米政府、中国5社製品使う企業の取引排除 8月から

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61585150W0A710C2MM8000/

『【ワシントン=鳳山太成、ニューヨーク=中山修志】米政府は8月、華為技術(ファーウェイ)など中国企業5社の製品を使う企業が米政府と取引することを禁じる法律を施行する。対象の日本企業は800社を超え、該当する中国製品の排除が必要となる。米中対立の激化で、世界のハイテク市場の分断が加速する。中国製品への依存を強めていた日本企業の調達戦略も修正を迫られる。

7月14日付の官報で「国防権限法」を8月13日から実施するための暫定規則を掲載した。』
『対象5社は通信機器のファーウェイと中興通訊(ZTE)、監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、無線通信機大手の海能達通信(ハイテラ)。米政府は8月以降、これらの製品やサービスを使う企業とは、契約を新たに結んだり更新したりしない。中国政府に機密情報が流れるのを警戒するためだ。

企業は「米政府か中国企業か」の二者択一を迫られる。米連邦政府と取引する企業が、自ら該当する中国企業の製品を使っていないことを明示する必要があり、米中対立への対応コストが高まる。米政府は企業が新たな法律に完全に対応するまでに計800億ドル(約8兆6千億円)超のコストがかかると算定している。』
『米政府と取引する企業は該当企業の製品やサービスを使っていないと証明書を出す必要がある。虚偽を報告した場合は民事・刑事罰もあり得る。

米政府によると、2019会計年度(18年10月~19年9月)の調達額は約5800億ドル(約62兆円)。暫定規則によると、当面は政府と直接契約する法人が対象だ。

日本企業への影響は大きい。米政府によると、19会計年度の日本企業向け取引額は約15億ドル(約1600億円)。案件数も約1万1000件に及ぶ。米政府との取引企業は800社を超える。対象は政府と直接契約する米国法人や在日米軍と取引する日本企業だ。

例えば、対象企業の製品を海外で一部使用しているNTTは8月の法律施行までに他社製品に変更し、今後も使う予定はないという。NTTデータの子会社が米政府とシステム関連で取引があるためで、同社は「契約に支障がないようにしたい」としている。

ソフトバンクは現行の4Gの通信ネットワークの一部で、ファーウェイやZTEなど中国企業の通信機器を導入しており、他国の製品への切り替えを進めている。すでに販売中のZTEの次世代通信規格「5G」対応スマホについては「現時点で取り扱いを変更する予定はない」という。

ゼネコンの鹿島はファーウェイ製品を一部で使っているという。製品の更新中で年末には規制対象外の製品への切り替えが進むとしている。米政府は速やかな対応を求めているが、受注に影響はないようだ。

今回発表した規則では中国製品の「使用」の定義があいまいだ。運用段階で解釈が分かれて企業には余計な法令順守コストが生じかねない。使用禁止の対象範囲が1年後にはグループ企業などにも広がる可能性がある。

長島・大野・常松法律事務所の大久保涼弁護士は「5社の製品の不使用をどの程度まで調査しなければならないかが明確でなく、日本企業として引き続き状況の注視が必要」と話す。』