秩序の影 終戦75年、戦後民主主義の岐路

世界に迫る無秩序の影 終戦75年、戦後民主主義の岐路
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62672820U0A810C2SHA000/

『イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)による国交正常化のニュースが飛び出すなど国際情勢の動きはめまぐるしい。ただ、第2次世界大戦後に生まれた国際システムには「老い」が目立ち、世界には無秩序の影が忍び寄っている。きょう敗戦から75年を迎えた日本にとっても、進路を左右する難題だ。

戦後、米国が中心となり、2つの国際システムを築いた。平和を支える国際連合と、経済の安定を担う国際通貨基金(IMF)・世界銀行だ。

ところが米国の国力が下がるのに連動するように、両体制の影響力は衰えている。著しいのは国連だ。

2011年以降、内戦で死者が数十万人にふくらむシリア。この悲劇を前に国連の安全保障理事会は停戦をお膳立てするどころか、十分な人道支援もできていない。

■動けぬ国際機関
シリアのアサド政権を支える中ロが決議案に反対し、ことごとく拒否権を発動していることが一因だ。同年以降、中ロが振るった拒否権は合わせて約25回にのぼる。

中ロがここまで国連を骨抜きにするのは戦後、米国が主導してきた秩序を壊してしまおうと決意しているからだ。国連機関を嫌い、関与を弱めるトランプ大統領の言動は、中ロには渡りに船だ。

とりわけ気がかりなのは強大な経済力を使い、もう一つの国際システムであるIMF・世銀体制まで切り崩しにかかっている中国の行動だ。

中国は各国のインフラ建設などに融資している。重債務の途上国向け残高は4年間でほぼ倍増し、18年末までに1017億ドル(約10.7兆円)と世銀に匹敵するまでになった。世銀幹部は不安を深める。「中国の融資は基準が不透明だ。相手国との癒着や腐敗が広がる恐れがある」

中国は50年までに米国に代わる超大国になることを目標に掲げ、ハイテク分野でも米国を急追する。これが米国の警戒感に火をつけ、「新冷戦」を招いた。米国は世界の通信網や海底ケーブルから、大慌てで中国の排除に動く。

「アジアや中東、アフリカからも徹底して中国企業を締め出していく。一緒に各国に働きかけてほしい」

米政権は水面下で、日欧などに何度もこう迫っているという。米国や同盟国以外の主要インフラからも、中国を排除しようというわけだ。

米国の旗色は良いとはいえない。米カーネギー国際平和財団によると、ジンバブエやベネズエラ、イランといった強権国を含めた60カ国以上が中国と契約し、人工知能(AI)を使った中国流の都市監視システムを導入した。

米人権団体フリーダムハウスが3月に発表した分析では、自由が保障された国々の比率は19年、世界の42.6%にとどまり、09年から3.3ポイント下がった。この流れに拍車をかけようと、ロシアもサイバー攻撃などを強める。

米国は国内の政治分断に体力を奪われ、当分、秩序を立て直す余裕はない。11月の大統領選でバイデン氏が勝ったとしても、この状態は変わらないだろう。

■通商体制に変化
このままなら、通商体制も中国色に染まりかねない。日本政府当局者によると中国は最近、環太平洋経済連携協定(TPP)への関心を内々、打診してきている。米国より先に交渉に入り、主導権をにぎる意図にちがいない。

1940年代後半、世界は米ソの冷戦となり、東西陣営に引き裂かれた。米中の敵対が強まれば世界のデジタルや通信インフラが2つに割れていく恐れがある。

では、どうするか。当面、やるべきことは2つある。第1にいまの秩序を尊重し、国際ルールに従うよう、米国と友好国が中国により強く促していくことだ。日本、ドイツやフランスを含む欧州連合(EU)、英国、オーストラリアなどが対中政策を密に擦り合わせることが前提になる。

第2に米中が対立しても、せめて世界共通の課題では協力を保てる体制を整えることも必要だ。それには優先順位を明確にし、具体的な協力の目標を定めなければならない。いま最優先なのは当然、ワクチン開発などの新型コロナウイルス対策である。

1930年代、直前の大恐慌を受けて世界の経済はブロック化した。急速に国力を強めたドイツと日本、イタリアは枢軸を結成し、力ずくで英米主導の秩序を変えようと動く。それが第2次世界大戦への導火線となった。

むろん当時と単純比較はできないが、きな臭さを増す現在の潮流には、どこか30年代に重なる危うさもある。グローバル化は壁にぶつかり、東南アジアや東欧で民主主義の「模範生」といわれたフィリピンやハンガリーでも、強権化が進む。コロナ危機で各国の交流が大きく滞る今こそ、過去の教訓を大切にしたい。

【関連記事】
・世界新秩序への3つの潮流 イアン・ブレマー氏
・遠のく中国主導の秩序 コロナ後、真に懸念すべきは
・Gゼロ痛感する世界 コロナにかすむ「国際協調」

遠のく中国主導の秩序 コロナ後、真に懸念すべきは(2020/4/11 2:00)

遠のく中国主導の秩序 コロナ後、真に懸念すべきは(2020/4/11 2:00)
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57929580Q0A410C2TCR000/?n_cid=DSREA001

『燎原(りょうげん)の火のように、コロナ禍が世界に広がっている。この危機は国際秩序にも少なからぬ変化をもたらすだろう。

では、国際政治をどう変えるのか。この点について、米欧の研究機関は連日のように、オンラインで会議を開いている。特に活発なのが、米中の覇権争いに及ぼす影響をめぐる議論だ。そこで聞かれる分析は、主に3つある。

第1は米国の世界への指導力はさらに弱まり、中国の台頭が勢いづくというものだ。中国は表向きは感染を封じ込め、各国への医療支援に走る。一方、米欧はなお有効な手を打てず統治力の弱さをさらす。コロナ後の覇権争いで中国が優位に立つとの分析だ。

第2は逆に、中国の影響力が弱まるというものだ。感染を世界に広げてしまったことで、中国の信用は深く傷ついた。国内でも指導部への不満が渦巻く。中国による覇権は遠のかざるを得ない。

第3はこれら2つの折衷シナリオだ。コロナ禍により米中ともに深い傷を負う。いずれも内向きになり、世界は「Gゼロ」の秩序に突入するという読みだ。

このうち、現時点でいちばん可能性が高いのは、中国主導の秩序が遠のくという第2のシナリオだろう。米国の状況によっては第3の「Gゼロ」シナリオもあり得るが、少なくとも第1の予測は誤っているように思う。

最大の理由は、感染を国内で抑えきれず、世界に拡散させてしまった一義的な責任から、中国が免れられないことだ。昨年12月までに湖北省武漢で感染があったにもかかわらず、現場などの隠ぺいにより、指導部の対応が遅れた。

中国当局は初め、「人から人への感染の証拠はない」とも説明した。いま各国は眼前の患者を救うことに忙殺されているが、感染が収まれば、中国の「責任」を追及する声が広がる兆しがある。

すでに米国では中国政府を相手どり、賠償を求める動きが起きている。米ナショナル・レビュー誌も4月6日、コロナでこうむった被害の賠償を中国政府に請求すべきだという論評をかかげた。

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン協会は5日、中国政府の過失がもたらした損害額は、主要7カ国(G7)だけで3兆2千億ポンド(約432兆円)にのぼるという試算を出した。

これに対し、中国の共産党政権は落ち度はないどころか、感染を早く封じ込め、各国が対応する時間を稼いだ、世界は中国に感謝すべきだ――と宣伝している。

この説を肉付けするように、中国は各国への医療支援も広げる。3月末までに約120カ国にマスクや呼吸器などの物資を送ったという。支援を受け取ったセルビアやイタリアは、中国への「謝意」を表している。だからといって、「感染をもたらした中国への怒りが、各国から消えるわけではない」(欧州外交筋)。

