駐中国大使に垂秀夫氏

駐中国大使に垂秀夫氏 外務省前官房長、分析力を重視
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『政府は横井裕駐中国大使の後任に、外務省の垂秀夫前官房長を充てる人事を固めた。閣議で正式に決めて年内にも着任する。垂氏は中国駐在経験が長く、情報収集や分析力に定評がある。米中対立の下で日本は難しい立ち位置を迫られる可能性がある。分析力を生かして対中政策を見定める。

垂秀夫氏(たるみ・ひでお)85年(昭60年)京大法卒、外務省へ。中国公使、領事局長、19年官房長。大阪府出身、59歳
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垂氏は「チャイナスクール」と呼ばれる外務省の中国語研修組だ。2016年から務める横井氏もチャイナスクールで2代続けての起用となる。

垂氏は08年から中国・モンゴル課長、11~13年に駐中国公使を務めた。外務省幹部は「中国の内情に精通しているだけでなく、中国に対して厳しい姿勢も取れる」と起用の理由を説明する。

民主党政権だった10年の沖縄県尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件に担当課長として、12年の尖閣諸島国有化に中国公使としてそれぞれ関わった。関係悪化した時期に両国関係の調整を担い、首相官邸からの信頼も厚いとされる。

日中外交関係者によると、公使時代は中国当局が垂氏の中国での情報収集能力を警戒していた。16~18年は日本台湾交流協会の台北事務所で勤務し、台湾にも人脈がある。垂氏の大使起用を中国側も注視しているとみられる。

日本は米中対立が深まるほど、同盟国である米国と最大の貿易相手国である中国との間で難しい判断を迫られる。

香港情勢などを巡って米国と足並みをそろえて中国に自制するよう圧力をかけつつ、経済面では決定的な対立を避けるため、硬軟織り交ぜた姿勢を取る必要が生じる。

中国への対応では政府・与党内でも温度差がある。今春予定だった習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓としての来日は新型コロナウイルスの影響で延期になった。新たな日程のメドは立っていない。

自民党内で国賓来日の中止を求める声と、来日の調整を続けるべきだとの主張で分かれる。

垂氏は中国との関係を重視する自民党の二階俊博幹事長との関係も良好とされる。政府内に党から不満が出にくい人事だとの見方がある。

茂木敏充外相は7月のテレビ番組で中国大使の人選を巡り「中国語に堪能で造詣があることは極めて重要だ」と指摘し、垂氏についても「経験豊かな人材だ」と述べて有力候補に挙げていた。』