トヨタ、EVで中国製特殊鋼板採用 品質で日本勢に迫る

トヨタ、EVで中国製特殊鋼板採用 品質で日本勢に迫る(2020/7/13 18:00 (2020/7/14 5:35更新))
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61444140T10C20A7MM8000/

※ 今日は、こんなところで…。

『電気自動車(EV)に使う電磁鋼板と呼ばれる高機能な鋼材について、トヨタ自動車が中国最大手の宝武鋼鉄集団の製品を一部で採用することが13日、分かった。同鋼板は高い生産技術が必要で、これまでは主に日系の製鉄大手から調達してきた。中国の鉄鋼業界は汎用品の大量供給を強みとしてきたが、質でも日本勢を追い上げ始めた。

トヨタが国内で生産するハイブリッド車(HV)とEV向けに、このほど品質面での承認を出した。宝武はすでに中国からの輸出を始めたもようだ。日本車大手が国内で生産する乗用車に中国メーカー製の電磁鋼板を採用するのは今回が初めてとみられる。

電磁鋼板は電動車の基幹部品であるモーターなどに使う。特殊な処理で鋼材に磁気を持たせており、不純物を取り除くなど高度な生産技術が必要になる。モーターの効率的な駆動には欠かせず、航続距離など省エネ性能に直結する。高い品質が求められるため、トヨタ向けなどの製品を供給できるのはこれまで日本製鉄など一部の鉄鋼大手に限られていた。

採用数量はまだ限られているもようだが、トヨタ幹部は「品質は日本製と遜色ない。電動車の普及が見込まれる中で調達先を多様化する」と語る。日本鉄鋼連盟の調査によると、宝武はEV大手の米テスラにも供給を始めたもようだ。

中国政府は2025年にEVなど環境対応車の割合を18年の4%から25%に高める計画を掲げる。中国はすでに世界で最もEVの販売台数が多い。35年のEV市場は中国が18年比13.7倍の1056万台と成長が続く見通し。欧州も同32.1倍の674万台と拡大が予想されている。

電磁鋼板の引き合いも増える中、製鉄首位の宝武が需要の取り込みを狙う。宝武は16年、国有企業の宝鋼集団(当時中国5位)と武漢鋼鉄集団(同11位)が合併して誕生した。世界鉄鋼協会によると、19年の粗鋼生産量では欧州アルセロール・ミタルに次いで世界2位だ。

電磁鋼板では中国でのシェアが6割に上っており、2023年までに上海市の製鉄所に24億元(約400億円)を投じてさらなる増産体制を整える。中国3位の江蘇沙鋼集団なども19年から生産能力の増強に乗り出している。

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自動車向けを中心とする高付加価値品での中国勢の台頭に、国内大手は警戒を強めている。中国は世界の6割の粗鋼を生産するが、これまでは建材向けなどの汎用品が中心だった。中国が先端分野の技術力でも追いついてくれば、収益源にしている高機能品も価格の下落などが進みかねない。』