コロナ禍による経済の損失も、超大国をめざす中国の世界戦略には深い痛手だ。中国は「一帯一路」構想のもと、アジアやアフリカに資金を注ぎ、インフラを整えてきた。自前の経済圏を築き、政治力にもつなげる狙いだ。

ところが米外交評議会によると、一帯一路の事業はいま、パキスタンやインドネシア、マレーシア、ミャンマーで行き詰まっている。建設をになう中国人の労働者の往来や、必要物資の輸出入が滞っているためだ。

もっとも、コロナ禍で深手を負うのは米国も同じだ。経済は4~6月期、戦後最悪の2桁のマイナス成長に沈むとも予想される。失業者の数もすさまじい。

2兆ドルの景気対策で、連邦政府の財政赤字も国内総生産(GDP)の1割を超えそうだ。国防予算が切り詰められ、米軍の海外関与が弱まる恐れがある。米海軍の試算によると、中ロなどに対抗し、海洋の優位を保つには355隻の艦船がいる。だが、確保できるのは、多くて305~310隻にとどまりかねないという。

それにもまして、1万人超の死者を出してしまったトランプ政権の失策が、米国の威光に与える傷は深い。国内の分断も大きく、当面、世界に強い指導力を振るうどころではないだろう。

問題は長い目で見て、米中のどちらが、より大きな打撃を受けるのかである。国際政治への影響力では、中国がこうむる損失の方が重いとみるべきだろう。

米国には日本や韓国、オーストラリア、欧州という民主主義の同盟国がいる。国力がいったん弱まっても、同盟国と協力し、世界への影響力を保つ道が残されている。しかし中国には友好国はあっても、頼れる同盟国はない。

危機からの復元力も、米国の方が優れている。コロナ後、米国では議会や研究機関が失敗を鋭く検証するにちがいない。その結果、トランプ大統領が責任を問われ、選挙で敗れたとしても、米国の国の根幹が崩れるわけではない。新しい大統領のもとで、コロナの教訓は生かされていくだろう。

中国にはこうした自浄作用は働きづらい。習近平(シー・ジンピン)国家主席による強権体制では、公開の場でおおっぴらに敗因を議論し、総括するのは難しいからだ。そんなことをすれば、指導部の失策を認めることになり、習氏の権威が揺らいでしまう。

コロナ後、世界が心配すべきなのは中国主導の秩序が生まれることではない。逆に、中国が不安定になりかねない展開である。』

世界新秩序への3つの潮流 イアン・ブレマー氏 米ユーラシア・グループ社長(2020/4/16付)

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO58093650V10C20A4TCT000/?n_cid=DSREA001

『2001年の米同時テロや08~09年の金融危機は世界を揺るがした。だが、新型コロナウイルスの感染拡大が世界に与える影響はその比ではない。

Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。50歳。ツイッター@ianbremmer

米同時テロや金融危機に見舞われた際は世界秩序が確立していた。米国は速やかに行動し、他国の支持を得て国際的な対応を調整した。だが、今回の新型コロナ問題では米政府は国内の対応で手いっぱいで、国際的なリーダーシップを発揮することなど考えてもいないようだ。

米国は実際、新型コロナ問題が発生するより前から、国際的なリーダーとしての役割から手を引きつつあった。その動きが新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)により加速したにすぎない。新型コロナは国際社会を主導する国が存在しない今の「Gゼロ」時代に入って最初の地政学的な危機だ。既に世界で起こっていた様々な潮流が今回の新型コロナ問題によって顕著になっている。

そのうち特に3つの潮流が、世界の新秩序を形成していく過程で大きな影響力を持つだろう。1つ目は脱グローバル化だ。世界はグローバル化を背景に20世紀の大半にわたって連携を深めてきたが、グローバル化を推進する政治の勢いはここ数年、失速している。それは英国の欧州連合(EU)からの離脱やトランプ米大統領の誕生を見ても明らかだ。

グローバル企業は(在庫を抑えて生産効率を高める)「ジャストインタイム」方式のサプライチェーン(供給網)を世界中に構築してきた。だが、新型コロナの感染拡大の影響で自社の収益より国益を考慮して生産拠点を国内に移すなどサプライチェーンの再構築を迫られている。従来は各国がグローバル化に対する信念を共有し、それが国際協調の原動力になっていた。今回のコロナ危機には各国はバラバラに対応している。脱グローバル化や協調性の欠如は世界の新秩序の特徴になるだろう。

2つ目の潮流はナショナリズムだ。グローバル化への批判が強まる中で、「自国第一」主義と共に台頭した。国の経済繁栄の状況は国内総生産(GDP)の数値に如実に表れるが、水面下では各国で所得格差が拡大した。多くの先進国では中産階級(が従事していた国内産業)の空洞化が進んだ。

今回のコロナ禍で主要な経済指標だけでなく、人々の暮らしも様変わりする。最も大きな打撃を受けるのは貧困層だ。21世紀の社会のセーフティーネット(安全網)の欠陥を体感する人も多いだろう。外の世界とつながる主な手段としてソーシャルメディアにさらに依存し、二極化した意見が飛び交いがちなネット上の情報に触れるようになる。その結果、ナショナリズムは衰退するどころか、さらに台頭する。

3つ目の潮流は真の政治超大国として頭角を現し始めた中国だ。中国が経済大国や技術大国になることは各種データから予想できた。新型コロナの不十分な初期対応で国内外にウイルスを拡散させた後、驚いたことに中国はチャンスとばかりに人道的支援を各国に展開し、「ソフトパワー」を高めた。新型コロナと果敢に戦う中国の姿勢は米国との対比でも評価されている。今のところ、米国にとっての中国は旧ソ連のような軍事的脅威ではない。だが、支援を必要としている国々には好印象を与えており、米国の正真正銘のライバルとして躍進しつつある。

地政学的な緊張は新型コロナ問題が起きる前から高まっていた。新型コロナの感染拡大により、世界が団結するどころか、世界秩序が機能不全に陥っていることが明らかになった。機能不全に陥っている度合いは今後数週間から数カ月ではっきりするだろう。だが、その間にも、世界の新秩序の土台は着々と築かれていく。

民主国家に試練

「パンドラの箱」が開くとは、このことを言うのか。新型コロナが拡散するとともに、ありとあらゆる災厄が放たれた感がある。世界の多くが「自国第一」「自分第一」の姿勢に傾き、国際的な協調や社会的な連帯への関心は後退した。混乱に乗じた犯罪、家庭内の暴力、アジア人の差別さえ横行する始末だ。

ブレマー氏が言う「3つの潮流」は、確かに顕著になるのかもしれない。だが安易な脱グローバル化や偏狭なナショナリズムに走ったり、独裁的な中国の専横を許したりするのが、好ましいと言えるだろうか。私たちは疫病との闘いに勝つだけでなく、自由で寛容な世界も守り抜く必要がある。

それは新型コロナが民主主義国家に与えた厳しい試練とも言える。2月にドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議では「西側の消失(Westlessness)」がテーマとなり、戦後の国際秩序を主導してきた米欧などの弱体化に懸念が表明された。疫病との闘いで民主主義国家の劣化が鮮明になれば、「西側の消失」が現実味を帯びかねない。

(編集委員 小竹洋之)』

Gゼロ痛感する世界 コロナにかすむ「国際協調」(2020/3/17 11:45)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56877180X10C20A3I00000/?n_cid=DSREA001

『新型コロナウイルスの感染拡大が、各国の足並みの乱れをあぶり出している。市場混乱に危機感を強める主要7カ国(G7)首脳会議は16日、緊急テレビ会議を開いて結束を演出したが、米株価の急落に歯止めはかからない。市場はリーダーなき世界の国際協調の限界を見透かしている。

