〔https://www.bloomberg.co.jp/より〕

テクノロジー企業の香港脱出始まる-国安法が「大きなリスク」に
Felix Tam
2020年7月21日 14:16 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-21/QDSQXCT1UM1M01?srnd=cojp-v2
『ベンチャーが移転計画、データ扱う企業に特に大きな影響
香港の企業というだけで他国で信頼されなくなる恐れ
中国の香港国家安全維持法(国安法)制定により、テクノロジー企業は香港で事業を継続するかどうか再検討を迫られている。動きの速いベンチャー企業は社員とデータを移転する計画を立てたり、既に実行に移したりしている。

  香港は地域のハブの地位確立に向け順調に成長しているとみられていたが、国安法施行によりテクノロジーを巡る状況は一変した。当局によるネット上の取り締まりの権限が大幅に拡大したことから、現地起業家の元には、データやインターネットサービス運営への影響を懸念する海外の顧客やサプライヤーからの問い合わせが殺到している。多くの起業家は緊急時対応策を準備するとともに、香港から離れる形で事業再編を進めている。

  同じ不確実性に直面しているフェイスブックやツイッター、アルファベット傘下のグーグルなどの大手IT企業もこれらベンチャー企業に続く可能性がある。こうしたIT大手は国安法の影響を慎重に分析しているところだが、米国商業会議所の調査によると、香港に進出している米企業の一部が移転を計画しており、センチメントは悪化している。

  香港のソフトウエア会社Ourskyの共同創設者ベン・チェン氏は、「われわれは現在、ジレンマに直面している。香港の法に従えば、他国の規制に反する可能性がある」とし、「香港の会社だと言うと信頼されなくなる日が来るのではないかと懸念している」と語った。

  また同氏は、国安法が施行されて間もない中でも、香港の会社とは仕事ができないとして一部の外資系クラウドサービス・プロバイダーから協力を断られることがあったと述べた。このため同社は約1年以内に英国にオフィスを設け、その後に日本に進出する計画だという。

  国安法に基づき、警察は国家安全保障を脅かすとみなされるオンラインのコンテンツの削除やアクセス制限を命じることができるため、データを扱うテクノロジー企業は特に大きな影響を受ける。命令に従わなければ10万香港ドル(約138万円)の罰金と6カ月の禁錮刑を科される可能性がある。

  香港立法会のチャールズ・モク議員は、こうした条項によりテクノロジー企業は「極めて大きなリスクと不利益」にさらされていると指摘。「これはこうした企業に対し、非常に慎重になるよう求めるシグナルだ。不確実性を望まず、安全を欲するならおそらく香港を離れる必要があるだろう」と語った。

National Security Legislation Posters In Hong Kong
香港国家安全維持法政府提供の広告。写真家:Chan Long Hei / Bloomberg
原題:
Tech Firms Begin to Abandon Hong Kong Because of Security Law(抜粋)』

中国が台湾代表を事実上追放-民主主義世界への入り口だった香港で
Iain Marlow、Miaojung Lin、Kari Soo Lindberg
2020年7月21日 13:59 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-21/QDSJNBT0AFBO01?srnd=cojp-v2
『中国の台湾政策が一段と強硬に変化している現れだ-ソニー・ロー氏
中国が米大統領選の結果待ちなのは疑いない-マーク・ハリソン氏
香港は何十年もの間、中国と台湾の橋渡し役だったが、それもまた変わろうとしている。

  台湾が香港に置く窓口機関「台北経済文化弁事処」の代理処長が先週、台湾に戻った。代理処長が「一つの中国」の原則を認める文書への署名を拒んだことから、ビザ(査証)の更新がなされず、事実上の追放だった。

  実質的な在香港総領事館を閉鎖するよう台湾に迫る中国側の圧力は、年数百万人に及ぶ台湾と香港の往来に影響するだけでなく、民主主義世界への入り口として香港が中国に果たしてきた役割が失われることも意味している。

  香港が中国に返還される1997年のずっと前から、台北経済文化弁事処とその前身は、半世紀以上にわたり香港における台湾外交の拠点として機能してきた。

Taiwan Heads to Polls In Presidential And Legislative Election
台湾の蔡英文総統写真家:Betsy Joles / Bloomberg
  香港の政治コメンテーター、ソニー・ロー氏は「こうした展開は中国の台湾政策が一段と強硬に変化している現れだ。香港は今、一方で米中間の、他方で中台間の地政学的闘争の戦場だ」と述べる。

  「中国」という解釈の内容を問わず、中台ともに一つの中国に属するという考え方は「1992年コンセンサス」とも呼ばれる。現在の台湾与党、民主進歩党(民進党)の蔡英文総統はこうした認識の下での枠組みを拒否。台湾を主権国家と見なす蔡総統は、中国の習近平国家主席が先月承認した香港国家安全維持法(国安法)が施行された香港から台湾に移り住みたいと考える民主派への支援を表明した。

