〔日経、ヨーロッパ関連〕

5G戦線に異変あり ファーウェイに迫る米欧包囲網
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62052510Z20C20A7X11000/


『次世代通信規格「5G」を巡って、米中の覇権争いが全世界に飛び火している。英国は中国の華為技術(ファーウェイ)製の基地局の完全排除を決め、フランスも追随しそうだ。米中対立のはざまで北欧のエリクソンとノキアは巨額の設備投資需要を虎視眈々(たんたん)と狙う。NECも名乗りを上げた。5G技術の主導権争いは熱を帯びる一方だ。

まるで泥船から逃げ出すようだった。英政府がファーウェイの完全排除を公表する直前の7月14日午前、同社の英国法人会長ジョン・ブラウン氏が辞任を表明した。石油大手BPのトップなどを務め、政財界に太いパイプを持つ重鎮。ファーウェイが2015年に招いた大物の白旗は、英政府の排除方針が揺るぎないことを印象づけた。

英国はもともと、完全排除を同盟国に求める米国とは距離を置いていた。だが、中国がデジタル分野で覇権を握ることを許さない米国は執拗だった。5月には、ファーウェイの部品調達に制限をかける規制強化を表明。これにより、英国はたった半年で方針転換することになった。

■盤石の地盤持つ欧州

英国の判断後、フランスも排除に傾いたほか、イタリアやドイツでは与党内で排除すべきだとの声が強まっている。ドイツでは、米携帯3位TモバイルUSの筆頭株主であるドイツテレコムもファーウェイを採用しているほどだが、政府の判断次第では通信各社は基地局を交換しなくてはならなくなる。

米国が欧州各国に異例の要請をしたのは、ファーウェイにとって欧州が”第2のホーム”だからだ。欧州(中東とアフリカ含む)の売上高は19年12月期に2060億元(約3兆2千億円)で全体の24%を占め、アジア太平洋(8%)や南北アメリカ(6%)を大きく上回る。中国外の最大市場だ。

なかでも英国は「最も多い社員を置き最も多く投資してきた牙城」(欧州の元社員)。自社製品の安全性を確かめる「サイバーセキュリティー評価センター」を10年に政府と共同で設立し、歩調を合わせてきた自負もあった。なぜ、欧州で存在感が際立つのか。

背景の1つは通信行政だ。「欧州では透明性を確保するなどの理由で電波オークション制が一般的」(情報通信総合研究所の八田恵子・主任研究員)。電波が割り当てられる日本とは違い、通信会社にとって電波取得のコストは小さくない。そのため他社より割安のファーウェイ製品が選ばれやすい土壌があった。

価格だけではなく、性能も評価されている。欧州委員会の19年の企業の研究開発費ランキングによると、ファーウェイは127億ユーロ(約1兆5千億円)で、フィンランドのノキアやスウェーデンのエリクソンの3~4倍ある。

5Gの特許出願でもファーウェイが先頭を走る。独特許データベース会社IPリティックスによると、5G関連の標準必須特許(SEP)の1月までの出願数はファーウェイが3147件で、企業別シェアは15%を占め首位。ノキアは2149件で10%、エリクソンは1494件で7%だ。

■間隙つくエリクソンとノキア

その強みを欧州でも発揮してきたファーウェイだが、根城の英国で締め出されることが決まり、同社内では危機感が広がっている。「もはや四面楚歌(そか)」(同社関係者)という声すら出始めた。

この間隙を突いてシェアを奪おうとしているのがエリクソンとノキアだ。「英国の決定は5Gの投資を遅らせる不確実性を取り除いた。我々は通信会社と協業できる技術と経験がある」。エリクソンの欧州・南米地域のトップ、アルン・バンサル氏は英政府のファーウェイ排除の発表直後にこんなコメントを出し、対抗心をむき出しにした。

お膝元である欧州をファーウェイに攻め込まれた北欧2社は、巨大市場である中国に逆に打って出る。通信会社は複数のインフラを使う「マルチベンダー」が一般的で、中国でも商機はある。エリクソンは6月までに中国の大手3社と5Gの商用契約を結んだ。ノキアも、中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の5Gシステムの一部を受注した。

ノキアでは好機を逃すまいと、社内のエースで地元電力大手に転じたペッカ・ルンドマルク氏が、予定より1カ月早く8月に最高経営責任者(CEO)に就く。ルンドマルク氏は「私は米国、中国での幅広い経験がある」と野心を隠さない。

通信速度が4Gの100倍になる5G。個人のデータ通信よりもむしろ、スマート工場やつながる車、遠隔医療など次世代技術のインフラとしての役割が期待される。通信会社の業界団体である英GSMAによると、世界の通信会社は今後5年で、1兆1千億ドル(約116兆円)を設備投資する計画。この巨大需要を前に競争は過熱する。

日本もファーウェイ排除を好機とみる。NECは6月、NTTと組んで通信インフラを世界展開することで合意。5Gで楽天とも提携した。

米国などは、アルティオスター・ネットワークスなど独自通信網を手掛ける新興勢を育てファーウェイを切り崩そうとする。基地局市場はファーウェイが35%弱のシェアを握り、これまで存在感を示してきた。だが、欧州の風雲急な動きでその土台が揺らぎ始めていることは間違いない。