首脳らは「金融政策と財政政策を含むあらゆる手段を総動員する」と表明。感染拡大の阻止へ連携することを確認した。3日にG7の財務相・中央銀行総裁が出した声明より踏み込んだが、ダウ工業株30種平均は2997ドル安と過去最大の下げを記録した。

感染拡大後の動きについて、国際政治学者のイアン・ブレマー氏は「国際協調が欠如している」とみる。同氏が「Gゼロ」という言葉を世に送り出したのが2011年。グローバルな課題の解決を主導する国や国際的な統治の仕組みがない世界に警鐘を鳴らした。

米トランプ政権の誕生で、その傾向は加速した。そしてコロナ騒動がリーダーなき世界の悲劇をあぶり出した。危機時は国際協調が叫ばれ、いざとなれば各国が連携し混乱を収める。そう信じることで人々は安心できるが、現実には各国の一致団結を突き崩す出来事が頻発している。

▼ドイツの報道では、米国がコロナのワクチン開発で先行する独企業を呼び寄せようと画策。ドイツ側が阻止に動く

▼中国外務省の副報道局長がツイッターで「米軍がウイルスを武漢市に持ち込んだ」と主張。米国が強く反発

トランプ米大統領もコロナ対策に苦慮している=ロイター

「国際協調」の神通力は失われたのか。諦めるのは早い、との声はある。16日には日銀や米連邦準備理事会(FRB)など6中銀が、ドル資金供給の拡充策を発表した。本格的な資金逼迫に先手を打つため、各中銀が先週末から密に議論したといい、国際連携のよいお手本になる。

もっとも金融政策ののりしろは小さい。マイナス金利の日銀と欧州中央銀行(ECB)に加え、FRBもゼロ金利政策に転じた。

そこで注目が集まるのは財政政策。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は16日、自身のブログで「2008~09年の危機時並みの協調的な財政出動が必要だ」と訴えた。主要20カ国の国内総生産(GDP)の2%、9千億ドルに相当する規模という。

だが、金融危機時に財政で経済を引っ張った中国に当時の余裕はない。財政支出には議会の説得というハードルもある。先進国の財政事情は一様に厳しく、各国がどこまで支出できるか不明だ。

G7首脳は財務相や保健相による週1回の協議を確認した。世界同時不況の足音がひたひたと迫るなか、各国は効果的な対策づくりへ協調を保てるだろうか。』

新型コロナ「正しく恐れて」 わかってきた特徴と対策

新型コロナ「正しく恐れて」 わかってきた特徴と対策
チャートで見る感染再拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO62684590V10C20A8000000/

『新型コロナウイルス感染症の患者が確認されてから8カ月が過ぎた。感染者は再び拡大に転じており、これまでのデータや研究から新型コロナの特徴の一端が分かってきた。確かな知識を持ち対策する「正しく恐れる」心構えが大切だ。

日本の感染再拡大のペースは、世界的には依然として緩やかだ。直近1週間(8月4~10日)の人口10万人あたりの新規感染者数は約7人にとどまる。100人以上が感染するブラジルや米国のおよそ20分の1の水準だ。

「第1波」となった今春は、医療崩壊につながりかねない重症患者が急増した。5月初旬には患者全体に占める重症患者の比率が5%台に達した。一方、感染再拡大が始まった7月以降の1カ月間の重症患者比率は1%台にとどまる。

重症化しにくい若者の感染者が増えたことが理由の一つだ。第1波では3割強だった20~30代の割合は6月下旬以降、6割近くまで上昇した。これに対して60代以上の割合は3割強から1割まで減っている。

しかし、8月に入ってから重症患者の数がじわりと増え始めている。東京都の重症患者は20人前後であまり増えていないが、全国ベースでは80人から200人近くまで約2倍に増えた。地方都市での増加が目立つ。さらに、若者中心の感染が高齢者を巻き込んだものになると、重症患者や死者が増える恐れが出てくる。

医療・療養体制も課題だ。全国でならすと病院や病床、療養施設には余裕があるようにみえる。ただ、沖縄県の病床使用率が80%を超えるなど、地方都市のなかには医療体制が逼迫してきたところも出てきた。コロナの問題は地方都市の問題にもなりつつある。

このタイミングで、感染拡大に歯止めをかけられるかが最大の焦点となる。政府が緊急事態宣言を再発令する可能性は低く、人の移動も春先よりもはるかに増えている。こうした環境では、検査を通じて感染を早期に突き止め、自宅待機や入院によって日常生活から離していくことが有効策になる。

もっとも、日本の検査体制は世界の主要国と比べて見劣りする。人口千人当たり1日の検査数では米国が2件を超えるのに対し、日本は0.2件にとどまる。PCR検査の結果通知には時間がかかるうえ、民間検査の活用も進んでいない。医師らは唾液検査など新しい検査手法には慎重だ。検査体制の拡充を急ぐ必要がある。

列車内、換気で効果 症状なくても飛沫対策

新型コロナウイルス感染症の勢いが続いている。ウイルスは感染が広がりやすく密閉された空間では感染リスクは高いが、専門家は換気などの対策を徹底すれば感染は防げるとしている。

日本では感染者が5万人を超え、感染が広がる仕組みが分かってきた。厚生労働省クラスター(感染者集団)対策班が米疾病対策センター(CDC)の科学誌に公表した論文は、1~4月に国内で発生した61のクラスターを分析した。その結果、病院や介護施設を除いて感染を広げた事例はレストランやバー、職場、コンサートや合唱など音楽関連イベント、スポーツジムが多かった。いずれも3密(密接・密集・密閉)の環境で感染が広がった。

一方、密集や密接に近い空間でもクラスター発生の報告がないのが電車だ。国土交通省によると、時速約70キロメートルで走る電車において窓を10センチ程度開ければ車内の空気は5~6分で入れ替わるという。また飛行機では3分程度で客室内の空気が入れ替わるよう換気している。3密を避けるのが原則だが、窓を開けたり外気を入れ替えるようエアコンを動かしたりすれば、密閉が解消できて集団感染は防げる。経路不明の感染者が多いものの、電車や飛行機での集団感染事例は聞かない。換気すれば集団感染は起こりにくいといえそうだ。

感染者がマスクをすれば、飛沫が広がるのをある程度防げる。世界保健機関(WHO)は人同士が1メートル離れるのも難しい場所では、マスクの着用が感染を広げにくくする効果があるとの見解を示している。オフィスでもマスクをしながら一定の距離をとれば感染のリスクは避けられる。会議室などを分けて開くことも有効だ。

外出時でも厚生労働省などはマスクの着用を促している。ただマスクをつけると熱中症の危険も高まると指摘されている。厚労省は、屋外で周りの人から2メートル以上離れている場合はマスクを外すよう呼びかけている。

病院や高齢者施設では、感染すると重症化しやすい高齢者が多い。施設などでは接触を避けられないためスタッフは感染防止策を徹底している。ウイルスを持ち込むリスクを減らすため、多くの施設で家族の面会制限が続く。タブレットやパソコンなどを用いたオンライン面会で、近況を報告しあうのもよいだろう。

当初、集団感染の事例があったスポーツジムでは感染が発生するケースはみられなくなった。トレーニングマシンなどの配置を工夫して人と人の距離をとって密度を下げたり、消毒の徹底、マスク着用や換気が難しい控室などでの会話を控えるよう呼びかけしている。

積極的な検査を始める例も出てきた。東京都は11日、小笠原諸島へ渡るフェリー乗船前に、乗船客全員に唾液によるPCR検査の試行を開始した。小笠原諸島は6日に1便のフェリーが唯一の交通手段で、医療機関は父島と母島の2カ所の診療所のみ。集団感染が発生すれば影響が甚大なため、水際対策の強化を目指す。検査で陽性が判明した場合は船内や島内での感染拡大防止を図る。こうした取り組みが広がれば、観光業を維持しながら感染リスクを減らせる。

