全銀システム改革に「不意打ち」

全銀システム改革に「不意打ち」、大手行の新決済インフラに漂う思惑と懸念
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04442/?ST=ch_fintech

『サプライズは主導権奪還の表れか
 全銀システム改革の機運が高まったのは、2020年1月10日に開かれた「全銀ネット有識者会議」だ。同会議の席上で、タスクフォースを発足して本格的に議論すべきだとの声が上がった。さらに、公正取引委員会が2020年4月に公表した報告書が、改革への流れを決定づけた。報告書は銀行間手数料にメスを入れ、全銀システムの外部開放にも言及。内容は、政府が取りまとめた成長戦略実行計画案に反映された。

 全銀システムの改革が緒に就いたのは朗報だが懸念も残る。全銀ネットが設立した「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」の足並みがそろわない点だ。

 同タスクフォースは「全銀システムが将来目指すべき姿について、銀行という従来の枠組みにとらわれずに検討を推進するために設置したもの」(全銀ネット)。3メガバンクや地方銀行、金融庁や日本銀行、大手ITベンダー、Fintech協会などが名を連ね、一致団結して全銀システム改革を推し進める本丸だったはずだ。

 ところが大手5行は、「全銀システムが将来目指すべき姿」が固まる前に動いた。8月6日に明らかにした新決済インフラ構想は同タスクフォースが議論したものではなく、連携もされていなかったとみられる。同タスクフォースにとっては、いわば「身内」を含む5行から不意打ちを受けた格好だ。

 さらに新たな決済インフラ構想は、政府が成長戦略実行計画案に記した全銀LITEとの整合性も現時点では不明だ。あくまで大手行同士が個別に合意して生まれたもので、キャッシュレス事業者などの声が反映されているとも言い難い。

 こうした「単独行動」には、これまで通り、銀行が決済インフラの主導権を握ろうとする姿勢が見え隠れする。「銀行以外の事業者が接続できなかったり高い手数料を課されたりするようでは、新たな囲い込みになるリスクがある」。Fintech協会の神田理事は話す。

 技術面にも指摘する声が上がる。大手5行は新たな少額決済インフラのベースに、1999年稼働のJ-Debitの仕組みをベースにする考えだ。

 既存の仕組みを使うため、開発コストや期間、安全性をコントロールしやすい側面はある。だが、「インターネットが大前提になった今、セキュリティーを確保したうえでコストが限りなくゼロに近い決済インフラを実現しつつある国もある。旧来型のシステムを温存していては1周も2周も後れを取る懸念がある」(関係者)。

 あらゆる商取引は最終的に銀行口座を介して決済をする。全銀システムは、国の経済活動を支えるインフラそのもの。大きなグランドデザインの下、関係者が足並みをそろえて改革に進む姿勢が不可欠だ。

 大手5行が新決済インフラ構想を打ち出したことは、全銀システム改革を一歩進める動きであることは間違いない。それでも手放しで喜ぶのは早計と言えそうだ。』

全銀システムの高度化に向けた取組み
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kessai_sg/siryou/20150205/01_1.pdf

「全銀システム」と「日銀ネット」は具体的にどうやって連携しているか ー「為替」とは何か?(3)
https://kenji-takahasi.hatenablog.com/entry/zengin_system_nitigin_net