TikTokが米国の安全保障問題に-中国政府に個人情報渡るのか

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-15/QDHCONDWX2PS01?srnd=cojp-v2

『⇒ウェルズ・ファーゴや民主、共和両党の全国委員会など使用実質禁止
 ⇒ユーザーがアプリをダウンロードした瞬間にデータ収集開始-専門家』

『動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は世界的に大人気となったが、運営する中国の大手テクノロジー企業は米国人を含むユーザーのあらゆる行動を把握する大量のデータを吸い上げている。

  セキュリティーの専門家によれば、こうした情報収集はユーザーにマッチした広告やサービスを提供しようと試みるフェイスブックやアルファベット傘下グーグルなどの米国勢もやっている。だが問題は、ティックトックが集めた情報で何をしているかだ。民主、共和両党の全国委員会やウェルズ・ファーゴなどはティックトックの使用を実質禁じたも同然の指示を出した。

  チェック・ポイント・ソフトウエア・テクノロジーズで製品脆弱(ぜいじゃく)性調査の責任者を務めるオーデッド・バヌヌ氏は「集められるデータの量ではなく、誰がこのデータにアクセスできるかがここでの問題だ。ティックトック以外見ることのできないデータ伝送の終着点に問題が存在している」と語る。同氏は昨年、ティックトックでセキュリティー上の欠陥を発見。その後、この欠陥は解決された。トランプ大統領とポンぺオ国務長官は先週、ティックトック禁止を検討していることを明らかにした。

トランプ氏も「TikTok」禁止検討認める-対中報復手段の一つ

  北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下でケイマン諸島に登記されているティックトックは、収集したデータを中国政府に渡すことはないと一貫して主張。中国との距離を置こうと模索している。ティックトックは今年、米ウォルト・ディズニーで動画配信戦略を担っていたケビン・メイヤー氏を最高経営責任者(CEO)に採用した。

ティックトックが企業構造の変更を検討、中国から距離置く-関係者

  米当局はティックトックが中国政府と情報を共有している証拠は一切公開していない。だがティックトックの利用規約には親会社および子会社、関係会社と情報共有する可能性が含まれるほか、以前のプライバシーポリシーでは、法律で求められれば、同社の中国事業のほか、同国の法執行機関や当局と情報を交換するケースもあり得ると利用者に警告していた。

  専門家によると、ティックトックはユーザーがアプリをダウンロードした瞬間にデータを収集し始める。ティックトックのプライバシーポリシーと利用規約によれば、同アプリは利用者がどんなウェブサイトを訪れるかや入力時のタイプの仕方やそのリズムまで把握する。

  またユーザーに対し、許可を取り消さない限り、写真や動画、端末のアドレス帳に登録された友人の連絡先に完全にアクセスするともティックトックは警告している。

  自宅のリビングルームで歌ったり踊ったりしていないときでも、ティックトックはIPアドレスや衛星利用測位システム(GPS)を使って、仕事や投票、抗議集会への参加、旅行、買い物といったあらゆる場面でユーザーがいる地点を正確に捉えている。

  サイバーセキュリティー企業ジンぺリウムのリポートによると、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けのティックトックがユーザーとその端末を認証するのに用いるツールは、悪質なサイバー攻撃に脆弱(ぜいじゃく)だと専門家から指摘された。ただジンぺリウムの姉妹企業ゼックオプスによれば、ティックトックがそうした攻撃を仕掛けるプラットフォームとして使われたことはない。

  米ノートルダム大学メンドーサ・カレッジ・オブ・ビジネスでテクノロジーと倫理問題の研究をしているカーステン・マーティン教授は「グーグルやフェイスブックが同様のデータを大量に収集しているのは承知しているが、集めたデータは利益を出すために使われている」と述べ、「ティックトックがそうしたデータで何をしているか、データ操作しているのかどうか、敵の手にデータが渡っているのかどうかが分からないことが問題だ」と論じる。

  ティックトックの広報担当者は「同業の多くの企業と比べるとティックトックが集めている米国のユーザー情報はずっと少なく、データは米国とシンガポールで保管している」と説明。「中国政府にデータを渡したことはないし、渡すこともない」とコメントした。同社によると、米国人ユーザーのデータを保存するサーバーは中国ではなく米国とシンガポールに置かれている。

  だが中国のサイバーセキュリティー法に基づき、中国政府がデータを要求すれば、そうした求めに応じると見込まれる企業とティックトックを別扱いする理由を専門家は疑問視する。

  「結局のところティックトックは中国企業だ」と話す米ピッツバーグ大学サイバー法・政策・安全保障研究所の常勤研究者でオバマ前政権で働いたキエルステン・トット氏は、ティックトックのデータに中国政府がアクセスするためには必ずしも同社がデータを政府側に渡す必要はないと説明。

  米消費者信用調査会社のエキファックスから米国人約1億4500万人の個人データが流出した2017年の事件を含め米情報当局が記録している数十年にわたる中国のスパイ活動を踏まえれば、「ティックトックの流行と普及が中国政府に途方もないアクセスを与えている」と分析している。

原題:TikTok’s Massive Data Harvesting Prompts U.S. Security Concerns(抜粋)』

米、TikTokなどのリスクに「数週間中」に対応へ=高官
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-tiktok-idJPKCN24H04D
『[大統領専用機 15日 ロイター] – メドウズ米大統領首席補佐官は15日、トランプ政権が動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」などがもたらす国家安全保障上のリスクを検証しており、数週間中にも対応措置を打ち出すとの見通しを示した。

メドウズ氏はジョージア州からワシントンに向かう大統領専用機内で記者団に対し、「TikTokや微信のほか、安全保障上の潜在的エクスポージャーがあるその他のアプリについて、特に敵対的な外国勢力による米国民の情報収集という観点で複数の政権当局者が安保リスクを検証している」と述べた。

対応措置の時期については「期限を設けているかは分からないが、数カ月中ではなく数週間中だろう」との見方を示した。

TikTokと、微信を運営する騰訊控股(テンセント)のコメントは得られていない。

ポンペオ米国務長官は今月、TikTokなど中国のソーシャルメディアアプリの禁止を検討していると述べたが、詳細には踏み込まなかった。

米紙ニューヨ-ク・タイムズは15日、トランプ政権が中国のソーシャルメディアサービスに対し、国際緊急経済権限法に基づく措置を検討していると報じた。同法は、米国を脅かす非常事態に対応するため企業に規制を課す権限を大統領に与えている。

ロイターは昨年11月、TikTokを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)による米動画アプリ「Musical.ly」(ミュージカリー)買収を巡り、対米外国投資委員会(CFIUS)が調査を開始したと報じた。

メドウズ氏は、TikTokが脅威をもたらすと判断した場合の対応として政権当局者が検討している措置の詳細にはほとんど言及しなかったが、CFIUSの調査はおそらく並行して行われるとの認識を示した。』