最近注目されるのが無症状の患者から感染が広がることだ。WHOは感染から発症まで5日ほどかかる場合が多く発症の1~3日前から他人に感染させる可能性があると指摘する。中国・広州医科大学などのチームは感染者の4割ほどは無症状の感染者からうつっている可能性があると推定した。無症状の人からの感染を防ぐには、感染が疑われる場合に迅速に検査して日常生活から離していくことが必要だ。

また新型コロナが濃厚接触しなくても感染する可能性も指摘される。WHOは換気がよくない屋内などで微細な飛沫(エアロゾル)にくっついたウイルスが浮遊し感染を広げる恐れがあるとしている。「マイクロ飛沫感染」と呼ばれ、米国大学などの調査研究からウイルスを含んだ微細飛沫が密閉した空間では数十メートル飛ぶ可能性がある。換気が重要で屋外や感染対策済みの店などでは感染は起きにくいと考えられる。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は「対策を徹底すれば感染リスクは減らせる」と強調している。症状がある人は外出を控えて感染拡大を防止するのは重要だが、症状のない人も3密を避けて行動したうえ、マスクを着用して換気した環境で生活すれば感染を減らすことはできる。

高齢・持病・肥満、リスク高く

新型コロナウイルスが流行した各国の報告から患者が重症化に至るリスクが明らかになってきた。糖尿病や肥満などになっている人や高齢者が重症化しやすく、外出をなるべく自粛したりマスクなどの対策を徹底したりする心がけが大切だ。

初めに感染拡大が明らかになった中国は、世界保健機関(WHO)と大規模な調査を実施して、2月下旬に報告書をまとめた。高齢者や持病をもつ人の重症化リスクが高いことが分かった。

約5万6千人の感染者のうち、30~69歳が77.8%と大多数を占めた。感染から平均5~6日で発症するとみられ、重症や重篤な人が全体の約2割を占めた。

年代別にみると致死率は80歳以上で最も高く、21.9%にのぼった。持病のない人では致死率が1.4%だったのに対して、心血管疾患のある人では13.2%、糖尿病で9.2%、高血圧で8.4%、慢性の呼吸器疾患で8%、がんで7.6%だった。

英国の7月の発表でも同様の傾向がみられた。同国の大人約1700万人分の健康に関するデータを分析したところ、約1万900人がコロナに関連して亡くなっていた。80歳以上の場合、死亡するリスクは50~59歳の20倍以上にのぼったという。糖尿病や重度のぜんそくなどのほか、肥満も死亡リスクに関係するとみられた。男性や黒人・南アジア系、貧しさも危険因子にあがった。

国内でも8月、国立国際医療研究センターが全国の患者の臨床情報を集めた研究の結果を発表。各国の報告とおおむね同じ傾向で、高齢、糖尿病や慢性肺疾患などの持病、男性、喫煙などが危険因子に挙げられた。

重症者数や死者数の地域差なども注目を集めている。日本や韓国などアジア地域の一部に比べ、英米などでは死亡者数が多い。肥満率の差や遺伝的要因、マスクの着用習慣が関係するといった様々な見立てがあるが、結論は出ていない。

重症化する患者では、体内のウイルスが減ったりなくなったりした後も体中で免疫が過剰に働き、全身の血管や臓器がダメージを受けるとする説が有力だ。例えば脂肪組織では炎症が起きやすく、肥満の重症化リスクの高さにつながっている可能性がある。過剰な免疫反応は新型コロナ患者の血栓症の原因にもなりうる。

免疫暴走をとめることが治療に有効とみられる報告も出てきた。英国の臨床試験では炎症を抑える「デキサメタゾン」の投与が人工呼吸器の必要な患者などの致死率を下げるとする結果が出た。厚生労働省のコロナ診療の手引にも記載され、抗ウイルス薬の「レムデシビル」に続き国内2例目の新型コロナ治療薬となった。』

ポストコロナの日本の安全保障戦略

https://www.nippon.com/ja/in-depth/a06903/#

『進まぬ感染症対策での国際協力
世界にまん延する新型コロナウイルスは、人々の生活や国家の存在にとって大きな脅威となっているという意味で、安全保障上の問題でもある。2013年に策定された日本初の国家安全保障戦略を振り返ってみれば、人間の安全保障上の重要課題の一つとして感染症への言及があることに改めて気づく。

感染症対策そのものを安全保障問題として論ずることは安全保障概念の拡散を招くだけで意味がないが、今日のパンデミックの事態が日本の安全保障戦略にいかなる変更を迫るかということは十分に論じられるべき課題である。

感染症は、自然災害などと並んで非伝統的安全保障課題の中でも国際協力が比較的容易な分野と考えられてきたが、今日の世界をみれば、協力が順調に進むとは考えにくい状況も生じている。また、国際社会の関心が本件に集中している間隙を縫うかの如き別の不穏な動きも安全保障上の問題を提起している。つまり、日本は、これまで以上に複雑な状況の中で自らの安全保障を考えていかなければならない状況にある。

変化のスピード増す国際秩序
今、国際秩序は大きく変化しているが、それは変化の方向が激変したというより、これまでの変化が速度を増幅していると見ることができる。米中対立の熾烈化、国家の役割の再認識、グローバル化の更なる進展という3つの要素が同時に進行している。

米中対立については、中国は感染の発生を隠蔽(いんぺい)しウイルス封じ込めに失敗し、世界の信頼を失うとともに政権は国内でも厳しい立場に立たされている。2003年のSARSの教訓を学んでいない。米国も感染の拡大阻止に失敗し、この問題は大統領選挙にも大きく影響するだろう。米国世論は反中国の色彩を強めており、大統領選挙は、対中強硬姿勢を競い合う形になりつつある。

また、米中に代表される異なる政治体制間の競争がさらに進む。世界の各国が、中国型のデジタルな監視社会を選ぶか、それとも欧米型の自由で開かれたデジタル社会を志向するかという岐路に立たされている。多数を占める開発途上国がいずれの体制を選択するかを巡っても、米中の競争は激化する。

欧米や日本、オーストラリアなどで対中認識は悪化しており、「経済は中国に、安全保障は米国に」という態度をとることが難しくなりつつある。ただし、中国という巨大な市場と経済力を無視できる国は少ない。中国が米国よりも早く経済的に回復すれば、頼りになるのはやはり中国だという雰囲気が生まれる可能性もあり、予断はできない。

また、ウイルスは国境を越えてまん延するが、これに対応するのは基本的に個々の主権国家であることが再認識されることとなった。国境管理が厳格化され、水際対策、さらには財政出動などにより、主権国家の存在感が増大している。地球規模の課題について国際機関の役割は決して無視できないが、国際機関は国家の利害のぶつかり合う場であるから、その力には本来限界がある。世界保健機関(WHO)の失態によりこのことが改めて露呈し、これもまた、主権国家の役割への回帰をもたらしている。

政治の分断と経済のグローバル化が併存
他方、国家の役割の再認識とは裏腹に、経済を中心に国際社会のグローバル化はさらに進むと見込まれる。今は人の往来やモノの移動が大きく制約を受けているが、技術の進歩が逆戻りすることはないから、世界のつながりがさらに緊密化する方向には変化はないと考えられる。情報の移動についてみれば、サイバー空間の利用の急速な拡大によりむしろ促進され、サイバー空間の国際公共財としての重要性は更に増大している。

中国に大きく依存するサプライチェーンの見直しは進むだろうが、生産コストの問題もあり、医療・保健関連など一部を除けば国内回帰の動きは製造業全体にまで及ぶとは考えられていない。むしろ分業化・多様化が模索されている。中国による知的財産権侵害などの問題があるから、中国との社会的距離は広がる可能性は高いが、中国を国際社会から切り離すことは不可能である。

