イスラム諸国反応まだら イスラエル・UAE国交樹立

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62647170U0A810C2FF8000/

『【イスタンブール=木寺もも子】イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化に対して、イスラム教諸国の反応が割れている。サウジアラビアなど湾岸諸国は近年、UAEと同様にイスラエルと接近してきたが、国民の反イスラエル感情は強く、沈黙や抑制的な声が目立つ。エジプトは歓迎、パレスチナやイランは強く反発した。

13日、UAEの国旗の色にライトアップされたイスラエル・テルアビブの市庁舎=ロイター
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エジプトのシシ大統領は13日、ツイッターで「地域の繁栄と安定をもたらす努力に評価する」と述べた。国交正常化はイスラエルによるパレスチナ自治区のヨルダン川西岸併合を止める効果があるとするUAEの立場に同調した。

エジプトは1979年、アラブ諸国で真っ先にイスラエルと国交を樹立し、近年は隣国リビア内戦などを通じてUAEと協力を深めている。

イスラエルに対するアラブ連盟のボイコットを批判するなど、既に「水面上」で国交正常化に向けて動いていたバーレーンも歓迎を表明した。国営メディアが伝えた。UAEに追随する可能性がある。

英国やフランスはいずれも13日に歓迎を示し、イスラエルがヨルダン川西岸の併合を進めないことに期待した。国連のグテレス事務総長は「イスラエルとパレスチナ側が実のある交渉を再開し、2国家共存の実現につながることを期待する」と述べた。

一方でパレスチナ側は強い反発を示している。自治政府のアッバス議長は13日の声明で「イスラエル、米国、UAEによる驚くべき発表」を「裏切りだ」と断じた。UAE大使を呼び出すとも明らかにした。イスラム原理主義組織のハマスは「パレスチナではなくシオニスト(イスラエル)の主張に利するものだ」と批判した。

米国、イスラエル、UAEのいずれとも敵対するイランは外務省声明で合意を「恥」と呼び、「パレスチナ人を後ろから刺した」と非難した。「UAEや後押しした国々は覚悟しなければいけない」とも述べた。14日、国営通信が伝えた。

中東での指導的立場を巡ってサウジアラビアやUAEと対立を深めているトルコは14日、「歴史と人々の良心は決して許さないだろう」とUAEを批判した。近年は湾岸諸国の「沈黙」を批判してパレスチナ支援を活発にしている。ただ、イスラエルとは既に国交がある。

他のイスラム教諸国の反応は複雑だ。UAEの盟友でアラブの盟主を自任するサウジアラビアなど、多くの湾岸諸国はいずれも14日朝までに公式な反応を出さなかった。近年は着々とイスラエル接近を強めてきたが、表向きパレスチナの同胞を擁護し、反イスラエルを掲げるのは「アラブの大義」だ。国民感情に配慮しているとみられる。国内向けの報道も控えめだった。

ヨルダンのサファディ外相は13日、「イスラエルが(パレスチナ自治区の)占領をやめるつもりなら」という条件付きで合意を評価した。1994年にイスラエルと国交を正常化したものの、ヨルダン川西岸への入植や併合計画に反発し、緊張が高まっていた。国内には200万人を超えるパレスチナ難民を抱える。』