  台湾の高官が匿名を条件に明らかにしたところによれば、在香港の台北弁事処では他の職員もビザ更新が難しく、また台湾は台北にある香港代表機関の職員向け労働許可の更新を差し控えている。

  中国共産党の機関紙、人民日報は19日の論説で、「民進党と台湾の分離主義勢力は『香港カード』を使う米国の戦略を支持する努力を惜しまない」とした上で、香港の反政府派を援助しているなどと主張した。

米大統領選の争点
  台湾高官によると、台湾代表らに対する「一つの中国」を認める書類への署名要求は、中国政府が台湾と香港との関係に直接的な役割を強めていることを示している。

  この高官はまた、中国側の新たな姿勢によって、台湾が香港住民に付与している入境時などの優遇対応の撤回をいずれは強いられる可能性にも言及した。香港の嶺南大学で香港・台湾関係を研究している陳晳博准教授(政治学)は、香港は将来的にこうした特権を失うとみている。

  米大統領選挙でも台湾は争点の1つだ。今年1月の蔡総統再選以降、中台関係が一段と悪化する中で、米民主党の候補指名を確実にしているバイデン前副大統領は、中国の人権問題に対してトランプ大統領が批判を控えていることなどを批判した。

  オーストラリアのタスマニア大学で中国研究に携わるマーク・ハリソン上級講師は「中台間の平和に良い兆しは何もない。中国政府がもっと大きな行動を起こす前に米大統領選の結果待ちをしていることに疑いの余地はない」と話している。

原題:China Begins to Remove Democratic Taiwan’s Toehold in Hong Kong(抜粋)』

米追加経済対策めぐる駆け引き加速、ペロシ氏は財務長官らと21日協議
Laura Litvan、Erik Wasson
2020年7月21日 6:50 JST 更新日時 2020年7月21日 10:26 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-20/QDS9WGDWLU6O01
『トランプ氏は共和党案の詳細を詰めるためにマコネル氏らと会談
当初の共和党案は給与税減税を含む-マッカーシー下院院内総務
新型コロナウイルス感染拡大から米経済を守るための追加対策は、共和党が独自案の議論を続ける中、民主党のペロシ下院議長はムニューシン財務長官との協議に乗り出す。

  全米各地で感染者が急増し、経済指標が景気回復の行き詰まりを示す中、ペロシ氏とムニューシン氏は21日にシューマー民主党上院院内総務とメドウズ大統領首席補佐官を交えた会議を予定している。会議は米東部時間午後3時15分(日本時間22日午前4時15分)からペロシ氏のオフィスで開催予定だという。

  ムニューシン、メドウズ両氏は同日の早い段階で共和党上院議員と会談するが、学校再開や雇用を焦点としたい政権の意向には議員からの抵抗も予想される。

  ホワイトハウスと議会には、コロナ禍による不況の深刻化を防ぐための追加経済対策をまとめる時間は数週間しか残されていない。失業率が大恐慌以来の水準で推移する中、米経済を支援してきた2兆9000億ドル(約311兆円)の連邦政府の資金は底を突きつつある。

  ムニューシン氏は20日、ホワイトハウスで記者団に対し、追加経済対策の焦点は「子どもと雇用、ワクチン」になると語った。

Trump Meets With Cabinet Members, Members Of Congress On Stimulus Payments
ホワイトハウスでペンス副大統領(左)らと会談するムニューシン財務長官(中央)写真家:Doug Mills / Pool / Getty Images
  これとは別にマコネル共和党上院院内総務は、党として民主党との経済対策協議の「出発点」を「できれば今週中に」提案したいと述べた。同氏は、既に3兆5000億ドル規模の提案を打ち出している民主党との合意を図るだけでなく、追加策に何を含むべきかに関する党内の一部対立も乗り越えなくてはならない。

  また、マコネル氏とともにホワイトハウスでトランプ大統領と会談したマッカーシー共和党下院院内総務は、当初の同党案には給与税減税も含まれると記者団に説明。同減税はトランプ氏が強く求めているが、それに難色を示す一部の共和党上院議員とホワイトハウスの間で緊張の要因になっている。

  米上院財政委員会のチャック・グラスリー委員長は、ホワイトハウスが推す給与税減税について記者団に聞かれると、「明日以降に聞いてほしい。そうすれば政権が本気かどうか分かるだろう」と語るにとどめた。

原題:Pelosi-Mnuchin Talks Open Sprint for a Last-Chance Stimulus Deal、Pelosi, Schumer, Meadows and Mnuchin to Discuss Stimulus Tuesday(抜粋)』