政治の世界の分断と、経済を中心としたつながりの強化が同時進行するという複雑な状況が継続していくということになる。

むしろ強まる軍事的緊張
他方、世界がパンデミックで大きく揺れている間にも、伝統的な脅威は減ずることがない。日本周辺では、北朝鮮はミサイル発射や「軍事行動計画」などで国際社会に対する挑発を続けている。中国公船は今年に入ってからほぼ毎日、尖閣諸島周辺の接続水域に入るとともに、月2回程度の割合で領海侵入を繰り返している。南シナ海では、中国公船によるベトナム漁船に対する高圧的な行動が報じられている。また、中国は、南シナ海の人工島に新たな行政区を設けると発表し、支配の既成事実化の動きを強めている。

ところが、国際社会が今関心を寄せる「安全保障」とは、コロナにまつわる保健、経済、食糧の安全保障であり、国家間の伝統的な課題への関心は薄い。7月12日は、4年前に南シナ海問題についてハーグの常設仲裁裁判所が歴史的な判決を下した日であるが、翌13日の米国務長官の声明が米中対立の文脈で注目された程度である。

しかも、感染者の発生により、米空母などの運用にも制約が生じているとの報道がある。米海軍主催の環太平洋合同演習(RIMPAC)も、今年は規模を縮小して行われる。こうしたことが続けば、南シナ海などにおける中国の支配の既成事実化は止めようがない。それだけでなく、米軍の練度や即応度、同盟国・友好国との連携にも悪影響が及びかねない。つまり、地域の安全保障のために必要な力が弱くなる。

「インド太平洋地域」の安定こそ重要
インド太平洋地域には米・中・日という世界の3つの経済大国に加え、経済発展著しい地域大国のインドも位置し、コロナ後も引き続き世界経済をけん引する主要な役割を演ずることとなるだろう。海洋国家・日本の今後の生存は、この地域の平和と安定にかかっている。

今後の日本の新たな安全保障戦略を考えるに当たっては、先に述べたような世界の状況を踏まえれば、次の諸点がとりわけ重要になる。

日米同盟の再定義
日米同盟の抑止効果から大きな利益を得てきている日本としては、米中対立と体制間競争の時代にあって、中国は選択肢とはなり得ない。米国の力の低下は、米国を見限る理由にならない。それは相対的なものに過ぎないからである。日米同盟を、日本の安全保障の基軸として位置付けるという戦略が改めて確認されるべきである。秩序の激変を強調するあまりり日米同盟の意義を軽んじれば、後に必ず後悔することになる。

しかし、米中対立の熾烈化とポストコロナの新たな時代における日米同盟の意義役割は、未だ定義されていない。日米同盟を再定義した上で、今後いかなる安全保障協力を行っていくかを具体的に示す必要がある。米国の次期大統領が誰になるにせよ、日本が同盟強化のイニシアティブを発揮して、米国をしっかりとエンゲイジしていくことが重要である。

多様な脅威への同時対処
パンデミックはグローバル化の負の側面の一つだが、サイバー空間の脆弱性もまた新たな時代のグローバル化の負の側面として、ますます深刻な課題である。こうした非伝統的課題が今まで以上に、国家や国民の安全に対する脅威として顕在化している。と同時に、伝統的な地政学的脅威がこの機に乗じて高まっている。

国際環境が安全保障課題の根本的な再整理を迫るような質的な変化を起こしていると考えてしまうと、非伝統的課題を過度に重視して方向性を見誤る危険が出てくる。インド太平洋地域は、ボーダーレスの「地球社会」というより主権国家間の「国際社会」としての側面が根強く、国家間の伝統的な対立が主要な安全保障課題であり続ける。感染症対策などを安全保障の重要課題と位置付けても伝統的課題がなくなるわけではない。人的資源や財政資源に限度があり、そのような制約が今後ますます厳しくなる中で、「安全保障」の優先順位の明確化と手段の効率化がより重要になる。

国際的な安全保障協力における新分野の開拓
安全保障・防衛協力としての医療・衛生協力や生物・化学兵器対処能力の向上は、パンデミックに共同で対応していく上で有益である。人の往来が制限され諸外国との安全保障協力が停滞する中で、パンデミック対策は安全保障協力の機会の増加につながっている。防衛省は4月半ば以降、いくつもの国との間で二国間の国防相電話会談・テレビ会談を行い、防衛当局として感染症対策を行う中で得られた知見の共有などについて合意している。こうした取り組みが実質的な成果を生むとともに、他分野における協力の進展につながるように積極的に実施していくことが重要である。

バナー写真:陸上自衛隊日出生台演習場(大分県)で行われた米海兵隊の公開訓練で、部隊後方の守備を担う隊員=2020年2月14日(大分合同新聞社/共同通信イメージズ)』

米、インド洋にB-2爆撃機配備、南シナ海まで5時間「中国への明確なメッセージ」

https://www.excite.co.jp/news/article/EpochTimes_60872/

『米Washington Examinerは8月11日の記事で、マーク・エスパー米国防長官は同日、ディエゴガルシア島にB-2爆撃機を3機配備し、それは中国当局への明確なメッセージだと述べた。

ディエゴガルシア島(Diego Garcia)はインドの南1000マイル(1609km)のインド洋に位置し、元はイギリスの軍事基地だった。この基地は主に米軍の後方支援や攻撃の拠点として機能している。2003年、B-2爆撃機専用のシェルターとして改修された。

ニュースサイト、Washington Examinerに掲載された政治ジャーナリスト、トム・ローガン(Tom Rogan)氏の分析によると、「米軍は同島に駐留することで、B-2爆撃機の南シナ海への飛行時間が短縮されるというメリットがある」という。

仮にB-2がミズーリ州のホワイトマン空軍基地から出発した場合、最速でも南シナ海に到達するには12時間かかる。しかし、同島からだと飛行時間はわずか5時間である。

トランプ政権が南シナ海をめぐる中国の所有権主張を拒否していることを受けて、両国の緊張が高まっている。同氏は空軍の公式発表とB-2の作戦上の性格から、今回の配備は中国を対象としていることは明らかだと分析した。

さらに、「中国の地上指揮統制センターを攻撃する用意ができていることを中国に示した。戦略レベルでは『核の三本柱』(地上、潜水艦、爆撃機)を展開する準備も整っているとのメッセージを送った」という。

同氏は、「今回の配備は北京への警告であり、戦争が差し迫っていることを示すものではない」と分析した。

B-2の戦時任務は、幾重にも重なる防空網と敵の要塞の奥深くに侵入するように設計されており、人工的に作られた南シナ海の島々にある中国の指揮統制網を破壊することが可能だ。一方、米海軍の空母打撃群に対する中国の弾道ミサイルの脅威に直面して、「B-2はさらに重要性を増している」と同氏は指摘する。

また、中国はこれらのB-2を中国本土の軍事司令部に対する脅威と見なしている。香港のすぐ隣の広州市に中国軍南部戦区司令部がある。中国が本土への攻撃を非常に敏感にとらえ、米国本土に対する相互行動を正当化するものと考え、「ここでの国防総省のメッセージは明らかに中国政府を揺さぶることを意図している」と同氏はみている。

今年の夏、米軍は記録的な数の軍用機を送り込み、南シナ海とその周辺地域で複数回の軍事演習を行った。

中国共産党のシンクタンク、「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」の記録によると、「米軍は1日に3~5機の偵察機を南シナ海に派遣し、7月の最初の3週間だけでも50回以上だ」という。

一方、香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は11日、中国は南シナ海で米軍と対立した際、「最初の一発を発射しない」と軍に命じたと報道した。

(大紀元日本ウェブ編集部)

中国が狙う台湾侵攻の手順と方法

https://news.biglobe.ne.jp/economy/0920/jbp_190920_8920476983.html

 ※ そういうタイトルになっているが、「台湾側」がどう侵攻してくる可能性が高いかを分析して、それを前提にどういう「防衛戦略」を立案しているのか…、という話しだ…。台湾の「防衛白書」の分析が、話しの中心になっている…。