(ロンドン=佐竹実、広州=川上尚志)』

VW、4~6月期の最終赤字2000億円 新車販売減響く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62101210Q0A730C2TJ1000/

『【フランクフルト=深尾幸生】独フォルクスワーゲン(VW)は30日、2020年4~6月期の最終損益が16億700万ユーロ(約1980億円)の赤字に転落したと発表した。前年同期は39億6400万ユーロの黒字だった。四半期での最終赤字は16年10~12月期以来3年半ぶり。新型コロナウイルスで中国以外のほとんどの地域で新車販売が大きく減ったことが響いた。

VWは年後半の回復に期待する
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売上高は37%減の410億7600万ユーロだった。期中の出荷台数は188万台と32%減った。西欧が54%減、北米が38%減だった。傘下の高級車ブランド、ポルシェとアウディは2割程度の落ち込みだったが、大衆車ブランドのVW乗用車ブランドやシュコダなどの減少が大きかった。

営業損益は23億9400万ユーロの赤字だった。前年同期は51億3千万ユーロの黒字。販売減で100億ユーロ近い粗利が失われたのを、販管費の削減でカバーしきれなかった。

VWは同日、19年12月期の1株あたりの配当額を1.7ユーロ減らし4.8ユーロとすることを発表。9月30日に延期した株主総会で提案する。

20年12月期通期の見通しについては「営業利益は19年より大幅に減るものの黒字を確保できる」との従来予想を維持した。フランク・ウィッター最高財務責任者(CFO)は電話会見で「新型コロナからの回復の程度や速度について予想は難しいが、6、7月は安定してきている」と述べた。

販売台数の4割近くを占める中国の販売が4~6月は前年同期を上回ったほか、欧州でも7月に入り回復が顕著だという。同社の最量販車種の多目的スポーツ車(SUV)「ティグアン」を部分改良したほか、電気自動車(EV)の戦略モデル「ID.3」を投入する効果も見込む。』

EU、サイバー攻撃に初制裁 ロ中や北朝鮮対象
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62124240R30C20A7EAF000/

ロシア・ベラルーシ同盟に亀裂 30人超の戦闘員、騒乱画策か
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62123020R30C20A7000000/
『【モスクワ=石川陽平】旧ソ連のベラルーシの情勢が緊迫してきた。30日、前日にミンスクで拘束した30人を超すロシアの戦闘員に対し「テロ容疑」で捜査を始めた。8月9日の大統領選を前に、ロシアとの同盟関係に亀裂が走っている。

29日、ロシア人戦闘員の拘束を受け、安全保障会議を開いたベラルーシのルカシェンコ大統領(中央)=AP
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29日、ロシア人戦闘員の拘束を受け、安全保障会議を開いたベラルーシのルカシェンコ大統領(中央)=AP

ベラルーシのラフコフ安全保障会議書記は30日、29日に拘束したロシア人の戦闘員について、テロ行為を企てた容疑で捜査に着手したと明らかにした。戦闘員は合計32人で、非公式に軍事サービスを提供する通称「民間軍事会社ワグネル」に所属しているという。

ワグネルの戦闘員拘束に関して、捜査当局は30日、大統領選に向けて「大規模な騒乱」を画策していた疑いがあると説明した。ワグネルはロシアのプーチン大統領に近い実業家が関与していたとされ、雇い兵をウクライナ東部や中東の紛争などに送り込んでいる「闇の戦闘集団」だ。

ベラルーシの捜査当局によると、29日には32人の拘束とは別に同国南部でもロシア人の戦闘員1人を拘束した。ベラルーシ国内には約200人の戦闘員が入り込んでいると見ている。当局者は同国国境に近いロシア西部に戦闘員集団が集まっているとも指摘した。

6選を目指すルカシェンコ大統領はロシアと距離を置く姿勢を支持者に訴え、ロシアによる大統領選への干渉の可能性もかねて示唆していた。治安当局は、「ロシア離れ」を強めるルカシェンコ政権に、ロシアが揺さぶりをかけようとしていると疑っているようだ。

これに対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は30日、ベラルーシ情勢を不安定にする意図があるとの見方が出ていることについて「全くの中傷だ」と否定した。スルツキー下院外交委員長も同日、同盟相手の選挙に干渉することなどありえないと強調した。

ワグネルの戦闘員がベラルーシに入った目的には他にも諸説ある。

ロシアの駐ベラルーシ大使は30日、ミンスク経由で中東に向かう予定だったと語った。ロシアでは独裁的なルカシェンコ政権の打倒を画策する欧米の動きを阻む狙いがあったとの指摘や、同政権内の大統領の反対派や第三国による挑発行為だとの見方も出た。

ベラルーシでは今回の事件を機に、政権が治安の強化に動く可能性が高い。ルカシェンコ大統領は経済低迷や強権的統治で支持率が低下するなか、6選に向けて有力な対立候補を相次ぎ逮捕するなど抑圧的な姿勢を強めてきた。それでも、残る反政権派候補の集会には不満を強める市民の参加が広がっていた。

捜査当局は30日、すでに拘束している反体制派の政治家や人気ブロガーに対しても「大規模な騒乱」を画策したとの新たな容疑で捜査すると発表した。ルカシェンコ政権が緊急事態を宣言し、大統領選を延期するとの懸念も浮上し、ロシア人戦闘員の事件も危機をあおる自作自演ではないかとの見方もくすぶる。』