〔日経、ヨーロッパ関連〕

ウクライナ東部紛争で停戦発効、和平交渉なお難航
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61974270Y0A720C2EAF000/


『【モスクワ=小川知世】ウクライナ東部で2014年から続く政府軍と親ロシア派武装勢力による紛争を巡り、ウクライナ、ロシア両国などが合意した完全停戦が27日に発効した。停戦合意はこれまでに何度も破られており、長期的な停戦につながるかは不透明だ。今後の和平交渉はなお難航が予想される。

親ロシア派武装勢力との紛争が続くウクライナ東部で任務にあたる同国軍(26日、ルガンスク州)=ウクライナ国防省提供・ロイター
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停戦はウクライナと親ロ派勢力を支援するロシア、停戦を監視する欧州安保協力機構(OSCE)などが22日に合意した。一方が攻撃しても直ちに反撃せず、調整機関を通じて協議することなどを定めた。両国首脳は26日に電話協議し、停戦合意の順守が必要だとの認識で一致した。

戦闘が再開する懸念は残る。インタファクス通信によると、ウクライナ軍は27日、停戦発効後に親ロ派勢力側から数回の銃撃があったと発表した。ロシアのペスコフ大統領報道官は同日「ロシアは紛争当事者ではない」と言い切り、停戦を保証できないと主張した。

ウクライナ東部紛争ではこれまでに約1万4千人が死亡した。19年12月にウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの4カ国首脳会談で、全域での停戦などで合意したが、実施は難航していた。4月までの開催を目指していた次の4カ国首脳会談のめども立っていない。』

ロシア、東南アに武器輸出を拡大  対ロ制裁の活路に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61953310X20C20A7FF8000/


『【ジャカルタ=地曳航也、モスクワ=小川知世】ロシアが東南アジア各国への武器輸出を拡大している。新型コロナウイルス対策で防衛費の圧縮が迫られるなか、各国に好条件での売り込みを図っている。米欧の制裁を受けるロシアは東南ア各国との関係強化に活路を見いだしている。

ロシアのウォロビヨワ駐インドネシア大使は7月上旬の記者会見で、同国によるロシア製の戦闘機「スホイ35」の購入に期待を示した。ロシアは11機のスホイ35を計11億ドル(約1100億円)相当でインドネシアに売却する契約を2018年に締結済み。しかし、対ロ制裁を科す米国はインドネシアへの制裁も示唆し、中止の可能性が取り沙汰されていた。

ウォロビヨワ氏は会見で「制裁は高性能のロシア製兵器の購入を妨げない」とけん制した。インドネシアはスホイ35を次期主力戦闘機とする計画で、米ロの動向を慎重に見極める構えだ。

3日にはロシアとベトナムの国防省高官同士がテレビ会議を開き、軍事協力を確認した。同国へは潜水艦などを輸出した実績がある。ラオスには1月に戦車などを引き渡した。

ストックホルム国際平和研究所が標準的な製造コストに基づいて産出した評価額の尺度によると、10~19年の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の兵器調達に占めるロシアの割合は28%と00~09年の24%から上昇した。一方、米国の割合は23%から18%に低下した。中国の割合は2倍以上に拡大しているものの、約8%とロシアとは大きな差がある。

ロシア製兵器は欧米に比べて割安とされる。ASEANにはインドネシアやタイなど、新型コロナ対策で防衛費の削減を迫られている国もある。中国の南シナ海進出を警戒し、防衛力強化を迫られる各国にとっては魅力が高まっているようだ。

ロシアに詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長はロシア製兵器の取引について「現金以外の決済にも柔軟に対応するので途上国市場で優位性がある」と指摘する。インドネシアは11機のスホイ35の購入で、代金の半分をパーム油やゴムなど物品の輸出で賄う契約をロシアと結んだ。

ロシアとASEANは米中との関係をにらんでいる。米欧の制裁が長期化するロシアは経済苦境を脱するため、東南アジアなど第三国に食い込もうとしている。米中の二極化が進むのを警戒し、多国間連携を主導して存在感を示す狙いもありそうだ。

ロシアの極東研究所のワシリー・カシン主任研究員は「ロシアは原子力発電や情報技術も東南アジア市場に売り込み、アジアでの経済関係を多様化したいと考えている」と指摘する。

ロシアとの関係強化は東南アジアにもプラスに働く。ASEANは米中がにらみ合う南シナ海を地域に抱え、どちらを支持するか判断を迫られるとの懸念を強めている。ロシアは「米中との交渉カードになり得る」(インドネシア外務省関係者)ととらえている。

ロシアとASEANは新型コロナ対策や経済面でも関係を深めている。6月の外相会議では共同声明にワクチン開発での相互協力を盛り込んだ。ASEANはロシアが米欧に先駆けて実用化を目指すワクチンの確保を急ぐ。19年にはシンガポールがロシアが主導する「ユーラシア経済同盟」と自由貿易協定(FTA)を結んだ。ロシアはASEANにもFTA締結を呼びかけている。』