※ 中国のシーレーンにおける「チョークポイント」の分析だ…。色をつけた部分が、「チョークポイント」だ…。ここを、「機雷封鎖」あるいは、「大艦船部隊」で封鎖されると、必要物資が補給できずに、国家として「立ちゆか」なくなる…。ただ、全部を「完全に」封鎖するとなると、相当な「大事業」になるんで、実行する方も大変だ…。「核戦争」のリスクも、考慮せざるを得ないしな…。

※ こうしてみると、相当に脆弱な体質なんだな…。

※ 各政権担当者の時代と、軍備の整備  or 拡張の状況の分析…。

※ 保有するミサイルの射程距離の分析…。

※ そういう「敵軍」が侵攻してきた場合の、撃退の戦略…。

※ と言っても、敵艦船が海上に乗りだしたら、直ちにミサイル攻撃する…。島嶼群には、機雷を敷設する…。沿岸部には、火砲を並べて、上陸を阻止する…。空には、航空機を飛ばして、制空権を握る…。上陸を許したら、徐々に退いて、内陸部の「要塞」・伏兵で叩く…、というような常識的な策だ…。

『現在、アジア太平洋地域では安全保障上の大きな変化が起きている。

 米中貿易戦争の解決は短期間では難しく、北朝鮮の核ミサイルの開発は継続し、韓国の文在寅政権は反日・反米・従北朝鮮路線を明確にし、在韓米軍の撤退の可能性が議論されている。

 さらに中露の接近も注目すべき事項だ。そして、香港における民衆のデモに対する当局の強圧的な対応から連想される台湾の統一問題も日本にとって重要だ。

 最近、台湾のシンクタンクや公的機関から招待され、台湾で開催される国際会議に参加することが多くなってきた。

 会議に参加するたびに、日本の防衛と台湾の防衛が密接不可分なものであり、まさに中国の脅威への対処という観点で「日本と台湾は運命共同体である」と認識するようになってきた。

 特に、米中の覇権争いの中で、米国防省が「インド太平洋戦略報告書」を公表し、台湾を日本、オーストラリア、インドなどと同列に位置づけたことは大きく、台湾を勇気づけている。

 このような状況において、中華民国の「2019国防報告書」が9月11日に発表された。

 これは蔡英文政権下で2回目の国防報告書で前回は2017年12月に発表されている。本稿では、この「2019国防報告書」を中心にしながらも、筆者の台湾での国際会議の経験も加味して、台湾の防衛問題を日本の安全保障の観点で記述してみたい。

 そして、強大化する中国に対処し、民主主義などの基本的な価値観を擁護するために米国などの民主主義諸国による対中国包囲網の構築を提案する。

 この対中包囲網は、対中封じ込めが目的ではない。中国の国力は封じ込めが可能なレベルをはるかに超えていて、封じ込めは現実的ではない。

 しかし、民主主義諸国の包囲網を構築することにより、インド太平洋地域でアグレッシブな行動を繰り返す中国を抑止すべきだと思う。

「2019国防報告書」の特徴
 この国防報告書を読み、以下の4点の特徴があることに気づいた。

 第1の特徴は、国防政策や軍事戦略の基本的事項(5つの戦略目標、2つの軍事戦略、3つの防衛構想)を全く変えていないことだ。

 例えば、5つの戦略目標は次の通り。

①防衛国家安全(国家の安全を防衛)
②建制専業国軍(プロフェッショナルな国軍の建設)

③落実国防自主(自主的な国防の実現)
④維護人民福祉(国民福祉の防護)

⑤促進区域穏定(地域の安定の促進)

 2つの軍事戦略は次の通り。

①防衛固守・確保国土安全(国土の安全保障を確実にするための断固とした防衛)

②重層嚇阻・発揮連合戦力(重層的な抑止・統合戦力の発揮)

 図1に示している以下3つの防衛構想も変えていない。

①戦力防護(作戦の終始を通じて敵の攻撃から戦力を防護すること)
②濱海決勝(沿岸決勝:台湾近海での決戦による敵艦艇の撃破を図ること)
③灘岸殲敵(水際殲滅:海岸で敵上陸部隊を殲滅すること)

 そして、以上3つの防衛構想に基づき、陸海空軍の統合戦力を発揮するなどして、「敵の台湾奪取という任務を失敗させる」という作戦目標を達成すると記述している。

図1「全般的な防衛構想」

 以上のように基本的な事項を変えなかったことに驚きはない。

 なぜなら、蔡英文政権が発表した最初の「2017国防報告書」では、前政権である馬英九政権の防衛構想「水際決勝(敵が上陸する水際でこれを撃破すること)」を否定し、より前方で敵を撃破しようとする「戦力防護、沿岸決勝、水際殲滅」に変更したからだ。

 それから2年しか経過しておらず、国防に関する基本的事項を変える必要がないからだ。

 第2の特徴は、米国の「国家安全保障戦略(NSS)」や「国防戦略(NDS)」の影響を明らかに受けていることだ。

 米国のNSSやNDSの特徴は、過去20年間続いた「テロとの戦い」を国家安全保障の焦点とすることはやめ、中国およびロシアを米国主導の秩序を破壊しようとする「修正主義勢力(revisionist power)」と批判し、この2国との「大国間競争」の復活を宣言した点だ。

「2019国防報告書」では、「大国間競争」特に「米中の覇権争い」において、台湾がその焦点になっていることが明確に認識され、米国との連携が強調されている。

 第3の特徴は、米国防省が今年の6月に発表した「インド太平洋戦略報告書(IPSR)」の影響を受けている点だ。

 IPSRでは、覇権主義的な対外政策を繰り返す中国に対抗して「米国の同盟国と友好国との協調」が重視されている。そして台湾について、「中国は台湾との平和的統一を主張しているが、軍事力の行使を放棄したことはない。

 米国防省は、台湾が十分な自衛力を維持するために必要な量の物品および役務を台湾に提供する」としている。

 台湾は、このIPSRの記述を受けて、米国との連携のみならず、日本、オーストラリア、インドなどの民主主義国家との連携を強調している。

 第4に、写真や図を多くして一般の読者に分かりやすくしている。一方で、文章による説明が少なくなったので、安全保障の専門家には物足りない内容になっている。

台湾と中国との関係
●中国にとって台湾統一は最も重要な核心的利益

 習近平主席の「中華民族の偉大なる復興」という野望実現のためには、台湾統一は避けては通れない、最も重要な核心的利益である。人民解放軍の増強や訓練の大部分は、台湾統一のためだといわれている。

 中国当局は、台湾統一における最終的手段として、「力による台湾統一」を排除していない。

 しかし、「戦わずして台湾統一」が実現できれば理想的で、そのために習近平主席の台湾戦略は、様々な分野(経済、政治、軍事、文化、社会、司法)に対する非軍事的な手段を使った工作・浸透作戦を重視している。

●中国の国防と軍隊の現代化のための「3段階発展戦略」

 図1は、習近平が2017年の第19回党大会で宣言した内容を中心にして「中国の3段階発展戦略」を説明している。

 まず、2020年までを第1段階として、1993年に「ハイテク環境下における局地戦争に勝利する」、2004年に「情報化環境下における局地戦争に勝利する」、2015年に「情報化局地戦争に勝利する」と宣言し、2020年までに「軍の機械化を基本的に実現し、軍の情報化を達成する」としている。

 なお、中国が「情報化」という表現を多用している理由は、米軍が情報通信技術を活用した情報分野における「軍事革命(RMA)」を達成し、湾岸戦争などで大きな成果を上げたからだ。中国はこの時期、情報RMAの達成を目指していた。

 また列島線の関係では、2010年から2020年において、①アジア太平洋地域において軍事能力でトップの地位を獲得する、②第1列島線以西の地域を掌握(コントロール)する、③第2列島線以西の地域における作戦能力を保有し使用するとしている。

 次いで、2020年から2035年までを第2段階として「国防と人民解放軍の現代化を基本的に実現する」としている。つまり世界の一流の軍隊に近づくということだ。

 最後に、2035年から2050年までを第3段階として「総合国力と国際的影響力において世界の先頭に立つ社会主義現代化強国」及び「世界一流軍隊を建設する」としている。

 そして、2020年から2050年において、①軍事現代化を達成し、西太平洋をコントロールする、②西側諸国(特に米国)と肩を並べると記述している。

図2「中国の国防と軍隊の現代化建設のための『3段階』発展戦略」

台湾が認識している軍事脅威
 中国はこれまでのところ、軍事力で台湾を攻撃することを放棄していない。近年、台湾をターゲットとした武器の取得、戦闘準備、訓練の強化を継続しており、台湾にとっての脅威になっている。

 国防報告書ではその脅威を以下の順番で記述している。

①偵察・早期警戒
②サイバー戦・電子戦・情報戦

③指揮通信
④封鎖作戦

⑤火力打撃
⑥統合上陸作戦

⑦外国軍(特に米軍)に対する攻撃

 この脅威と順番には違和感がある。なぜ中国の偵察・早期警戒能力や指揮通信能力を大きな脅威とするのか。

 中国の台湾進攻を仮定し、その戦況の推移の順番に脅威を列挙したのであろう。以下に筆者が注目する脅威に限定して取り上げる。

●サイバー戦・電子戦・情報戦

 中国では「網電一体戦」が重視されている。網電一体戦は、サイバー戦、電子戦、情報戦を一体的に実施することだ。

 サイバー戦と電子戦は、一体的に実施されることが多く、戦争開始の前後に多用されるのがサイバー戦と電子戦であり、その後も戦争の終始を通じて網電一体戦は実施される。

 また、情報戦も多用され、政治・経済・軍の重要な機関に対するサイバー攻撃を行うだけではなく、フェイク・ニュースを広め、人心を混乱させ、中国の目的達成を図っている。

 中国のシャープパワーによる台湾への圧力が問題になっている。

 中国は「三戦(世論戦、心理戦、法律戦)」の延長としてシャープパワーを効果的に行使している。

 シャープパワーとは、ハードパワー(軍事力や経済力など)とソフトパワー(文化・理念・政治的価値観の魅力など)に対し、権威主義国家(ロシアや中国)がフェイク・ニュースなどの情報操作や経済的な依存関係を利用した浸透工作によって意図的に他国に対して影響力を行使することを指す。

 筆者は、2019年8月22日から23日の間、金門島を訪問した。奇しくも、8月23日は1958年8月23日に中国本土から金門島に行われた「金門砲撃」の61周年の日であった。

 台湾は、この金門砲撃に耐え、さらに1949年に発生した人民解放軍による金門島攻撃(古寧頭戦役)を撃退した。

 つまり、中国本土からの攻撃を2度にわたり耐え忍び、金門島は台湾防衛における歴史的な勝利の島だったのだ。

 しかし、今や金門島は中国のシャープパワーの影響を強く受けている。金門島の観光地には毛沢東の肖像画が堂々と掲げられている。

 そして、金門島の中心街の通りでは中国国旗「五星紅旗」がはためく中国派の店と台湾国旗「晴天白日満地紅旗」がはためく台湾派の店により真二つに分断されている。

 中国の金門島に対する浸透工作により、有事において金門島は早い段階で中国に占領される可能性がある。

●大規模封鎖作戦

 サイバー攻撃、電子攻撃(電波妨害など)、ミサイル攻撃、航空攻撃、海上攻撃、攻撃的機雷戦を駆使して、台湾を封鎖し孤立させる作戦。

 山東、浙江、広東、海南島の沿岸海域で統合制海作戦演習を継続し、対艦ミサイル、対空ミサイル、水上および水中部隊を配置し、台湾海峡周辺の海と空域での封鎖作戦をする能力を保有している。

●火力打撃

 図3で明らかなように、台湾は東風11、15、16(DF-11、15、16)などの短距離弾道ミサイルの射程圏内に入っている。短距離弾道ミサイルの数は1200発とも言われている。

 東風10や21は台湾や日本を含む第1列島線の大部分を射程圏内に収めている。そして、東風26および巡航ミサイルを装備した爆撃機「轟6K(H-6K)」は第2列島線を射程圏内に収めている。

 つまり、中国の弾道ミサイルは日本全域をカバーする能力を有しているが、台湾も同じように中国の短距離弾道ミサイルの脅威下にあり、弾道ミサイル防衛(BMD)は両国ともに喫緊の課題である。

 日本のBMDは世界最先端のものだが、台湾のBMDの体制は十分に整っているとは言えない状況だ。

図3「人民解放軍の弾道ミサイルなどの脅威」

●統合上陸

 東部および南部戦域は、水陸両用装甲車の設置を継続し、水陸両用ドック上陸船との共同上陸(島を奪取)を訓練して、正確さ上昇、立体(3次元)、全域、多能力戦力を強化し、渡海能力と上陸能力を強化している。

 しかし、限られた上陸作戦の複雑さ、輸送車両の欠如、および巨大な後方支援のために、現在、「離島を占領する」程度の統合上陸戦力しかない。

●外国軍(特に米軍)に対する攻撃

 東風21D、東風26対艦弾道ミサイル、東風10型弾道ミサイルの攻撃の範囲は第2列島線までをカバーし、爆撃機H-6は第1列島線を通って西太平洋と日本海への飛行を常態化させている。

  海軍と空軍の共同訓練は、米インド太平洋軍に対する軍事的抑止力を直接形成しており、これにより、第1列島線と第2列島線の間の軍事介入を効果的に遅らせることができる。

インド太平洋戦略と台湾
 最近、日本・米国・台湾の3か国会議や、台湾で開催された国際会議に参加して気づいたことがある。

 台湾の出席者が日米の主張する「インド太平洋戦略」の重要性を徐々に認識してきたことだ。

 安倍晋三首相は、2016年8月、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を発表したが、トランプ大統領も2017年11月のアジア歴訪の際に、安倍首相の戦略を受け入れ、米国としても同戦略を追求していくことを明らかにした。

 そして、2019年6月に米国防省が「インド太平洋戦略」を発表した。

 インド・太平洋戦略は、ルールを基礎とする秩序を維持すること、民主主義などの基本的な価値観を擁護すること、市場経済を基礎とする自由貿易体制を維持すること、質の高いインフラを提供することなどを目指していると私は考えている。

 そして、インド・太平洋戦略は、強圧的に台頭する中国を抑止する戦略であるし、中国が主導する一帯一路構想に対抗する戦略でもある。

 このインド・太平洋戦略は、日本、米国、オーストラリア、インド、台湾などの民主主義国家により中国を包囲する態勢を構築し、同地域における平和と安定を達成しようとするものだ。

●「国防報告書」に記述されている台湾の戦略的重要性

 台湾は、インド太平洋地域において地政学的に重要な位置にあり、台湾海峡の状況は国際輸送路線の安全と世界経済の発展にとって重要だ。

 中華民国によって長年にわたり、蓄積された民主主義、自由、経済発展、情報技術、災害救助の経験と能力は地域の模範であり、民主主義諸国と普遍的な価値を共有し、共通の安全保障利益の維持に貢献してきた。

 インド太平洋地域の自由と開放性を促進することは、海上および空中の航行の自由を確保することを意味する。

 台湾海峡は、地域の海運および国際貿易のカギであり、台湾海峡の平和と安定の維持は、インド太平洋地域のすべての関係者の利益になる。 台湾の自由、民主主義、開放性は、インド太平洋地域の自由、民主主義、永続的な繁栄の確保に貢献できる。

●米国の「インド太平洋戦略」に記述されている台湾

 米国にとっての台湾について、次のように記述している。

「米国は、ルールに基づく国際秩序の維持に死活的な利益を有している。その観点で強く・繁栄し・民主的な台湾を望む」

「中国が台湾に対する圧力をかけ続けているため、米国と台湾のパートナーシップは極めて重要だ。インド太平洋地域の安全と安定のために、台湾関係法を誠実に履行する」

 台湾海峡有事に関しては、次のように記述し、米軍による軍事的関与の重要性を主張している。

「中国は台湾との平和的統一を主張しているが、軍事力の行使を放棄したことはなく、今後の軍事行動に必要な高度な軍事力を開発・配備し続けている」

「台湾海峡有事を想定して、人民解放軍が台湾の独立を阻止したり、必要に応じて独立を放棄させたりするなかで、軍事的関与の重要性が増している」

「人民解放軍は、武力による台湾と中国の統一を図る一方で、台湾のために第三者が介入することを阻止すると宣言している。中国は、台湾への総合的な圧力の一環として、台湾周辺において空軍の遠洋巡航演習や東シナ海における海軍演習を増加させている」

 米国の台湾への関与について、「米国防省は、台湾が十分な自衛力を維持するために必要な量の物品および役務を台湾に提供することにコミットしている」と記述している。

 トランプ政権は、「インド太平洋戦略」でも台湾支持の姿勢を明確にしている。

●中国の「一帯一路」と米国の「インド太平洋戦略」

 台湾の国防報告書では、「習近平が鄧小平の『韜光養晦』を放棄して、『中国の夢』『富国強軍』によりインド太平洋地域における影響力を積極的に拡大している」と記述し、その具体的戦略が「一帯一路」であると警戒している。

 中国は、国益を促進し、地域の影響力を拡大するために「一帯一路」を提唱し、多くの国々(モンゴル、ラオス、パキスタン、スリランカ、モルディブなど)が債務の罠に陥っていると指摘している。

 さらに『シャープパワー』を行使して、政治、経済、学界、メディアなどに浸透し、国際的な疑念と警戒を引き起こした」と批判している。

 さらに、「中国は2017年8月、ジブチに最初の海外軍事基地を正式に立ち上げ、将来的にはさらに多くの海外軍事基地を設立し続ける可能性がある」と海外への拡張を警戒している。

 台湾は、「一帯一路」に対して米国の「インド太平洋戦略」で強調されている米国の友好国として、米国と連携する姿勢を強調している。

民主主義諸国などによる対中包囲網
「インド太平洋戦略」で明らかなように、日本と台湾は共に、第1列島線の重要な部分を構成する国家であり、有事において人民解放軍が太平洋に進出する際には、両国が大きな障害となる。

 最近、人民解放軍(PLA)の爆撃機、戦闘機、空母等の艦艇が第1列島線を越えて作戦することが多くなり、その動向は日台共通の懸念事項になっている。

 PLAの台湾進攻は、在沖縄米軍基地などの存在を考慮すると、日本の防衛に直接影響を及ぼすことになる。その意味で、日本と台湾は運命共同体である。

 図4を見ていただきたい。第1列島線を日本、台湾、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシアまで延伸すると、地政学的に重要な海上交通路の要点(マラッカ海峡、ズンダ海峡など)を含むことになる。

 図の赤い部分(チョーク・ポイント)を制するように地上戦力を配置すると、中国に対する包囲網を構成することができ、米軍の作戦は容易になる。

 このチョーク・ポイントを利用することにより、米国単独でPLAのA2/AD(接近阻止/領域拒否)に対抗するのではなく、同盟国や友好国と協力することによりPLAのA2/ADに有効に対抗できるようになる。

図4「チョーク・ポイント防衛」

 陸上戦力を配置する最も適した場所が日本の南西諸島であり、陸上自衛隊が与那国島、石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島にA2/AD部隊(陸自の地対艦誘導弾や地対空ミサイルなどの部隊)を配置することにより、PLAの水上艦艇、潜水艦、航空機のチョーク・ポイント通過を阻止することができる。

 自衛隊が南西諸島においてPLAに対するA2/ADを実施することを推奨する。

 政治的には難しい点はあるが、PLAに対するA2/ADを実施する場所として南西諸島を核心として、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシアに拡大できれば、PLAを第1列島線を構成する諸国で包囲する形になる。

 第1列島線にA2/AD能力のある陸上戦力を展開することにより、PLAに犠牲を強要し、PLAの戦力の分散を図り、米海軍及び空軍の作戦を容易にし、最終的にはPLAの侵攻を断念させる。

 この態勢をPLAに示すことにより抑止を達成するという作戦だ。

 米国とその同盟国や友好国が適切に部隊を配置し、適切に兵器を装備することは、地図上にラインを引くことになる。

 PLAのA2/AD部隊がそのラインを越えたならば、堅固で致命的な抵抗に遭うことになる。接近阻止と領域拒否はPLAの専売特許ではなくて日本をはじめとする米国の同盟国も採用することができるのだ。
     
結言

 冷戦終結後、多くの民主主義諸国の指導者や学者は、中国を国際秩序に取り込み責任ある大国として行動することを期待した。

 しかし、その期待は甘かった。中国は、民主主義を拒否し、専制的な中国モデルを最上として、他国にも中国モデルを推薦している。

 いまや民主主義の危機が世界中で叫ばれ、インド太平洋地域においても、中国の非民主主義的な振る舞いに対して、民主主義、自由、平等、基本的人権の尊重などの価値観を擁護すべきだという声が上がっている。

 その意味で、インド・太平洋戦略は意味があるし、それを軍事的にもアレンジした中国包囲網の構築が重要である。

 台湾は、日米が主導するインド・太平洋戦略に加入しようとしている。台湾に対する中国の脅威を考えれば、彼らの関心の強さは理解できるし、なんとかインド・太平洋戦略に台湾を組み込む方策を追求することが必要である。

 台湾との関連では、災害派遣や人道支援などの分野で台湾などを含めた多国間の共同訓練、沿岸警備隊などの法執行機関による多国間交流・訓練、海・空・サイバー空間・宇宙のドメインの状況に関する情報交換などを実施すべきと思うが、できる分野から逐次協力関係を構築する努力が求められている。

筆者:渡部 悦和』

貨物船、ネット接続のため島接近か モーリシャス紙報道

貨物船、ネット接続のため島接近か モーリシャス紙報道
https://www.sankei.com/world/news/200814/wor2008140018-n1.html

 ※ 誕生日会で盛り上がるため、家族 or 彼女とやり取りでもするつもりだったものか…。
 人情としては、分かる…。しかし、ちょっと勘弁して欲しい話しだ…。生態系が回復するには、「数十年」かかるだろう…、と言われている…。
 「過失」が認定されれば、「損害賠償」ということにもなるだろう…。巨額なものと、なるだろう…。

『インド洋のモーリシャス島沖で発生した日本の貨物船の重油流出で、地元紙は14日までに、複数の乗組員が地元警察の調べに対し「座礁前、Wi-Fi(ワイファイ)に接続しインターネットを利用するため島の近くを航行した」と話していると報じた。警察関係者が明らかにしたという。

 一方、米誌フォーブスは航路を追跡した衛星データを基に「速度を落とさず11ノット(時速約20キロ)で島に直進していた」と伝えており、乗組員が島への接近を認識していなかった可能性を示唆。警察は船内から航行記録を押収し、座礁した原因を慎重に調べている。

 地元紙によると、事故直前、乗組員の誕生日会を開いていたとの供述もあるという。

 貨物船を保有する長鋪汽船(岡山県)が乗組員20人全員を手配していた。出身国はインド3人、スリランカ1人、フィリピン16人で船長はインド人。全員救助され無事だった。(共同)』

【写真特集】モーリシャス沖で燃料流出、商船三井の貨物船座礁
https://www.afpbb.com/articles/-/3298769?pno=20&pid=22571874